2022年12月2日に発表された、ヤマイチ・ユニハイムエステート株式会社個人投資家向け会社説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:ヤマイチ・ユニハイムエステート株式会社 常務取締役 経営企画本部長 山田裕之 氏

個人投資家向け会社説明会

山田裕之氏:みなさまこんばんは。ヤマイチ・ユニハイムエステート株式会社常務取締役の山田です。本日は貴重なお時間をいただきましてありがとうございます。資料に基づき、当社のビジネス内容についてご説明します。よろしくお願いいたします。

自己紹介

はじめに、自己紹介をしたいと思います。私は創業オーナーの長男であり、和歌山県和歌山市出身です。1981年生まれで、いわゆるミレニアル世代のギリギリのラインであり、情報技術の発達とともに青春時代を過ごしてきたような世代です。

私は経歴が少し特殊であり、京都大学の農学研究科に進学し、その後薬学研究科に移り、長らくライフサイエンス(生命科学)の研究に携わってきました。その後心機一転して当社に入社しました。

2012年より当社で仕事をしており、2015年頃からIPOの担当やM&Aの担当に就き、現在はIR等の活動をしています。

本日のポイント

本日の説明を通して、3つのポイントがあります。1つ目に、当社は収益性重視の不動産開発を行っており、特定の分野でシェアを拡大したり数を追ったりするよりは、一つひとつのプロジェクトの利益をしっかり獲得するという事業展開を行っています。

2つ目に、ストックとフローの両輪ということで、販売と賃貸という2つの収益源をバランスよく伸ばしていきたいと考えています。

3つ目に、我々は和歌山県発の会社であり、この地方発のビジネスモデルで成長してきました。今後は、このビジネスモデルを武器に、営業エリアを拡大することによって、企業を発展させていきたいと思っています。

目次

本日はご覧のような流れでご説明します。質疑応答に関しては、最後に一括でお答えしたいと思います。

会社概要

当社の概要についてご説明します。当社は不動産開発をベースに、不動産賃貸、販売、マンションの3セグメントを主力にしています。不動産開発・賃貸のセグメントは、主に商業施設の賃貸が得意であり、他には居住用不動産の賃貸等も行っています。

不動産開発・販売のセグメントに関しては、いわゆる戸建分譲地の販売事業を中心としつつ、加えて法人向けの不動産販売も扱っています。マンションセグメントに関しては、一般顧客向けの分譲マンションの企画販売を扱っています。

直近の業績では、売上高の半分以上がマンションセグメントから来ており、次いで販売セグメントとなっています。一方で、利益構成では販売セグメントおよび賃貸セグメントがかなりの割合を占めています。

注目していただきたいのは、営業利益率が約15パーセントということで、業界の中でもトップクラスの営業利益率を獲得できていると考えています。本日は、ブランド力もなく知名度も低い当社が、なぜこのような利益率を出せるのかについて、少しでもご理解いただければと思っています。

沿革

沿革になります。当社は1989年に和歌山市で仲介事業を開始しました。その後いろいろなことがありましたが、事業領域や扱う商品等を順調に拡大し、現在は不動産のワンストップビジネス、いわゆる総合デベロッパーとして事業を展開しています。

売上高推移

売上高の推移です。先ほどお話ししたように、私は2012年より当社に入社したのですが、2015年からIPOの準備を開始しました。

それまで当社は比較的安定路線で進めていたのですが、上場を目指すにあたり、成長投資をしっかり行いました。現在は回収のフェーズに入り、次へ向けた新たな成長投資を進めているという状況です。

今期の予想は、前期よりやや減収減益で出していますが、少し保守的に見つつも、現在は次の3年から4年に向けた成長投資を着実に仕込んでいる段階です。

エリア展開

エリア展開についてです。現在は本社を和歌山県から大阪府に移し、さらに営業エリアとして首都圏へ進出しています。関西で培った強みを活かして、首都圏でもしっかりビジネスを展開していきたいと思っています。

財務ハイライト①(直近3年)

