2022年11月21日に発表された、リックス株式会社2023年3月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:リックス株式会社 代表取締役社長執行役員 安井卓 氏
リックス株式会社 取締役常務執行役員 苅田透 氏

目次

安井卓氏(以下、安井):みなさま、こんにちは。本日は当社の第2四半期決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。リックス株式会社、代表取締役社長執行役員の安井です。本日はよろしくお願いいたします。

スライドに、本日の目次を示しています。

会社概要

当社は今年度から決算説明会を行っており、事業内容などが、みなさまにまだ深く浸透していないと考えています。そのため、まずは当社がどのような会社であり、どのような事業を営んでいるのか、どのような強みがあるかについてご紹介したいと思います。

当社は国内外の産業界に機器や部品などを製造・販売するメーカー商社です。いわゆるBtoBの会社であり、取り扱っている商材が、みなさまのお目にかかることはほとんどありません。

経営理念である「私たちは、常に未来を見つめ、販売・技術・製造・サービスの高度な融合をめざす『メーカー商社』として、世界の産業界に貢献します」という思いのもとで活動しています。

本社は福岡県にありますが、お客さまの困りごとをいち早く察知して対応できるよう、国内は北海道から鹿児島県まで36拠点、海外は北米、中国、アジア、欧州など7ヶ国11拠点のグローバルネットワークを構築しています。また、国内にあるグループ会社9社とともに、製品サービスを通じて、お客さまの課題解決に努めています。

沿革

当社の沿革についてです。当社は1907年に創業し、今年で115周年を迎えました。創業後は、オイルシールメーカーのNOK社の販売代理店を担い、オイルシールを足掛かりに産業界に参入して、今の商社機能を拡大していきました。

その後、メーカーとしての歩みもスタートします。1967年に高圧油圧ポンプの製造販売を開始し、1969年には、現在の主力製品であるロータリージョイントの製造メーカーを吸収・合併しました。2003年に初の海外拠点を中国、タイに設立し、2016年には東証一部に上場、現在はプライム市場に上場しています。

リックスとは

リックスがどのような会社であるかについて、3つのポイントをご紹介します。1つ目のポイントは、先ほどお伝えしたとおり、1907年に創業し長い間、産業界と関わり続けてきたことです。創業時には、足袋の卸売りを担い、現在の日本製鉄である官営八幡製鉄所と取引を開始したことをきっかけに、商社機能を磨いていったことが、当社のルーツとなっています。

2つ目は、現在、メーカー商社という業態で活動していることです。商社機能に加えて、国内には福岡県、海外では中国・タイに工場を構えており、メーカー機能と研究開発機能を兼ね備えています。

3つ目は、創業以来、顧客密着の営業スタイルを重視してきたことです。お客さまの工場などの生産現場に入り込み、寄り添うことで、お客さまが抱える課題の本質を解決するソリューションを提供してきました。「お客さまよりも、お客さまのことを考える」という気持ちで日々取り組んでいます。

メーカー商社と顧客密着については、当社の大きな強みでもあるため、後ほどあらためて詳しくご紹介します。

当社顧客

当社のお客さまは、国内外の産業界大手の企業で、約3,000社とのお取引があります。お客さまが所属する業界は、鉄鋼、自動車、電子・半導体など幅広いです。

例えば、鉄鋼業界だと日本製鉄、自動車業界だとトヨタ自動車、電子・半導体業界だとキオクシアというように、国内トップメーカーの生産現場に入り込んで、ソリューションを提供しています。

事業内容

事業内容についてご説明します。事業は4つの機能を融合させて、産業界の顧客課題解決に努めています。4つの機能とは「販売商社機能」「メーカー機能」「研究開発機能」「サービス機能」です。

販売商社機能では、世界中のお客さまの困りごとを解決するため、最適案を探索し、商品サービスなどをタイムリーに提供しています。メーカー機能では、自社工場で、当社の強みである流体制御技術を使った、独自性の高い製品を製造しています。

研究開発機能では、さまざまな流体を制御するテクノロジーを追求しています。サービス機能では、当社が115年の歴史で積み上げてきた実績・データをもとに、お客さまに合った独自のソリューションを生み出しています。このように、商社機能とメーカー機能を両方持っているため、当社はメーカー商社を標榜しています。

当社が販売しているモノ(3分類)

