この記事の3つのポイント
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厚生年金の男女全体平均月額は14万3945円(2021年度)だが、個人差が大きい -
「ねんきん定期便」に記載されるねんきん見込み額は「額面」 -
老後の年金からも「天引きされる」税や保険料があり、手取りが想定外に低くなることも
日本の公的年金は、1階部分の国民年金と、2階部分の厚生年金から成り立つ「2階建て」の制度。会社員や公務員などが国民年金に上乗せして加入するのが厚生年金です。
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出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成
厚生年金は、現役時代の収入が年金加入期間とともに老後の受給額を左右します。2021年度の月額平均は、男女全体で14万3965円ですが、個人差・男女差も大きいです。
さて、この平均額をクリアする「月額15万円」を受給できれば、老後は安泰と言えそうでしょうか。
老後の暮らしに必要なお金には世帯差があるでしょう。しかし「老後の年金は、額面通りに受け取れない」点も知っておく必要がありそうです。その理由とは……?
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1. そもそも厚生年金「月15万円超」の女性はどれほどいるのか
厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の受給額は月平均で14万3965円です。
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厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
厚生年金は男女別に見ると大きな差があります。男性の平均16万3380 円に対し、女性の平均は10万4686円。平均月額の男女差は約6万円です。
現役時代の年収や、厚生年金に加入して働いていた期間の長さが、老後の年金額に直結していることが如実に表れていますね。
いまのシニア世代が現役のころは、女性の専業主婦率も高く、育児や子育てと仕事の両立が今よりもはるかに難しかった時代でもあります。
働き方の男女差は縮まりつつありますから、私たち現役世代が老後の年金を受け取るころには、男女の年金格差も小さくなっていることが推測されるでしょう。
次では、女性の厚生年金月額のデータを見ながら、ひと月15万円以上を受給している女性は全体の何割くらいいるかを見ていきましょう。
1.1 【厚生年金】女性の年金月額階級別の老齢年金受給者数のデータ
• 15万円以上~16万円未満:15万2367人
• 16万円以上~17万円未満:10万9888人
• 17万円以上~18万円未満:7万5929人
• 18万円以上~19万円未満:5万1905人
• 19万円以上~20万円未満:3万7458人
• 20万円以上~21万円未満:2万4850人
• 21万円以上~22万円未満:1万6796人
• 22万円以上~23万円未満:1万976人
• 23万円以上~24万円未満:6934人
• 24万円以上~25万円未満:3951人
• 25万円以上~26万円未満:2188人
• 26万円以上~27万円未満:1098人
• 27万円以上~28万円未満:516人
• 28万円以上~29万円未満:208人
• 29万円以上~30万円未満:144人
• 30万円以上~:375人
*上記の数字には国民年金部分を含みます。
厚生年金を受給する女性のうち、ひと月15万円以上を受け取る人は約9%。ほんの一握りの、まさにトップ層ともいえる存在です。
2. 女性で「厚生年金15万円」なら老後は安泰?
先ほどお伝えした平均額はあくまでも参考にとどめるとともに、ご自身の年金額は「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で把握しておく必要があるでしょう。
ここで注意したいのが、「ねんきん定期便」に記載された年金額はいわゆる「額面」である点です。冒頭でも簡単に触れましたが、年金は額面を「まるっと」受け取れるわけではありません。
現役時代の給料からは、税金や社会保険料が天引きされていましたね。老後の年金からも、同じように天引きされるお金があるのです。
これらの天引き内容は、受給開始後、毎年6月に郵送される「年金振込通知書」で確認することができます。
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出所:日本年金機構「年金振込通知書」
なお、年金から天引きされる「金額」は、所得や居住地により異なる場合がありますが、今回は東京都八王子市に住む女性(76歳)の例を挙げて解説していきます。
2.1 年金からの天引き その1「税金」
厚生年金が月額15万円の場合、年間収入は180万円となります。年金しか収入がない女性は、所得税として4623円、住民税として1万6500円が天引きされます。
2.2 年金からの天引き その2「介護保険料」
年金年額が18万円以上の場合、介護保険は強制的に年金から天引きされることに。八王子市の場合、年金収入が180万円の方の介護保険料は年額7万9400円となります。
2.3 年金からの天引き その3「健康保険料」
年金から天引きされる健康保険料は、「国民健康保険」か「後期高齢者医療制度」か、で変わります。今回の女性は76歳なので、後期高齢者医療制度の保険料が天引きされます。
東京都後期高齢者医療広域連合の所得割率と均等割額を用いて計算すると、保険料は年間約4万8800円です。
2.4 厚生年金15万円の場合、手取り額はいくらになるのか
天引きされる税金や保険料を合計すると、年間で約15万円。180万円-15万円=165万円なので、月額の手取りは13万円台となりますね。
※概算なので実際の金額とは異なります。また天引きされる金額は年度途中に決定するため、1年を通して同じ手取り金額になるとは限りません。
「15万円受け取れると見積もっていた年金が、手取り13万円台とは……」そんな思いで落胆するケースも起こりうるわけです。
3. マネープランは制度を正しく理解することから
今回は、老後の年金から天引きされる税金や保険料について整理しました。老後の年金額を「額面通りに受け取れない」とは、意外な盲点かもしれません。
たとえば、「繰下げ受給」で年金額を増やしすぎた結果、天引き額が思いのほかにアップして手取りがだいぶ減ってしまった、というような事態も起こり得ます。
年金、税金、社会保険などしくみはやや複雑で、分かりにくい部分が多いことは確かです。しかし、こうした公的制度を理解しておくことは、マネープランを作る上での大切なステップの一つといえるでしょう。
参考資料
- 東京都後期高齢者医療広域連合「保険料の算定方法」
- 八王子市「令和3年度(2021年度)から令和5年度(2023年度)の介護保険料(所得段階)」
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支」
長井 祐人