直近3年間の財務ハイライトです。ご覧のとおり、売上高・利益ともに堅調に推移しており、上場によって財務健全性も向上しています。

財務ハイライト②(22年3月期第2Q決算補足資料より)

こちらは先日リリースした短信の補足資料から引用した、今期の進捗です。グラフの濃い青色の部分が実績です。第2四半期までの時点で、予算比で122パーセントとなり、大きく上回ることができています。

ただし、こちらは法人向けの不動産販売のうち、第3四半期・第4四半期で見ていたところが前倒しで計上されていますので、通期の予想は据え置きというかたちで発表しています。

ヤマイチ・ユニハイムエステートとは?

ヤマイチ・ユニハイムエステートとはどのような会社かを一言で表すと、「土地を活かして価値を生み出す会社」です。こちらの意味するところを、少し詳しくご説明していきます。

ヤマイチ・ユニハイムエステートとは?

当社は、建物ありきのビジネスではなく、土地に付加価値を付けて販売することによって生じる利益をしっかり獲得するというビジネスを行っています。

土地の付加価値を高める開発プロセス

土地の価値を高めるというプロセスについて、まず土地を仕入れて、その後さまざまなプロセスを経て最終的に売却あるいは賃貸することになります。その土地の立地に応じた開発として、最終的にどのようなソリューション、すなわち建物を建てるのかを、さまざまな観点から検証し、その土地自身の付加価値を高めています。

当社ビジネスの特長

当社ビジネスの特徴について、もう少し掘り下げていきたいと思います。冒頭でお話ししたように、当社は高い利益率を実現しています。その実現に至るポイントをスライドに3点挙げていますので、一つひとつご説明します。

土地の立地と活用方法の関係イメージ

まずは土地を活かす思想・考え方です。土地は、その規模・大きさや立地に応じて、最適な活用方法が異なります。

土地を活かす思想

当社の事業は、土地ありきの発想で土地の価値を最大化するものです。もう少し詳しく言うと、その土地の将来性や収益性、立地特性を総合的に分析して、特定の要素に限定するのではなく、さまざまな使い方を考えて、最も収益性・将来性が高まるような活用方法をアウトプットしています。

「建物ありき」のビジネス

対照的なのが、建物ありきのビジネスです。例えば、ビルダーや分譲マンションの専門業者、建設業者です。このような業者の場合は、最終的に建物の売上から建築請負の利益を獲得しますので、事業計画は建築計画、つまり「来期は何棟建てるぞ、何戸供給するぞ」というところからスタートします。

したがって、供給目標を達成するために土地を仕入れる、すなわち建てるために土地を買うということが起こり得ます。その結果、土地の部分の採算は少し犠牲にしながら、建物の利益を獲得するというビジネスモデルが1つの例としてあると思います。

もちろんメリットもあると思いますが、昨今の建築コスト高騰のような社会情勢の変化により、このビジネスモデルでは少しデメリットが大きくなると考えています。

「土地を活かす」ビジネス

当社の場合は、建物ありきではなく土地ごとの最適な利用方法を検討します。つまり、ありとあらゆる土地の情報を獲得して、全事業担当者で共有し、土地の活用方法を検討します。マンションの担当者、戸建の担当者、商業施設の担当者、それぞれがさまざまな立場から建物の計画を立てることによって、最も収益性の高い利用方法を部署横断的に検討します。

それにより、土地の付加価値を高める、あるいは土地の利益を落とさずに建築計画を立てることができます。最終的には建物の利益に加えて土地の利益も乗ることで、高い利益率が獲得できるという仕組みになっています。

土地を活かす思想

こちらのスライドには、我々が最も大事にしている土地を活かす思想をお示ししています。

ワンストップの不動産開発事業

土地を活かす思想の考え方に基づき、特徴の2つ目としてワンストップ開発を行っています。当社は土地を「製販一体」のビジネスモデルで展開しています。不動産の開発は仕入れから許可取得、造成、建築、そして売却・賃貸とさまざまなステップに分かれており、それぞれに専門性が高く、また一定のリスクが発生します。