当社が取り扱い・販売する製品・商品は大きく3つに分類されます。1つ目が、自社工場で作る自社製品、2つ目が、当社グループ会社やパートナー企業の製品、3つ目が、全国約2,600社から仕入れる商品です。

その中でも、利益率が高い自社製品や、グループ・パートナー企業の製品、当社が優先販売権を持つ仕入商品をオリジナル品と位置付けています。

自社工場&研究開発施設

自社製品について簡単にご説明します。当社は、福岡市の糟屋郡に工場を構えており、約100名の従業員が設計・開発・製造・試験・研究などに励んでいます。資料4ページの沿革でもお伝えしましたが、約50年前に福岡工場の稼働を開始し、さまざまな製品を生み出し、技術の研鑽に努めてきました。

当社主要製品 ロータリージョイント

自社製品の中でも、当社の主力製品となるのがロータリージョイントです。ロータリージョイントは、固定部から回転部へ、回転部から固定部へ、流体を漏らさずに送る役割を担う製品です。当社のロータリージョイントは各業界で使用されており、その中でも工作機械業界においては、シェア率70パーセント以上で、国内トップシェアとなっています。

工作機械とは、切断・穴あけ・折り曲げなど、金属や樹脂を加工する機能があり、部品を作るための機械です。金属や樹脂などの加工物をドリルで削る際、熱が発生するため冷却が必要になります。

当社のロータリージョイントは、固定されている配管から、回転体であるドリル等の切削工具に、冷却・潤滑機能を有する液体のクーラントを供給し、加工物の精度向上などに貢献しています。

クーラントは後部からではなく、外部から供給されるのが主流でしたが、近年では工具の刃先からクーラントを噴射するタイプが増えてきています。これは、精密な加工を求めるニーズが高まっていることが理由で、当社はこのニーズに対応できる技術力を持っています。

当社製品 ロータリージョイント

ロータリージョイントは、スライド左側の図の黄色で示している場所に使われており、工作機械の中で、「主軸」「スピンドル(SPINDLE)」という名称で呼ばれています。ドリルなどを高速で回転させる部分で使われています。

事業ポートフォリオ

当社の売上構成比をご説明します。スライド左側に示している地域別売上構成比について、今期第2四半期は、国内が約90パーセント、海外が約10パーセントとなっています。

海外の内訳は、中国が38パーセント、北米が20.1パーセント、欧州が13.4パーセントと続きます。海外売上高比率は、2023年度までに現在10パーセントのものを14パーセント、2030年までに20パーセントまで伸長させると中期経営計画で掲げています。

右側に示しているセグメント別売上構成比は、鉄鋼業界が28.1パーセント、自動車業界が18.8パーセント、電子半導体業界が15.4パーセントと、3つの業界で売上の約6割を占めています。

強み・優位性①”メーカー商社”

当社の強み・優位性を3つご紹介します。1つ目は、メーカー商社であることです。一般的にメーカーは自社で製造するため、技術力が高いことが強みだと思います。ただ、自社製品しか取り扱わないため、取扱商品数は限られます。一方、商社はさまざまな商品を仕入れるため、取扱商品は多いですが自社製造ができないため、技術力は低いかと思います。

当社では、お客さまが求める課題解決力は、技術力と取扱商品数の掛け合わせで決まると捉えています。メーカー商社である当社は、自社工場や研究開発施設を保有しており、自社製品を製造する技術力があるとともに、多くの商品を取り扱う商社機能も兼ね備えています。

このように、技術力と取り扱い商品数の掛け合わせにより、メーカー商社としてお客さまのさまざまなニーズに応えられることが強みです。

強み・優位性①“メーカー商社”

メーカー商社について、さらに詳しくご紹介します。当社がメーカー商社になった成り立ちとして、「お客さまの課題を解決するものが世の中になければ、自分たちで作ってみよ」という精神がもととなっています。当社の営業担当が、お客さまの課題をヒアリングし、解決策が市場にある場合は、自社やグループ会社の製品、仕入れ先商品で対応します。しかし、解決方法が市場にない場合もあります。

その際、1つ目のパターンとして、「チームリックス」で対応します。営業担当が、技術部門にお客さまの要望を伝え、課題解決につながる製品を設計・試験・納品まで一貫して担います。2つ目のパターンは、仕入れ先・ベンチャー企業・研究機関・大学などと協力してソリューションを作り上げるパターンです。

自社単体では、お客さまの課題解決につながるソリューションの提案に限界があるため、各機関と連携し、技術や知恵を掛け合わせることで、お客さまの課題にマッチする製品サービスを生み出しています。

