2022年11月18日に日本証券アナリスト協会主催で行われた、株式会社交換できるくん2023年3月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社交換できるくん 代表取締役社長 栗原将 氏

2Qハイライト情報

栗原将氏(以下、栗原):本日は大変ご多忙の中、お時間を取っていただきまして誠にありがとうございます。決算資料に基づき、ご説明させていただきます。よろしくお願いいたします。

まず、第2四半期の連結業績についてご説明します。スライドは、第2四半期単体のハイライト情報です。前年同期比で、売上高は121.2パーセント、営業利益は670.7パーセントとなりました。昨年度の、新型コロナウイルスに始まり、住宅設備機器の供給不足により利益が下がった時期からの対比になるため、あまり参考にはなりませんが、業績としては回復できたと考えています。

連結業績の概要

上半期累計の数字もよくなりました。スライドに記載のとおり、前年同期比で、売上高18.3パーセント、売上総利益14.8パーセントの伸びとなっています。また、営業利益は前年同期比で213.9パーセント増となりました。

上半期は商品供給不足の問題があり、その対応に非常に手を取られている中での営業活動となりました。また、円安などと関連し、メーカーさんの値上げが相次ぎました。これにより、価格などの変更作業でWebサイトの更新に手を取られました。

また、夏頃からは、新型コロナウイルス第7波の感染急拡大による社内リソースの一時的な減少や、お客さまの体調不良等による工事の遅延の急増などもありましたが、数字に関しては着実に成長できた結果となっています。

売上高と売上総利益率の推移

四半期ごとの推移です。売上高は15億2,100万円で、過去最高を更新しています。また、売上総利益率は微増となっています。

売上原価において、一番大きな割合を占めているのは商品仕入れになります。その次が地代家賃、加えて作業員の人件費が入ってきます。今後の事業拡大を見越してそのあたりを強化しているので、売上のトップラインの伸びに合わせ、売上総利益率も回復する見込みです。今はその過程だと認識しています。

営業利益の推移

営業利益についても過去最高益を更新しました。個人的にはもう少し伸ばしたかったのですが、新型コロナウイルス第7波の感染拡大の影響があったため、オペレーションに過度な負荷をかけて短期的な売上を取ることはしない方針にしました。

昨年との比較は参考になりませんが、2021年3月期第2四半期の9,900万円からは伸びを示しています。このときは、政府からキャッシュレス還元の特需があり、売上が一時的に非常に上がったためです。そのような意味では、オーガニックベースで利益が伸びているイメージです。

販管費の推移

販管費の推移です。棒グラフの一番下側が人件費になりまして、営業や販管部門の他、幹部人材などになります。当社は、今後に向けた投資的な人材を積極的に採用しています。人件費については、その分が乗っています。

広告宣伝費については、第1四半期と同様、お客さまからの注文が入るものの、商品が入らず工事にうかがうことができない状況が多発しています。したがって、目先の売上を取りにいくような積極的な宣伝活動は抑制するかたちで行っていました。

また、バックオーダーの解消も必要となります。その結果、数字が比較的抑えられ、営業利益比率が上がりました。その他の部分については、さほど大きな変化はありません。

受注の推移

受注の推移です。工事が完了した時点で当社の売上となりますが、その手前でお客さまから注文をいただいていますので、その推移となります。7月が114.7パーセント、8月が116.8パーセント、9月が117.3パーセントと堅調に推移しています。

なお、広告宣伝費はかなり絞っている状況ですが、検索エンジンのSEOが非常に順調で、主要キーワードでは軒並み上位表示を維持・継続しています。したがって、そのことの強みがより発揮された結果だと考えています。また、テレビの特集で放映していただいたことも重なり、広告宣伝費を使わずに成長できました。

工事件数の推移

工事件数は売上に準じているため、それほど大きな影響はありませんが、若干平均単価が上がっています。これは、バックオーダーに入った高価格の商品が入荷するようになったということです。

平均単価の上昇は目指すところですが、今はあまり参考になりません。なぜなら、四半期の入荷状況に影響を受けることがあるためです。したがって、参考程度ではありますが、若干伸びている状況です。

