2023年4月14日に発表された、株式会社マネーフォワード2023年11月期第1四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社マネーフォワード 代表取締役社長 CEO 辻庸介 氏
2023年11月期 第1四半期ハイライト
辻庸介氏:みなさま、こんにちは。お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。マネーフォワードの辻でございます。それでは、2023年11月期第1四半期の決算説明をさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
事業内容については割愛し、全社業績ハイライトからご説明します。通期見通しの達成に向けて、全体的には順調に滑り出すことができたと思います。売上高、SaaS ARR、EBITDAは、いずれも前回発表した第1四半期の見通しを大幅に上振れました。
具体的には、売上高は前年同期比43パーセント増の67.9億円となりました。SaaS ARRは前年同期比42パーセント増の182.8億円です。こちらのSaaS ARRの成長率は、グループジョインの影響のないオーガニックな成長率になっています。
特にMoney Forward Businessドメインの法人向けARRが強く伸びており、前年同期比46パーセント増の127.8億円となりました。EBITDAに関しては、前回のマイナス14.2億円からマイナス7.0億円と大幅に改善し、売上総利益は42.7億円です。
また、ありがたいことに「働きがいのある会社」ランキング、大企業部門になりますが、総合で10位、女性にとっての働きがいに優れた企業として5位を受賞しました。
1Q連結売上高は前年同期比+43%と成長が加速
1つずつ詳細についてご説明します。売上高は、ご覧のとおり全ドメインで高成長を実現することができたと思います。Money Forward Businessドメインが前年同期比46パーセント増となりました。
なお、スマートキャンプ社はIPOを目指すことを発表していますが、グラフではSaaS MarketingドメインをMoney Forward Businessドメインから切り出して表示するように、今回から変更しました。
SaaS Marketingドメインが前年同期比25パーセント増、Money Forward Homeドメインが大きく伸びて前年同期比37パーセント増、Money Forward Xドメインが前年同期比66パーセント増、Money Forward Financeドメインが前年同期比34パーセント増となりました。
SaaS ARRは前四半期比+20億円と、過去最大の純増
SaaSのARRで一番強く伸びているのは、先ほどご説明したMoney Forward Businessドメインにおける法人向けのARRで、前年同期比46パーセント増となりました。続いてMoney Forward Homeドメインが前年同期比32パーセント増、Money Forward Xドメインが前年同期比38パーセント増と、前四半期から加速しています。
SMB、中堅企業両領域において高成長を実現し、Businessドメインの法人ARRは前年同期比+46%
こちらはMoney Forward Businessドメインの内訳です。全体で前年同期比46パーセント増となりました。グラフの濃い青色の部分がSMBで、前年同期比39パーセント増です。従業員が50名以上の中堅企業向けのARRが前年同期比61パーセント増と、強く伸びています。
全社売上総利益/バックオフィス向けSaaS事業“Gross Margin”推移
スライド左側の全社売上総利益は42億7,200万円で、売上総利益率は63パーセントです。右側はバックオフィス向けSaaS事業のGross Margin Rateで、85パーセントと改善しています。
EBITDA(四半期推移)
EBITDAの四半期推移です。当四半期は7.0億円の赤字です。広告宣伝費を除いたEBITDAは約6.4億円で、売上の成長に伴い大きく改善しています。
売上原価・販売費及び一般管理費の構造(対売上高比率)
コストの内訳です。人件費、外注費、広告宣伝費が大きな部分を占めています。後ほどご説明しますが、採用における人件費の増加が少し抑制され、広告宣伝費が見通しの下限をやや下回る13.4億円で着地しました。
従業員数の推移
従業員の推移です。第1四半期で8名の微増という結果となりました。優秀な方が入ってきてくれていまして、エンジニアでグレードが高いメンバーを含め、かなり厳選して採用しています。第2四半期は新卒社員が70名入社するため、増加を見込んでいます。
1Q見通し比較(売上高 / SaaS ARR)
第1四半期の見通し比較です。左側が全社売上高で右側がSaaS ARRです。ご覧のとおり、全ドメインで見通しを達成できております。通期で達成できるように、引き続きしっかり努めていきたいと思います。