強み・優位性②高い専門性で顧客密着

2つ目の強み・優位性は、高い専門性で顧客密着ができる点です。当社の営業担当は、鉄鋼、自動車、電子・半導体など9つのセグメントのいずれかの業界に配属され、専門性を養っていきます。業界全体の動向把握や、情報収集などを行い、お客さまのニーズを的確にキャッチし、お客さまの課題解決につなげています。

本質的なニーズをつかむために大事にしているのが、創業当時から強みにしている顧客密着です。ものづくりの現場で、膝を突き合わせながら、本質的な課題やニーズを掘り起こし、解決策を届けています。お客さまからは「リックスはよく動くし、逃げない」というお声をいただいており、お客さまのことをお客さま以上に考えることを大切にして、営業活動を推進しています。

現在、営業所は国内36ヶ所、海外8ヶ所にあり、いずれもお客さまの工場の近くに展開することで、素早い対応を可能にしています。創業115年で培ったお客さまとの信頼関係により、競合商社では知り得ないような情報を先回りして獲得することも多々あります。

強み・優位性③時代に合わせて絶えず変化

強み・優位性の3つ目は、時代に合わせて絶えず変化できる点です。当社は115年の歴史の中で、ビジネス環境の変化に対して、会社の仕組み・風土・体質を変え、その中で強い事業を残していくという対応をし続けてきており、DNAとして根付いています。

変化・対応の一例として、自動車業界における電動化対応についてご紹介します。自動車業界では、EV・HEV化がキーワードとなっており、エンジン自動車からの転換が進められています。その変化に柔軟かつ真摯に対応してきた結果、当社の電動化に関する電池・モーター関連の売上は、2006年度は自動車業界売上の中の約1パーセントだったのに対し、2021年度には39パーセントまで伸長させました。

顧客密着で得た情報で先回りし、変化に対応することで、全体の売上高をアップさせつつ、成長分野の売上比率も向上させています。

決算ハイライト(2023年3月期 第2四半期)

ここからは、11月10日に発表した、2023年3月期第2四半期の決算概要をご説明します。今年4月から9月までの期間損益としては、営業利益、経常利益、純利益ともに過去最高を更新しました。

売上高が前年同期比10.4パーセント増の、211億7,900万円で、営業利益が23.9パーセント増の14億1,300万円となりました。経常利益は30.7パーセント増の17億3,400万円で、当期純利益が29.9パーセント増の11億7,600万円となりました。

好調の要因としては、自動車業界の売上高が前年同期比13.6パーセント増の39億9,100万円、工作機械業界の売上が前年同期比33.4パーセント増の12億1,200万円、電子・半導体業界の売上が19.2パーセント増の32億6,100万円と、それぞれ伸長したことが挙げられます。

工作機械、電子・半導体の2業界は、自社製品であるロータリージョイントの主要販売先となっており、利益率の向上にも寄与しています。

営業利益増減要因(第2四半期)

営業利益増減要因についてご説明します。主力となる鉄鋼、自動車、電子・半導体など、多くの業界で順調に売上を伸ばしています。

ゴム・タイヤ業界は、前期に続き、開発案件のフォローや新規案件、設備投資に関する営業活動に注力した結果、タイヤ生産設備向け治工具や、水処理施設向けポンプ販売が増加しましたが、ポンプの更新案件が縮小した落ち込みを埋めるまでには至りませんでした。

紙パルプ業界は、最先端のバイオマス素材であるセルロースナノファイバー分野やケミカル素材分野、エネルギー分野への商品開発に注力した結果、チラーユニットのレンタルなどで売上を伸ばしましたが、減速機、修理案件の減少などの影響を受け、前年同期比でマイナスとなりました。

全体の売上増加に比例して、売上原価も増加していますが、利益率を下げることなく十分な売上総利益を確保できました。そのため、人件費を含めた販管費などの増加を加味しても、営業利益は前年同期比2億7,200万円の増加となりました。営業利益率は、前年同期比0.8ポイント増加の6.7パーセントとなりました。

第2四半期数字と年間予想

スライドの表には、第2四半期の結果と業績予想に対する進捗率を示しています。上期業績では、売上高、営業利益がほぼ計画どおり進捗しましたが、急激な円安に伴う為替差益の増加など、予想を上回る営業外収益が発生した結果、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は計画値を上回りました。

