1. リバースモーゲージの概要

リバースモーゲージとは、自宅を担保として資金の借り入れをしながら自宅に住み続ける仕組みの制度です。

毎月利息のみを支払い、契約者が亡くなった後に自宅の売却により元金を一括返済します。

自宅に住み続けながら月々かかる返済の負担を軽減できることから、主に年金生活で収入が少なくなる高齢者向けの金融商品となっています。

1.1 リバースモーゲージのメリット

リバースモーゲージの大きなメリットは、住み慣れた自宅に住み続けながら資金の借り入れができることにあるでしょう。

自宅を担保とした借り入れであるため、住んでいる間は所有権を移転せずにお金を準備できます。

リバースモーゲージの場合、月々の返済は利息のみ。

定年退職後に住宅ローンが残っている場合は、リバースモーゲージに借り換えすることで月々の返済負担を軽減できる可能性が高くなるでしょう。

月々の支出を減らすことで、退職金などのまとまった資金を手元に残しやすくなります。

借入残高に利息を組み入れて月々の返済負担をなくす仕組みの商品もあるため、ご自身に適したものを検討してみてください。

リバースモーゲージは契約者が亡くなった後に自宅を売却することで元金を一括返済します。

相続人が自己資産や相続財産から元金を一括返済することも可能です。

契約者が亡くなった後は契約を配偶者に引き継ぐことができる金融機関が多いため、自宅を失い配偶者が居住できなくなるリスクを回避しやすいこともメリットだといえるでしょう。

なお、自宅を売却しても元金を完済できないケースも考えられます。

リバースモーゲージ型住宅ローンの場合は相続人が残債を負担する「リコース型」と相続人が残債を返済する必要がない「ノンリコース型」があり、「ノンリコース型」を選択すれば自宅を売却しても元金が返済しきれないリスクに備えることが可能です。

ただし、ノンリコース型の方が金利は高い傾向にある等のデメリットもあるため、ご自身やご家族などの状況を考慮した上で検討してみましょう。

1.2 リバースモーゲージのデメリット

リバースモーゲージの借入期間は「契約者が亡くなるまで」であることが多いため、長生きすると融資限度額に到達してその後融資を受けられなくなる可能性が高まります。

長く生きれば生きるほど必要となる生活費が増えるため、最初に設定された融資限度額では資金が足りなくなるリスクがあることに注意しましょう。

リバースモーゲージでは定期的に不動産評価の見直しが行われるため、価値が下落すれば融資限度額が引き下げられる可能性があります。

それまでの借入額よりも見直しされた融資限度額の方が低くなれば、超えた部分は返済しなければなりません。

変動金利の場合は金利上昇によって月々の返済額が増えるリスクもあるため、無理のない支払いができるようにあらかじめ調整することが大切でしょう。

また、リバースモーゲージは最終的に自宅を売却して元金を一括返済する仕組みとなっています。

そのため、推定相続人全員の同意を必要とするケースも多くあります。あらかじめ将来の相続について家族と話し合いをしておく必要があるでしょう。