2022年11月21日に発表された、株式会社シード2023年3月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社シード 代表取締役社長 浦壁昌広 氏

国内・海外の市場状況

浦壁昌広氏(以下、浦壁):みなさま、ご多用のところ、当社の2023年3月期第2四半期の決算の説明会においでくださり、どうもありがとうございます。代表取締役社長の浦壁でございます。

まず、2022年4月から9月までの経営環境についてご説明します。国内の市場環境ですが、需要はほぼ2019年レベル、つまりコロナ禍前の段階に戻ったと思っています。ただし、総額は同じような金額ですが、コロナ禍前に比べ成長セグメントは大きく変化しています。

その中で、一番大きな問題となるのは学童の近視です。タブレットを使った学習、あるいはリモートでの学校生活などもあり、子どもの近視が大きな問題になっています。また先般、文部科学省が全国の小学生を対象に調査を行い、相当程度、低学年の近視が進んでいることがわかりました。

これについて、公的に効能・効果は立証されてはいませんが、我々コンタクトレンズの事業者が関係するのは、近視の進行抑制については効果があると言われているオルソケラトロジーレンズの普及です。また、現在の人口構成を反映し、遠近両用のコンタクトレンズの需要が伸びています。

さらに、在宅勤務が定着しているため、マスクの着用によりサークルレンズの需要は回復していない状況です。このように、成長分野が大きく変わってきています。

一方、海外で一番厳しかったのは中国で、大規模なロックダウンは解除されましたが、部分的にロックダウンされているような状態です。先日の「光棍節(11月11日)」は、インターネット販売のお祭りの日だったのですが、「せっかく注文してもロックダウンによって配送予定がつきづらい」という消費者の理由から、なかなかお祭りムードに火がつかない状態でした。

ヨーロッパでは、南ヨーロッパやイギリスなどの市場は比較的良好だと思います。ドイツなどの中央ヨーロッパはロシア・ウクライナの問題により、非常に厳しい状況です。

東南アジアの市場はばらつきがありますが、全体としてASEANは回復基調が強いと思っていますし、下期になり、さらに回復してきていると思います。ただし、上期は当社にとって一番の輸出市場である中国が厳しい状況でした。

そのような中で、対面での展示会の機会も徐々に回復してきました。一方で、SNSを通じた消費者に対するコミュニケーションも定着していますので、それらをうまく使っています。

ヨーロッパでは、マーケティング手法でストアブランドを作るという囲い込み施策が定着していますが、日本でも一番の大規模小売店であるHOYA株式会社を中心にそのような施策が行われています。量販店に対してのストアブランドを提供するという施策もあわせて行い、全体のボリュームを維持してきました。製造については、エネルギー価格の上昇が大きなポイントとなります。当社の場合、エネルギーは電気・ガスを使っていますが、2019年9月の電気・ガス料金のほぼ倍額を支払っている状態です。エネルギー単位あたりの生産性を向上させるため、さまざまに努力していますが、増額分を単年度で吸収するのは非常に難しい状態です。

また、上期の為替レートは1ドル140円の後半、150円前後の円安で推移しました。当社は為替予約をとっており、手持ちの輸入品については、在庫の回転期間は4ヶ月分保有しています。上期は1ドル120円、130円前後で設定していましたが、現在は140円くらいですので、来年2月以降もこの状況が続くと、輸入原価の上昇により、来年の上期は非常に厳しい状況になると感じています。

2023年3月期 第2四半期 連結決算ハイライト

2023年3月期第2四半期累計の売上高は、前年比8億6,000万円の増加、6.1パーセント増の148億8,400万円です。通期の見通しは310億円で、それに対し48パーセントの進捗率ですので、トップラインは概ねラップどおりの進捗かと思います。