また、現場の職人さんのリソースについては比較的余裕がある状態です。「職人さんの数は大丈夫ですか?」というご質問・ご心配をいただくことがありますが、極めて順調に推移しており、現状は特に問題ありません。

バックオーダーの状況

バックオーダーの状況についてです。「高止まり」と言っていたところから、ようやく減少が始まっています。今期の4月以降の注文・受注がバックオーダーとなった数字は、5億1,000万円程度です。また、昨年度に受注し、いまだに施工できずにお待たせしているケースは5,000万円にまで減ってきています。ただ、お客さまの数で言うと、数百名の方がキャンセルせずにお待ちいただいているという非常に申し訳ない状況です。

しかし、商品によって差はありますが、まったく目途が立っていなかったものが、2ヶ月から3ヶ月程度で入ってくるようになり、縮まっている実感はあります。したがって、今後はこのような状況を解消していけるだろう、解消していかなければならないということで動いています。

メーカーさんは急に大量の商品を入れてくるため、我々は、いつ入荷しても対応できる体制を維持しながら、突然大量に商品が入ってきた際には、スタッフが一生懸命工事を組み、お客さまにご案内しています。手を取られながらではありますが、社内ではこのように対応している状況です。

また、ガス給湯器の供給遅延はメディアでもご紹介いただき、認知も進んでいますが、高価格帯・高機能の機種が入ってこない状況が続いています。現在、バックオーダーの72.3パーセントが給湯器となっています。

商品供給遅延解消の見通し

スライドは、直近の見込みも含めた商品供給遅延解消の見通しの表です。リンナイさんとノーリツさんはガス機器のメーカーであり、我々は給湯器とビルトインガスコンロを扱っています。ガスコンロはおおむね解消していますが、給湯器はまだ遠く、一部は入ってきていますが、入ってこない商品のほうが多いです。

パロマさんもガス給湯器とビルトインガスコンロを扱っていますが、回復してきています。リンナイさんやノーリツさんを発注いただいているお客さまに関しては、急ぎの場合、商品が入るようであれば、他社のメーカーさんのものも勧めさせていただいています。そのようなことにも個別に現場で日々対応している状況です。

ずっと「雨」だったTOTOさんは、ようやく直近で「雨のち曇り」となり、商品によっては部分的に入ってくるようになってはきましたが、まだ不安定な状況は続いています。この予測については、希望的観測が入っている表示となっています。

それ以外のLIXILさんやPanasonicさんのトイレや食洗機などについては、現状、供給は問題ないところまで来ています。

3Qの見通し

今後の見通しについてです。受注については、引き続き好調な状況が続くと考えています。給湯器は冬が一番売れる時期ですが、このタイミングで商品がない状況でもあります。そのため、当社としてはさらに広告を抑制し、対応に当たらなければならないと予測しています。

給湯器以外の回復基調にある商品については、バックオーダーを解消できるよう日々動いています。そのような意味では、我々は第3四半期が本来の繁忙期であり、一番売上が上がるタイミングなのですが、このタイミングで商品が急激に回復するのは、あまりうれしいことではありません。

一時的なリソースの問題がどうしても発生します。バックオーダーの解消と繁忙期が両方来ているため、第3四半期での完全解消は難しいところです。もしかしたら、第4四半期より後になる可能性もあるという、まだ読めない状況です。

そのような事情から広告は抑えますが、一方で、このような状況だからこそできることもあります。来期以降に供給が戻って回復した後の成長に向けて、投資をしていきたいと思います。

広告宣伝については、今までは、主に検索エンジンの結果に表示させていく、直近の売上を取りにいくものがメインでしたが、今後はそのようなものではなく、例えば、テレビCMのクリエイティブを新しく作り変えていきます。

また、地方都市へのテストマーケティングにより、どのような時間帯のどのような番組のスポンサーになると反応がよいかなどを、これまで細かく分析してきましたが、今後はその深度を上げ、さらに新しいクリエイティブを試します。来期以降のどこかのタイミングで、テレビのマス広告などを行っていくことを考えています。慎重に、かつ状況に応じて大胆にいけるような検証をしていきたいと思います。