下期は、前回発表時点での計画値から大幅な乖離はないと見込んでいます。これにより、通期連結業績予想は、上期の実績を反映し、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益を上方修正しました。

長期経営計画「LV2030」

当社の長期、中期経営計画と、それに関連するトピックスをご紹介します。当社は、長期経営計画「LV2030(Long term vision for 2030)」のビジョンとして、「販売・技術・製造・サービスの高度な融合」とパートナーとの「協創」により、世界の産業界の課題解決のためのソリューションを提供していくことを掲げています。

中期経営計画「GP2023」(2022年3月期~2024年3月期)

中期経営計画「GP2023」についてご説明します。中期経営計画を必達すべく、ビジネス領域、収益性、人材・組織、ステークホルダーリレーションズの4つの軸を策定しています。

次のページから、それぞれの詳細と、達成のためのアクションや具体的な取り組み、トピックスなどをご紹介します。

1.ビジネス領域

1つ目の軸はビジネス領域拡大です。成長分野注力および海外拠点強化により、連結売上高500億円を目指します。2022年3月期の連結売上高は399億円で、決して簡単な目標数値ではありません。

当社の主戦場を上流・下流に広げることや、「CASE」「脱炭素」「SDGs」などをキーワードに設定し、成長分野の売上を伸ばすことに加え、中国・アメリカの体制強化を図るなど、海外売上を伸長させていきます。

1.ビジネス領域 〜売上伸長を見込むセグメント・成長分野〜

ビジネス領域に関するアクションについて、当社としてさらなる売上伸長を見込む4分野を挙げています。1つ目の自動車では、需要が高まるEV・HEV化に関する自動車ラインへの販売を強化します。これまでは現場設備や保全の分野が主戦場でしたが、上流の開発分野にも携われるように注力していきます。

2つ目に、活況が続く電子・半導体では、5Gに続く6Gなどの次世代通信規格の変化に先回りして、柔軟に対応しながら販売を強化していきます。

3つ目は水関連です。工場などの生産現場には、造水・排水などの設備が必要不可欠です。当社が取り扱う水関連商材をきっかけに、これまで接点を多く作れていなかった化粧品や化学などの成長分野の新顧客を開拓していきます。

4つ目は、当社が創業から携わっている鉄鋼です。依然として厳しい状況が続く鉄鋼業界ですが、今後は電気自動車の製造に必要となる、超ハイテン鋼や電磁鋼板といった素材向けの商材や、環境対応への設備投資に対応できる商材を販売することで、売上を伸長させていこうと考えています。

1.ビジネス領域 〜海外売上比率を伸ばすプラン〜

2023年度に売上高500億円達成のうち、70億円の目標を掲げている海外強化についてのアクションをご説明します。当社は、2023年度までに海外売上比率を14パーセント、2030年度までに20パーセントに高めることを目指しています。

現状は、2021年度で9.7パーセントですが、今後は拠点を展開中の中国・北米に注力することで、比率を高めていきたいと考えています。

中国では、自社製品であるロータリージョイントの販売を加速させることで、利益率を高めていきます。さらに、設備投資に意欲旺盛な半導体関連の顧客にしっかりとアプローチしていきます。

北米では、当社の強みである「顧客密着」を生かし、「細やかな対応」を心がけることで、さらなる売上伸長を狙っていきます。以上が、中期経営計画の1つ目の軸である、ビジネス領域に関する対応とアクションのご説明でした。

2.収益性

2つ目の軸である収益性においては、「協創」と「DX」で収益性向上を目指します。当社は、さまざまなパートナーと協力しながら物事やソリューションを創り上げていくことを大切にしており、そのことを「協創」と呼んでいます。

定量目標は、スライドの左側をご参照ください。営業利益率は6.5パーセント以上、ROEは10パーセント以上、経常利益は35億円、オリジナル品比率は40パーセント以上を目標にしています。

定量目標を達成するため、ビジネスモデルの変革とDX戦略の推進、「協創」によるオリジナル品の創出、開発の可視化によるオリジナル品比率の向上、既存事業とシナジー効果を生むM&Aの促進などを行っていきます。

2.収益性 〜当社が重要視する経営指標〜

経営指標の中で、当社が特に重視しているのは営業利益です。2021年度の営業利益率は6.5パーセントでしたが、2023年度には6.6パーセント、2030年度には8.0パーセントまで高めることを目標にしています。

