年金収入やまとまった貯蓄は、老後生活を過ごしていくためにとても大切なお金です。

とはいえ、収入が思ったように増えず、逆に物価上昇をはじめとして支出するお金が増えたことによって、貯蓄がしにくい状況やきつい生活を強いられている人も多いと思います。

帝国データバンクが2023年3月31日公表した資料によると、値上げ品目数は2023年4月で約5000品目、5月以降も4000品目にのぼるとされています。

このような状況で、将来の老後生活について考えたとき、漠然とした不安を抱える人も多いはずです。

そこでこのページでは、将来の老後生活を安心して過ごすための「ヒント」はどこにあるのか、政府等の各種調査結果を踏まえて考えてみましょう。

世帯主の年齢が60歳代の「平均貯蓄額」は1819万円

金融広報中央委員会が公表している「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」によると、世帯主の年齢が60歳代の平均貯蓄額は1819万円となっています。

まず「貯蓄額」という言葉を見聞きしますと、おそらく預貯金をイメージする人が多いのではないでしょうか。

そのため、世帯主の年齢が60歳代の平均貯蓄額は、預貯金だけで1819万円あると思われがちですが、この調査結果において、以下の点をあらかじめ留意しておく必要があります。

  • 平均貯蓄額には、預貯金だけでなく個人年金保険・債券・株式・投資信託など、ほかの金融商品も含まれています
  • 平均貯蓄額は、預貯金や株式などの金融資産がある世帯だけでなく、これらの金融資産がない世帯も含まれている金額です
  • 平均貯蓄額は、あくまでも平均値であるため、金融資産のある世帯とない世帯では金額に対する感じ方が全く異なります

自分の生活水準を基準に老後生活を考えたい

先に紹介した平均貯蓄額は、預貯金以外の金融資産も含まれた金額でした。

つまり、平均貯蓄額はシンプルに「自分が保有している資産(財産)」と考えることもできます。

これを踏まえ、自分の生活水準を基準に以下を再確認しておくことは、少なくとも安心できる老後生活を過ごせるきっかけ(ヒント)になると思われます。

  • いまの仕事をこのまま続けた場合、将来の年金収入はいくらになるのか
    (ねんきんネットによる年金試算シミュレーションがおすすめ)
  • 年金収入のほかに定期的に入る収入は、いつまでどのくらいあるのか
    (個人年金保険に加入している場合やiDeCoに加入して受け取るお金を年金形式にした場合など)
  • 老後生活で毎月支出するお金には何があってどのくらいになりそうか
    (住宅ローンの返済をはじめ、大きな支出やその他の理由によって、家計の収支がマイナス(赤字)になる場合、どのように対応するのか)