また、SNSのマーケティングなど、今まで手薄になっていたところについても、このような機会ですので、今後の成長に向けて取り組んでいきます。加えて、システムへの投資等についても鋭意進めているところです。

トピックス

10月のトピックスのため第3四半期からではありますが、今まで有料で販売していた商品の延長保証を、思い切って無料に切り替えました。

従来の延長保証は、ご注文時にオプションで有料販売し、外部のパートナーさんに委託していました。しかし、諸々の準備がようやく整い、自社で保証を行えることになったため、無料へと切り替えることにしました。

当初は、利益率をさらに上げるために、自社で保証を行う場合も有料で販売することを想定していました。しかし、現在は非常に多くの企業さんが延長保証を販売しており、そちらを利益の源としている部分があるため、我々は逆転の発想をすることにしました。

保証で利益を得るのではなく、単純にサービスを使っていただいた部分で利益を得ることを目的として、サービスに含めてしまう方向に舵を切り、この10月より無料10年保証をスタートしています。

実際に今、セールスのメンバーからは「非常に手応えがある」「お客さまから評判です」という声も上がってきていますので、これからの成長に向けて1つの力にしていきたいと考えています。

見積り比較例

他社さんとの見積り比較例です。価格は基本的には変わっていませんので、家電量販店さんの3分の2以下の価格で、さらに10年間の無料保証が付くため、非常にお得なものに強化している状況です。

ビジネスアップデート

法人向けビジネスの進捗についてご説明します。以前からもお伝えしてきましたが、現在、着実に進めている状況です。スライドには1社さんの例を挙げていますが、大手を含むさまざまな企業さんと契約を結んでいます。

我々としては、単に下請けで施工することには興味がなく、利益にならないと考えています。我々の持っているノウハウと企業さんが持っている顧客基盤等の強みを融合し、新しいサービスを生み出して、大きくスケールしていこうと思っています。

新サービスを生み出すということで多少時間はかかりますが、さまざまなテストマーケティングを含めて実際に動いていますので、今後はそのようなものを育てていければと思っています。

また、賃貸オーナー向け新サービスについても順調に進捗しています。

住宅設備機器の交換をネットで注文!

残りの時間を頂戴しまして、事業内容についてご説明させていただきたいと思います。当社はスライドに記載されているようなビルトインの住宅設備機器を中心に取り扱っています。

市場規模

特徴としては、大変市場が大きいことが挙げられます。リフォーム全体の市場規模は6.9兆円と言われていますが、その中でも住宅設備機器市場は2.8兆円にものぼり、最大規模の市場となります。

ただし、市場規模は大きくても、1リフォームあたりの単価は小さめです。スライド右側に記載したとおり、水道修理屋さん、地域のリフォーム屋さん、都市ガスの工事会社さん、電気工事屋さん、最近では家電量販店さんなど、さまざまな企業が参入している市場です。

事業ドメイン

先ほどご説明したような住宅設備機器は、リフォーム領域に入るという方もいれば、水道修理のようなリペア領域に入るという方もおり、お客さまからすると「どちらに頼んだらいいのかわからない」と悩んでしまうような、リフォーム領域とリペア領域の中間に位置する商材です。

例えば、「ビルトイン食洗機単体の交換を行いたい」「トイレ1室のみを対象に内装工事と便器の取り替えを行いたい」といった場合、どこに頼めばよいのか非常に迷われる領域となっています。

食洗機の場合では、リフォーム屋さんがよいのか、水道屋さんがよいのか、近所の電気屋さんがよいのか、お客さまは大変迷われます。また、トイレのリフォームの場合は、大きな工務店さんに頼むほどの工事ではないが、水道屋さんでもないだろうなどと、お客さまにとってはこの時点でけっこう迷う業界です。

ギャップが存在し、マーケットが未確立

また、このような状況でお客さまが非常に不信感をお持ちの現状があります。住宅設備機器のニーズはあるのですが、業者側の目線で見ると、平均単価は15万円程度となりますので、現場訪問して営業担当が見積り書を出す従来の商習慣では、どうしても採算が合わないことになります。したがって、「もう少し大きなリフォームをしませんか?」という営業のフックとして、住宅設備機器が扱われている状況があります。