営業利益率を高めるためには、優位性のあるオリジナル品の開発が重要となります。オリジナル品開発のための具体的な取り組みを、次のページからご紹介します。

2.収益性 〜技術職 人数推移〜

オリジナル品創出を達成するためには、開発機能の強化が必須です。そのため、当社は技術職の採用数を増加しています。自社の技術職を増やしつつも、自社内だけでは開発や提供できるソリューションを生み出すことに限界があります。

2.収益性 〜“協創”でオリジナル品を創出〜

そこで、顧客・仕入先・大学・ベンチャー・国の機関などと協力し、優位性のあるオリジナル品を創り上げていきたいと考えています。この協力して創り上げる「協創」は、当社の中期経営計画の大きな柱にもなります。

2.収益性 〜協創案件①〜

協創について、具体的な取り組みをご紹介します。1つ目の協創事例は、ロボット開発企業のハイボット社との連携です。ハイボット社は、狭い箇所や高いところを点検するロボットを開発・製造しています。

当社が持つ産業界の知見や顧客密着力と、ハイボット社が持つ最先端ロボティクス技術を掛け合わせることで、世界中の工場やプラント設備の保安と防災に貢献していきます。2022年10月4日には、ハイボット社への出資についてプレスリリースを行いました。

2.収益性 〜協創案件②〜

2つ目の協創事例は、当社を含め4社で協創し、開発・販売を開始したIoTセンサー内蔵の水中ポンプ「SuPMoS」です。陸上からでは収集できないデータを利用することで、遠隔監視やメンテナンス効率化を実現します。

スライド右下の図のように、水中ポンプの状態をPCやスマートフォンなどの画面で見られるため、状態監視やデータ分析にも役立ちます。

1.ビジネス領域+2.収益性 〜成長分野を意識した新製品開発〜

成長分野を意識した新商品開発についてご紹介します。当社は、2022年11月17日にモバイルハイブリッド電源「エネミックス」の共同開発および発売を決定するプレスリリースを出しました。

太陽光発電のみを搭載した従来の電源装置は、非日照時間や夜間に電源不足になるという弱点がありました。宮崎県のアシストユウ社と共同開発中の「エネミックス」は、太陽光発電と水素、ガソリン発電機など、サブ電源を組み合わせることで、安定した電気供給が可能になるものです。防災・建設・生産・官庁など、さまざまな現場でご活用いただけることを見越しています。

3.人材・組織

中期経営計画の3つ目の軸に、人材・組織を掲げています。売上向上や開発機能の強化など、社業を円滑に進めていくには、何よりも人が大切だと考えています。

当社には、古くから「企業は人なり」という言葉が引き継がれています。顧客密着など、大切にしてきたDNAは残しつつ、新しいものを取り入れる温故知新の人材・組織育成を図っています。

人材・組織育成の肝になるのが「RIXing Action」です。「RIXing Action」は、当社に脈々と受け継がれてきた経営理念・行動指針・社風・歴史などを総称するもので、当社で働く社員としてのあり方、考え方を9つのアクションにまとめています。

3.人材・組織

「RIXing Action」の1番目は、「善悪を損得に優先させよ」です。世の中にコンプライアンスという言葉が浸透するはるか前から、当社に根付いている考え方です。9番目は「投資をしてくれる皆様の期待に応え続ける」です。

9つの「RIXing Action」をグループ全体に浸透させていくことで、人材・組織育成を進め、当社を支えてくださるみなさまに、喜びを還元し続けていきたいと考えています。

3.人材・組織 〜ライフ・ワーク・バランスを意識した働き方改革〜

ライフ・ワーク・バランスを意識した働き方改革における、当社の取り組みをご紹介します。当社では、2021年4月より国内2拠点で、オフィスカーの運用実験を行っています。

オフィスカーには、机や椅子はもちろん、Wi-Fiやスキャナー、プリンターも完備してあり、自宅、営業所、顧客工場などの移動時間の効率化が実現しています。移動時間を減らせることで、自己実現やプライベートの充実にも寄与できます。今後、メリット・デメリットを見極めながら、本導入するか否かを検討していきます。

4.ステークホルダーリレーション

中期経営計画の4つ目の軸に、事業を通じたSDGsへの貢献と、ステークホルダーのみなさまとのコミュニケーション活性化を掲げています。当社では、ステークホルダーのみなさまを総称してファンと捉えています。投資家のみなさまとのコミュニケーションについて、今回のような説明会を通じて、当社への理解を深めていただく機会を増やしていきたいと考えています。