バランスシートの状況
バランスシートの状況です。引き続き、高い財務健全性を堅持しています。現金及び預金が約289億円、その他流動資産が約136億円、純資産が約341億円となっています。
現預金残高推移分析
今回、現預金についてはPay事業の影響が大きく、詳細をご説明しないとわかりにくいと思いましたので、新たにスライドを追加しています。
こちらは現預金残高推移分析になります。左側が2022年第4四半期の連結キャッシュフロー、右側が2023年第1四半期の連結キャッシュフローです。
図の中心よりやや右側を見ていただくと、2022年11月末の現預金と買取債権が約321億円あります。EBITDAで約7億円、ソフトウェア資産計上額で11億9,000万円の減少となっており、年払いのユーザーの前受収益により3億3,900万円増えています。
一方で、Pay事業の運転資金に関する増減が大きく、約17億円の減少となりました。こちらは事業に伴う預り金などが含まれますが、お客さまのデポジットの状況や利用状況によって額が変わってきます。
FY22の第4四半期では一部のユーザーさまからの預り金が急激に増加しましたが、FY23で平準化されたことが、今回の要因になります。
本四半期では、60億円の新規長期借入の実行により、手元流動性を大きく強化しました。結果として、現預金プラス買取債権の残高は約350億円です。手元資金をしっかりと厚くするように努めています。
Businessドメイン 2023年11月期 第1四半期 ハイライト
続いて、Businessドメインのハイライトをご説明します。第1四半期の売上高が前年同期比46パーセント増と成長しています。課金顧客数の内訳としては、全体が前年同期比30.3パーセント増で26万事業者を超えました。そのうち法人が同31.3パーセント増で、12万3,000社を超えています。ARPAは全体が5万4,580円で前年同期比10.1パーセント増、法人が同11.5パーセント増となっています。
ARRは全体が前年同期比43パーセント増、法人が同46パーセント増となっており、特に中堅企業が伸びています。法人顧客解約率は全体で0.8パーセント、3ヶ月平均では0.7パーセントと、引き続き低い数字となっています。
Businessドメイン 四半期 売上高推移
売上高推移です。スライドに記載のとおり、ストック売上は法人が前年同期比49パーセント増で、個人が同24パーセント増となっています。
法人の課金顧客数とARPAの成長が加速
法人の課金顧客数は、先ほどお伝えしたとおり前年同期比30.3パーセント増で、26万事業者を超えてきています。スライド右側にはARPAの内訳を記載しています。上から2つ目のグラフが全体の数字で前年同期比10.1パーセント増、一番上のグラフは法人で同11.5パーセント増と、10万円を超えてきています。一番下のグラフは個人の数字で、年額の割合が増えているなどの理由で若干下がり、前年同期比4.4パーセント減となっています。
導入事例(1/2)
導入事例です。「マネーフォワード クラウド会計Plus」のユーザーが順調に増加しています。
導入事例(2/2)
「マネーフォワード クラウド会計Plus」以外のサービスも、スライドに記載のお客さまにご利用いただいています。
全国の会計事務所との強固なパートナーシップ
全国の会計事務所とのパートナーシップがさらに進んでいます。2022年度の国内従業員規模上位100の会計事務所のうちの80パーセントが当社の「マネーフォワード クラウド」を導入しています。士業事務所さまとのパートナーシップがこれまで以上に確立できているものと思っています。
大規模事務所での利用も増加
当社のお客さまの中で代表的な3事務所をスライドに掲載しています。辻・本郷税理士法人さまは、従業員数が1,700名を超える日本最大規模の税理士法人です。こちらは顧問先のDX支援の一環で、「マネーフォワード クラウド」を2,000社以上に導入いただいています。
税理士法人TOTALさまも、コロナ禍におけるテレワークの促進やクラウド化による業務工数削減・販路拡大などを目的に大規模導入を実行していただき、2,000社以上に導入いただいています。
ベンチャーサポート税理士法人さまは、従業員数1,200名を超える最大級の税理士法人です。2020年下期より本格導入を開始され、2,000社以上に導入いただいています。また、2023年4月よりクラウド会計専門オフィスを開設されるなど、クラウド会計を武器にして顧問獲得を進められています。
Homeドメイン 四半期 売上高推移
Money Forward Business Homeドメインについてご説明します。Money Forward Business Homeドメインは、前年同期比37パーセント増となっています。今回は特にプレミアム課金収入が大きく、同29パーセント増と伸びています。また、金融関連サービス売上もNext Solution社のグループジョインの影響もあり前年同期比261パーセント増と伸びています。