また、「収益認識に関する会計基準」等を適用前とした場合、前年比8億600万円の増加、5.6パーセント増ですので、おおよそ6パーセント程度の成長となっています。

営業利益については、製造原価と商品原価の上昇により売上総利益が圧縮され、前年比36.5パーセントの減の4億7,700万円です。経常利益は5億4,400万円、四半期純利益は1億3,300万円で着地しています。

事業別売上高

売上高の内訳ですが、ほとんどがコンタクトレンズです。売上高148億円のうち146億円前後がコンタクトレンズで、ケア用品が約2億5,800万円です。

ケア用品については、大多数がオルソケラトロジーレンズなどの専用品や、クリニックルートを通じたサブクリーナーなどの商品となっています。

さらに品目別売上の進捗では「1day Pure」は乱視用と遠近両用のシリーズが伸び、前期比14.7パーセントの増と、金額ベースでも枚数ベースでも増加傾向にあります。

「シード 2week Pure」も増加していますし、オルソケラトロジーレンズは前期比15.1パーセント増、遠近両用は前期比18.2パーセント増です。売上全体として、2019年まで回復していますが市場全体は横ばいで、前年の上期と比べると、コンポジションが変わってきたことを表しています。

サークルレンズも前年を割っていましたが、上期のサークル・カラーレンズは前期比2.9パーセント増と反転しています。ただし、全体の反転基調は緩やかなものだと思っています。

コンタクトレンズ事業売上高 四半期推移

スライドはコンタクトレンズ事業の四半期別売上高の対比ですが、2022年3月期、2023年3月期で、あまり大きな変化はありません。

利益増減分析

2021年9月の当期純利益2億7,800万円から、2022年9月の1億3,300万円に至る増減分析をご説明します。

全体として売上総利益の減少の4億2,900万円が一番大きく、4億2,700万円がコンタクトレンズの製造及び販売の売上総利益の減少となっています。

販管費については、さまざまな合理化によりプラスに転じ、1億5,400万円の経費削減となりましたが、経費削減によって売上総利益の減少分をカバーすることはできませんでした。

営業外収益の増加が8,500万円、営業外費用の減少が2,000万円となっていますが、基本的には売上総利益によって大きく損益が変わっています。

また、東京都文京区本郷三丁目にある本社の建て替え工事を行っているため、特別損失で4,300万円のマイナスになっており、上期は地上の設備の建物解体費用と残存の簿価である9,200万円を特別損失として計上しています。

加えて、税金等の減少があり、最終的には1億3,300万円で着地しています。

販管費の状況

販管費の状況です。経費はさまざまな努力により、前年比1億5,400万円のマイナスです。大きなところは人件費の役員報酬等で、足元の業績に照らし、報酬の圧縮を行っています。広告宣伝費については、前年比1億9,000万円ほど圧縮しています。

逆に、研究開発費は1億200万円の増加です。「シード 1dayPure EDOF」において、近視進行抑制の効果を厚生労働省へ届け出るため、本年の8月から認可にかかる治験を多施設研究で行っており、さらに、スマートコンタクトレンズの研究開発を数年にわたって計画しているため、開発費用が若干増加しています。

物流関連費については、配送量は売上にしたがって増加したものの、資材などの見直しを行い、全体では2,600万円のマイナスです。経費として、若干マイナスに転じられるような運営を行っています。

その他として、前年にはなかった新商品を上期は3品目ほど出しているため、そのトライアルレンズを配布した費用が発生しています。

また、現在は仮社屋に移転していますので、その家賃が計上されています。以前の社屋でも、本社組織がすべて収まるほどのスペースがなく、3フロア分ほど外部の施設を借りていましたが、現在はそちらも含めて仮社屋に移転しているため、そのプラスマイナスが発生しています。

これらを合計すると、販管費は前年比1億5,400万円緊縮したかたちになっています。経費について今の業容から考えると、2022年3月期の上期は現在と比較してコロナ禍がかなりシビアな状況で、海外出張や展示会などもあまり行われなかった経費構造となっています。そのため、2023年3月期の上期の状況が一番のボトムだと思っています。

