2023年3月28日に発表された、THECOO株式会社株主総会2部 会社説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:THECOO株式会社 代表取締役CEO 平良真人 氏
THECOO株式会社 取締役CFO コーポレート本部長 森茂樹 氏
Vision
平良真人氏(以下、平良):本日はお忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。会社の状況を説明させていただきます。
会社・ビジネス概要についてです。我々はビジョンとして「“できっこない”に挑み続ける」を掲げ、チーム一丸となって取り組んでいます。私および社員は、常になにか新しいことにチャレンジし、自分の限界を超えていきながら必死に事業を起こしていく、世の中に価値のあることに取り組んでいくという思いを非常に大切にしています。
会社概要
弊社は2014年1月に創業し、原宿にオフィスを構えています。2022年12月末時点の役職員数は124名です。事業はデジタルマーケティング事業(旧・法人セールス事業)とFanicon事業の2つがあります。
社名の由来
社名の由来です。THECOOで「ザクー」と読み、大乗仏教の経典「般若心経」の有名な一節「色即是空 空即是色」に由来しています。
この言葉は「不変なものはない」という意味で、日本人に非常に親しまれています。私は敬虔な仏教徒ではありませんが、とても好きな言葉です。「常に移り変わっていく世の中で我々も思いっきり変化を体現しつつ、新しい事業を起こしていきたい」との思いを込めてこの社名にしました。
経営陣
経営陣です。代表取締役CEOの私、平良、取締役の下川COO、取締役CFOの森、取締役の野澤、社外取締役の柄澤と会田というメンバーで経営しています。
2つの主力事業
2つの主力事業についてご説明します。デジタルマーケティング事業はBtoBのコア事業で、オンラインのマーケティング商品を中心に代理事業を行っています。Fanicon事業はBtoCの成長事業で、クローズドな会員制のファンコミュニティサービスです。
事業内容
事業内容です。コア事業であるデジタルマーケティング事業は、大きく2つのサービスを展開しています。1つはインフルエンサーマーケティングで、YouTuber、インスタグラマー、Tik Tokerなど、ソーシャルメディア上で活躍しているインフルエンサーを使ったマーケティング施策を行っています。
もう1つは、創業時から取り組んでいるオンライン広告です。Googleを中心とした運用型広告のコンサルティングを行い、企業のマーケティング上やビジネス上の課題を解決し、売上を伸ばしていくお手伝いをしています。このデジタルを中心としたマーケティング関連のサービスを展開することで、広告主からフィーあるいはマージンをいただく代理店事業を行っています。
続いて、成長事業であるFanicon事業についてです。「Fanicon」は、オンライン上でアプリを用いて誰でも簡単にコミュニティを作れるプラットフォームです。ファンは月額料金を払って、自分の好きなアーティストや俳優、芸能人、インフルエンサーなどのアイコンのコミュニティに入ります。
コミュニティには、ファンとアイコンの方々がコミュニケーションをとって楽しむことができる機能があります。月額料金以外にもポイント購入やグッズ・チケットの購入など、さまざまな機能を使って収益を上げることが可能です。それにより、ファンとアイコンの方々の熱量を高く保ち、収益も還元できるプラットフォームになっています。
新時代のファンコミュニティ
我々は「Fanicon」を新時代のファンコミュニティと認識しています。「Fanicon」は、ファンがいる方なら誰でも簡単に自分のファンコミュニティ、さらにいえばファンクラブを作れるプラットフォームです。
「Fanicon」は従来型のファンクラブとは異なり、誰でも簡単にオープンできるだけでなく、コミュニケーションによってファンとアイコンの距離感が縮まり、ファンがずっと応援したくなる仕組みになっています。そして、その応援をアイコンの収益に変えることができるので、アイコンの持続的な活動を支援できるプラットフォームとなっています。
なぜ完全有料制・完全会員制なのか
なぜ完全有料制・完全会員制なのかをご説明します。アイコンには、東京ドームでコンサートをする方もいれば、数十名しか入らないような小さな劇場で演劇をしている方もいます。どのアイコンにも、規模の大小にかかわらずきちんと応援してくれるファンが一定数います。