また、住宅設備機器は1年に1回モデルチェンジする家電製品のような側面もあるため、大規模なリフォームや水道修理を行っている業者さんが、毎年機能をキャッチアップして商品を覚えるのはなかなか難しいと考えられます。

当社は住宅設備機器のみを扱っていますが、メーカーさんはたくさんありますので、それでもついていくのはけっこう大変です。お客さまの期待にしっかり応えるためにも相当な専門性を持っていなければなりませんし、当然「十何万円のものを買うのだから丁寧に施工してほしい」というニーズがあります。

しかし、業者としては、この単価では採算が合わないので、なかなか積極的な動きはしにくいという状況があります。

さらに、この業界は価格が出たとしても、非常にわかりにくい見積書であることが多いです。なぜかと言うと、そのまま見積りを出しても利益が出ないため、業者としては、例えば、諸経費、運搬費、廃棄費、現場管理費などのわかりにくい項目を使うことで利益を上げていくしかないからです。

そのようにしないとどうしても赤字になってしまいますし、見積りが無料という文化もありますので、仕方ない部分もあると思います。しかし、その結果、業者とお客さまの間にギャップを生じさせてきました。

また、お客さまは、訪問する職人さんに対しても質のよい方を求めています。例えば、タバコ臭いことや身なりが悪いことなどから印象が悪くなることもあります。

ネット見積から、工事、アフターサポートまでワンストップ

その結果、お客さまは「どこに頼んでいいかわからない」と迷われることになります。このようなギャップを埋めるために、我々はネット黎明期の20年ほど前からWeb見積りをスタートしています。我々は現場から始めていますので、一定の機器の範囲内であれば、お客さまの現在使用している機器を写真で添付し、必要事項をWebフォームよりご入力いただくだけで、確実なお見積りを出すことができます。

そして、工事にうかがう職人さんは、我々がしっかりと教育を行い、お客さまを満足させるという意志をともにする方々に責任を持って工事をしてもらいます。このようなノウハウが必要だと考え、地道に追求した結果、今のサービスが作られてきました。

多能工化による生産性向上

スライドに記載のとおり、通常のリフォームのプロセスでは非常にいろいろな人が工事に参加します。例えば、トイレだけでなくリビングや廊下まで全部壁紙を貼り替えた上で住宅設備機器も変えるのであれば、内装職人さんが2日から3日ほど工事を行った後、住宅設備機器の設置屋さんが入ります。

このようなかたちであれば成り立つのですが、トイレのみの場合となると、内装工事は順調に進めば3時間から4時間程度で終わってしまいます。また、住宅設備機器の据付も、内装工事をする前に古い機器を取り外して、内装工事が終わったら新しい機器を取り付けするため、内装工事の間、ずっと待っていないとなりません。

このような理由でそれぞれの職人さんに1日分の工数がかかってしまうためコストが高くなります。また、職人さん自身もそのような工事はあまり取り組みたくないところがあります。そこで我々は住宅設備機器の案件に特化し、1人の職人さんが一連の工程を行えることを強みとしています。

当社事業の強み

我々のECサイトは、ネットマーケティングが非常に強く、例えば「トイレ交換」「ガスコンロ交換」「蛇口交換」のようなキーワードで上位表示を長年にわたり保持しています。

これは一朝一夕で成し遂げた上位表示ではなく、本当にお客さまに有益な情報を社内でしっかりと調べ上げ、日々Web上でアップデートを続けてきた結果であり、地に足をつけたSEOを行ってきた結果です。そして、それを見られたお客さまからネットでお見積依頼をいただき、半数以上のお客さまがご注文されます。さらに、そこで終わらずに、我々は自社で職人さんを管理して責任をもって施工しています。

また、10年無料保証もはじまったことで、元々自信があったところに更なるサポート体制を作りました。何かあれば電話1本もしくはメール1本でしっかりと対応しています。業界的にわからないことが多く不安なお客さまに対して、しっかりと誠実に対応することで、リピーターにも確実につながってくるというサイクルで動いています。

