先週の世界株式市場の動き
日米では続落となる一方で、欧州や新興国は堅調に推移
先週(2017年8月14日~18日)の世界の株式市場は、日米で下落した一方、欧州や中国、及び、新興国市場の一角が堅調に推移しました。
- 日経平均株価(日本) ▲1.3%下落
- TOPIX(日本) ▲1.2%下落
- NYダウ(米国) ▲0.8%下落
- Nasdaq指数(米国) ▲0.6%下落
- FTSE100(英国) +0.2%上昇
- DAX(ドイツ) +1.3%上昇
- 香港ハンセン指数(香港) +0.6%上昇
- 上海総合指数(中国) +1.9%上昇
- ボベスパ指数(ブラジル) +2.0%上昇
注:いずれも先週末(8月18日)と先々週末(8月11日)の終値比較。該当日に株式市場が休場の場合は、その直前営業日の終値。
米国と北朝鮮との軍事対立は一旦“小休止”
先週は、従前から大きな懸念材料であった米国と北朝鮮との軍事対立は“小休止”という形になり、週前半は各市場で反発の動きが見られました。
特に、間接的な影響が心配された中国株式市場でその動きが顕著となったのが特徴です。
米国トランプ政権内の混乱がさらに表面化
ところが今度は、米国で深刻化した人種問題に関して、トランプ大統領の発言が物議を醸しました。また、これに関して、トランプ政権内での対立が顕著となったことで、今後の政策推進に対して不安が広がります。これが週後半の米国株式市場を直撃し、NYダウやNasdaq指数は大幅下落を強いられました。
なお、この米国株式の大幅下落は円高進行という形となって、週末の東京株式市場に大幅下落をもたらしています。
スペインの連続テロ事件も株式市場に暗い影を落とす
また、週間ベースで見れば堅調に推移した欧州市場ですが、17日にバルセロナ(スペイン)で起きた連続テロ事件等を受けて、週末は各市場が値下がりしました。欧州地域における治安リスクを改めて認識させられた投資家も多かったと考えられます。
一方、北朝鮮の地政学リスクが小さいと見られるブラジル等一部の新興国市場は、前週に続いて概ね堅調に推移しました。
今週の世界株式市場の注目点
重要イベントを迎えて大きな変動の可能性も
今週(8月21日~25日)は、いくつかの非常に重要なイベントを控えており、その動向次第では株式市場にも大きな影響を与える可能性があります。
今週予定されている株式市場にインパクトを与えそうな主な予定は以下です。
- 8月21日~31日:米韓合同軍事演習(韓国)
- 8月24日~26日:経済政策シンポジウム(通称:ジャクソンホール会議、米国)
日程は現地時間。現時点での予定のため、変更になる可能性あり。
最大の注目はジャクソンホール会議
予定されているイベントの中では、何と言っても、24日から始まる毎年恒例の経済政策シンポジウムでしょう。これは米国ワイオミング州ジャクソンホール市で定例開催されることから、「ジャクソンホール会議」と呼ばれていますが、この会議における要人の発言が、過去に何度も金融市場を大きく揺るがしました。
表面上は単なるシンポジウムなのですが、世界が熱い視線で注目する重要イベントです。日本の株式市場では、25日(金)にそのインパクトが反映されるかもしれません。
ジャクソンホール会議では欧米の金融政策転換が焦点
今年のジャクソンホール会議は、イエレンFRB議長やドラギECB総裁が講演を行う予定です。欧米の金融政策の方向性に何らかの変化が示唆されると、株式や為替を始めとする金融市場が大きく動く可能性があります。
要注目ですが、ジャクソンホール会議前には一時的に様子見スタンスが強まることも考えられましょう。
米韓合同軍事演習で北朝鮮リスク再発の懸念残る
また、21日からは韓国で米韓合同軍事演習が行われます。北朝鮮は激しく反発しており、先週は小康状態となった北朝鮮リスクが再燃する可能性があります。米朝の軍事緊張は収束していなことに留意すべきでしょう。
さらに、米国のトランプ政権内の混乱にも引き続き注意した方がよさそうです。
LIMO編集部