2023年3月24日に発表された、株式会社アルデプロ2023年7月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社アルデプロ 代表取締役社長 椎塚裕一 氏
株式会社アルデプロ 取締役専務執行役員営業本部長 秋元和弥 氏
2023年7月期 第2四半期累計 業績ハイライト
椎塚裕一氏(以下、椎塚):株式会社アルデプロ代表取締役の椎塚でございます。私から2023年7月期第2四半期の決算概要についてご説明します。
2023年7月期第2四半期の売上高は28億9,700万円、売上総利益は8億3,400万円、営業利益は4億7,600万円、経常利益は2億5,500万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は1億8,800万円となりました。
スライドをご覧のとおり、先期の第2四半期と比べて大幅な減収減益となりました。進行期において、上期は特に今期に売却する案件の仕入活動に注力したことや、すでに仕入れを行っていた当社の棚卸の在庫の権利調整を集中的に行ったことなどが影響しています。
2023年7月期 通期連結業績予想に対する進捗率
通期連結業績予想に対する進捗率についてです。この進行期においては、売上高240億円、営業利益34億円、経常利益30億円、親会社株主に帰属する当期純利益24億円という通期連結業績予想を発表しています。第2四半期時点の進捗率は、売上高が12.1パーセント、営業利益が14パーセントです。
先ほどご説明したとおり、この進行期における上期は、今期に売却する予定の物件や来期の販売用不動産の在庫として抱える物件の仕入活動に注力しました。また、すでに仕入決済を行っている案件の権利調整を集中して行った結果、このような進捗率となりました。
そのため、今期の通期連結業績予想は十分達成可能な数字だと考えています。
2023年7月期 第2四半期セグメント別業績
第2四半期におけるセグメント別の業績についてご説明します。当社は不動産再活事業と不動産賃貸収益等事業の2つのセグメントから売上高が構成されています。
今期の第2四半期の売上高構成比は、不動産再活事業が94.7パーセント、不動産賃貸収益等事業が5.3パーセントとなっています。
先期に発表した中期経営計画でご説明したとおり、不動産賃貸収益等事業をどれだけ発展させていくことができるかが当社の大きな成長の鍵となるため、こちらを伸ばしていきたいと考えています。
2023年7月期 第2四半期要約BS(資産)
バランスシートについてご説明します。資産の部について、流動資産は195億9,000万円となり、主な内訳としては現金及び預金が約14億円、販売用不動産が約178億8,000万円となっています。
先ほどからご説明しているとおり、第1四半期、第2四半期は仕入れに注力したため、販売用不動産を約180億円まで積み上げることができました。こちらの物件は今期に売却するものに含め、来期以降に売却予定の不動産も在庫として抱えています。
2023年7月期 第2四半期要約BS(負債・純資産)
バランスシートの負債ならびに純資産についてご説明します。流動負債は109億7,100万円となりました。主な内訳は、短期借入金が30億1,700万円、1年内返済予定の長期借入金が54億4,000万円となります。
固定負債としては長期借入金が43億2,500万円となり、負債合計は約153億円となりました。在庫を順調に積み上げることに伴い、負債が増加するかたちとなりました。また、第2四半期の純資産合計は70億1,600万円まで積み上げることができました。
2023年7月期 第2四半期要約キャッシュフロー
スライドは第2四半期のキャッシュフローを要約したものです。繰り返しになりますが、第1四半期、第2四半期は主に物件の仕入活動や在庫として抱えている案件の権利調整に注力している関係で、営業キャッシュフローはマイナスとなっています。
それに伴い、財務活動におけるキャッシュフローは借入金の増加により、プラスとなっています。
売上高営業利益率の推移
売上高営業利益率の推移です。当社は営業利益率を経営の重要指標として掲げており、15パーセント以上を達成することを目標に事業活動を行っています。