完全有料制・完全会員制である理由の1つ目は「ファンを維持する」ためです。我々は、ファンビジネスをしていく上で、ファン数が少ない時からきちんと関係を作っていき応援し続けてもらうことが一番重要だと考えました。そこで、完全有料制できちんと支援してもらえる人とずっとつながっていることを第一にしたのです。
2つ目は「安定した収益基盤の確保」です。自分の活動を知ってもらうには、オープンなSNSで認知してもらうことが可能ですが、SNSの活動を収益化することは難しいです。したがって、きちんと応援したい人から支援してもらうために、完全有料制・完全会員制にしています。
3つ目の「心理的安全性」が非常に大事なポイントです。オープンなSNSは誹謗中傷を行うような「アンチ」といわれる人も見ており、そのような人の声を気にして本来言いたいことを言えないアイコンが多数います。完全有料制・完全会員制にすることによって、自分のことを無条件に応援してくれるクローズドなファンだけの空間・コミュニティを作り、心理的安全性を高めることができるのです。
ご利用中のアイコン一例(一部抜粋)
現在ご利用中のアイコンの例です。アイドル、アーティスト、俳優、ミュージシャン、タレント、著名人、YouTuber、スポーツチーム、K-POPなど、ファンビジネスをしているさまざまなジャンルの方々に使っていただいており、非常に幅広いプラットフォームになっていると思います。
森山良子さんの事例
「Fanicon」をご利用中の森山良子さんの事例を動画でご覧ください。
テレビでもご活躍の森山良子さんは従来型のファンクラブを開設していましたが、新型コロナウイルスの影響でファンとの接点が少なくなったとご相談いただきました。
「Fanicon」を活用することで、従来型のファンクラブでは難しかった、ファンを日常的に楽しませ森山さん自身もタイムリーにその反応を受け取るという双方向のコミュニケーションが可能となり、それを通じて「活動を進めていこう、楽しんでいこう」と思えると、森山さん自身が非常に楽しんでいます。
我々はそのような感想を聞き「Fanicon」を作ってよかったと思うと同時に、うまく使っていただけていることを非常にうれしく感じています。森山さんのように、現在2,500組以上の方に「Fanicon」を楽しんでいただいています。
全社売上高CAGR(年平均成長率)
弊社の売上高についてです。CAGR(年平均成長率)は2015年から58.0パーセントを維持しており、2021年から2022年は全社で22.9パーセントの成長となっています。
【デジタルマーケティング事業(法人セールス)】インフルエンサーマーケティング
当社の特長と強みについてご説明します。まず、デジタルマーケティング事業のインフルエンサーマーケティングに関してです。当社は特定のメディアを持たず、クライアントの課題をきちんと把握してデータを使った提案をすることを得意としています。
インフルエンサーマーケティングを行う会社は多数存在しますが、弊社はもともとインフルエンサー出身の会社ではなく、クライアントのマーケティング課題を継続して解決してきたバックグラウンドがあります。そのため、クライアントの課題をしっかりと聞いてそれにあったソリューションを提案でき、かつ、弊社の持っているツールを使ってデータを用いた提案ができることが大きな強みです。
インフルエンサー事務所に直接マーケティングを頼んだほうが効率のいい場合もありますが、弊社の提案によりしっかりと課題を解決できるという評価により、創業以来継続して付き合いのある大手クライアントも多いです。
【Fanicon事業】の特長と強み
Fanicon事業の特長と強みについて3点お話しします。1つ目は、ソーシャルメディアの全盛期にファンコミュニティの在り方がどのように変わってきたかについてです。
SNS全盛期におけるファンコミュニティの在り方
2000年以前の主なメディアはテレビでした。テレビの中で限られたスターが選ばれ、そこで有名になりファンを獲得していくのが従来型のファンとアイコンの関わり方だったのです。
2000年に入ってインターネットが普及すると、テレビとPCの両方を使った関わり方に変わってきました。ただし、テレビ主流の人、インターネットのみの人という2つに分かれる傾向があったといえます。
2020年に入りスマートフォンが全国に普及すると、誰でも簡単にソーシャルメディアを使える時代になりました。先ほどの森山さんの事例にもあったように、現代では年齢・性別関係なく多くの人がスマートフォンをうまく使いこなしています。
