2022年11月15日に発表された、株式会社ネオマーケティング2022年9月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社ネオマーケティング 代表取締役社長 橋本光伸 氏
INDEX
橋本光伸氏:ネオマーケティング代表の橋本と申します。本日は決算説明会に参加いただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、会社概要、2022年9月期の決算概要、成長戦略の順でご説明します。末尾にAppendixとして、事例について補足資料を記載しています。
会社概要
会社概要です。株式会社ネオマーケティングは2000年10月に設立しました。従業員数は連結で167名です。事業内容のマーケティング支援事業については、後ほど詳しくご説明します。
事業コンセプト
当社の事業コンセプトは「生活者起点のマーケティング支援会社」です。一般の生活者を深く理解することを仕事の最初の起点とし、そこで理解したインサイトや情報をもとに、戦略を立てて商品開発やプロモーションなどの活動支援をしています。
インサイトの発見、商品開発、プロモーション、効果検証という一連のマーケティングプロセスを、生活者の理解に基づいて一貫して支援していくスタイルが、当社の事業の特長です。
事業系統図
事業の流れを説明します。当社の主なクライアントはメーカー企業です。お客さまからマーケティングの相談を受けて、サービスやコンサルティングを提供するのが基本的な流れになっています。この仕組みを支えているのが、一般生活者が登録している自社のプラットフォームです。
このプラットフォームから得られるデータや情報を収集して分析し、その情報をもとに各種マーケティング支援に反映させていきます。それをお客さまに提供するところまでが仕事の流れになります。
ビジネスモデルの特長
ビジネスモデルの特長です。お客さまのマーケティングプロセスを「核心」「開発」「開拓」「改善」の4つに分け、頭文字を取って「4K」と表現しています。先ほどご説明した、マーケティングプラットフォームから得られた情報に基づいて、根拠のあるマーケティング施策を実行していきます。
生活者起点に加えて、マーケティングの全体像を俯瞰した上で、その時々に最適な打ち手を提供できる点と、プロセスの上流から下流まで一気通貫でマーケティング活動をサポートできる点が、他社にはない最大の特長になっています。
サービス概要
サービス概要です。サービス設計における基本戦略として、マーケティング活動のスタートであるインサイトの発見、あるいは商品開発から携わることを意図しています。マーケティングの上流から支援することで、後工程で競合やコンペにならない環境を作っています。
「インサイトドリブン」では、行動観察やデプスインタビューといった手法を通じて、生活者自身も気づいていない無意識下のインサイトを発掘します。このインサイトがヒット商品の種になっていきます。
「カスタマードリブン」は定量調査です。今の生活者の意識や購買行動、消費行動を定量的に把握するサービスです。
「デジタルマーケティング」「PR」は、プロモーション領域のサービスです。「カスタマーサクセス」は、クライアントのお客さまである生活者に、長く継続的に商品やサービスを利用していただけるようサポートするサービスです。
スライド右端に価格帯を記載していますが、デジタルマーケティングにおける運用型広告とカスタマーサクセスに関しては、月額積み上げ型の売上構成になっています。
ネオマーケティングの強み
ネオマーケティングの強みを3つに整理しました。1つ目は、企業のマーケティング活動を一気通貫で支援できる点です。商品・サービス開発、プロモーション支援、効果測定、その後の改善のPDCAの実行までをワンストップで提供し、一貫してお客さまに伴走できる体制を自社で構築しています。
2つ目は、自社内にナレッジが蓄積される仕組みを作っている点です。年間3,000件を超えるプロジェクトを運用していますが、蓄積されたナレッジのデータベースにコンサルタントがアクセスすることによって、最適な事例やノウハウをお客さまに提供することが可能です。
3つ目は、顧客基盤です。累計で2,700社を超える取引実績があり、新規顧客も毎年200社以上増加しています。その顧客リソースに対して、クロスセルやアップセルの提案ができる環境が整っています。
マーケティング活動を一気通貫で支援
