2. 2022年4月より一部の加給年金が停止となった

63歳の妻が一定の収入(850万円)以下である場合、加給年金を受け取ることができていましたが、制度改正により、2022年4月以降は加給年金の停止が行われています。

配偶者が通常65歳からもらえる老齢厚生年金(※2)、退職共済年金(組合員期間が20年以上ある方)について、実際に受け取っていなくても、受け取る権利がある場合(在職により支給停止となっている場合など)は、配偶者加給年金が支給停止されるようになったのです。

※2:厚生年金に20年以上または共済組合等の加入期間を除いた、期間男性は40歳以降15年から19年以上、女性は35歳以降15年から19年以上の場合

3. 2022年4月以降の経過措置

ただし、該当者には経過措置が設けられています。

出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」

  1. 令和4年3月時点で、本人の老齢厚生年金または障害厚生年金に加給年金が支給されている場合
  2. 令和4年3月時点で、加給年金の対象者の配偶者で、厚生年金保険の被保険者期間が240月(20年)以上ある老齢厚生年金等の受給権があり、全額が支給停止されている場合

この加給年金をもらうために、配偶者の働き方を調整されている方もいらっしゃいます。

一般的に夫が厚生年金に20年以上加入し、妻が厚生年金に20年未満の加入であれば、夫に加給年金の受給権が発生していました。

しかし、今回のような改正で、働き方によっては加給年金をもらうことができなくなります。もらえると思っていたものがもらえなくなる、思わぬ落とし穴のようなものです。

加給年金がもらえないのであれば、厚生年金に加入する期間が20年未満ではなく、20年以上にした方が老齢厚生年金も多くもらえますね。

世界と比べても日本の高齢化率は高くなっています。財政上、日本の国としても厳しくなってくるのであれば、歳出抑制のために、このような改正は今後もあるでしょう。