財務状況推移

一方でバランスシートは、できる限り大きさを縮めようと継続的に努力しています。総資産は414億4,600万円で、流動資産のうち、現預金は39億2,500万円となりました。

商品及び製品は68億4,100万円で、前期比で8億3,500万円ほどプラスとなっています。こちらは新商品発売のための在庫の積み上げによるもので、「ベルミー」という新しいサークルレンズや、マレーシアからOEMとして供給されている「シード AirGrade 1day UV W-Moisture」というシリコーンハイドロゲルレンズになります。

7月の後半より、九州地区から自社製品であるシリコーンレンズの国内販売を行っているため、その初期在庫なども合わせて、在庫が積み増されている状態です。商品在庫については、期末までに一定規模に収まるように、販売状況を見ながら少し抑えていくつもりです。ただし、エネルギー価格や資材の状況、台湾と中国の間の緊張関係などに鑑み、柔軟に考えていきたいと思います。

また、我々は3ヶ月ごとに生産計画を見直していますが、逆に言いますと、3ヶ月ごとに購入計画を修正し、安全な在庫を担保することは、バランスシートの大きさ以上に大切なことです。このようなかたちで、総資産は3億3,900万円のマイナスになっています。

固定資産のうち、有形固定資産は建物、機械、器具の償却関係でマイナス7億1,300万円です。これに応じて、借入金全体が少なくなっており、短期借入金が12億4,500万円のプラス、固定負債では長期が10億円8,100万円のマイナス、両方合わせると若干プラスになっています。

一方で、リース債務が長期・短期合わせ約4億円のマイナスになっているため、外部負債としてはその部分が減少しています。

キャッシュ・フロー|主要項目

キャッシュ・フローです。上期の営業活動によるキャッシュ・フローは前年の24億3,200万円からマイナス11億2,400万円の13億700万円と、4割減となっています。これは2億円の利益減少の影響が大きく、また、先ほどお伝えしたように在庫を積み増していることにより、仕入債務のマイナス分も合わせ、両方で約7億円強の影響が出ています。

投資活動によるキャッシュ・フローは6億3,800万円で、昨年とほぼ同じ金額です。その差分は、財務活動によるキャッシュ・フローの長期・短期の借入金の変動ですが、リースも含め大きな変動はありません。

全体として、現金及び現金同等物の四半期末残高は前期比マイナス5億8,800万円で落ち着いています。

キャッシュ・フロー:関連指標推移

キャッシュ・フローをEBITDAから見ると、上期のEBITDAは19億6,200万円です。昨年同期は22億1,700万円ですので、約2億5,000万円のマイナスとなります。EBITDAマージンについても、前年比で売上はプラスになっていますが、利益のマイナスがあるため、13.2パーセントです。過去の4期、5期は14パーセントから15パーセント台を維持していましたが、今期は本業の利益がマイナスになっている分、EBITDAマージンが14パーセントに届くのは難しいと思っています。

EBITDA倍率は4倍を推移しており、現在の当社の状況では4倍から5倍という水準の範囲内での運営になると思います。

財務・株価指標|推移

上期の借入依存度は44.4パーセントで、大きな変動はありません。バランスシートが少し小さくなった分、自己資本比率は30.8パーセントで若干改善しています。

国際展開

海外の輸出については、当社の場合、輸入はドル建てで45億円から50億円くらいです。これを為替として中立化するためには、同額程度のドルまたはユーロの輸出為替を持つことがナチュラル・ヘッジでは一番有効とされていますが、残念ながら第2四半期の海外売上高は49億8,000万円程度の予算に対し、18億2,000万円となりました。昨年が19億9,000万円ですので、少しマイナスになっており、今期の目標の49億8,000万円を達成するのは少し厳しいと考えています。ただし、クリスマス商戦や春節明け前の商戦で、いち早く回復しようと努力しています。

