7月20日は「ハンバーガーの日」
7月20日は「ハンバーガーの日」です。ご存知でしたか?
これは、日本マクドナルド(現在は日本マクドナルドホールディングスの100%子会社)が1996年に制定しました。その由来は、1971年(昭和46年)7月20日に、マクドナルド1号店が銀座にオープンしたことです。記録によれば、この日は約1万人の客が来店し、100万円以上の売上があったようです。
今振り返ると、日本のファストフード業界にとって、非常に重要な日であったとも言えましょう。
1971年は高度経済成長期の末期だった
さて、マクドナルドのハンバーガーが初めて販売された1971年当時は、どのような経済情勢だったのでしょうか?
1971年は、まだ一応、高度経済成長が続いていた時代でした。「一応」としたのは、1971年のGDP実質成長率が+5.0%となり、戦後復興期以降では最低の伸び率となったからです。東京五輪終了後の不況時でさえ+6.2%成長だったことを勘案すると、当時は暗いムードが少なからず漂い始めていました。
ただ、この成長率鈍化は一時的なものという見方も多く、日本の経済成長神話への信頼も厚かったようです。
なお、翌1972年の成長率は+9.1%へ回復しましたが、オイルショックの影響を受けた1974年は戦後初のマイナス成長(▲0.5%)を記録しています。結果的には、1971年は高度経済成長の末期だったと言えます。
1971年の大卒初任給は46,400円、ハンバーガーは80円
気になるのは当時の所得状況です。この年、1971年の大卒初任給(平均、男性。以下同)は46,400円でした。46年前はこういう金額だったのですね。
一方、マクドナルドのハンバーガーの価格は80円で、初任給に対する割合は0.17%でした。ちなみに、2016年の大卒初任給は205,900円、ハンバーガーの価格は100円(税込み)ですから、割合は0.05%です。
しかし、この初任給は額面金額であり、税金や社会保険料などを控除された実際の手取り額は、おおよそ▲15%くらい減ると見られます。すると、1971年の割合は0.2%、2016年は0.06%と推計されます(筆者の試算)。さらには、消費税の影響も加味しなければなりませんが、いずれにせよ、ハンバーガーの実質価格は約3分の1ほどになったことになります。
※初任給については厚生労働省・賃金構造基本統計調査参照
ザックリ言えば、ハンバーガーの実質価格は約3分の1に
また、1971年の大卒初任給は、消費者物価指数の変動を加味した現在の貨幣価値で表すと、約152,000円と推計されています。同じ割合で試算すると、発売当時80円だったハンバーガーの現在価格は約262円にもなります。
この計算方法だと、3分の1までは行きませんが、この45年間で約▲6割下落したことになります。
ハンバーガーは安くなり過ぎたのでしょうか? それとも、販売当初が高過ぎたのでしょうか?
ハンバーガーを大衆に広めたマクドナルドの功罪
1つ気になるのは、最大手のマクドナルドの価格推移です。現在は1個100円で安定していますが、バブル経済期~1990年代前半までは概ね200円でした。
ところが、1995年からいきなり130円に値下げし、1990年代後半には期間限定で最安65円も登場します。そして、2000年代に入ってから“平日65円”が始まり、期間限定では最安値59円が登場しました。
その後、2003年に80円に値上げし、2005年からはさらに100円へと再値上げして現在に至っています(注:2013年は120円)。
こうして見ると、マクドナルドの価格戦略の意図するところが不透明と感じてしまいます。そして、こうした安売り戦略が、ハンバーガーをデフレ時代の代表的な食品へと導いたとも言えます。
確かに、ハンバーガーは身近な食品、いや、身近過ぎる食品になりましたが、ハンバーガーの価値を高めたとは言えない気もします。
ハンバーガーの“適正価格”はいくらなのか?
ちなみに、他のハンバーガー店での価格(ハンバーガー単品、税込)は、ロッテリアが180円、ドムドムが200円、モスバーガーは220円です。
ハンバーガーといっても、全く同じ商品ではありませんが、ずいぶんと価格差があります。ハンバーガーの“適正価格”はいくらなのでしょうか?
そんなことに思いを巡らせながら、ハンバーガーの日に改めて、ハンバーガーを味わってみようかと思います。普段はコンビニ弁当や牛丼が多いという方も、たまには違う味を試してみるのはどうでしょうか。
LIMO編集部