【初心者向け解説・その1】長期金利は「短期金利の予想」で決まる
10年間の貸借を固定金利で行なう場合を例にします。
貸し手は「1年の貸出を10回繰り返すのと、どちらが得だろう」と考え、一方借り手は「1年の借入を10回繰り返すのと、どちらが得だろう」と考えるはずです。
どちらも今後10年間の1年定期の金利を予想し、その平均と長期金利を比べますね。そして、長期金利の方が高ければ借り手は10回の繰り返しを選び、長期金利の方が低ければ貸し手は10回の繰り返しを選ぶでしょう。したがって、長期の貸借が成立するのは、平均が長期金利と等しいときなのです。
このように、長期金利は予想短期金利の平均と等しくなる、というのが基本なのですが、実際には長期金利の方が少しだけ高くなります。
それは、貸し手が長期貸出を選んだ場合、途中で「次は貸さない」という選択肢を放棄せざるを得ないので、その分だけ金利が高くないと、短期の繰り返しを選んでしまうからです。
【初心者向け解説・その2】長期金利が上がると、債券価格は下がる
昨日の長期金利が1%、今日の長期金利が2%だとします。
昨日発行された額面100円の国債を10年持っていると、金利が10円と満期償還金100円の合計110円が受け取れます。今日発行された国債なら120円です。
昨日発行された国債を持っている人が、資金が必要となって国債を売ろうとしても、誰も買ってくれません。
そこで、90円で売り出すことにしたところ、買い手が見つかりました。90円で買って110円受け取れれば20円の得だから、今日発行の国債を買うのと同じことだ、というわけですね。
つまり、長期金利が上がると昨日発行された国債が嫌われるので値段が下がるのです。反対に、長期金利が下がると昨日発行された国債が宝物として高く買われることになるわけですね。
本稿は、以上です。なお、本稿は厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。
塚崎 公義