そのため、多くの会社はそれぞれの工程に専門会社がおり、そのような企業と連携しながら不動産の開発を進めるのですが、建物に特化している会社や大手企業などの場合は、土地の仕入れから最終的に土地が完成するまでのプロセスに含まれるリスクを避けて、どちらかというとすぐに建築可能な状態の土地を仕入れることがあります。

そうすると、どうしても土地の仕入れが割高になってきます。我々は仕入れから最終的な出口までをフルラインでカバーして、各ステップで綿密にコストコントロールを行っています。これにより、土地と建物の利益が獲得できるということです。

差別化戦略

特徴の3つ目が、差別化戦略です。こちらのスライドはイメージですが、できるだけ競合を避けることを心掛けています。業界のポジショニングで、大手デベロッパーが取り組まない規模感の開発を行っています。間接経費がかかりますので、大手はあまり小ぶりな開発は行わないものと思います。

一方で、当社は中小企業が優位である小回りの利く領域に比べて、もう少し規模が大きい案件や、あるいは複合開発といった多様な用途のソリューションが必要な案件など、競合が少ない領域を狙っており、価格競争を回避することで利益率を落とさないようにしています。

差別化戦略

具体的に言いますと、例えば土地の取得に関して、我々は開発難易度の高い土地を積極的に取得します。

開発難易度の低い土地、あるいは競争入札で出てくるような土地は、一般的に情報が流通しており、開発のハードルが比較的低く、利用するまでのステップが短く済みます。その分たくさんのプレイヤーが参入しますので、価格勝負、つまりパワーゲームになってしまいがちだと思います。

我々は、開発難易度の高い案件をできるだけ相対取引で獲得します。例えば農地や山林といった素地のような、開発に時間を要する案件や、相続などで換金したい土地のように迅速な意思決定が必要な案件は、当社にノウハウがあり対応できますし、比較的競合が少ないため、安く購入できるという特徴があります。

当社ビジネスの特長(まとめ)

以上の3点が、当社ビジネスの特徴です。「土地を活かす思想」と「ワンストップ開発」、そして「差別化戦略」という3つのポイントによって高い利益率が実現できています。

各セグメントの特長

各セグメントの特徴の説明に入ります。こちらは不動産開発・賃貸セグメントからご説明します。

不動産開発・賃貸セグメント

冒頭でお話ししたように、当社はマンションの売上が半分以上を占めています。また、戸建住宅も事業の柱ですので、どうしてもマンション会社や戸建のビルダーと比較されがちですが、実は当社が長らく力を入れて進めてきているのが、賃貸不動産の開発と長期保有です。

スライドの棒グラフで濃い青色の部分が賃貸用不動産の資産残高を示しており、10年以上にわたって、コツコツと積み上げてきています。

昨今はやや停滞気味にも見えますが、この2年から3年は過去に仕入れた古い案件の入れ替えや、テナントの入れ替わりが続いていますので、簿価としてはこのようなかたちになっているものの、今後もこちらは伸ばしていく方針であり、現在は年間約24億円の賃料収入があります。

不動産開発・賃貸セグメント

内訳としては、スライドに示したように、売上の63パーセントが商業施設の賃貸収入であり、次いで集合住宅が多くを占めています。NETの利回りについては、商業施設では8.7パーセントの利回りで運用できており、全体でも7.3パーセントです。

加えて、木造の戸建賃貸住宅の開発を進めています。集合住宅ではない戸建のよさを活かした賃貸商品で、利回り10パーセントをNETで獲得できる商品となっています。こちらは今後の成長戦略として注力し、伸ばしていきたい分野です。

また、立地に関しても、歴史上和歌山県の物件数が多いのですが、売上としては和歌山県以外の不動産からの賃貸収入が半分以上を占めています。関西や関東などでの新たな投資も着実に進めていく方針です。