IT × 住宅設備機器の単品交換市場の参入障壁

ビジネスモデル的には、住宅設備機器市場は規模も大きく注目されていますが、実は収益化が難しい領域です。まず、Webサイトをここまで作り上げるためには、膨大な時間と費用がかかります。また、商品が常に変わるため、日々現在進行形で拡張しなければならず、これを新たに作るって追いつくようなことはもう難しいだろうと思います。

そして、Web完結での見積り技術に関しても、長年のトライアンドエラーで磨いてきた結果が、今の技術力の高さにつながっています。

さらに、質の高い職人さんも時間をかけて教育したことにより、現在では100名を超える優秀な専門集団を組織することができていますので、それも我々の強みとなっています。

成長に向けたシナリオ

成長に向けたシナリオについてご説明します。スライド左下の「ビジネスモデル確立」という部分については、上場前はとにかくこのビジネスを強固なものにしようと考え、進めてきました。

これからは、強固にしたビジネスをさらに大きくスケールするためのフェーズに入ってきています。広告宣伝や基幹システム設計、あるいは業務体制そのものの見直し等、今までは非常にコンパクトかつ厳しく取り組んできたものを、品質や生産性を失わないまま大きくスケールさせるにはどうすればよいかということを日々考えながら、次のフェーズに対して準備しているところです。

「『交換できるくん』を使ったことがあるよ」という方も多くなってきましたが、まだまだ認知としては低いと思いますので、スライド右下に記載のとおり、今後はブランド認知を上げる活動もしっかりと行っていきます。

また、実際に使っていただいたお客さまからは、「こんなにいいと思わなかった」「こんなにいいならもっと早く頼めばよかった」という評価や声が一番多いです。この部分をしっかりとキープして、成長を加速させていきたいと考えています。

成長イメージ

市場自体の成長速度は以前の政府のシナリオよりも少し鈍化しました。しかし、それでも伸びていく業界であることと、政府の指針としても伸ばしていくということに変わりはありません。

今後のストック市場の拡大が見込まれている中で、我々がマーケットリーダーになるように活動していきたいと考えています。

ご説明は以上となります。ありがとうございました。

質疑応答:御社の強みのアピール不足について

質問者:御社について「アピール不足ではないかなぁ」と感じています。

1つ目は、先ほどの「無料10年保証」についてです。Webサイトにどのように書かれているかを見たところ、サイトの中央あたりに小さく「無料10年保証つき」と書かれているだけで、最初はすぐに見つけることができませんでした。もう少し「無料10年保証」というサービスを大きく打ち出したほうが、御社が求めている成約率向上につながるのではないかと思います。

2つ目は、コロナ禍により状況が非常に厳しい中で、職人さんを獲得していることが成果として出ていますが、この点についても、株式市場に対してさらにアピールしたほうがいいのではないかと思っています。この2点について、どのようにお考えですか?

栗原:「10年保証の訴求がわからないよ」というお声も実際いただきます。確かに、これがメリットになるお客さまもいますが、その前に、当社のサービス内容をWebだけで伝えるのはなかなか難しい面もあります。そのような中で、どの情報をどれくらい出していくかというのはけっこう悩ましい部分です。

お客さまの導線を分析をしたりして、日々カスタマイズを行っていますが、できる限りうまく伝えていく努力をしていきたいと思っています。

また、職人さんの確保についても、私どものビジネスは結果や業績があってこそですので、投資家の方々が不安になる部分に関しては解消していかなければならないとは思いますが、結果に比例して売上も伸びてこないと意味がありませんので結果でお示ししていきたいと思っております。どれをどれくらいうまくアピールしていけるかについては、いただいたご意見を社内で共有して、できることがあれば取り組んでいきたいと思います。

質疑応答:給湯器のバックオーダー解消について

質問者:バックオーダーが解消する時期については、4月以降の新たな受注が大半で、過去のものは順調に解消しているとのことでした。御社の見込みとしては、リンナイさんやノーリツさんの給湯器は改善に期待ができないと見ているかと思います。