第1四半期の営業利益率は残念ながらマイナスとなりましたが、第2四半期は16.4パーセントと、目標である15パーセントを上回ることができました。
自己資本比率の推移
自己資本比率の推移です。当社はこれまで、自己資本比率30パーセントから40パーセント程度で事業活動を行うことを目安に経営を行ってきました。第2四半期の自己資本比率は31.4パーセントで、当社が適性と考えている枠内に十分収まっています。
不動産セクターにおいては、これでも自己資本比率が高いと思いますが、当社はあくまでも30パーセントから40パーセントを目指して営業を行っていこうと考えています。
以上、2023年7月期第2四半期の決算概要をご説明しました。
2023年7月期 M&Aトピックス①
司会者:続いて秋元取締役専務執行役員営業本部長より、当社の直近の売買動向についてご説明します。
秋元和弥氏(以下、秋元):秋元でございます。私からは第2四半期における売買を中心に、直近の売買動向についてご説明します。
まずは、M&Aについてのトピックスです。第1四半期の決算説明会でもご説明しましたが、当社は、物件取得手法の選択肢の1つとしてM&Aに注目しています。
M&A手法の第1弾として、第1四半期に東京都内をはじめとする全国の22物件の不動産を取得しました。第2四半期の第2弾でも、有益な不動産を取得するための企業買収スキームとしてM&Aを実施しました。
昨今の不動産業界は、市場の活況から価格が高止まりしており、仕入環境が日々激化しています。当社は、お付き合いしている既存の仲介業者やその他のステークホルダーとの関係をより深耕しつつ、通常の不動産売買の手法に加え、有益な不動産を取得するためのスキームとして、M&A手法を活性化していこうと考えています。
2023年7月期 M&Aトピックス②(荒川区東日暮里)
先ほどご説明したM&A第2弾の案件についてご説明します。不動産保有会社である有限会社神頭商店の株式を取得し、地下鉄三ノ輪駅から徒歩7分の好物件を取得しました。
北千住周辺の再開発により人口の流入も非常に多く、三ノ輪アドレスも多くのマンションが開発される人気のエリアとなっています。当該物件は、土地が242.59平米あり、建物は1967年建造の築56年であることから、開発を前提とした株式取得を行いました。
当社の親密先であるデベロッパーと協議を重ねた結果、株式譲渡契約の完了からまもなく、不動産の売却まで行うことができました。今後は建物の解体後、投資家向けの分譲マンションが建設される予定です。
2023年7月期 M&Aトピックス③(中野区上高田)
第1四半期に子会社化した2社を通じて取得した物件についても、想定どおりの売却が進行中です。M&Aの第1弾として取得した22物件のうち、メインとなる都内の案件についてご紹介します。
場所は中野区上高田のアドレスで、土地は約428平米、取得時はコインパーキング、月極駐車場、倉庫として賃貸していました。賃借人の方々にご協力いただき、取得後4ヶ月で売却まで至りました。
今後も都内の目玉となる物件を控えていますので、早急な権利調整を実施し、クローズさせていきます。また、郊外の案件も売却を随時完了しており、引き続き売却を推進していきます。
2023年7月期 第2四半期トピックス(再開発アジャストメント)
次のトピックスとして、2022年12月に秋葉原駅から徒歩1分の商業ビルを取得しました。当該案件は、当社のメイン事業である再開発アジャストメント事業と、昨年掲げた中期経営計画でご説明した、第3の柱であるストックビジネスとの複合案件となります。
こちらは需要の高い一等地にある物件のため、保有期間中は相当額の賃料収入を一定期間確保することが可能です。また、土地としてのポテンシャルが高いことから、将来の開発用地としても非常に魅力的な物件となっています。さらに、中央通りに位置していることから、視認性や商業性も高い物件です。
今後もこのような案件の取得を進めていきます。
再活案件実例(大阪市旭区物件)①
当社のもう1つのビジネスモデルである、再活案件の事例をご紹介します。場所は大阪市旭区のアドレスで、城北公園通駅から徒歩3分の場所に位置しています。「城北公園通駅」は、2019年に開通した「おおさか東線」の開通に伴って作られた駅です。