これはすなわち、誰もがスマートフォン1つでファンを獲得しクリエイター・アイコンになれる時代です。さらに、いつでもどこでもそのような方々とコミュニケーションをとって接点を持てるのがスマートフォン・SNS全盛期の特徴であり、ここに非常に大きな市場があると確信しています。
拡大する個の市場
スライドに記載の「個の市場」に関わる3つのデータは、すべて右肩上がりで成長しています。
アイコン・ファンによる“コミュニティ”の共創
従来、ファンとアイコンの関わり方は一方通行でした。森山さんが話していたように、従来は半年に1回や四半期に1回、会報誌を作って郵送することでしかアイコンの状況をファンに伝えることができませんでした。
一方でスマートフォンやソーシャルメディアが普及した近年は、アイコンは自身の状況をタイムリーにファンに伝えることができるようになり、ファンの反応を即時に受け取ることができます。これにより、以前に比べてファンとアイコンの距離感は非常に近くなり、親密に感じられるようになりました。これは非常に大きな時代の転換といえます。
新たなサービスが求められるエンタメ領域
しかし、我々はそのような状況の中でもまだいくつかの課題があると考えており、この課題感が「Fanicon」をスタートした大きな理由です。スライドの中央に双方の課題を、左側にアイコン目線、右側にファン目線での課題をそれぞれ3つ記載しています。
1つ目の課題は「収支の点で、限られたアイコンのみがファンクラブ開設が可能」であることです。我々は「ファンコミュニティ」と「ファンクラブ」という言葉を明確に使い分けています。「Fanicon」はプラットフォームを使って誰でも簡単にファンコミュニティを開設可能で、ファンであれば誰でも入会可能です。
一方で従来型のファンクラブは、一つひとつファンクラブを作り、会報誌を一つひとつ作っていく作業がありました。そのため、ある程度ファンベースの大きい方でないと開設してこなかったという歴史的背景があります。小さなライブハウスで活動するアーティストや小さな劇場で活動する俳優のように、熱量の高いファンがきちんといるもののファンベースがそれほど大きくない方々は、ファンクラブの開設が困難だったのです。
「Fanicon」によってそのような方が簡単にコミュニティを作れるようになり、ファンは自分の応援したいアイコンを簡単に応援できるようになりました。
2つ目は「コミュニケーションの課題」です。ファンクラブがないと、コンサートや観劇といったリアルの場でしかコミュニケーションがとれません。この課題に対して、「Fanicon」をとおしていつでも即座に熱量を伝えられるようになりました。
3つ目は「サービスラインナップの課題」です。従来型のファンクラブは、コンサートのチケットの優先的な購入が入会の主な目的でした。逆に、ファンクラブがない場合はそのような優先購入ができません。
「Fanicon」はファンベースの小さな方でも簡単にコミュニティ・ファンクラブを作ることができ、チケットやグッズの販売ができます。加えて、「Fanicon」の中にはコミュニケーションをとおして収益を上げられるスクラッチの機能もあります。「Fanicon」は、このようなさまざまなサービスラインナップをとおして、ファンベースの大小にかかわらずファンとアイコンが交流し、収益を上げられるプラットフォームです。
新しい “コミュニティ” プラットフォーム『Fan』+『Icon』=「Fanicon」
我々はこれら3つの課題を常日頃感じているため、「Fanicon」を作りサービスとして改善してきました。今では2,500を超えるさまざまなジャンルのアイコンの方に「Fanicon」を使っていただいています。
「Fanicon」は従来型のファンクラブサービスとは違い、プラットフォームサービスとして位置づけています。
プラットフォームビジネスとしての位置づけ
プラットフォームのタイプには、有形のものを扱う「メルカリ」「BASE(ベイス)」「Creema(クリーマ)」、あるいはスキルなど無形のものを扱う「弁護士ドットコム」「ココナラ」「ビザスク」などがあります。その中で「Fanicon」は無形のものを扱い、ファンとアイコンの熱量をつなげることによってマッチングするプラットフォームだと考えています。
Faniconのコンセプト:個のエンパワーメント