『マネーフォワード ME』利用者数 / プレミアム課金ユーザー数推移
「マネーフォワード ME」の利用者数は1,430万人、課金ユーザーが46.1万人と大きく伸びたのが今回の特徴です。
金融関連サービス連携上限数の変更により、プレミアム課金ユーザーが大幅に増加
前々回からお伝えしているとおり、無料ユーザーが連携できる金融関連サービスの数を10件から4件に変更しました。その結果、第1四半期では課金ユーザー数が約5.7万人増加しました。前期の四半期当たりの平均純増数の約3.7倍にあたるユーザーが課金ユーザーになったことになります。
『マネーフォワード ME』、投資資産の管理に特化した 「資産形成アドバンスコース」を新たに提供開始
もう1つ良いニュースがあります。「マネーフォワード ME」の投資資産の管理に特化した「資産形成アドバンスコース」を新たに追加しました。月額980円で、ポートフォリオの機能強化に加え、これまでの配当額と今後の予想配当額をグラフで確認できるため、資産形成を進めている方にとっては、手動で管理していたものを自動で管理できるようになり、便利なコースです。
非常に好評をいただいており、初速は想定以上です。改善ポイントもあるため、引き続き改良していきたいと思っています。
Xドメイン 四半期 売上高推移
続いて、Money Forward Xドメインです。全体の売上は前年同期比66パーセント増と大きく伸びています。また、ストック売上が前年同期比37パーセント増と、成長が加速しています。フロー売上も、複数の大型共創案件及び「BANK APP」の導入コンサルティングにかかる売上によって大幅に増加しています。
金融機関等への提供サービス数は引き続き増加
金融機関等への提供サービス数では「Mikatano」が非常に伸びており、全体の提供サービス数は141件となっています。
4つの地域金融機関で、Money Forward Xの『BANK APP』と『BANK 顧客サポート』の導入が決定
トピックをご紹介します。栃木銀行さま、京都信用金庫さま、高知銀行さま、横浜信用金庫さまの4つの地域金融機関において、スマートフォンアプリ「BANK APP」のご提供を予定しています。こちらは口座開設から資産管理、資金移動、ローン、各種手続きなど、あらゆる銀行サービスをアプリで行えるものです。
また、「BANK顧客サポート」というサービスも提供しています。こちらは金融機関のバックオフィス業務のデジタル化や自動化を推進するサービスです。
金融機関の法人顧客向けのDXソリューションを強化することで、ストック売上比率60%を目指す
現在力を入れている「Mikatano」シリーズでは、金融機関の法人顧客向けのDXソリューション強化として、新たに「Mikatano資産管理」や「Mikatanoインボイス管理」「Mikatanoワークス」が合計26の金融機関さまに導入いただきました。
また、八十二銀行さまには「融資ポータル」というサービスもご提供しており、法人向けサービスが拡充するにしたがって、導入も進んでいます。
Financeドメイン 四半期 売上高推移
Money Forward Financeドメインの売上高は、全体で前年同期比34パーセント増、請求決済代行のストック売上は同53パーセント増となっています。Biz Forward社の「SHIKIN+」がフロー売上の拡大に貢献しています。
『マネーフォワード トランザクションファイナンス for Startup』により、スタートアップの資金調達ニーズに対応
新サービスの「マネーフォワード トランザクションファイナンス for Startup」をリリースしました。こちらは売掛債権の買取によって資金化を実現していくサービスで、スタートアップ企業がエクイティ調達するまでの間の運転資金などとして活用いただいています。
現在はNOT A HOTEL株式会社さまやミラーフィット株式会社さまなど、スタートアップ業界では非常に知名度のある会社に活用いただいています。
SaaS Marketingドメイン 四半期 売上高推移
今回から切り出したSaaS Marketingドメインについてです。こちらは前年同期比25パーセント増となっています。当四半期は、オンライン展示会事業の「BOXIL EXPO」の開催がなかったため、全体の売上は下がっていますが、他の事業は好調に推移しています。
初開催の経営者向けイベント「JAPAN LEADERS SUMMIT 2023 春」を4月18日-20日にオンラインにて開催
また、4月18日から20日に「JAPAN LEADERS SUMMIT 2023 春」という経営者向けイベントを開催する予定です。興味をお持ちの方はぜひご覧ください。元ソニーグループ株式会社社長の平井さまや株式会社カインズ社長の高家さまをはじめ、すばらしいご登壇者のみなさまに登壇いただきます。
4つの成長戦略の進捗
前回お伝えした4つの成長戦略の進捗について、1つずつご報告します。
