地方公務員の平均年収を見ると、47都道府県の単純平均では679万円(平均年齢43.2歳)、各都道府県の人数を考慮した加重平均では688万円(平均年齢42.6歳)となっています(注)。この、40歳超で平均年収が680から690万円を手にしているというデータを見てどのように感じられるでしょうか。

また、勤務環境がどうかという観点もあります。民間企業は常に競合他社との競争にさらされ、業績は景気などに左右されます。そうした中で継続できない事業も出てきます。事業再編やリストラなどもありますし、時には会社が倒産してしまうようなこともあります。

注:総務省「平成27年地方公務員給与の実態」をもとに投信1編集部が算出

年収より大事なこと、それは継続性

民間企業と比較すると、公務員はよほどのことがない限り雇用は安泰と言える職業です。平均年収は一時的な年収を取り出した数値ですが、どれだけの期間にわたって安定的に仕事ができるかが重要なのは、雇用が不安定な職業に就いた人ほど感じてしまうものです。

民間企業の場合、大企業であれば安泰というわけでないでしょう。たとえば、日本を代表する電機メーカーでも、業績不振で「構造改革」「トランスフォーメーション」という名の下に人員削減を続けてきた企業もあります。その中で「追い出し部屋」というような言葉も生まれました。

また、雇用が不安定になる理由は事業の不振だけではありません。企業経営者の不祥事が原因でリストラに手を付けなければならないということもあるでしょう。

大学生の就職先として人気のある銀行ですら、今後はテクノロジーの進歩によりこれまでほどの人員が必要なくなるときがくるかもしれません。そうなれば、スキルがよほど突出した人しか生き残れなくなるのではないでしょうか。

就職で何を重要視するのか

必死で勉強して有名大学に合格し、一流企業に就職しても決して安泰という時代ではありません。親として、何を重要視して子供に就職先をすすめるのか。特に就職間近の子を持つ親であれば、いろいろなことが頭をよぎるのではないでしょうか。

自分のこれまでの社会人経験、そして自分の友人や知人で羽振りの良かった職業や大変そうに見えた職業…。自分が体験してつらかったこと、子供には将来経験してほしくないことなどが思い浮かぶかもしれません。

このようにあらゆる検討をする中で、「給料をもらう職業を選択する上では、仕事環境と年収を比較すると公務員が一番よい」という判断を下す親が多くても不思議ではありません。

まとめにかえて

いかがだったでしょうか。民間企業と公務員はいつの時代も比較されがちです。また、民間企業がグローバル競争にさらされ、経営が不安定な今のような時代には相対的に公務員は魅力的に見えてしまうかもしれません。

ただ、多くの人がこうした「年収と勤務できる期間をかけわせる」という合理的な判断して日本が公務員天国になってしまうのでは、経済成長はどこへ行ったということにもなりかねないでしょう。

LIMO編集部