プラットフォームでどのようなことができるかを抽象的にご説明します。小さなライブハウスで日々活動しているアーティストがいるとします。そのアーティストは、アーティスト活動をしながら生活していかなければいけないため、日々アルバイトをしながら活動しています。そうするとファンとの交流の時間は減ってしまい、結果としてファンの熱量を維持するのが難しく、最悪の場合下がってしまうこともあります。
そのような方が「Fanicon」を使うことによって、ファンとの交流の頻度や深さが変わってくるのです。結果としてコアなファンの満足度は上がっていき、それに伴ってその人たちの関係者が評価し、さらには新規のファンを連れてきてくれることも考えられます。
「Fanicon」を使ったコミュニケーションによって関係が変わっていく中で、そのコミュニケーションが収益化につながります。収益化によって、従来であればアルバイトをしないとバンド活動ができなかったアーティストも、アルバイトを辞めて自分のコアとなるバンド活動に時間を充てることができるようになります。
ファンとの交流の深さや頻度が増えることでそのようなプラスのエコサイクルが回っていくのが「Fanicon」の目指している世界であり、実際に2,500を超えるコミュニティでこのサイクルを実現できています。
THECOOはエンタメ領域で「個」にフォーカス
「Fanicon」はエンタメ領域で個にフォーカスしたプラットフォームで、テクノロジーを駆使して従来型の業界構造に変化を起こし、個が主役となることで新しい価値を作れる世界を目指しています。
Faniconのビジネスモデル
Fanicon事業の2つ目の特長であるコミュニティの在り方を変革するプラットフォームについてご説明します。現在「Fanicon」は2,500を超えるアイコンの方々に活用していただいており、コミュニティの会員、すなわちファンはトータルで21万2,000人を超えています。
「Fanicon」に入会したファンには月額料金を払っていただき、「Fanicon」の中でポイントを購入して応援する、グッズやチケットを購入するといったさまざまな収益の機能を使っていただくことでアイコンの方々とレベニューシェアしています。
また、我々はプラットフォームを提供するだけでなく、カスタマーサクセスというチームがアイコンとファンがしっかりとコミュニティを構築するための企画・提案をすることによって、ファンが楽しみ、収益を上げることができる機能を有しています。
類似サービスとの比較
類似サービスとの違いをご説明します。スライドのポジショニングマップで、横軸のインディーズ・メジャーはファンベースの大小とお考えください。縦軸はプラットフォームの多機能・個別機能としています。先ほどから繰り返しお伝えしているとおり「Fanicon」のファンサイトはファンの大小にかかわらず誰でも使えるようになっているため、横に大きく展開しています。
Faniconの特徴①:多機能性
「Fanicon」はさまざまな機能を有しており、今後も追加・開発していく予定です。アイコンの方はどのように「Fanicon」を使ってファンと交流していくかを取捨選択して、ある程度カスタマイズして自分のコミュニティを作ることが可能です。このように、多機能でファンベースの大小に左右されない大きなポジションを有しているのが「Fanicon」の強みとなっています。
スライド左側に「Fanicon」の機能をリストアップしています。「①ライブ配信」「②限定投稿」「③グループチャット」は、いずれもコミュニティを維持するためにファンとアイコンがコミュニケーションをとる機能です。これらをとおしてファンの方々がアイコンと交流し、熱量高く楽しむことが可能となります。また、「④グッズ&チケット」は従来型のファンクラブのようにグッズの優先販売やチケットの優先購入が可能な機能です。
「⑤スクラッチ」は、ポイントを購入して使用することでオンラインくじを引けるという非常に特徴的な機能です。例えばアーティストがライブの時に着た衣装にサインをして1等の景品とし、それが欲しいファンの方々がポイントを消費してくじを引くことが可能となっています。
このように「Fanicon」には非常に多くの機能があります。カスタマーサクセスチームがアイコンの方々にどのようなコミュニティを作りたいか、どのような交流をしていきたいかをうかがい、それにあわせて機能を使いこなすことによって、ファンとアイコンの双方にとって付加価値の高いプラットフォームをワンストップで提供しています。
結果としてアイコンの要望一つひとつに応じてコミュニティを作る必要がなく、プラットフォームとしての優位性を持ってさまざまなアイコンの要望に応えています。
