2022年11月24日に発表された、株式会社Kids Smile Holdings2023年3月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社Kids Smile Holdings 代表取締役 中西正文 氏

会社概要

中西正文氏(以下、中西):みなさま、こんにちは。Kids Smile Holdingsの代表取締役社長の中西正文でございます。本日は、年末を控えたお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。当社の2023年3月期第2四半期決算説明を行わせていただきたいと思います。会社概要は資料にてご覧ください。

2023年3月期2Q 業績ハイライト

業績ハイライトの中で、すでに発表していますが、当社は保育施設の運営によって大半の売上と利益を出しています。第2四半期までの半期を終え、施設数と在籍児童数が増えたため、売上も増えました。

EBITDAは当社が一番重要視している指標ですが、昨年と同額で増えていません。後ほどご説明しますが、今期は最終的に昨年よりしっかり増えて着地する予定です。

2023年3月期 業績推移

業績推移はスライドに記載しているとおりで、順調に推移しています。そのため、2022年5月発表の通期業績予想から変更はありません。赤枠で囲んでいる2023年3月期業績予想をしっかりと確実に達成すべく、取り組んでいるところです。

売上高は増えます。営業利益は前期がマイナスだったため、改善します。EBITDAが増えるようにしたいと考えています。

ただし、経常利益については営業外収益として、認可保育園の新規開設時の工事の補助金を計上します。そのため、今期は認可保育園の新規開設が去年に比べて減っており、経常利益自体も昨年に比べていったん減っていますが、売上、そして本来の稼ぐ力である営業利益はしっかりと成長しているため、この基調で進んでいきたいと思っています。

2023年3月期2Q 進捗

売上高計画に対する進捗率については、当社の特性である季節性が関係しているため、48.9パーセントではありますが順調に推移しています。

2023年3月期2Q 売上高推移

売上高の推移はスライドのとおりです。

2023年3月期2Q 営業利益推移

営業利益は、第1四半期と第2四半期を合計してしまうと去年よりややマイナスですが、第1四半期の悪かった部分が第2四半期からしっかりと回復基調となり、去年より多いかたちになっています。今期はこのまま順調に推移させ、年度予算を予想どおり達成できるように進めています。

2023年3月期2Q EBITDA推移

EBITDAも同様です。

2023年3月期2Q 経常利益推移

経常利益は先ほどお伝えしたとおり、認可保育園の新規開設に伴う施設整備補助金が大きく影響しています。昨年度は9園開設していましたが、今年の開設は3園だったため、経常利益自体はいったん減っています。

2023年3月期2Q PLサマリー(累計期間)

スライドにはPLサマリーを記載していますので、ご覧いただければと思います。

2023年3月期2Q BSサマリー

BSサマリーについてはご覧のとおりです。売上高や会社の規模からすると、非常に大きな純資産で運営できています。

2023年3月期2Q CFサマリー(累計期間)

キャッシュ・フローサマリーについてもスライドをご覧いただければと思います。

BSサマリーの話に戻りますが、減価償却費の大半は、認可保育園の新規開設に伴う施設整備費です。ただし、先ほどからお伝えしているとおり、開設にかかる費用の約8割は施設整備費補助金としてすでに受領しているため、当社の場合は一般的な業種の会社より、EBITDAが実際の営業利益に近い数字になっています。結果として、純資産が大きく、安定的な経営ができています。

以上が2023年3月期第2四半期の決算状況です。

新規開設計画の進捗

中期経営計画の進捗状況についてご説明します。今年5月に発表した中期経営計画の中で、新園を開設予定とお伝えしましたが、2023年3月期までの開設見通しについては、計画達成の見込みです。現在は、2024年3月期と2025年3月期が計画どおり進むように、しっかりと準備を行っているところです。

認可保育所事業の進捗

認可保育所事業の進捗です。利用率とサービス向上においては、当社民間教育のノウハウを活用します。またプライム市場に上場しているリソー教育の100パーセント子会社である幼児教育部門の伸芽会との業務提携を強化しました。そのような点をふまえ、入園児童数は順調に増加しています。また、新園の開設も予定どおり順調に進捗しています。

民間教育サービス事業の進捗

民間教育サービス事業は、当社が今後一番力を入れていきたい事業であり、こちらについても順調に進んでいます。特に、新サービスラインを開発し、新しく英語と日本語のバイリンガル教育のための施設を開くことにしました。

すでに発表していますが、来年4月に「キッズガーデングローバルスクール」を錦糸町に開園します。こちらのポイントとしては、1つ目は英語教育という新しいニーズに応えるスタイルである点です。2つ目は、今までの当社の民間教育事業よりもリーズナブルに利用しやすい料金設定にしている点で、より多くの利用者が見込まれる特徴になっています。