商業地開発 ➡ 賃貸 の流れ

主力だとお伝えした商業地開発の特徴についてご説明します。当社の場合は、やみくもに土地を開発し、そこからリーシングする流れではなく、事業者から「このあたりに出店したい」「この土地をどうにか獲得したい」というオーダーを受けてから動き始めます。当社は土地オーナーとの交渉や各方面との権利調整・許可取得などを行います。

諸条件を整えたら、当社とテナントの間で賃貸借契約を結びます。こちらは事業用の定期借地権の設定に基づくもので、20年や30年といった長期契約を締結することで、安定した収益を獲得するビジネスモデルです。

当社の保有物件がどのように使われているかと言いますと、家電量販店やドラッグストア、日用雑貨ストアなどの「生活密着型」の商業施設が非常に多く、コロナ禍においても安定的なパフォーマンスを示しています。

当社の商業地開発ビジネスの特徴(他社との違い)

商業地開発において、類似業者との違いについて聞かれることが多いため、少しご説明します。

多くの業者は、建物の建築請負を取るために商業地の開発を行っていると思います。このような業者が請負工事による短期の収入を獲得するのに対して、当社は土地のスペシャリストとして、一団の土地をまとめ上げたり地主の管理をしたりしています。

土地の賃貸により地代を獲得し、長期の安定収入のために開発を行っているため、同業の建設業者と競合することはなく、「共生」の関係として一緒にお仕事をする場面も少なくありません。

当社は本事業が上場するまで、営業エリアをある程度限定して進めていましたが、エリアを拡大する方針ですので、今後は関東や他のエリアも含め、ビジネスモデルを拡大していきたいと考えています。

不動産開発・賃貸セグメントの将来計画

賃貸セグメントの将来計画についてです。ここ数年の入替フェーズから、今後は新規投資フェーズということで、今期も投資を進めています。賃料収入が上積みできるよう、毎年10億円から20億円程度の収益不動産の取得・開発を行っていきたいと考えています。

特にロードサイド店舗開発にはノウハウがあるため、引き続き開発を進めていきます。加えて、木造戸建賃貸を増やしていきたいと考えています。

不動産開発・販売セグメント

不動産開発・販売セグメントについてご説明します。このセグメントは土地が主力で、一般顧客向けの不動産販売と法人向けの不動産販売の両方を扱っています。

スライドのグラフは直近の売上構成です。土地売上が74パーセント、建物売上が23パーセントです。土地の売上構成は、法人向けが55パーセント、一般顧客向けが45パーセントで、法人向けの土地販売が非常に多いとご理解ください。

不動産開発・販売セグメント

先ほどもご説明したとおり、セグメントの特徴として、当社は素地からの開発を非常に得意としています。いわゆる田畑や山林からの開発は、市街地の開発に比べて少し異なるステップや専門的な進め方があるため、他社はそれほど多く開発を行っていません。

特に規模が大きくなると、競合プレイヤーは少なくなってくると思います。もちろん、時間というリスクは発生しますが、当社には蓄積されたノウハウがあるため、素地からの開発を今後も進めていきたいと考えています。

不動産開発・販売セグメント

住宅事業では、戸建住宅においても土地による利益を獲得したいと考えています。当社が狙っているのは比較的高級な住宅街で、区画数の多い開発です。先ほどと同様に、このような案件はプレイヤーがほとんどいません。

パワービルダーと呼ばれるローコスト戦略のビルダーは、このような高級住宅街にあまり来ませんし、ブランド力のあるハウスメーカーは、大きな開発はリスクを伴うため、忌避する傾向があると思います。

スライド右側の写真は、当社が直近で兵庫県西宮市夙川の高級住宅エリアに仕掛けている案件で、1区画1億円以上する高額の商品となっています。72区画でスタートし、残り1桁区画にまで進捗しています。

不動産開発・販売セグメント

素地からの開発力を応用し、直近では法人向け産業用地開発を進めています。スライド左側は造成直後の写真ですが、すでに半分以上の売却が進んでいます。倉庫用地や物流用地、工場などの事業者に売却しています。