Faniconの特徴②:双方向性
「Fanicon」の2つ目の特徴は双方向性です。先ほどからコミュニティの在り方としてのコミュニケーションの双方向性についてお伝えしているように、コミュニケーションが発生し双方向で交流できることによって、非常に高いエンゲージメントでファンとアイコンの熱量が高まっていきます。
スライド右側に「Fanicon」を使っていただいているアイコンの方々の声を掲載しています。音楽エンターテイメントグループ・YOKARO-MONさまからは「『Fanicon』を通じてファンとぎゅっと近い空間が生まれています」とコメントをいただいています。彼らは九州に拠点を置いており、頻繁に東京に来ることはできませんが、ライブ配信を行いファンとの距離感を縮めています。
このように「Fanicon」の双方向性、インタラクティブをとおして、さまざまな方法でファンとの距離感を縮められるコミュニティツールとなっています。
Faniconの特徴③:アイコンのターゲティング
「Fanicon」の特徴の3つ目はアイコンのターゲティングです。先ほどからファンの大小にかかわらず「Fanicon」でアイコンを作れるとお伝えしていますが、従来であれば2,000人ぐらい会員がいないとファンクラブは開設しない、あるいは利益が出ませんでした。そのため2,000人以上ファンが入るようなトップのアイコンしかファンクラブサービスがなかったのです。
一方で「Fanicon」は、プラットフォームとしての特性を活かすことによって、ファンの大小にかかわらずデビューしたてのアーティストや俳優になりたてのような方々がすぐに使えるようになっています。
また、アイコンの方々から、コミュニティやファンクラブをどのように活用すればいいのかと最初に聞かれます。そのような方々の疑問や不安にお答えするかたちで、我々のカスタマーサクセスチームがどのようなコミュニティを作っていきたいかをおうかがいし、提案することでコミュニティを盛り上げています。すべてのアイコンの方々に対応するのは非常に難しいのですが、効率よく提案・運営するノウハウを有しています。
結果として、ファンベースの大小にかかわらずさまざまなジャンルのアイコンの方々にファンコミュニティのプラットフォームとして「Fanicon」を提供することが可能となっています。
Faniconの特徴④:プロダクト開発力
特徴の4つ目はプロダクト開発力です。2017年12月に「Fanicon」をローンチした時には、iOSでの1対1のメッセージング機能である限定投稿の機能しかありませんでした。その中でもファンの方々が入会ししっかりと楽しんでいただけることがわかり、その後、社内のエンジニアがスピーディかつタイムリーに必要な機能を開発してきました。
最初はファンベースの小さな方にしか使っていただいていなかったのですが、多機能化するにつれて大きなライブハウスやホール、アリーナで活動するようなアーティストの方々の要望に応えることが可能となり、「Fanicon」を使っていただけるようになりました。
今後もこの強い開発力で、必要な機能および安定性を増していくことにフォーカスしていきたいと思っています。
Faniconの特徴⑤:アイコンとファンをつなぐ配信スタジオ
5つ目の特徴として、アイコンとファンをつなぐ配信スタジオ「BLACKBOX」「PeaksStudio」についてご説明します。「Fanicon」の中でアイコンとファンをつなぐ大きな機能の1つに配信があります。この機能では、スマホ1つで簡単にファンの方々にメッセージを送りつながることが可能です。
多くのアイドルの方々に日々配信をしていただいていますが、体1つでその場所に来ればすぐに配信が可能で、より凝ったクリエイティブな配信をしたいという要望に応えるかたちで「BLACKBOX」および「PeaksStudio」を作りました。
「BLACKBOX」は非常にハイテクな四面LEDのスタジオで、さまざまな音楽ライブやミュージックビデオを撮ることが可能です。また、トークやアコースティックのセッションができるスタジオも併設しています。
2022年秋に作った「PeaksStudio」はオフィスに併設しており、カスタマーサクセスのメンバーがすぐにサポートし簡単に配信できるようになっています。また、居酒屋を模したような非常に特徴的なスタジオがあり、そこでファンの方々と一緒にご飯を食べ、お酒を飲みながら配信し、コミュニティとしての盛り上がりを感じることも可能です。