スライド下段に記載のとおり、民間教育サービス事業は2024年3月期までの開設計画に向けて計画どおりに進捗しているため、現在は2025年3月期の5施設開設が予定どおり進むように注力しています。

成長戦略のステップ

これまでのご説明を踏まえて、あらためて当社の成長戦略の概要についてお話しします。成長戦略について、スライドにまとめています。次ページから詳細をご説明します。

成長戦略のステップ1 (第一次成長)

振り返りになりますが、当社は2009年5月に1園目を開設し、2014年に認可保育所事業に参入しました。その後は、待機児童問題を背景として認可保育所の施設整備を数多く行うことで、スピード感を持って成長してきました。

ただし、ご存知のとおり子どもの数はどんどん減っています。そのため、世の中の状況としては大学の数が減ったり公立学校が統合したり、なくなったりということがあるのですが、保育園に関してだけは利用率がどんどん上がっており、不足していました。

保育園が十分足りるようになるのは2年後くらいだろうと思っていましたが、コロナ禍の影響もあり、すでに十分足りている状況に来ています。

成長戦略のステップ2 (市場環境の変化)

市場環境の変化についてです。待機児童問題は、おおむね解消されてきています。つまり何が起きているかというと、認可保育所を多く開設することで、会社が成長をする時代は終わりを迎えているということです。

成長戦略のステップ3 (保育・幼児教育サービス市場の拡大)

今後どうするのかといいますと、子どもの数は減っているものの、保育や幼児教育サービスの市場は、まだ拡大を続けています。昔から言われている「シックスポケット」というお話がありますが、少子化になるため、ご両親と、ご両親それぞれのご両親、つまりおじいちゃんおばあちゃんも含め、お子さま1人当たりの教育費は増えて行くというのは、過去の歴史でもそうであり、現在の数字にも表れています。

そのため、保育や幼児教育サ―ビス事業自体は増えており、民間教育サービスはまだまだ成長が見込まれる市場です。

成長戦略のステップ4 (第二次成長)

当社としては、民間教育サービス事業をしっかりと伸ばしていくという戦略です。私たちは、もともと民間教育サービス市場からスタートしました。したがって、創業以来しっかり取り組み、ノウハウを蓄積してきた民間教育サービス事業を、今後は一番の柱として伸ばしていくことが、当社の成長戦略になります。

成長戦略 - 新サービスライン開発

その中で、先ほど申し上げたように新しいサービスラインの開発として、バイリンガルスクールを開園します。全国展開を見据えたリーズナブルな価格設定も、大きな特徴の1つです。

英語教育は着々とニーズが増えています。なぜ増えているのかと言うと、もちろん世の中がグローバルになっていくという要因もあるのですが、一番大きいのは学習指導要領が改訂され、小学校から英語の授業が始まったことです。現状は、小学校3年生から英語に親しむ内容の授業が始まりましたので、それに向けてしっかりと準備していこうというニーズが次第に増えています。

学習指導要領は全国で変わるものですので、日本全国の小学校で英語の授業が始まりました。そのため、日本全国のご家庭の保護者が「英語をしっかり勉強させたい」と思っていることが大きなポイントです。

成長戦略 - 顧客層・展開エリアの拡大

続いての戦略についてご説明します。当社は広尾や代官山、南青山などで、長い間民間教育事業を行っていました。他にはないプレミアムな最も優れた幼児教育を提供することで評価をいただいていたのですが、補助金がない中で一番よい教育を提供するとなると、どうしても必要なコストがかかってきます。単純に計算すると、毎日通えば月額20万円以上の金額がかかってくることになります。

このモデルを全国に増やしていくことは、現状なかなか難しいです。そこで、現在のプレミアムラインよりリーズナブルな料金で通うことができる新サービスラインの開発により、想定世帯年収による顧客層を約40倍以上に拡大します。具体的には、世帯年収1,000万円前後の保護者までをターゲットにしていくということです。

したがって、変わらずプレミアムな教育サービスではあるのですが、今までよりもターゲットを大きく増やすことになります。

これまでは、都内の一部エリアで展開していましたが、それ以外の全国でも展開していけるようなモデルにします。

もう1つのポイントとしては、認可保育事業に加えて利益率がよいことです。認可保育事業は、園ベースの粗利率で言えば10パーセントを切る程度です。

当社は民間教育事業の利益率がおおむね25パーセントから30パーセントくらいですので、営業利益率をしっかり確保できる新サービスラインを、スピード感をもって全国に展開していくことが、当社の成長戦略の柱になります。

成長戦略 - 第二次成長イメージ

それにより、今後の第二次成長では、第一次成長を超える施設数を開設していくことが当社の目標です。

今まで、最も多いときには認可保育園を1年で15園程度開園していました。当時に比べて会社の規模も基盤も大きくなっていますし、先ほどご説明したように、全国展開できるモデルとして、当時を超えるスピード感をもって成長できるように、現在取り組んでいるところです。