2023年3月期第2四半期トピックス

その他に営業上のトピックスをいくつかご紹介します。当社のサークルレンズの「シード Eye coffret 1day UV M」は、7月10日でちょうど発売から10周年となりました。10年間イメージキャラクターとして北川景子さんを起用していましたが、イニシャルユーザーにより近い年代の方ということで、10周年を機に、かつて「ジルスチュアート 1day UV」のイメージキャラクターを務めていた福原遥さんを新しいイメージキャラクターとして起用しました。

彼女は現在、NHKの朝ドラ「舞いあがれ!」の主演をしているため、「Yahoo!ニュース」等でも1週間に1回くらいニュースで取り上げられており、来年春に向けてさらに露出が多くなることを大変期待しています。22、23歳の彼女と同年代の大学生くらいのファーストユースをつかんでいきたいと思います。

2023年3月期第2四半期トピックス

現在、九州地区から岡山県まで発売エリアを伸ばしている、自社素材を使ったシリコーンハイドロゲルレンズ「シード 1daySilfa」についてです。後発製品のため、他社と違った尖ったところがあるとよいと思い、特徴として含水率が68パーセントと、柔らかいシリコンということを標榜しています。

他社のシリコンの含水率は40パーセント程度で、50パーセントを切るようなものを製造しているところが多いため、それと比較すると、より柔らかくハイドロゲルのようなつけ心地ということを大きなポイントとしています。また、イタリアで先行発売をした時のデータをサンプルサイズとし、82パーセントの方に非常に快適なつけ心地であると評価いただきました。

イタリアは、ヨーロッパにおいてイギリスに次いでワンデーコンタクトレンズの使用が多いエリアです。なおかつ、他社のシリコーンハイドロゲルレンズもすでに多数配荷されているマーケットにおいてモニターを募ったのですが、そこでも高評価だったため、日本でも一定の評価が得られるものと思っています。

現在は、福岡県の配送センターから配荷できる範囲で展開していますが、そのうち横浜市鶴見区にある配送センターにも在庫を置き、販売範囲を広げ、基本的には西から東に順次拡大する方向で考えています。

2023年3月期第2四半期トピックス

OEM商品の「シード AirGrade 1day UV W-Moisture」という、ヒアルロン酸とアルギン酸という両方の潤い成分を兼ね備えたシリコーンハイドロゲルレンズについてです。こちらは先ほどの柔らかいシリコンとまったく違うスタイルで、DK値という酸素透過率が187と、業界最高峰のレベルの商品ということを最大の切り口にしており、スペックを重視する方にアピールしていきたいと考えています。こちらは8月末から全国発売を開始しています。

2023年3月期第2四半期トピックス

現在話題の、夜間につけるオルソケラトロジーレンズは、コンタクトレンズが目の角膜をギブスのようなかたちで固定化することで屈折角度を変え、昼間はコンタクトレンズや眼鏡がなくても過ごせるという製品です。

最初はスポーツやお稽古事で眼鏡をするのが難しい子どもを中心に需要がありましたが、最近は近視の矯正だけではなく、近視の進行を一定程度抑制する効果もあるのではないかということが大学や研究グループから言われており、そちらも期待されています。

当社も近視の進行抑制効果があると正式に厚生労働省に認めてもらうべく、近々治験を行っていく所存です。

一方で、多焦点コンタクトレンズは、すでに治験届けを提出しているため、こちらも第3四半期、もしくは第4四半期に正式な治験に入りたいと思っています。

この手の治験はどうしても長い期間フォローアップをしなければならず、その間、情報発信をするためにさまざまな大学に臨床研究を依頼しています。最初に、香港理工大学で2年間行った研究成果が学術雑誌で発表される予定で、それ以外にも依頼しますので、広く報告できるような材料になればと思っています。

主な販売地域は日本ですが、香港や東南アジア、ASEAN諸国、インド及びインド周辺国まで出荷を広げています。また欧州では、当社の子会社であるWöhlk社が独自のオルソケラトロジーレンズを有しているため、ドイツを中心に販売を開始しています。