1 中堅企業のバックオフィス業務を網羅するプロダクトラインナップを提供
バックオフィス向けSaaSプラットフォームについてです。スライドには経理財務、人事労務、法務、情報システムをそれぞれ色分けして記載しています。プロダクトラインナップをかなり強化しており、国内随一と言えるサービス展開ができています。
1 ユーザーに応じて、効率的なセールス&マーケティングを展開
我々のユーザーさまには、士業事務所及びその顧客先、中小企業、中堅企業、個人事業主のタイプがいます。Go-to-Market戦略として、それぞれのプロダクトと販売方法を的確に変えています。
1 段階的な導入を可能にする、コンポーネント型ERP提供戦略を推進
プロダクト戦略としては、中堅企業向けにはコンポーネント型ERPとして、ユーザーさまが最適なシステム構成をスピーディーに実現できるよう、個々が独立したシステムとしてご提供しています。
システム間ではAPI連携によってデータを統合し、ERPとしての利用も可能です。ユーザーさまが必要なタイミングや機能を選んで導入することができるため、導入スピードが速く、お客さまにとってのコストも安くなります。
1 マスタ共通化の推進により、更なる利便性の向上を実現
一方で、個々が独立したコンポーネント型ERPはマスターがバラバラになってしまう点が課題となっています。共通マスタを利用可能にすることによって、その弱点を解消しようとシステム構成をアップデートしているところです。
1 多数のグループ会社を有する顧客におけるクラウド会計・クラウド連結会計システムの導入事例
前回、「マネーフォワード クラウド連結会計」の提供開始についてご説明しましたが、新しくリリースした会社の事例をご紹介します。
MJG株式会社さまは従業員500名以上の会社ですが、今まではExcelで連結会計を行っていたところを、「クラウド連結会計」を使っていただくことで、かなり効率化を実現されたとうかがっています。
今後は連結会計を行いながら、グループ会社、親会社ともに他サービスも導入して、決算の早期化や経営の見える化を徹底していくとうかがっています。
1 上場企業における連結会計システム『マネーフォワード クラウド連結会計』の導入事例
上場企業においても「マネーフォワード クラウド連結会計」を導入していただく事例が増えています。カヤックさまやニューラルポケットさまというすばらしい2社が導入しており、上場会社でも使っていただいています。
ニューラルポケットさまにおいては、連結会計だけでなく、会計請求書や経費、債務支払い、給与といろいろなサービスを利用して業務の効率化を進めています。
1 『マネーフォワード クラウド会計Plus』、国内上場企業向け開示支援の最大手2サービスとAPI連携を開始
「マネーフォワード クラウド会計Plus」のサービス拡充によって、上場企業の利用もかなり増えています。上場企業向け開示支援の最大手である宝印刷さまとプロネクサスさまとのAPI連携を通じて、開示書類の作成業務の負担を軽減させています。
2 『マネーフォワード ME』と『マネーフォワード クラウド確定申告』を併用するユーザー比率が継続的に向上
続いて、ドメイン間の相互送客についてご説明します。「マネーフォワード ME」と「マネーフォワード クラウド確定申告」の併用者は今四半期で約8,000人増加しました。「マネーフォワード ME」から「マネーフォワード クラウド確定申告」へのユーザー送客が進んでおり、併用ユーザー比率は38.1パーセントです。
2 R&Dにおけるシナジーの創出
R&Dについてご説明します。我々はテクノロジーが非常に大事だと思っています。Money Forward Labを中心としてテクノロジーに力を入れていますが、現状で力を入れている6点をスライドに記載しています。
メールアグリゲーションや証憑自動取得技術、アグリゲーション頻度のコントロール、与信コントロール、データ入力の自動化、ファクタリング手数料率の算出技術によって、R&Dをより強化していきます。
もちろん、今話題のChatGPTやジェネレーティブAIに関しても、全社を挙げていろいろなテストを行っており、非常に注目しています。
2 売上規模の拡大と人員採用の抑制により、従業員1人当たり年間売上高・ARRは改善
全社的な生産性の改善について、スライドに具体的な数字をお示ししています。2022年第3四半期を底に、従業員1人あたりの年間売上高やARRが改善のトレンドを示しています。この数字を中長期的に上げていくことが大事だと考えていますので、しっかり進めていきたいと思います。
3 SaaS × Fintech領域における事業展開
続いて、SaaS×Fintechによる新たなユーザー価値創造についてご説明します。SaaS×Fintech領域に関して力を入れて進めています。実際に、決済、債権・請求回収、資金ニーズ・キャッシュフロー改善の3領域でサービスをご提供しています。