右側の写真は新たに仕込んでいる案件で、再来期あたりから販売します。現在は運送系、物流系の事業者から購入の意向があるため、しっかりと商品化したいと考えています。

不動産開発・販売セグメントの将来計画

販売セグメントの将来計画です。今後も土地取得の差別化を継続しながら今のビジネスモデルでエリアを拡大することで、業績を伸ばしていきたいと考えています。

現在も大型の戸建分譲地開発プロジェクトが進行中で、2025年3月期には一部を売上に入れることができればと考えています。加えて、産業用地の開発を今後の成長力として考えています。

マンションセグメント

マンションセグメントについてご説明します。マンションセグメントは、当社が2016年に株式取得した旧ユニチカエステートが親会社の時代から、50年以上にわたり1万6,000戸以上を供給し続けています。

多くのマンションデベロッパーと呼ばれる会社が経済情勢の変化で淘汰されましたが、当社はそのような波も乗り越え、堅実に毎年供給を続けています。メインターゲットは、ファミリーを中心とした一次取得者です。

マンションセグメント

マンションブランドのキーワードとして「Simple Rich」という言葉を掲げ、それに基づいた4つの特徴的なブランドを展開しています。中でも「ユニハイム」というブランドが主力ですが、本日は新しく立ち上げた「アウラ」についてご紹介します。

マンションセグメント

先ほどお伝えしたように、当社はファミリーを中心とした一次取得者をメインターゲットとして事業展開してきました。しかし、昨今は社会構造の変化で婚姻数がどんどん減っているという統計データがあります。

必然的に単身者が増えている一方で、単身向けの分譲は供給として相対的に少ないと考えています。我々は、ファミリー向けよりもコンパクトマンションの需要が高くなってきているのではないかという仮説を立てています。

マンションセグメント

そこで当社は、コンパクトマンションのブランド「アウラ」をリリースしました。アウラは古典ラテン語で「輝き、そよ風」を意味しており、都市型マンション、コンパクトマンションに特化したブランド展開を行っています。

マンションセグメント

広告イメージの裏テーマでは、女性の活躍を応援する広告を展開しています。もちろん、女性のためだけではありませんが、現代社会を生きる女性の活躍を応援するような商品作りを心がけています。

今期竣工した第1弾のアウラ大阪上本町、第2弾のアウラ京町堀が非常に好調に推移したため、第3弾のリリースが決定しており、引き続きコンパクトマンションを手がけることを計画しています。

マンションセグメントの将来計画

マンションセグメントの将来計画についてです。分譲マンションを企画、販売して終わりにするのではなく、今後はプラスアルファとしてマンション関連ストックビジネスを獲得していきたいと考えています。

50年以上にわたり、累計1万6,000戸以上の販売実績があるため、1万6,000戸分の顧客情報が蓄積されています。そのようなOB客とのつながりを今より深めるため、マンション管理業に進出して分譲マンションを管理します。日常的にニーズの掘り起こしを行い、リフォーム需要の把握や、買取・再販などを行なうことで、少しでも収益をアップさせたいと考えています。

マンション管理会社のM&A(2022年10月14日リリース)

スライドは、2022年10月14日にリリースしたニューライフサービスという分譲マンション管理会社のM&Aについてで、本日決済が完了しました。来月以降に、正式に当社グループに参加するかたちになっています。

ニューライフサービスはそれほど規模が大きな会社ではありませんが、分譲マンション、賃貸マンションの管理等を継続して行い、6,000万円程度の売上がある会社です。こちらを来期以降、当社が企画したマンション管理会社として育てていきたいと思っています。

売上高推移

全体的な成長イメージについてご説明します。こちらも先ほどお示しましたが、IPOを行い、現在は成長投資のフェーズだと考えています。

大きな開発案件になると、当社の場合は開発に数年単位を要します。毎年右肩上がりに進めばよいのですが、売上の推移としては「成長して回収する」を繰り返す、階段のようなかたちになっています。