このマーケットの最大の消費地は中国で、アメリカや日本の他の企業も、中国マーケットでの売上拡大が大きな成長のエンジンになっていると思います。

なおかつ、オルソケラトロジーレンズは、毎日のお手入れが必須です。夜間に長時間装用しますので、涙の成分の中のカルシウム、たんぱく質などがレンズに固着して細菌のもととなってしまいます。そのため、除去剤も含めたコンタクトケア用品を販売するチャンスでもありますので、これらも含めて中国ではフォローしています。

また、中国ではさまざまな政情の変化があってもライセンスを長期的に保有できることを念頭に置き、中国のパートナー企業との間で合弁企業を作り、そちらを申請主として中国政府に申請をしています。

4つの大学病院で治験を終了し、本年8月に中国当局に正式な認可を申請しているため、2023年末くらいには承認され、2024年から製造、営業ができるのではないかと思っています。

中国の合弁企業では、当社が提供する材料、デザイン、その他ブランドはもちろん、トレーニング機械の使用など、全部当社のものを移設しています。

ただし、当社もその合弁企業の株式を持っていますが、あくまでも申請主や製造販売としてのライセンスは合弁企業で持つというスタイルを継続していきます。

2023年3月期第2四半期トピックス

当社は2022年10月9日に創立65周年を迎えたことから、さまざまな広報活動を行っています。東洋大学の学生のみなさまとコラボレーションした記念ムービーの作成、特設サイト開設や公式「Twitter」を活用したキャンペーンの実施など、HPを通じてご覧いただければと思います。

2023年3月期第2四半期トピックス

株主総会が終わった8月前半に統合報告書を開示しています。自由にダウンロードできますので、ぜひご覧ください。当社のサステナビリティへの取り組みについて、あるいは環境や地域との共生、働きやすい職場づくりというような、いろいろなトピックを記事化して提供しています。

2023年3月期第2四半期トピックス

また、コンタクトレンズの製造においては、プラスチックを大量に使います。業界全体で共通した回収スキームがあるわけではなく、いくつかの企業が回収に取り組んでいるかたちです。

そのため、いろいろな企業の賛同を得て、一企業ではなく複数の企業でサステナビリティのサーキュレーションを図るために、「BLUE SEED PROJECT」というものを立ち上げました。

眼科及び販売店451施設、関連子会社8施設、企業20社、学校4校にブリスター(空ケース)の回収ボックスを設置し、これまでに約4,300キログラムのブリスターを回収しています。また今年7月頃から、テレビやラジオ等いろいろな媒体からの取材依頼があり、活動はさらに拡大しています。

いくつかの県の眼科医会からは推奨いただいていますので、地域のタイアップを通じて、回収ボックスの設置を拡大していきたいと思っています。

このような公的活動を行う一方で、この活動を通してシードのコンタクトレンズへ愛着を持ってもらい、ロイヤルカスタマーを作っていくことも実現できればと思っています。

この活動の特徴は、当社製品だけでなく、あらゆるブランドのブリスターを回収しているところです。スライド右側には、ブリスター回収に関して、横浜市立大学と連携協定を締結し、学生の方々と協議を行った際の写真を記載しています。

今後の成長に向けた取り組み ~さらなる高付加価値商品の拡販・研究~

成長分野に関しては、スマートコンタクトレンズやロービジョンに対する取り組み、人間以外の動物の「見える」をサポートする眼科医療機器の発売などを行っています。

動物用眼科医療機器において、当社はメーカーとしてではなく、「にゃんタクト」「わんタクト」等を使用するために必要な周辺機器や診断ツールを提供するというかたちで進めています。海外の非常に優れた製品を紹介したり、国内外のメーカーとタイアップし、当社で販売できるブランドを提供していただいたりしています。

