不動産投資の最終ゴールとは?
不動産投資を志すあなた、最終ゴールは明確ですか? 何事も成功するには目標設定が重要です。
とりあえず、キャッシュフローが欲しい! マンションを1、2棟購入して、毎月現金が手に入ればそれで成功! と目先のことだけ考えてしまっていないですか?
大前提として理解しておいていただきたいのは、不動産から収益を得る方法には2通りあることです。1つ目は賃貸収入として得られるインカム。2つ目は売却益として得られるキャピタルです。
長期的に取り組む不動産投資では、インカム(賃貸収入)に着目しがちです。しかし、実は売却して初めて利益が確定するので、たとえば購入金額よりも売却金額が下がってしまうと損失になります。
つまり、投資が成功したかどうかは売却までを含めたトータルの収益で決まりますし、むしろ額面が大きい分、インカムよりもキャピタルの方がトータルの収益に与える影響は大きいのです。
定めるべき目標は2つ! 税引後キャッシュフローと純資産!
不動産投資におけるゴール設定としては、インカムとキャピタルの両面から考えて次の2つの目標を定める必要があります。
- 「税引後」キャッシュフロー
- 純資産
キャッシュフローについては「税引後」のものとして把握するところがポイントです。税引前のキャッシュフローがプラスでも、税額が大きくなれば最終的にはマイナスになることもあります。
純資産は、財務3表の中の1つ、貸借対照表(BS)の中の1項目です。これが不動産投資では含み益にあたります。
純資産は不動産を売却するまで確定しません。実際に売却してプラスになるのか、マイナスになるのかはその時になってみなければわかりませんが、少なくとも現時点での不動産の価値、借入金の残高、そして手持ちの現金を合わせた純資産がどの程度になるか、把握しておくべきでしょう。
いわば財務3表はお金の診断書。企業の経営状態を知るためのツールです。不動産投資も企業と同様です。銀行でも財務3表の内容で融資の可否を判断します。
つまりは事業拡大に直結します。不動産事業を拡大したければ、財務3表をマスターしてください。
今さら聞けない財務3表の基礎
財務3表とは次の3つのことです。
- キャッシュフロー計算書(CF)…現金の出入りを記載する
- 損益計算書(PL)…売上、経費などから利益と税額を計算できる
- 貸借対照表(BS)…資産、負債の残高と、差し引きの純資産を把握できる
とりあえず手元に来た現金を数えるだけであれば、キャッシュフロー計算書(CF)だけ見れば事足ります。しかし、実際の手残り金額はそこから税額を引いたものになります。税額を計算するには損益計算書(PL)を見る必要があります。そして貸借対照表(BS)で 2つを合わせた資産の把握をします。
損益計算書(PL)とキャッシュフロー計算書(CF)は合計が同じにはなりませんが、貸借対照表(BS)で2つの連動の結果の資産を相対的に確認できます。
これらを合わせて現金の流れ、税金の計算、資産の増減を把握します。3つが揃うことで、ようやくトータル収益が見えてくるのです。
純資産はあなたの企業価値!?
財務3表は自分の目標を定めるためだけに役立つわけではありません。
不動産投資には融資がつきものですよね。融資を出す側の銀行は、今ある現金の総数だけでなく、全体の損益、ひいては純資産を見てあなたを審査してきます。
純資産を確認するための方程式は次の通りです。
不動産+現金-借入金=純資産
- 不動産の価値は年々下がる
- 現金残高を積み上げる
- 借入金を減らしていく
1、2、3が年々変化して行って、その結果、純資産も増減するわけです。
1. は所有不動産の簿価のことです。購入時は簿価=購入金額+取得経費。毎年の減価償却で簿価が下がっていきます。
キャッシュフローを把握し、目標に設定することはもちろん重要です。現金が回っていなければそもそも運営できませんし、キャッシュが出ない投資は面白味もありません。
ただ、キャッシュフローしか見ていないと、税金が想像以上にかかり、手残りキャッシュが少なく資金がたまらない、資産も増えないという状況に陥ります。
銀行はそういった状況になっていないか、あなたの財務3表の中の貸借対照表(BS)を見て融資可否を決めるのです。
同じ不動産資産なのに簿価と実勢価格が異なる!?
「銀行は純資産が大事なのはわかったよ、でもマイナスにならなければいいんでしょう?」と思われていませんか。しかし、BSについては1つだけ気を付けなければいけないことがあります。
それは、【簿価】と【実勢価格】は別モノということです。
簿価とは貸借対照表(BS)に記載される不動産資産の金額です。購入時は購入価格の金額ですが、年々、減価償却とともに減っていきます。ただし、その金額は実際に買い手がつく金額(実勢価格)とは違うわけです。
購入時に相場並みの金額なら大きな差額はなさそうです。しかし、高値づかみで購入してしまうと、簿価>>>実勢価格となります。
そうすると簿価ベースでは、
資産>負債(差額が純資産)
と思っていたのが、実勢価格ベースで見直すと実は、
資産<<<負債(差額がマイナス純資産)
ということになります。
よって、財務3表の仕組みを理解することに加えて、実際の資産価値がどうなのかも常に把握しないといけません。
ゴールの設定を数値化し、勝てる不動産投資をしよう!
財務3表は、事業計画を立てるのに必須となるキーアイテムです。
財務3表さえわかっていれば、税金が手残りキャッシュフローより多くなるデットクロスの時期を見極めることができます。そして、実際の不動産や現金などの資産よりも負債が多くなる債務超過に気が付くことができ、最悪の事態を避けることができるのです。
まずはご自分で、キャッシュフローと純資産の目標を立て、達成するための手順を考えましょう。財務3表はその一助となります。勝てる事業計画を立てて実行していきましょう!
以上、株式会社コン・パスでした。