大阪人のソウルフード「551蓬莱」が東京進出しないのはなぜか?

大阪にこだわる蓬莱が示す外食企業の生きる道

外食産業からはIPO(株式上場)をする企業も多く出ていますが、蓬莱は今も未上場企業です。

IPOを目指す外食企業は、業容拡大の過程でどうしても味の画一化が避けられません。セントラルキッチンで用意された食材を店舗で調理するのは、安くて旨いという観点では非常にありがたいのですが、たまに食べたい“おふくろの味”的な要素は、手間がかかるためIPOとは相容れないものなのかもしれません。

IPOをして全国チェーンを目指すのも外食企業の1つの道ですし、蓬莱のように未上場のまま味にこだわるというのも1つの道です。後者を選択して大阪のソウルフード的存在にまでなった同社には、外食企業としての1つの在り方を見ることができるのではないでしょうか。

横浜には崎陽軒のシウマイ、名古屋には寿がきやのラーメン

日本の各地域には、それぞれソウルフードがあるものです。横浜の崎陽軒のシウマイ(東京駅でも売っていますが)、名古屋の寿がきやのラーメンも地元のソウルフードと言える存在でしょう。

狭い日本とはいっても、各地域に豊かな食文化が存在します。そうしたローカルの食文化を外食産業という形で体現している代表的な例が551蓬莱の豚まん、崎陽軒のシウマイ、寿がきやのラーメンではないでしょうか。いずれの会社も、IPOを行わず地元にこだわる姿勢が共通しています。

大阪人が優越感を感じる東京での豚まん販売

東京で551蓬莱の豚まんを食べる機会といえば、デパートで開催される関西の物産展があります。ただし、大阪人が喜び勇んで物産展に行くと驚かされるのが、豚まんを買うための長蛇の列。待ち時間が30分以上という光景が普通に広がっています。

そこで大阪人は思うのです、大阪なら5分も並べば551蓬莱の豚まんが買える、と。そして東京に対する優越感に浸り、ほくそ笑む大阪人多数。大阪人にとって、551蓬莱の豚まんは自らのアイデンティティーを意識させる存在と言えるかもしれません。

そんな豚まんを作り続ける蓬莱は、今後も大阪にこだわる企業として大阪人に愛され続けるのではないでしょうか。

石井 僚一

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執筆者
  • 石井 僚一
  • コラムニスト/元ベンチャーキャピタリスト

岡山大学法学部卒。大手証券グループ投資会社を経て個人投資家・ライターに転身。株式市場や個別銘柄の財務分析、為替市場分析を得意としている。ライターとして複数媒体に寄稿中。