4.ステークホルダーリレーション ~サステナビリティ / TCFD対応~

ステークホルダーリレーションズの1つ目に挙げている、CSVビジネスを通じた当社の社会貢献について、具体的な取り組みや対応についてご説明します。

ここでは、サステナビリティ委員会の設置とTCFD対応についてご紹介します。当社は、サステナビリティ方針として、長期的に成長できる企業を目指し、環境・社会・ガバナンスの3つの視点で社会課題の解決に向けた取り組みを推進することを掲げています。スライドに挙げた対応は、その方針に基づいた取り組みとなります。

まず、サステナビリティ委員会の設置についてです。当社は2022年5月、サステナビリティ委員会の設置を決定しました。企業活動を通じた新たな価値創造や、社会課題の解決に向けた取り組みの達成が目的で、環境、人材・安全、ガバナンスの3つの分科会で、それぞれ具体的な取り組みを検討して実施していきます。

TCFD対応に関してです。各部署から意見を集約・検討し、当社の業績が大きな影響を受ける可能性がある気候関連のリスク・機会を特定しました。リスクとして、炭素税の導入や顧客の需要が低炭素商品に移行することが挙げられます。

そこで当社は、太陽光発電、省エネ・再エネを積極的に利用して、化石燃料電力使用を削減することや、顧客の低炭素設備に対応した商材の開発推進を行います。

機会については、電池関連商材のニーズ発掘や、積極的な開発をはじめ、修理・再生ビジネスのサービスメニューを拡大することで、低炭素社会に沿った製品・商品・サービスを提供し、大きなビジネスチャンスにつなげようと考えています。

4.ステークホルダーリレーション ~SDGs商材 受賞案件~

実際に当社の商材が環境配慮の観点で表彰を受けた例をご紹介します。当社は今年10月、循環型社会推進功労者環境大臣表彰を受賞しました。2021年度は福岡県より表彰されましたが、今回はその上に当たる環境大臣より表彰されました。

受賞した製品の「ロッキーライトRS」は鉄鋼業界で使われる資材で、産業廃棄物の「製紙スラッジ」と「人工大理石」を組み合わせたものです。このような、従来品より高性能なものを作る技術が評価されました。今後も当社のサステナビリティ方針に沿って、地球にもお客さまにも喜ばれる製品を開発していきます。

4.ステークホルダーリレーションズ ~IR活動 積極化~

ステークホルダーとのコミュニケーション活性化の推進についてご紹介します。2021年度は、投資家のみなさま向けの説明会を一度も開催できませんでしたが、今年度は予定分も合わせ、7回実施する予定です。

また、当社の魅力を知ってもらえるように、IR活動を少しずつ行った結果、今年の8月から10月における1日の平均売買代金が、プライム上場維持基準の2,000万円を達成するなど、出来高は改善傾向にあります。今後も当社を知ってもらう機会を増やし、愛される会社を目指していきたいと考えています。

参考:株主還元(配当)

参考までに、株主還元についてご紹介します。今年度は配当に関する見直しを行いました。配当性向については、これまでの個別配当性向30パーセントを、今年度より連結配当性向40パーセントに引き上げています。

2023年3月期の1株あたりの配当は中間で50円、期末は先日の決算発表のとおり、上方修正して60円、年間で合計110円と予想しています。

以上で私からの説明を終了します。ご清聴いただき、誠にありがとうございました。

質疑応答(要旨)①

Q:業績好調で利益・配当とも大きく向上している一方、株価は評価が低い印象。その要因について、また、業界における貴社の見られ方はどう捉えているか。

A:株価評価は、当社内でも低いと感じている。要因の一つとしては、当社が商社のカテゴリに入っていることが挙げられる。一般的に商社はバリュエーションが低いイメージを受けやすいことが要因かなと考える。ただ、当社は自社製品も扱っているし、車であれば電池・モーター関連、IoT、ロボットなど様々なソリューションを提供している。そうした取り組みをこれまでは投資家の皆様に上手くPRできていなかった。今後はそこをどのように知って頂くか、IRにさらに力を入れていきたい。(回答:苅田)

質疑応答(要旨)②

Q:来期の事業環境・景況感をどう考えているか。

A:2023年3月期の下期については予想を出しているが、大きな外的要因がなければ計画通り進む。来年度に関しては不透明さが増しており、なかなか断言しにくい。好調な業界もあれば、踊り場に差し掛かっている業界もあるので動向を注視していきたい。(回答:安井)