このようにオンラインだけでなくオフラインの支援も行っており、配信の数が増えればファンの熱量が高まり、収益が上がっていく構造になっています。
Faniconはストック型のビジネスモデル
Fanicon事業の3つ目の特長と強みとして、高い売上高成長とストック型のビジネスモデルについてご説明します。Fanicon事業はストック型のビジネスモデルです。売上高の公式は、「有料会員数×ARPU(Average Revenue Per User)」となっています。
有料会員数はアイコン数とアイコン解約率に、ARPUは月額利用料金(サブスク)とポイント購入他(サブスク外)に分解できます。これら4つの項目をウォッチしていくことにより、売上を積み上げていくことが可能です。
スライドのグラフは、四半期ごとにスタートしたコミュニティのファンがどのように売上高に貢献しているかを表しており、きちんと積み上がっていく構図が見てとれると思います。
アイコン数・ファン数とARPUの推移
スライドは、先ほどの公式にある有料会員数とARPUのグラフです。左側の有料会員数が右肩上がりに伸びていることが見てとれるかと思います。ARPUは季節要因があるため多少凸凹していますが、きちんと右肩上がりで伸ばすことができています。
デジタルマーケティング事業の市場
市場環境についてです。弊社には大きく2つの事業があります。デジタルマーケティング事業の市場であるインターネット広告市場は、YoYで21.4パーセント伸びています。インフルエンサーマーケティング市場もYoYで20パーセント以上の伸びを示しており、弊社も同様に成長しています。
急成長中のファンコミュニティビジネス市場
矢野経済研究所の調査によると、Fanicon事業の主戦場であるファンコミュニティビジネス市場は前期比67.3パーセント増と大きく伸びています。
広大なマーケットポテンシャル(Fanicon事業のSAMとTAM)
その中でFanicon事業には大きなマーケットが広がっていると考えています。すでに存在しているファンクラブや、潜在的なファンクラブになるような人たちの市場だけでも国内で1.6兆円、その周辺のファンビジネスに関わる市場は4.7兆円という非常に大きなマーケットがあります。
中長期で売上高100億円を目指す
成長市場においてどのように成長していくか、その進捗の度合いをご説明します。弊社は中長期で売上高100億円を目指し、エンタメ業界のデジタル化を促進していきたいと考えています。トレンドを見ていただくとわかるとおり、その中でFanicon事業が成長の軸となることには変わりありません。
2022年12月期の振り返り
2022年12月を振り返って事業の指標となるKPIを見ると、デジタルマーケティング事業に関しては非常に順調に推移しています。
Fanicon事業に関しては、アイコン数と海外の展開も含めた進捗は順調ですが、プロダクトの進化という点ではWeb3関係のサービス運用はまだスタートできていません。現在準備中で、法整備が整い次第ローンチしていきたいと考えています。
また、投資については、優秀な人材を確保しサービスの成長を支えていくことを非常に大切に考えています。現在のところ非常に優秀なエンジニアを中心とした人材の採用がかなりいいかたちで進んでいます。
利益率改善に向けた施策の進捗
売上高だけでなく、利益率の改善に向けた施策も進めています。2022年12月期第4四半期から始めた施策としては、「Fanicon」の中で利益率の低いeコマースやチケットなどの料率の見直しなど、オペレーションの見直しを行ってきました。結果として12月の利益率は改善しています。
また、管理体制の強化により、専任のメンバーを置くことできちんとROIを管理していくことにも着手しています。加えて採用チームの増強も進み、足元でも採用が順調に推移しています。
中期経営方針
中期の経営方針として、デジタルマーケティング事業においてはデータを重視したブランディングによる業界ポジションの確立を掲げています。Fanicon事業に関しては、アイコンを中心としてファンがコミュニティ化する世界を構築していきたい考えです。
全社としてこの2つのメイン事業でシナジーを創出し、パッションエコノミーを実現したいと思っています。
アイコン増加施策①:多種多様な領域への拡大による成長
「Fanicon」に関してはアイコンの増加が重要だと繰り返しお話ししています。現在「Fanicon」をご利用いただいているアイコンは、アイドルやアーティスト、俳優、インフルエンサーがメインですが、それ以外の領域でもファンとしっかりつながるために「Fanicon」を活用していただけると考えています。