中期計画

今後3年間は、今ある不動産と少し前に仕込んだ案件の回収フェーズです。そのため、緩やかな増収増益を計画しつつ、次の投資を進めている段階です。

トピック的に少しご紹介します。今期は販売セグメントで法人向け不動産の引き渡しがありました。賃貸セグメントでは、新規商業地の開発を進めているところです。販売セグメントでは、販売用産業用地が完成予定です。

加えてマンションセグメントは当社として久しぶりですが、シニアマンションの企画が進んでおり、こちらは1棟売りを計画しています。2025年3月期から大型の戸建分譲地の工事が開発を開始するため、2026年3月期以降、売上に上がってくるかたちになればよいと考えています。

また、マンションセグメントは関東進出第1号となる横浜の物件を夏からリリースしています。こちらの物件引き渡しが2025年3月期以降に入ってくるため、関西の案件に上乗せされるかたちで業績に追加されていく流れとなっています。

営業エリア拡大について(首都圏への進出)

営業エリア拡大について補足します。2021年5月から首都圏での営業活動を本格化していますが、首都圏といっても広く、中心部はレッドオーシャンです。したがって、我々が狙っているのは東京駅を中心に10キロメートルから30キロメートルのところで、実需層が見込めるボリュームゾーンです。当社が大阪で培った「機動力」が非常に活かせるエリアだという手ごたえを感じており、着実に物件の仕入れが進んでいます。

関東での実績

スライドの写真は、先ほどお伝えした関東進出第1号の分譲案件です。このような関東のプロジェクトが、関西を中心として獲得してきた業績に付加されていくということで、しっかりと結果を出してきたいと考えています。

販売と賃貸のシナジー➡安定成長

我々は販売と賃貸のシナジーにより、安定的な成長を獲得したいと考えています。不動産の販売によって得られる利益の一部は、賃貸不動産の獲得や開発に積極的に投資しており、安定収益を毎年右肩上がりにしていきたいと思っています。

安定収益の獲得は、当社の開発のリスクテイクになると考えています。安定収益があれば、何らかの理由で開発が延期したとしても、業績として最低限の結果が出せると考え、この両輪でしっかりとバランスよく投資していきたいと思います。

中長期的な成長イメージと目標

当社は特定の用途にこだわらない戦略のため、販売収益の内訳は仕入れの状況により柔軟に変化します。

つまり、ある年は分譲マンションが稼ぎ頭、ある年は投資用不動産の売却が稼ぎ頭、またある年は戸建分譲の戸数が多くなるかたちで、販売収益の内訳は凸凹していくと思います。そのように販売収益の内訳は変わるものの、中長期的にはスライドのグラフにオレンジ色で示しているように、賃貸収益を着実に積み上げていきたいと考えています。

株価推移・株主還元

最後に、株価の推移と株主還元です。当社は950円でIPOを行ったところ、なかなか厳しい評価を受けているのが現状です。

9月以降は、本日のような説明会の場を多く作るなど、いろいろなリリースや情報開示を進めることを強化しており、少しずつではありますが、当初の950円に近づいています。

株主還元に関しては、発表のとおり1株当たり30円で予想しており、配当性向は15パーセントを予想しています。配当性向の業界平均が25パーセント前後であるため、今後は数年以内にこの数値まで持っていき、安定的かつ継続的な利益還元を行っていきたいと思っています。

配当はしっかり実行していきたいと思うものの、同時に成長投資も行っていきたいと考えているため、よい案件があれば積極的に投資を行うという姿勢で考えています。そのため、多少時間をかけつつも数年内に業界平均に持っていくという方針で考えています。ご説明は以上です。

質疑応答:時価総額の目標について

「時価総額の目標について教えてください」というご質問です。

まずは、とにかく100億円を超える時価総額にしなければならないと思っています。100億円になれば機関投資家も目を向ける規模になるため、IR活動をしっかり強化しながらフェアバリューに持っていきます。