現時点での5.1億円のバックオーダーは、1年くらいかけて解消されるのでしょうか? 他の機器もありますので、業績にはそれほど影響がないのかもしれませんが、バックオーダーの解消をどのように見ているか教えてください。

栗原:バックオーダーが思ったように劇的に減らないという難しい現状なのですが、給湯器はどうしても寒い時期に壊れやすいため、供給が不完全な中で交換需要が一気に上がります。このようなことが重なりますので、どれくらい解消できるかを見通しにくい状況にあります。入ってくる商品は入ってくるのですが、入ってこない商品は昨年からまったく入ってきていません。

今期は給湯器以外のバックオーダーは解消していっていますが、給湯器はこの12月、1月の繁忙期のピークを越えたあたりが判断点だと思っています。そもそもメーカーさんが情報を積極的に出してくれるわけではないため、足元の状況を見ながら、いろいろな情報を取りつつ進めています。そのため、「今期中にゼロにできます」とは言えない状況ですが、できる限り解消したいという意向は持っています。

質疑応答:バックオーダーへの値上げ効果と仕入れについて

質問者:1つ目は、バックオーダーについてです。4月以降の新たな受注で5.1億円のバックオーダーがあります。例えば、リンナイさんは4月の受注分から値上げしているため、4月以降の受注のほうが御社にも値上げ効果が効いてくるのではないかと思うのですが、そのような認識でよろしいでしょうか?

2つ目は、御社の仕入れ状況についてです。今はメーカーさんからダイレクトで仕入れているのか、あるいは一次代理店、二次代理店などの段階で仕入れているのですか? また、取扱量が増えてきたことによって仕入れコストの低下につながるかどうかを教えてください。

栗原:2つ目のご質問からお応えします。例えばガス機器などは、一部を除き直接メーカーから仕入れています。これは上場後に直接契約を結べた結果です。また、仕入れ価格も、環境がよりよくなっていることは確かです。まだ直接契約を結べてないメーカーもありますので、すべてと直接契約ができるかはわかりませんが、今はそのために動いています。

1つ目のご質問については、値上げ効果という意味では、我々はあまりポジティブではありません。メーカー希望小売価格が上がっても、我々の仕入れの掛け値はあまり変わらないため、厳密には利益はわずかに上がるのですが、その分どうしても需要が下がります。なお、4月以降に受注した分は新価格で仕入れていますが、それ以前の受注分はメーカーさんから値上げ前の価格で仕入れられることになっていますので、バックオーダーに影響する心配はありません。

質疑応答:バックオーダーにおける重複オーダーについて

質問者:バックオーダーについて、よく卸売業者さんなどで「心配だから複数のメーカーさんに対していっぱい発注しておこう」といった動きがあると思います。御社のバックオーダーにはそのような重複するオーダーはなく、この数字がほぼほぼ実需と見てよろしいのでしょうか?

栗原:もちろんそのとおりです。そのようなオーダーを見越して、別個にまとめて取っている部分もある程度はありますが、その分はバックオーダーには入っていません。直近で在庫が少し積み上がっているのはそのような事情ですので、バックオーダーの本筋とは関係ありません。

質疑応答:景気動向と業績の関連性について

質問者:業績全体に関わることですが、景気動向と御社の業績の関連性についておうかがいします。一般的には、景気が後退すればその分だけ需要は減ると思います。しかし、御社の場合はeコマース的な側面があるため、安いものを求めてくるお客さまが増えてくると思うのですが、景気と業績の関連性はどのように考えていますか?

栗原:景気が後退すれば需要に影響しますが、我々の商材は生活に必要なライフラインでもありますので、一定の需要は保たれます。また、おっしゃるように、世の中的には景気の後退感を感じる時には、そのような状況だからこそ「今まで頼んでいたところではなく、もう少し安いところを探してみよう」というニーズは確実にあります。そのため、景気が下がれば下がるほど売上が上がるとは言えませんが、景気後退時の影響は受けにくい状況です。

質問者:今後もまだまだ顧客拡大の余地が十分あるということですか?