総括

総括として、本日のお話についてまとめます。通期の業績予想については、計画達成に向けておおむね順調に推移しています。よって、2022年5月発表の通期業績予想については、変更はありません。新規開設計画については、2024年3月期までの開設予定については計画達成見込みです。

成長戦略の軸については、民間教育サービスに重点的に取り組むことで、当社サービスの利用者数の大幅な増加と利益率の拡大を図っていくことが、当社の成長戦略の軸となっています。

中期経営計画について、すでに2025年3月期までの中期経営計画を示していますが、まずは確実に達成していくことと、新サービスラインを第二次成長の要として、第一次成長よりも早く多くの施設を開園し成長させていくという方針です。これを投資家のみなさまには具体的に示す必要があると思っています。

「多く成長させるというのはよいけれど、いったい、いつ、どれだけ進めて、それがどれだけの売上と利益に貢献するんだ」ということをしっかり示さないと、やはり投資家の方が「この会社に投資しよう」とはならないと思いますので、現在はそれをしっかり具体化して発表できるように施策を策定しているところです。

プレミアム教育サービスのラインナップ

この後のページには参考資料をお示ししています。スライドに記載しているのは、当社が現在力を入れようとしているプレミアム教育サービスのラインナップです。

当社では0歳から9歳の教育サービスに一番しっかりと取り組むという内容です。以前にもお話ししたことがあるかもしれませんが、教育の世界では、0歳から大学を出る22歳までがいわゆる教育の期間とすると、大人がしっかりと付き添うことができ、かつ大人を付き添わせてくれる0歳から9歳という世代と、大人が必ずしも付き添う必要がない、逆に大人が付き添いたいと言っても、もう付き添わせてくれない10歳児以降では、教育のアプローチが変わってくると言われています。そのうちの、0歳から9歳への教育を一貫して行うことが、当社のプレミアム教育サービスのラインナップです。

ご存じのとおり、特に日本の場合は小学校に入学する際にさまざまな分断があります。幼稚園・保育園から附属の小学校にそのまま進学する方は非常に少なく、そこでたいてい違うところへ行くのが、日本の教育の世界です。「日本の教育の世界」と言ったのは、海外では3歳から9歳が1つの学校という国も比較的ありますので、日本はそこが分断されているということです。

また、そのような年齢のお子さまを持っていらっしゃるお父さま、お母さまはお気づきかもしれませんが、よく「小1クライシス」と言われることがあります。保育園に5年から6年通って、保育園は3月31日に卒園するのですが、その時までは自由な発想を大事にしながら子どもたちの自主性を重んじ、引き出し、そこからクリエイティブ性や達成感などを成長させるための活動を行います。

それが、卒園から1週間も経たない4月の5日、6日頃になると突然、席にきちんと前を向いて座って、約40分間授業を受けることになります。1ヶ月もすれば1時間目から4時間目くらいまで、毎日先生の話をしっかり聞かなくてはいけなくなります。

子どもたちにしてみれば、今まで暮らしてきた数年間とはまったく違う世界が、ある日突然訪れるかたちになります。それがストレスになって、学校が嫌になるお子さまもたくさんいらっしゃいますし、学級崩壊に繋がることもあります。

学級崩壊と言うと少し大げさですが、要するに、先生が授業をしていても子どもたちが動き回って騒いでしまい、なかなか授業が成り立たない状況になります。そのような問題がなぜ起きるのかと言うと、どうしても幼稚園や保育園と、小学校では違う環境に通うことになるためでもあります。

それに対して、私たちは0歳から9歳までを分断することなく、しっかりと民間教育でサポートすることで取り組んでいきたいと思っています。それが私たちのプレミアム教育サービスのラインナップです。

プレミアム教育サービスにおける事業領域

具体的には、ご覧のようなサービスを提供しています。左上がプレップスクールで、教育特化型保育施設です。これは先ほど少しご説明した、毎日通うと月額20万円強になるスクールです。

右上がアフタースクール(高付加価値学童)で、プレップスクールなどを卒業されたみなさまが通う施設になります。こちらも教育に力を入れた学童保育であり、学校が終わった後に通う施設です。

左下はスイミングスクールで、今年4月から当社の南青山の園には室内プールがありますので、年間を通じてスイミングスクールを行うという事業です。金メダリストの北島康介さんが設立した「KITAJIMAQUATICS」と一緒に、幼児向けのプログラムを開発してスイミングスクールを行っています。