こちらは少し前のデータですが、当社のPERが4.4倍と4台前半のところ、同業他社の平均は12倍です。そのため、PERが他社平均程度まで評価してもらえれば、自然と時価評価もついてくると考えています。個人的にはなんとか10倍ぐらいにしたいと思っています。

質疑応答:配当性向の見通しについて

「配当性向を30パーセント程度にしたいという見通しは変わりませんか?」というご質問です。

先ほどご説明したとおり、配当性向30パーセントを実行していきたいという方針は変わりません。実現時期に関しては、この数年内という表現でとどめたいと思っているものの、やはり株価との関係もあるため、思ったような評価がなかなか得られない場合などはその時期を多少早めることもあり得るかもしれません。現在のところ、数年以内という表現の変更はないと考えています。

質疑応答:知名度向上の施策について

「首都圏進出について知名度が低いように思うが、知名度向上の施策はあるか?」というご質問です。

現在売買されている当社の株主さまの属性を見ると、関東の方が多い傾向にあります。やはりIR活動が関東での知名度アップにつながると思われるため、このような活動は意識して行っていきたいと思っています。

加えて、知名度ということで、我々も多少心配していたところはあるものの、ありがたいことに、ご覧の横浜の案件でしっかり反響をいただいています。逆にこのようなマンションや戸建といった個別のプロジェクトを通じ、会社の知名度がついてくるのではないかと思っています。そのため、今はマンションプロジェクトを中心に関東で投資していますが、そのようなところを通じ、広く周知していけたらよいのではないかと思っています。

その他にもIRのツールの充実を考えており、現在、当社を紹介するような短い動画などを制作しています。ホームページやSNSを通じてこのような発信をすることで、知名度を少しずつ改善していきたいと思っています。

質疑応答:借入金の額について

「借入が多いような気がしますが、どうでしょうか?」というご質問です。

自社のバランスシートを使うビジネスモデルになっているため、仕入れてから開発するまでの間はどうしても借入に依存するところが多くあります。そのため、ご懸念のように借入が多いことはご指摘のとおりであるものの、返済の比率や支払利息に関しては、現在の低金利のためにキャッシュフロー的には比較的安全圏で進められていると考えています。

先ほどご説明したとおり、売却によって得られた利益を用いて借入の負担を少し減らすなどのかたちで、財政の安定化を行っていきたいと思っています。

質疑応答:今後の進出地域について

「土地を活かすとありますが、首都圏では東京よりも近辺の県に進出を考えているのでしょうか?」というご質問です。

ご指摘のとおりで、市街地にある本当に好立地な場所は、我々が急に入っていっても開発する余地を得ることはおそらく困難かと思います。そのため、まだそのような余地のある場所が多い神奈川、埼玉県、千葉などで現在、さまざまな物件情報を獲得しています。

質疑応答:今後注力したい事業について

「これから特に注力したい事業は?」というご質問です。

ご説明した中にもありましたが、賃貸事業には常に注力しており、商業地の開発案件は今後も展開していきたいと思っています。マンションセグメントについては、やはり建築費の高騰が一番クリティカルに効いている分野のため、拡大するということはあまり考えていません。

マンションセグメントでいうと、今までどおり堅実で、エンドユーザーの手が届く価格帯で企画できる案件をしっかり展開していきます。その中で管理会社を充実させていき、いわゆるストックビジネスに注力していきます。そのため、マンションセグメントにおいては、中古マンションの買取やリフォーム、再販などを実施していきたいと思っています。そのような意味で、注力はするものの、単に供給戸数を次々に増やしていくことはあまり考えていません。

現在は関西で年間200戸から300戸を扱っており、今後は関東の割合を少しずつ増やしていくかたちになるため、今後におけるその部分の売上の割合としては、マンション事業が伸びてくるかと思っています。

販売セグメントの戸建事業については、夙川に続く大型案件の仕込みを行っているところですので、しかるべきタイミングでこちらも発表します。それが出てくると売上の割合としては、戸建のセグメントがウェイトを占めてくると思います。