こちらも新規の人口流入が多くポテンシャルが高いことから、当社の投資対象の案件となりました。取得後、共用部および専有部をすみやかに改修しバリューアップを行い、すでに一般投資家への売却を完了しています。私からのご説明は以上です。
質疑応答:M&Aによる取得の割安感と競合他社の数について
司会者:「M&Aによる取得は現物取得に比べて割安かどうか、また、競合他社は相対的に多いのか少ないのかについて教えてください」というご質問です。こちらは秋元よりご回答します。
秋元:まずは、当社の競合が少ないかどうかについてお答えします。当社の強みの1つは少人数であることです。通常の物件の取得に関しても少人数でチーム制を採り、他社よりもかなり短時間でスピーディーにデューデリジェンスを終わらせて、取得まで至っているケースが多いです。
M&A第1弾を上期に行った時にも感じましたが、M&Aなどの会社の精査は、よりデューデリジェンスが必要になります。このような場合のほうが、少人数のマンパワーを一極集中で取り組むことができるため、我々の強みがかなり出せると考えています。
不動産を含めた会社のデューデリジェンスを行う場合、他社では相当数の時間がかかるところ、当社はスピーディーに対応するため売主の期待に応えることができます。その点が、当社のM&Aが順調に進んでいる理由だと考えています。
また、現物の取得に比べて割安かどうかについては、M&Aということで、会社買収におけるリスクも当然関係することから、物件の価格において通常の売買よりもある程度のリスクを織り込んで取得しています。
質疑応答:上積みした仕入れ案件の内容について
司会者:「上期に仕入れを上積みしていますが、どのような案件が多かったですか?」というご質問です。こちらについても秋元よりご回答します。
秋元:当社の収益源のメイン事業である、再開発アジャストメント事業の物件取得を進めているものの、権利調整となるとどうしても在庫化するまでにある程度の時間がかかります。そのため、再活案件との物件のバランスを鑑み、進行期に数字化できる物件のめどを考えながら、物件ポートフォリオを選別して仕入れている状況です。
再開発アジャストメント案件と再活案件では、6対4くらいの割合で取得を進めています。
質疑応答:建設業界の倒産増加が与える影響について
司会者:「建設業界での倒産が増加傾向にありますが、アルデプロに影響はありますか?」というご質問です。こちらについても秋元よりご回答します。
秋元:昨今、中堅ゼネコンの倒産の話を聞く機会が多くなりましたが、建築費高騰の価格転嫁がなかなかできない中小のゼネコンが、営業や経営面で苦しくなっていることが大元の理由ではないかと感じています。
当社は建築を行っているわけではないため、今のところ直接的な影響はありません。ただし、当社は土地の権利調整を行いデベロッパーや個人投資家に提供することをメインの事業に据えているため、ゼネコン関係の倒産が投資の控えにつながることで、少なからず影響があるのではないかとは考えています。
質疑応答:在庫の販売状況について
司会者:「現在仕込んでいる在庫は、ほぼ売り手が見つかっている状況でしょうか?」というご質問です。こちらについても秋元よりご回答します。
秋元:当社のもう1つの強みは、在庫回転率の高さであると考えています。そこに至る大きな理由は、物件を仕入れる段階である程度売却先のめどをつけていることです。こちらは、再活案件、再開発アジャストメント案件ともに、そのようなビジネスモデルを組んでいます。
そのため、すでに売却契約を締結しているものも含めて、現在当社が在庫で保有している物件については、今のところ当社で売り手を見つけているとご理解いただければと思います。
質疑応答:今後の配当について
司会者:「先期は記念配当を行いましたが、連続増配は意識していますか?」というご質問です。こちらについては椎塚よりご回答します。
椎塚:先期は、通常配当の15円に当社の35期記念配として記念配当5円を追加し、20円の配当を行いました。今期の配当は、通常配当の15円を予想としています。
当社は常日頃より、株主のみなさま方にどのような株主還元策を取っていくのが一番良いかを考えながら経営を行っています。そのため、現時点で増配を明言することはできませんが、今後も株主還元策を重要な経営課題の1つとして考えていければと思っています。