その他には、近視進行抑制のために、自分の家系の特徴を知ることができる「近視チェック!」というサービスを、横浜近視予防研究所とのタイアップで提供しています。こちらは、口腔粘膜を送っていただくことで近視になる可能性の高い遺伝子があるかどうかチェックできるというもので、オルソケラトロジーレンズを始める子どもの両親に対して、現状把握のツールの1つとして活用しています。

中期経営計画進捗

3ヶ年の中期経営計画では「『見える』に新たな価値を」と掲げていますが、ボリュームゾーン向けのコンタクトレンズだけではなく、乱視や遠視、遠近両用などの特色のあるものや、「シード 1dayPure EDOF」のようなスペシャリティレンズと称されるものの比率を高め、価格以外で競争できるフィールドを国内外で広げることを標榜し、取り組みを進めています。

中期経営計画進捗 ~財務目標~

先ほどもお話ししたとおり、今期の売上高(単体)は300億円、来期は330億円を計画しています。商品販売の狭間にあったり、新商品を出すためのトライアルレンズのコストがかさんだりと、損益的にはなかなか厳しい状況となっています。

また、営業利益等に関しては、エネルギー価格の高騰の影響もあり、トップラインほどには上がっていかないと想定しています。しかし、この1年から2年の間に、製造の効率性やエネルギー効率を高めるためのさまざまな努力を重ねてきていますので、できる限り収益性を改善していきたいと考えています。

中期経営計画進捗 ~財務目標~

売上高・営業利益・EBITDA・ROEのグラフは、前回の決算説明会の資料と同じものを記載しています。スライドに記載のとおり、最終年度の連結売上高は360億円を見込み、400億円への展望を固める計画です。また、ROEは10パーセントを目指し、そのためにEBITDAは50億円を目標とするというストーリーを描いています。

中期経営計画進捗 ~株主還元~

配当についてです。2023年3月期の年間配当金額は、前期と変わらず12円を予定しています。

親会社株主に帰属する当期純利益においては特別損失等の影響があるため、配当性向は上下幅が大きいですが、数ヶ年平均で40パーセント台を平均値としていますので、短期的なことにはあまり左右されずに、株主との安定した関係を築いていきたいと思っています。

2023年3月期 見通し

通期の目標は変更していません。売上高は310億円、営業利益は前期比で3億5,700万減の8億2,000万円です。先ほどお伝えしたとおり、上期の営業利益は前年比36.5パーセントのマイナスとなったため、下期は売上増によるプラスアルファや、エネルギー効率の改善等を行い、売上総利益を4ポイントから5ポイント改善させ、8億2,000万円に近づけていきたいと思います。

経常利益は7億円、親会社株主に帰属する当期純利益は3億2,000万円で、前年比ではマイナスとなり大変恐縮ですが、トップライン伸長のため今後につながるような投資等を行い、中長期の競争力を養うという目標は曲げずに進めていきます。

参考資料:取扱商品

参考資料については、従来と同じ項目に対してそれぞれ情報をアップデートしています。

ケア用品については、スライド左下に記載の「コレクトクリーン」という商品をラインアップに入れています。こちらはオルソケラトロジーレンズのためのたんぱく洗浄液です。

参考資料:サステナビリティ

スライドには、サステナビリティに関しての取り組みを要約して記載しています。

参考資料:シードに関する情報を公式ホームページやSNSで発信

消費者、株主、投資家などを含め一般の方々に広く当社を知っていただく努力として、いろいろなコミュニケーションツールを設けています。

最近では、国内外で対面の展示会や学会なども数多く再開されています。私も先週、2年半延期されていたASEANの総会と展示会及び勉強会に参加してきました。

参加者は累計2,000名弱と非常に盛況で、多くの方が、対面でのコミュニケーションや新商品の情報のやり取りに対して、大変渇望感のある状況ではないかと感じました。そのため、今後も費用対効果を見ながら、対面でのチャンスを活かしていきたいと思っています。

簡単ではございますが、以上で2023年3月期第2四半期のご報告を終わります。

質疑応答:下期の見通しについて

質問者:下期は上期に対して売上が増える見通しですが、値上げの影響はどの程度ありますか?