なぜ、一気通貫の支援が可能なのかのポイントをお伝えします。各サービスが社内の部署として内製化されており、他社に外注することなく、お客さまのマーケティングプロセスの上流から下流までを自社完結できる組織体制を構築しています。
広告代理店やコンサルティング会社など、いろいろなサービス提供の形態がある中で、真の意味でクライアントの事業を成功させるために最適なかたちは何なのかを、今まで追求してきました。
現在、クライアントから非常にポジティブなフィードバックや期待をいただいており、我々の問題意識や仮説が間違っていなかったのだと、確信を持って事業を進めています。
自社内にナレッジを蓄積する仕組み
ナレッジを蓄積する仕組みについてご説明します。当社では案件ごとに、マーケティングコンサルタントがプロジェクトマネージャーとして立ちます。社内の専門家でプロジェクトチームを組み、お客さまのマーケティングの課題に対応していきます。
マーケティングの領域ごとにノウハウを個別で蓄積していくのではなく、プロジェクト単位で、すなわち各領域が連動するかたちでノウハウが蓄積されていくところに、価値が生まれていきます。
案件が終了すると、そのプロジェクトの実績が業種やテーマごとにデータベースに蓄積され、それを次回の提案に活かしていける仕組みになっています。
強固な顧客基盤
お客さまの中心はメーカーで、特に食品・飲料・日用品・家電・化粧品などの一般消費財メーカーがメインとなります。それ以外については、広告代理店やシンクタンク、官公庁、地方自治体、大学からの依頼も多く受けています。
官公庁や自治体に関しては、地域の活性化や観光の集客、政策策定の支援など、いろいろなテーマで支援を行っています。
強固な顧客基盤
当社のサイトにもプロジェクトの事例を多数掲載しています。各企業によってその時々のマーケティングの課題は多様ですが、これまでのスライドでご説明したような当社の特長・強みを活かして、クライアントのマーケティングパートナーとして伴走していくことにより、多くのお客さまに非常にポジティブな評価をいただいております。
業績の推移
業績の推移です。毎期順調に売上を伸ばしており、ここ数年は売上高を20パーセント程度伸ばしています。5年間の平均の売上高成長率は22.9パーセントとなっています。来期の計画については、売上高25億円を計画しています。
連結業績ハイライト 2022年9月期
2022年9月期の決算概要について報告します。2022年9月期の業績は、売上高が22億5,100万円、営業利益が2億8,000万円でした。
トピックとして、社内でKPIにしている商談数が計画どおり進捗したことにより、取引社数が772社と順調に増加しています。
また、マーケティングのフレームワークである「4K」の提案を推進したことにより、リサーチを起点としてその後のプロモーションまでの支援を行う案件が増加し、クロスセルが伸びました。
一方で、先行投資に関連する販売管理費が増加しています。内訳としては地方拠点を展開するための人材獲得や、今後の事業展開のためのスペシャリスト人材の採用費や人件費、およびM&A関連のアドバイザリーフィーなどが増加しています。
子会社の減損損失について
子会社の減損損失の報告です。9月29日に発表したとおり、当社の連結子会社である株式会社Zeroについて、今期以降の事業計画の見直しを慎重に行った結果、取得時に発生したのれんの残高である4億5,100万円を全額減損損失として特別損失に計上しています。
連結損益計算書
2022年9月期の連結損益計算書です。売上高は前期比で123.1パーセントと、順調に伸びています。一方で、プロモーションに関連する業務であるデジタルマーケティングやPRによる売上が拡大しており、対応する売上原価なども増加しています。
専門性やサービスの強化に向けたスペシャリスト人材の獲得により、人件費が増加しています。加えて、M&Aに関連するアドバイザリーフィーやのれん償却費の増加などにより、営業利益が92.4パーセントとなっています。
また、減損損失による影響で、親会社株主に帰属する当期純利益は2億8,000万円の損失となっています。
業績計画達成率
業績計画の達成状況について、期初の計画に対して売上高はほぼ計画どおりだったものの、営業利益は期初計画を20パーセント下回る結果となりました。各段階利益の詳細については、前スライドの損益計算書のとおりです。
サービス別売上高
サービス別の売上高です。インサイトドリブンやカスタマードリブンなどの上流のリサーチにかかるサービスの売上高は、マーケティングコンサルタントも順調に増員でき、堅調に推移しました。