質疑応答(要旨)③

Q:ビジネス領域の拡大について。メーカーを兼ねているとはいえ、商社という業態上、人員の増加 は必要不可欠だと思う。今後、人員増加に伴う売上増加は期待できるか? また、ただ単に増員す るだけではなくスキルアップが求められると思うのでそれについて今後の対応を教えてほしい。

A:当社は、お客様と仕入先様の間に入り、専門性の高い営業活動をしている。人を増やせば売上が上がるという単純な話ではなく、育てながら増やしていくことが重要。育て方の基本になるのが資料内にも示したRIXing Action(リクシングアクション)。これは社員としての在り方や考え方の肝になるので、全世界の従業員に向けて教育体制も築いていき、精鋭を増やしていく。同時に技術職の重要性も増している。人材が不足気味なので、当社を知ってもらう機会を学生向けにも増やしていく。(回答:安井)

質疑応答(要旨)④

Q:事業領域が拡大する一方、社会環境の変化で縮小する領域もあると思う。デジタル化に伴い、貴社も紙パルプの売上が減少している。このような状況にどう対応していく?

A:紙パルプ業界は売上を落としていることは事実だが、製紙業界は生き残りをかけてこれまでの製紙会社ではなかったような新たな分野にも挑戦している。ケミカル素材部門、セルロースナノファイバーなど新たな領域にシフトしているので、我々も乗り遅れないようにする。ただ、成長性が見込めない業界は見切りをつけていかなければならないとは考えている。(回答:安井)

質疑応答(要旨)⑤

Q:円安が貴社業績に与える影響について教えてほしい。円安は仕入れ価格上昇でマイナス要素?それともプラス?影響額についても教えてほしい。

A:当社は外貨建ての取引があるが、外貨建ての売上(海外売上)が全体の約10%。また、外貨建て 売上額のほうが外貨建て仕入額よりも倍近く多いため、円安のほうが会社業績がプラス、円高のほうがマイナスにふれるというのがざっくりな状態。ただ、一概には言えない部分がある。外貨と言えど、米ドル建て、元建て、ユーロ建てなど多通貨で取引をしている。それぞれの通貨の状況によって変わる。レートについても上がったり下がったりどのタイミングで取引するかによって変動がある。細かくいうと難しくなるが、現状としては円安のほうが若干ながら業績的にプラ スにふれる傾向。影響額については、なかなかお答えが難しい。単純に営業外収益で出てくる為替損益は実数で出ているが、売上高、原価などいろんな項目で影響してくるため、詳細の影響額は把握が難しい。(回答:苅田)

質疑応答(要旨)⑥

Q:仕入れ品と自社品の比率と利益率の違いを教えてほしい。

A:ボリュームの比率は仕入商品の売り上げが90%、自社製品が10%。利益率でいうと、仕入れ品の利益が1だとすれば、自社製品はその2~3倍の利益率がある。ただ、自社製品は操業度によって全然違ってくるため、なかなかつかみにくさもある。(回答:苅田)

質疑応答(要旨)⑦

Q:技術・販路について貴社の強みと課題を教えてほしい。また、鉄鋼分野の電炉化は貴社にとってマイナスかプラスか。また、EVはどの部分に携わっているのか?今後の売上の伸び予想は?

A:まず技術についての強みは、流体制御技術を軸にしており、流体を流す、止める、分離するという技術について強みがある。販路についての強みは、各大手のメーカーに口座を持っていること、営業所を顧客工場の近くに構えていることが強みだと考えている。課題については、まだ全国・世界で入りこめていない地域があるので、そこをいかに開拓していくかだと考えている。また、鉄鋼について、当社の顧客は高炉メーカーが主ではあるが、電炉メーカーにも営業をかけており、電炉向けの商材も取り扱っている。今後、CO2排出の観点で高炉は新技術が入ってくることが予想される。新技術が導入される高炉に対しても、電炉に対しても、どちらにも対応できるので、当社にとってはプラスだと考える。EVについては顧客との守秘義務があるため詳しくはお答えできないが、ざっくり言うと、モーター・電池関連。先ほどもスライ ドでお示しした通り、2006年=1%しかなかった電池・モータ関連の売上を、現在は40%近くまで増やせており、今後もその傾向は続くと思う。(回答:安井)

※質疑応答部分は、企業提供の要旨になります。

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