特にスポーツ領域は、現在全日本プロレス、Vリーグのチーム、Bリーグのチームに使っていただいており、非常に大きな可能性があると思っています。このようなチームや個人に「Fanicon」を提案していくことにより、さまざまなジャンルの方に使っていただきたいと施策を進めているところです。
多種多様な領域への拡大の進捗
「Fanicon」は多種多様な領域へ拡大し進捗しています。おもしろいところではスライドの下部に記載しているVtuberの方にうまく使っていただき、いろいろなコミュニティを作っていただいています。
スポーツ領域に関しては、フェンシングのようなオリンピックでは注目されるものの比較的マイナーなスポーツにも、継続して応援しているファンがきちんといます。そのような領域の方々にも「Fanicon」を利用していただき、ファンとのつながりを強くしてほしいと思っています。
アイコン増加施策②:海外展開の本格化
「Fanicon」は多言語対応が進んでおり、テキストを多言語で翻訳できるようになっています。例えばコミュニケーションにおいて、K-POPのアーティストがハングルで投稿したものを日本の方は日本語で認識することができ、反対に日本語で送ったコメントを、アーティストはハングルに変換して理解することができます。
このようなテクノロジーを使って、コミュニケーションの熱量を高めることにも取り組んでいます。
韓国展開の進捗
現在、韓国に専任メンバーを配置してK-POPのアーティストや韓流俳優の活用を進めており、すでに数十組のコミュニティがスタートしています。あるK-POPのアーティストは、「Fanicon」を使ってファンが増え、東欧や東南アジアのファンと交流するという非常に感動的な状況が生まれています。
K-POPを中心とした韓国のアーティストは、デビュー当初からグローバル展開してグローバルのファンをつかんでいくことを進めています。その中で「Fanicon」を使っていただければ、結果として世界中のファンに「Fanicon」を使っていただけることになります。これを踏まえ、韓国のアイドルやダンサー、バンド、YouTuberのコミュニティ開設を進めており、中長期で50組の開設を目指しています。
プラットフォームとしての可能性
プラットフォームとしての可能性についてです。「Fanicon」はアイコンとファンをつなぐプラットフォームです。ファンビジネスの収益は、ファンからの収益と、広告主を中心としたスポンサーからの収益の2つがあります。また、デジタルマーケティング事業は多くの広告主とつながっています。
弊社はこの2つの事業でシナジーを生むべく、デジタルマーケティング事業チームが持っている広告主とのつながりを「Fanicon」のアイコンの方々に紹介し、スポンサーシップができないかと模索しています。
当社の描く、Web3の概念での「ファンコミュニティ」の未来
Web3の概念は「Fanicon」と非常に親和性が高いと思っています。現在アイコンによるNFTを簡単に作れるプロダクトを考えており、準備が整い次第ローンチしていきたいと思っています。
事業別売上高推移(年次)
直近の業績を事業ごとにご説明します。コア事業であるデジタルマーケティング事業は、年平均成長率30.4パーセントを達成しています。成長事業であるFanicon事業に関しても、年平均成長率は98.5パーセントと高い水準を維持しています。
営業利益推移(年次)
営業利益に関しても、デジタルマーケティング事業は黒字を達成しています。Fanicon事業については投資期間が続いているため、エンジニアを中心に採用を強化してプラットフォームとしてさらに盤石な体制を築き、多くのアイコンを獲得していきたいと考えています。
Fanicon事業 KPI(年次)
Fanicon事業のKPIの進捗です。先ほどからアイコン数やファン数の推移が重要とお話ししていますが、アイコン数は2021年から2022年は11.8パーセント増と伸び率は少し落ちているように見えます。一方でファン数は31.5パーセント増と大きく伸びている状況です。
こちらの背景としては、ファンベースの小さな方から始め、徐々にプラットフォームの体制・網羅性ができたことでファンベースの大きな方にも使っていただけるようになりました。その結果、ファン数の伸びがアイコン数の伸びを大きく上回っています。
2023年12月期方針