栗原:おっしゃるとおりです。基本的に毎年115パーセント程度のオーガニック成長を続けていますので、勢いは非常に強いと思っていますし、今後も継続していけるだろうと考えています。

質疑応答:成長に向けたシナリオについて

質問者:先ほど、スライド28ページの成長に向けたシナリオについてご説明がありましたが、現在はスライド中央にある「M&Aや新規事業による事業ポートフォリオの拡充」の段階にあるとのことでした。これがすなわち、16ページの法人向けビジネスの進捗とイコールと考えてよろしいのでしょうか?

また、スライド右上には「社会で存在感を示す企業体制」の下に、「大きく利益を創出するための業務」という言葉がありますが、こちらについても法人ビジネスがものすごく拡大して、利益がものすごく出るというイメージなのでしょうか? あるいは、まったく違うイメージで基盤を作って、次のステップはまだ決まっていないのでしょうか?

栗原:M&Aや新規事業においては、スライド左上の「BtoBを軸とした新事業開発」とは直接は関係していません。それとはまた別軸で、我々にとってもシナジーがありそうなものに関しては、しっかりと判断しながら必要に応じてM&Aを行っていくことは否定しません。

いろいろなお話が来ますので、我々が持っていない特殊な技術などをお持ちで「Win-Win」になるところがあれば、真剣に考えていく必要はあります。それが結果的にBtoBの領域と重なることはあるかもしれませんが、そのような意味でスライドに記載したわけではありません。

また、「大きく利益を創出するための業務」については、その下に記載した「生産性への投資」のことを指しています。

今はまだ数十億円の規模の会社ですが、ここから先、例えば1,000億円規模の売上時の業務プロセスは違うものだと思いますので、その時に、今以上に利益をしっかり上げるためには、業務生産性向上、例えば、システム開発やBPOなど、そのようなことに力を入れていくという意思表示だとご理解ください。

質問者:どちらかというとリフォーム業界のニッチなところを攻めるイメージで、リフォーム業界全体を俯瞰して統一していくといった野望的なお話ではないということですか?

栗原:結果的にそのようになる可能性もありますが、リフォーム業界にこだわっているわけではありません。あくまでも、住宅設備機器のチェンジという新たなマーケットを作ることを目指しています。ただ、ニッチのようで実はこの市場がリフォーム業界の中で1番大きく2.8兆円もあって、そのマーケットが確立されていないということです。まずはそこにしっかり取り組みたいと思っています。

質疑応答:故障前に給湯器を交換する動きについて

質問者:給湯器は故障してから工事まで2ヶ月待ちといった状況でした。今までは故障してから交換していたものが、故障してからだと遅いため、「10年くらい使っているから、故障する前に交換しよう」という動きはありましたか? もし、そのような動きがあった場合、このような動きが定着しそうかどうか、肌感覚でけっこうですので教えてください。

栗原:給湯器は10数万円から数十万円と高価なものですので、壊れなければ交換しにくいです。壊れる前に交換しようと思って「やろうやろう」と思いつつも、なかなか交換できない方も多いのではないかと感じています。

使い続けていると調子が悪くなりますので、時々メーカーさんのサービスマンが修理に入ります。その修理間隔が短くなり、いよいよ交換しないといけなくなったタイミングで初めて交換の需要が発生します。言ってみれば、給湯器はお湯が出ればよいわけですので、不調も故障もないのに投資する方はまだ少ないのが実情です。

しかし、我々としては事前に交換を検討するようになってほしいと思っています。給湯器が故障すると、お客さまは焦って「とりあえず、どこでもよいからすぐ来てくれるところに頼もう」となりがちです。しかし、そのような状況で選ばれると、業者選びで失敗する確率が高くなります。

これは緊急の水道工事に非常に似ていますが、我々はそのような領域に進もうとは思っていません。すべての機能をわかってもらった上で、きちんと選んでいただき、納得して買ってもらいたいと思っています。そのため、交換を急いでいないお客さまをいかに取り込めるかは、今後の我々の努力次第だと思いますので、引き続きがんばっていきます。

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