現在の児童手当の制度と改正案

現行の児童手当は、中学校を卒業するまでの児童を養育している世帯に支給される手当です。

支給額は3歳未満が児童一人当たり月1万5000円、3歳以上が児童一人当たり月1万円です。

出所:内閣府「児童手当制度のご案内」

ただし、世帯主の年収が960万円以上の場合、特例給付となり月5000円に減額、年収1200万円以上の場合、支給が無くなります(扶養親族等が3人の場合)。

出所:内閣府「児童手当制度のご案内」

子育て政策の目玉として児童手当の改正が検討されています。

具体的な主な改正案は以下の3点です。

1. 児童手当の所得制限の撤廃

現在、所得制限の対象になり児童手当が支給されていない世帯もいますが、これを撤廃することで満額支給に切り替える案です。

比較的年収が高い子育て世帯にも経済的支援を実施することで、2人3人と子どもを産みたいと思うことが期待されます。

2. 児童手当を高校卒業まで支給延長

現在中学卒業までとなっている支給時期を、高校卒業まで引き上げる案です。

今より3年間長く児童手当を支給することで、経済的支援を拡充することができます。

3. 3人目以上の多子世帯への支給引き上げ

現在の日本においては、児童手当は多くの子を産むことによりメリットが得られる制度となっていません。

産めば産むほど経済的に苦しくなる”産み損”という言葉も生まれました。

多子世帯への支給額を引き上げることで、多くの子どもを育てる人を優遇することになります。

これら3つの案はいずれも受給者側が有利となる改正であり、子育て世帯への経済的支援により出産を促す狙いがあります。

ただし、異次元の対策と銘打ちながらも、現行の制度の拡充にとどまっており、抜本的な改革につながるような新制度を求める声もあがっています。

今後子育て支援に予算が多く割かれることは間違いありませんが、今回の案はあくまでたたき台であり、今後変更となる可能性もあります。