質疑応答:今後の説明会開催予定について

「今後も説明会を開催する予定はありますか?」というご質問です。

年度内に2回ほど計画しており、第3四半期の振り返りは年明けに実施したいと考えています。それまでには今期の見通しもある程度立っていると思われるため、現在減収減益予想で出しているところをよい方向に持っていければと考えています。

本日は当社のビジネスモデルについて時間をかけてご説明しましたが、それをコンパクトにわかりやすくした動画を制作しました。そのようなものをご覧いただければと思っています。

質疑応答:自己資本比率の目標値について

「自己資本比率の目標は何パーセントですか?」というご質問です。

こちらは現在20数パーセント程度かと思いますが、業界平均である3割程度はあったほうがみなさまに安定的と受け取ってもらえると思います。そのため、業界平均まで持っていきたいと思います。

一方で、我々はよい不動産があれば買うという攻めの姿勢を取っているため、中長期的に見ると一時的にはやはり借入の増加や自己資本比率の低下が起きる可能性もあるものの、今見えている数字でいうと、数年内には業界平均に持っていけるかと思っています。

質疑応答:M&A候補のイメージについて

「10月にM&Aを発表されましたが、M&Aは積極的に検討していきますか? どのような事業の会社なのかなど、具体的なイメージを教えてもらいたいです」というご質問です。

あくまで目標イメージというかたちでお伝えすると、関東進出を掲げていく中で仕入れ部隊は充実しているため、今後は仕入れ後の企画や建築などの部隊を充実させていきたいと考えています。そのために地道に採用していく、またはビジネスの流れがある程度できあがったよい会社があれば、時間を買うというかたちでM&Aを行なうことも選択肢の1つだと思っています。

具体的には、例えば関東の戸建や収益不動産の開発を行っているような、当社に近しい会社があれば、ぜひチャンスを狙っていきたいと思っています。また、今後は賃貸事業を伸ばしていくという方針のため、これはエリアを限定せず、収益不動産を持っている不動産事業者は積極的に検討していきたいと思っています。

質疑応答:上場に伴うメリットについて

「上場して半年経ちますが、上場してよかった点があれば教えてください」というご質問です。

先ほどのご質問とも関係しますが、個人的にはM&Aの売り込み情報が非常に増えたと感じています。今まであまり情報提供がなかったようなところからも、多くの情報がいただけるようになってきました。そのため、上場する前にはそこまで考慮していなかったことではありますが、今後はM&Aというルートで成長を狙うということも十分柱にできるほどの情報がもらえていると直近では感じています。

それ以外にも、会社としてはやはり従業員が喜んでいます。IPOについても、目指してから7年ぐらいかけて実現したため、長年従事している方は非常に喜んでいますし、モチベーションアップにつながっているとも感じています。加えて、取引先からの信頼も高まったと感じるため、今後もその信頼を裏切らないように結果を出していきたいと思っています。

質疑応答:株価上昇のためのIR活動予定について

「株価が非常に割安だと思っています。市場との対話が重要かと思いますので、IR活動もより注力していただきたいです」というご質問です。

我々も、そして私個人も非常に悔しい思いをして株価を毎日眺めています。フェアバリューである950円はもちろんIPOディスカウント込みの価格なため、もう少し評価を得てもよいのではないかと思っています。そのためには、やはり結果がすべてだとも思っており、今期の予想を少しでも上回る結果を出したいと考えています。その結果をもってIRを行っていくことにより、当社を見直してもらえたらと思っています。

当社の知名度はやはりまだ低く、特に昨今の個人投資家さんの多くはネット関係で見る機会が多いかと思います。そのため、いろいろな媒体を通じ、このようなオンラインで情報発信を行うほか、コロナ禍の様子を見ながらにはなりますが、どこかの会場を借りて説明会を実施していき、どこかのタイミングで直接みなさまとお話できる機会があればと思います。

以上で、ヤマイチ・ユニハイムエステートの企業説明を終わります。本日はご視聴いただき、誠にありがとうございました。

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