浦壁:2022年3月末にお知らせしたとおり、今年は値上げを行っています。最初は、当社にとって一番喫緊度が高い輸入品を対象として、5月から6月には輸入品の値上げを完了しました。

一定の割合でターゲット価格を設け、その価格に対する値上げを個別に依頼したため、パーセンテージはお店によってそれぞれ異なります。スーパーマーケットが大手食品卸会社を通じてグロサリー商品を配荷する際によく行われるような、一律のパーセンテージでの値上げ方法は採っていません。

さらに、輸入品に続き、6月から7月頃を節目として、主に「単焦点」と言われる、いわゆる近視用の一番価格競争の激しい商品を中心に、国内で製造している商品の値上げを行いました。また、サークルレンズは原価率が非常に高いため、値上げしています。

上期のうち値上げが反映されている期間は、約3ヶ月です。直前に購入された方も多くおり、そちらで在庫調整されている分を正確に把握することが難しいため、現時点で詳細な数字をお伝えすることはできませんが、肌感覚で言いますと、上期の値上げ効果は4億円ほどあるのではないかと思います。

それを踏まえると、下期の値上げ効果は6億円から8億円ほどになるのではないかと想定し、先ほど、通期業績に対する売上高の進捗率は48パーセントとお伝えしましたが、値上げ前に安く購入した方のことを鑑みると、概ねラップどおりの進捗率だと思います。

質問者:下期は売上高が増えるものの利益が減ることについて、電気やガス、原材料価格の高騰の影響が、6ヶ月分丸々乗ってくるということでしょうか?

浦壁:おっしゃるとおりです。ただし、電気やガスについては、それぞれの会社との契約の関係上、あまり詳しくお話しすることができません。

リリースを見ていただくとわかるとおり、年初くらいに新たに電気契約を結んだため、料金が固定化され、結果として数ヶ月間は安い電気料金で使用させていただきました。

今のスポット価格では、約款に基づき、ほとんど契約を解除する方向になっています。当社もご多分に漏れず、そのスキームで電力会社にお世話になりましたが、9月からは新契約に移行しており、この2ヶ月間適用されていた安い電気料金ではなく、今後は加重平均になりますので、電気料金は逓増する見通しです。

加えて、電気料金の高騰は3ヶ月から6ヶ月ほどのタイムラグがあります。今は1ヶ月分程度のラグで済んでいると思いますが、その分の上昇幅と、現在の1バレル88ドル、1ドル140円の為替レートの按分価格の影響も大きいと思っています。

原材料に関して、当社はナフサ連動でプラスチックを購入していますが、上期・下期において大きな変動幅はないと思っています。ただし、箱代や配送関係の費用、副資材などについては、さまざまな企業から値上げの要請が届いていますので、やはり下期はある程度対応していかなければならないと思っています。

質問者:学会や展示会の再開も業績に影響はありますか?

浦壁:現在はアカデミック費用と合算しているため、対応しようと思っていますが、下期は中国関係の展示会等が数多く開催される予定です。

香港や上海の展示会は、春節の前後に行われることが多く、今年は他にも、いわゆる眼科医が行っているオルソケラトロジーレンズの学会も開催予定でしたが、すべて延期されています。

そのため、開催されるタイミングは、なかなか予想が立たないというのが正直なところです。さらに、ヨーロッパとかアジアでは今のところ大きな会の開催予定自体がありません。

質疑応答:下期の研究開発費について

質問者:上期は研究開発費が相当増えましたが、下期も同じような流れになりますか?

浦壁:こちらに関しては相手がいることですので、先方に受理してもらえなければ投資もできないという問題がありますが、予定どおり投資できるように努力していきたいと思っています。

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