右下は、先ほどからお話ししている新サービスです。グローバルスクールの展開は、現在私たちが増やしていこうとしているプレミアム教育サービス、民間教育の柱になります。

本物の教育にこだわったプログラム

その中で、本物の教育にこだわったプログラムとして、保育士の先生たちだけではなく、あらゆる才能を持った先生たちを活用します。

当社のプレミアム民間教育は、基本的には認可外の保育施設が中心になるため、保育士資格を持つ職員は必要人数の3分の1いれば問題ありません。そこで、残り3分の2は幼稚園の先生や音楽の先生、体操の先生、英語のバイリンガルの方や外国人の方など、多才な先生を取り揃えています。また、「KITAJIMAQUATICS」の水泳プログラムもあります。

スライド右下の有名大学との研究開発に関しては、早稲田大学と研究開発契約を結んでいます。昨日も早稲田大学のゼミナールとともにワークショップを開催しました。そのようなかたちで、当社外の専門的なリソースをしっかりと取り入れながら運営しているのが、当社が行う民間幼児教育です。

また、その民間幼児教育のノウハウを、しっかりと認可保育事業にも取り入れています。認可保育事業については、今後園を増やすといったことは今のところ考えていませんが、当社の安定基盤として信頼いただける園を運営していくことを、当社の方針としています。

加えて2点ほどお伝えさせていただきます。認可保育事業において、子どもの数が減少しているため、今後の運営についてマイナス面の発表をしている事業者もあります。ご心配される方もいると思いますが、当社においては基本的には大丈夫だと思っています。

なぜ大丈夫だと考えているのかについてご説明します。同業の方から聞いた話を例にすると、ある町の子ども園を受託運営している事業者は、定員120人の受託運営をしているそうです。しかし、その町に子どもは90人しか住んでいません。どれほどよい幼児教育を導入し工夫しても、子どもは91人以上にはならないのです。移住者を呼び込むなど、次のステップにつなげる地道な取り組みが必要になりますが、少子化対策は保育事業者だけで実現できることではありません。

私たちが園を運営している東京都内を中心に、神奈川県横浜市、川崎市、愛知県名古屋市などは、これまではどの園も満員で入園できない状態でした。確かに園が増え、待機児童は解消に向かっていますが、お子さま自体はたくさんいらっしゃいます。その中で親御さんが「ここに通わせたい」という保育園を運営することができれば、充足率は上がり、安定した運用を行うことができます。

まもなく参入から10年目になる認可保育事業においても、創業以来民間教育サービス事業で培ったノウハウを取り入れ、充足率を上げることで保育園の安定運営をしたいと考えています。

さらに、民間教育サービス事業は認可を取得することが難しくなっているため、どの保育事業者も次は民間事業にしようと考えていると感じています。しかし、民間教育サービス事業は、始めようとしても簡単に実現できるものではありません。私たちは民間教育サービス事業を2009年から行っており、先行者利益としても非常に優位性があると考えています。

先ほど、民間教育サービス事業は簡単に始められるものではないとお伝えしましたが、民間サービスはお客さまに選んでいただく、選び続けていただく必要があります。そのためにはマーケティング的な思考や、顧客サービス的な思考が重要になってきます。

教育機関や保育園は、国家資格を持った先生たちが長年勉強して資格を取り、さらに研究を重ねて、子どもたちにとって何がよいのか考え、それを実践する場所です。ただし、いわゆる民間企業や民間サービス、民間の商品に関しては、必ずしもそれだけではありません。

これもよくお話しするのですが、例えば飲料メーカーが今までにない、すばらしい茶葉を手に入れたとします。最高の苦味があり、おいしく、大量に生産できる技術もあります。さらに、調べてみると健康にもよいことがわかりました。

商品化して「さあ、売ろう」といった時に、マーケティング部隊の人が「いやいや、今はフルーツジュースの時代ですよ」「今は缶コーヒーの時代ですよ」「その苦味のあるお茶は誰も買いませんよ」と言う具合にお客さまのニーズをリサーチしているわけです。つまり、会社側が提供したい商品と、お客さまが欲しいと思う商品をマッチングして世に出すのが民間企業です。

教育機関は、行政で構築しているサービスがスタートになるため、自分たちがよいと思ったものをみなさまに提供し、利用者ニーズとのマッチングをあまり行ってこなかった歴史があります。そこが大きな違いになります。

当社は創業以来民間教育サービス事業を行っています。また、私は新卒で博報堂に入社し、マーケティング広告を担っていました。

商品がどうすれば世の中の人たちに受け入れてもらえるか、世の中の人たちは何を求めているのか、それをどのように商品とサービス作りに活かすのかといった取り組みをたゆまず行ってきました。そのような専門性を取り入れられていることが当社の大きな魅力にもなっています。そうした強みを活かしながら、民間教育を中心に会社を大きく成長させていくことが当社の戦略です。

私からのご説明は以上になります。ありがとうございました。

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