決済領域は事業用カードです。ビジネス用のカード決済は「マネーフォワード Pay for Business」で行っています。請求・債権回収業務の代行は「マネーフォワード ケッサイ」と「SEIKYU+」というサービスによって行っています。資金ニーズ・キャッシュフロー改善については「マネー フォワード ケッサイ・アーリーペイメント」「SHIKIN+」や「請求書カード払い」というサービスをご提供しています。
3 SaaS x Fintech戦略の推進
SaaSのFintech戦略の推進は3つのポイントが大事だと思っています。1点目は、約26万社のSaaSのお客さまと、会計事務所とのパートナーシップによって、あまりコストをかけずにユーザー数を拡大していくことが期待できると思っています。
実際に、「マネーフォワード Pay for Business」は、ほぼ販促費をかけていませんが、発行枚数も20万枚を突破しています。また、「マネー フォワード ケッサイ・アーリーペイメント」は、累計取扱高が1,650億円を突破しました。
2点目は、Fintechのサービスの拡充と優位性の構築です。「マネーフォワードPay for Business」の優位性に関しては後ほどご説明します。また、「請求書カード払い」というBPSPを活用した新たな資金繰りサービスの提供も開始しました。
3点目は、SaaS×Fintechのデータ連携によるサービスレベルおよびUXの向上です。エンベデッド・ファイナンスをどこまでスムーズに展開できるかというチャレンジだと考えています。
3 約26万の顧客基盤と会計事務所とのパートナーシップにより、限定的な販促費で発行枚数20万枚突破
具体的にご説明していきます。「マネーフォワード ビジネスカード」は、ビジネス用のプリペイドカードとして累計導入事業者数No.1を達成しています。
与信審査が不要のため、最短2営業日で発行でき、上限なく1パーセントのポイント還元があります。目的別にバーチャルカード、リアルカードのどちらも発行できますし、カードコントロールにも対応しています。このような機能が好評をいただき、発行枚数20万枚を突破しました。
3 「あと払い機能」において、『マネーフォワード クラウド会計』のデータをもとに、スピーディーな与信判断を実現
さらに、「マネーフォワード クラウド会計」のデータを活用してスピーディな与信判断をしていこうということで、昨年9月に「あと払い機能」をリリースしました。「マネーフォワード ビジネスカード」において、最大5,000万円までの与信を付与しています。
3 『マネーフォワード ケッサイ・アーリーペイメント』の累計取扱高は1,650億円を突破
「マネーフォワード ケッサイ・アーリペイメント」の取扱高が1,650億円を突破しました。回収率も99.5パーセント以上で、非常に安定したかたちでご提供できていると思っています。
3 BPSPを活用し、『マネーフォワード 請求書カード払い for Startup』を提供開始
また、今話題のBPSPを活用したサービスの提供も開始しました。法人同士の請求書は、従来は銀行振込がメインでしたが、ニーズに応じてカードでの支払いも可能にしようという取り組みです。
銀行振込だとすぐにキャッシュアウトしてしまいますが、クレジットカード決済にすることで支払いを先延ばしすることができ、それにより企業の資金繰りをサポートすることができます。
例えば、商品をたくさん仕入れた時に代金を支払うと、商品が売れる前に資金が出て行ってしまいますので、売れるまではクレジットカード決済にしておいて、売れた後にその売上で支払うということもできます。このように、企業の成長にかなり役立つサービスなのではないかと考えています。
3 サービス間の連携により、オンラインファクタリングを提供開始
サービス間の連携についてです。MUFGさまとの合弁会社であるBiz Forward社では、「マネーフォワード クラウド会計」の入出金データをもとにした審査申し込みや与信審査が可能になりました。
4 当社のM&A戦略及びグループジョイン / 出資の実績
4つ目の成長戦略である、M&Aおよびグループジョインについてです。こちらは大きく変わっていませんが、プロダクトラインナップの拡充や、地理的および事業領域におけるTAMの拡大を進めています。
4 グループ会社とのシナジーによるインボイス戦略の推進
インボイスシステムに関しては、各グループ会社との連携を強めています。例えば、クラビス社においては「STREAMED」というデータの読み取りと仕訳のデータ化のサービスを提供していますが、AI-OCR技術を活用して、「マネーフォワード クラウドインボイス」を開発するなどしています。
また、R&AC社は「V-ONEクラウド」という入金消込の領域で圧倒的なシェアを持つサービスを提供しています。こちらも「マネーフォワード クラウド」シリーズの債権管理や債務支払領域のラインナップを増強させるために、人を行き来させながらサービス開発を進めています。