先ほどご説明した「4K」の提案を推進したことにより、プロモーション支援の案件が増加しました。そのため、デジタルマーケティングやPRといったサービスが大きく伸長しています。
売上増減要因分析
売上高が増加している要因について、3つのポイントを記載しました。1つ目はマーケティングコンサルタントの人員を増やしたことです。人材獲得が順調に進み、概ね計画どおりの体制を構築できています。
2つ目の取引社数については、既存顧客からのリピートに加え、新規取引のお客さまが順調に増加しています。
最後に顧客単価ですが、上流サービスであるリサーチだけでなく、プロモーションやカスタマーサクセスまで総合的に支援しているお客さまが増えています。今後もこれらの3つの点を伸ばしていきたいと考えています。
連結貸借対照表
連結貸借対照表です。2022年9月期は2件のM&Aを行いました。このため、現預金は2021年9月末の9億2,500万円から7億900万円に減少しています。流動負債の主な増加要因は短期借入金の増加によるものです。また、減損損失により純資産は2021年9月末の7億9,700万円から5億2,200万円に減少しています。
第24期(2023年9月期)連結業績予想
2023年9月期の連結業績予想です。売上高は25億円、営業利益と経常利益は3億円、親会社株主に帰属する当期純利益は2億円を計画しています。売上高、利益ともに前期に比べて10パーセント程度の伸びを計画しています。
今期は、特にマーケティングコンサルタントを中心とした人材の採用や育成に注力し、中長期的な成長のための基盤づくりにも投資していきます。
基本戦略
今後の成長戦略についてご説明します。当社の成長戦略の基本として、マーケティングコンサルタント数、顧客数、顧客単価の3つをKPIに設定し、これらの掛け合わせで業績を拡大させていきます。
採用計画(マーケティングコンサルタント増員)
顧客獲得の窓口となるマーケティングコンサルタントの増員については、成長戦略の中でも特に重要な指標であると考えています。2022年9月期においても採用は概ね順調に進捗しており、2023年9月期も積極的に採用を行っていきます。
さらに、既存のマーケティングコンサルタントに対する教育や研修といった施策も、足元で順調に実施できており、今後はさらなるスキルの底上げに注力していきます。
顧客拡大の為の自社ブランディング活動
お客さまを獲得するための自社ブランディング活動についても強化していきます。自社プラットフォームを保有している強みを存分に活かし、迅速かつ機動的に自主調査を実施して配信していきます。また、マーケティングのノウハウを提供するWebセミナーの開催も強化していきます。
これらの施策は認知度向上に加え、資料やデータのダウンロードをされた方、セミナーに参加された方が見込み客になっていきます。その情報を取得する導線を強化することによって、営業リードの獲得を強く進めていこうと考えています。
顧客拡大の為の自社ブランディング活動
クライアントによる成功事例の発信も拡大していきます。また、当社独自のサービスである「エボークトセット調査」の共同研究もさらに進めていきます。
現在までに商品カテゴリで100カテゴリ、10万人以上のデータを蓄積しています。これらの活動によって、足元では見込み顧客からの問い合わせが非常に増加しています。おやつカンパニーなど、研究に参画される企業も増えてきているため、問い合わせや引き合いをさらに増やせる施策を進めていきます。
拠点計画(顧客数拡大)
顧客数拡大のための営業拠点戦略についてご説明します。地方には、非常にポテンシャルがある優良企業がたくさんあります。ただ、情報不足や人材のリソース不足により、十分にマーケティングに取り組めない企業が多く存在します。そのような企業を支援するための営業拠点の開設を今後も進めていきます。
2022年4月に、札幌営業所と福岡営業所を新たに開設しました。今後の拠点開設については、2022年9月期に新設した営業所の業績推移を検証した上で、検討していきたいと考えています。
4K戦略(顧客単価増大)
顧客単価増大のための戦略です。企業からは、マーケティングのさまざまなプロセスにおいてご相談いただくことがあります。その際には、当社が開発している「マーケティングフレームワーク4K」を活用し、どのプロセスから取引がスタートした場合でも単発で終わることなく、次のフェーズで必要となるサービスを必ず提案していきます。
取引を継続し、期間が長くなればなるほど、クロスセルにより顧客単価が積み上がっていく戦略を実行していきます。私からの報告は以上となります。