2023年12月期の方針です。デジタルマーケティング事業は、インフルエンサーマーケティングのみならずソーシャルメディアのマーケティング領域全体をカバーすることで、オンラインのマーケティングをしっかりできるポジショニングを確立していくことを考えています。
Fanicon事業に関しては、「Fanicon」が大事にしている「With Fan More Fun」を実現するために、多くのアイコン、パートナー、ファンに愛されるプロダクトを作り、エンタメ業界のデジタル化を推進していきたいと考えています。
2023年12月期業績予想
2023年12月期の業績予想です。2023年の売上高は52億円、営業利益は4億9,000万円の赤字を予定しています。
中長期で売上高100億円を目指す
引き続き投資期間と捉えており、先ほどの業績予想をきちんと達成し、売上高100億円を目指します。その結果として、エンタメ業界のデジタル化を促進していきたいと考えています。
質疑応答:デジタルマーケティング事業の特徴について
質問者:「Fanicon」のご説明が多く、事業の可能性を感じました。一方で、デジタルマーケティング事業の売上も決して無視できない規模になってきていると感じます。他社と比較した御社のデジタルマーケティング事業の特徴を教えてください。
平良:デジタルマーケティング事業は弊社が創業時から行っている事業です。これまで、オンラインマーケティングといわれるさまざまな商品に関して多面的に、かつクライアントの立場に立って提案できる体制を整えてきました。運用型広告のコンサルティングおよびインフルエンサーマーケティングを中心に、さまざまなツールや自社ツールを使ってデータを中心とした提案をしています。
弊社のデジタルマーケティング事業の特徴は、データに裏付けされた提案によりクライアントの課題をきちんと解決することです。施策の結果が出ない場合でもなぜこの結果だったのか、データを反すうすることで改善・継続し、クライアントの信頼を得て現在に至っています。このようなデータに基づいてクライアントの課題をしっかりと把握し提案していく体制が弊社の大きな強みと考えています。
質疑応答:Fanicon事業の競合について
質問者:Fanicon事業の類似サービスを行っている会社を教えてください。
平良:大変申し訳ないのですが、個別の会社名はお伝えすることができません。ただし、あまり多くの会社があるわけではないため類推できるのではないかと思います。
質疑応答:SKIYAKIとの違いについて
質問者:ファンクラブ運営のビジネスを行っているSKIYAKIという会社があります。御社からしてみればまったく違うのかもしれませんが、一般人からするとファンクラブを運営して収益を上げる、ファンから収益を得て分配する点で同じように見えます。
SKIYAKIの直近の売上高は20億円強で、営業利益率は9パーセント程度です。御社の売上高は同じぐらいですが、利益は残念ながら赤字です。御社とSKIYAKIはどこが違うと考えていますか?
平良:個別の会社の状況に関しては正確に把握しかねるため、明言は避けたいと思います。
弊社の売上高および営業利益率、営業単価、営業利益に関してご説明します。有料会員数ににARPUを掛けたものが弊社の売上高です。売上高は資料でお見せしたとおりですが、ARPUは他社と少し違うのではないかと思います。
ARPUの要素として月額利用料金(サブスク)およびサブスク外があり、ARPUは比較的高くなっています。有料会員数に関しては、非常に低いアイコン解約率を維持しており、アイコンが「Fanicon」をスタートすればファン数をしっかりと維持できるかたちです。その結果として売上高が右肩上がりに伸びています。
営業利益については人件費が主な要素です。現在は投資期間であり、エンジニアを中心に「Fanicon」をプラットフォームとして多くのファンやアイコンに使っていただけるものにしていくための投資を継続しています。そしてアイコンを獲得しファンを増やし、ARPUを維持していくことで、どこかのタイミングで利益を出せると思っています。
最後に
本日はお忙しいところ、会社説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。弊社の成長戦略や状況に関してできるだけ詳しく、わかりやすくご説明したつもりです。しかし、まだこのようなことを多くの方に知っていただき応援していただく状況には至っていないことも理解しています。
引き続き我々の考えを丁寧にお伝えし、きちんと結果を出していくことを約束できたらと思います。引き続き応援していただければ幸いです。