Great Place to Work Institute Japanが実施した『2023年版日本における「働きがいのある会社」調査』 において初選出。大規模部門において総合で10位、特に女性の働きがいに優れた企業として5位を受賞
その他の戦略的な取り組みについても簡単にご紹介します。冒頭でもご紹介しましたが、「2023年版日本における『働きがいのある会社』調査」の、大規模部門で総合10位、特に女性にとっての働きがいに優れた企業の5位に選出され、非常にうれしく思っています。
本当に良い人材が、働きがいと働きやすさを持って活躍してくれることが、中長期の企業の成長にも非常に大事だと思っていますので、こちらには引き続き力を入れたいと思っています。コロナ禍の中で人員が増えたにもかかわらず、オフィスをまったく増床していなかったのですが、今回ワンフロアを増床して、そこでも新しい交流が生まれています。
CDOを中心にデザイン経営を推進
また、ありがたいことに、特許庁長官表彰(デザイン経営企業)を受賞しました。こちらは最高デザイン責任者(CDO)のセルジオを中心に、サービスデザインだけにとどまらず、ブランドに関するデザインからコミュニケーション、経営戦略まで、あらゆるものに関してデザイン思考のアプローチを取り込んでいます。それが評価された結果だと思っており、我々の強みの1つだと考えています。
統合報告書『Forward Map 2023』及びESGデータ集(和英)を本日(4月14日)公開
本日、新しい統合報告書「Forward Map 2023」と、ESGデータ集を公開しました。お時間がある際に、ぜひご覧いただければと思っています。
今話題の人的資本に関する考え方や、ガバナンスに関する規律を拡充したり、サスティナビリティの指標を公開したりと、力を入れてアップデートしているところです。
「Diversity, Equity & Inclusion ステイトメント」の公表及び人権ポリシーの制定
「Diversity, Equity & Inclusion ステイトメント」の公表および人権ポリシーを制定しました。当社でもグローバルなメンバーが活躍してくれていますので、一人ひとりが自分の力を出して活躍できる環境を作るために、このようなステイトメントの公表と徹底を進めていきたいと思っています。
中期的な成長投資に関する方針及び2023年11月期の見通し
今後の業績見通しについてです。売上高成長率は従来どおり年30パーセントから40パーセントの達成を目指していこうと考えています。また、FY24のEBITDA黒字化に向けて、マージンの改善を推進します。
2023年11月期第2四半期の売上高は、前年同期比39パーセントから45パーセントの成長となる70.7億円から73.7億円を目指しています。SaaS ARRは前年同期比38パーセントから42パーセントの成長となる192.9億円から198.5億円、EBITDAに関してはマイナス11億円からマイナス6億円を見込んでいます。広告宣伝費は13.5億円から15.5億円を投下する予定です。
Money Forward Businessドメインの売上が想定より強く出ると、アップサイドもあると見ています。
また、先ほどお伝えしたとおり本社オフィスを増床しましたが、第1四半期に計上を予定していた1.3億円の一時費用のうち、0.8億円を備品の納品時期のズレ等により第2四半期に計上する予定です。
ドメイン別 第2四半期売上高 / 第2四半期期末SaaS ARRの見通し
ドメイン別の第2四半期の売上高、SaaS ARRの見通しです。Money Forward Businessドメイン内のバックオフィスSaaSは前年同期比45パーセント以上、Money Forward SaaS Marketingドメインは前年同期比30パーセント以上の成長を見込んでいます。
また、Money Forward Homeドメインは前年同期比32パーセント以上、Money Forward Xドメインは前年同期比47パーセント以上、Money Forward Financeドメインは前年同期比10パーセント以上としっかり伸ばしていきたいと思っています。
ドメイン別 通期売上高 / SaaS ARRの見通し
事業領域及びサービス拡充によりTAMは継続的に拡大
TAMに関しては事業領域の拡大に伴って潜在市場が合計6.6兆円と非常に大きなビジネスになっており、しっかりと成長していこうと思っています。
今後の成長イメージ:SaaSのストック収益最大化に加え、SaaS顧客基盤を活かしたトランザクション収益の創出に注力
収益モデルの多様化も進めています。もともとストック、フロー、SaaSマーケティング・プラットフォーム、M&Aを推進していましたが、それらに加えてFintechサービスからのトランザクション収益も増やしていきます。さらなる成長を遂げることで、より多くのユーザーにより大きな価値を届けていきたいと思います。
駆け足ではありましたが、私からのご説明は以上でございます。