2022年11月17日に行われた、養命酒製造株式会社2023年3月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:養命酒製造株式会社 代表取締役社長 塩澤太朗 氏

目次

塩澤太朗氏(以下、塩澤):みなさま、おはようございます。養命酒製造株式会社代表取締役社長の塩澤でございます。本日はお忙しい中、ご視聴いただき誠にありがとうございます。本日はご覧の内容をご説明いたします。

損益計算書(P/L)

2023年3月期第2四半期の決算概要について、はじめに損益計算書です。2023年3月期第2四半期の業績は、前期に対して増収増益となりました。国内養命酒が堅調に推移したことにより、売上高は前期比6.9パーセント増の​​51億6,300万円、営業利益は前期比34.9パーセント増の6億6,000万円、経常利益は前期比27.6パーセント増の8億7300万円、四半期純利益は前期比31.7パーセント増の6億1,300万円となりました。

セグメントの変更

セグメントの変更についてです。2023年3月期第1四半期会計期間より、新中期経営計画を策定したことに伴い、従来の「養命酒関連事業」の単一の報告セグメントから、「養命酒関連事業」「くらすわ関連事業」の2区分に変更しています。

各セグメントについてご説明すると、養命酒関連事業は、主に養命酒、酒類・食品等の卸売販売と不動産賃貸、太陽光発電を中心としたものです。くらすわ関連事業は、「くらすわ」店舗、通信販売、ギフト販売など、ダイレクトチャネルを中心にしたものです。ご参考として、本資料では前年同四半期の売上高についてのみ、変更後の区分により作成した数値を記載しています。

セグメント別の売上高

セグメント別の売上高です。養命酒関連事業は国内養命酒が堅調に推移したため、46億7,800万円、前期比5.3パーセント増となりました。くらすわ関連事業は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け減少していた来客数が回復しつつあります。その結果、4億8,400万円、前期比25.6パーセント増となっています。

貸借対照表(B/S)

貸借対照表です。資産合計は、2022年3月末比で1億1,000万円減少し、485億300万円となりました。こちらは主に、保有株式時価評価額の減少によるものです。

負債合計は5,400万円減少し、63億8,000万円となりました。純資産合計については5,600万円減少し、421億2,200万円となりました。なお、自己資本比率は86.8パーセントで、健全な財務基盤を維持しています。

キャッシュ・フロー計算書(C/F)

キャッシュ・フロー計算書です。営業活動の結果、増加した資金は8億6,400万円となりました。投資活動の結果、減少した資金は2億2,800万円となりました。こちらは主に、有形固定資産の取得による支出によるものです。

財務活動の結果、減少した資金は5億5,300万円となりました。こちらは主に、配当金の支払いによるものです。結果として、現金及び現金同等物の期末残高は8,200万円増加し、25億1,500万円となりました。

新中期経営計画(2022年4月〜2027年3月) 主要方針

各事業の取り組みについてご説明します。その前に、2022年3月期決算説明会でもお伝えしましたが、2022年4月から開始した新中期経営計画の主要方針の概略について、確認の意味で再度ご説明します。

新中期経営計画は、計画期間を2022年4月から2027年3月までの5年間とし、当社が2023年6月に創立100周年を迎えることから、基本戦略を「次の100年に向けた成長投資と持続的成長基盤の確立」と定めました。

「養命酒」および酒類・食品の卸売販売を中心とする、既存事業の収益力強化による「深化」と、これまで取り組んできた「くらすわ」ブランドを中心とした新たな事業基盤の構築による「探索」を同時に行う「両利きの経営」を推進し、収益性を確保しつつ、成長投資を行い、新たな企業価値の創造に取り組んでいきます。

戦略課題は、「効率を重視した既存事業の収益力強化」「『くらすわ』ブランドを軸としたダイレクトチャネル事業の構築」「サステナビリティ経営の推進」「事業領域の拡大に向けた多様な人材活用と人的資本・知的財産等の無形資産への投資」の4つを設定しています。

中計最終年度(2027年3月期)定量目標

定量目標としては、中期経営計画最終年度において、売上高200億円以上、営業利益率10パーセント、ROE4パーセントを目指していきます。売上高の内訳としては、既存事業の養命酒関連事業で100億円以上、新規事業の「くらすわ」関連事業で100億円としています。

各事業の主な取り組み(上期)

中計主要方針に沿った、2023年3月期上期の各事業の主な取り組みについてお話しします。養命酒関連事業では、事業戦略部を設置し、開発、製造、流通、プロモーションの一貫したマーケティング戦略立案を開始しました。製品ポートフォリオの見直しや、広告宣伝および営業活動の効率化を推進しています。

くらすわ関連事業では、ブランドシンボルとなる体験型施設の企画、設計を進めているほか、「くらすわ」ブランド商品の拡充に向けた新商品開発、ギフト向け販売先の新規開拓を進めています。また、事業の基盤作りとして、全社的に人材配置の最適化を行いました。「くらすわ」のブランド化のため、戦略に基づいたブランド構築を進めています。

そのほかとして、デジタル技術を活用した顧客拡大施策と業務効率化の推進を行いました。また、サステナビリティ経営の推進のため、サステナビリティ委員会にて気候変動リスクの検討を開始したほか、サステナビリティ基本方針及び重要課題の公開を行っています。

人的資本への投資については、同じくサステナビリティ委員会で検討を開始しています。健康経営については、引き続き健康経営優良法人の取得を進めるとともに、健康経営戦略マップの策定・公開を行い、実効的な健康経営の実践を目指していきます。

養命酒関連事業(国内養命酒)

国内養命酒は、プロモーションとして、引き続き草刈正雄さん出演のテレビCMおよび新聞広告、Web広告等を実施しました。店頭では卸店やドラッグストアと協働し、広告と連動した店頭陳列の拡大等を実施しました。

特に、新規顧客の購入促進を目的とした販促施策の実施に努めました。生活者視点でのマーケティングを推進する中で、コロナ禍による健康意識の高まりもあり、売上が堅調に推移し、売上高は38億9,600万円となりました。

養命酒関連事業(酒類・食品)

酒類・食品については、養命酒関連事業の「深化」のため、販促費、流通費などのコスト削減、また営業効率化を推進するとともに、重点商品の絞り込みを行っています。この結果、売上は前年を下回りましたが、採算性は改善してきています。

養命酒関連事業(海外)

海外についてです。養命酒については、中秋節など、販売地域に合わせた広告・販促活動を実施しました。酒類は、クラフトジンを中心に商談を進め、オーストラリアやヨーロッパ、アジアの国々へ輸出を行っています。

売上高は、コロナ禍による経済活動の制限や移動制限などの規制が緩和されたことなどにより、主に「養命酒」の売上の回復傾向が見られたことで、2億1,300万円となりました。

くらすわ関連事業

くらすわ関連事業についてです。店舗は地元客に向けた広告やレストランメニューの更新を行いました。通販は、冬向けギフトカタログの制作を行いました。ギフト向け販売は、既存取引の拡大と新規取引先の開拓に取り組みました。

売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け減少していた来客数が回復しつつあり、4億8,400万円となりました。

くらすわ関連事業の取り組み

くらすわ関連事業の取り組みです。お歳暮や大切な方への贈り物用にご利用いただける「くらすわ冬カタログ」を11万部作成し、配布を進めています。主な商品として、なべの素「養生なべ」や、信州十四豚(しんしゅうジューシーポーク)ソーセージ、フリーズドライのお粥「五養粥」などを掲載しています。

下期重点施策

2023年3月期下期施策と見通しをご説明します。まず、養命酒関連事業の下期の重点施策です。「養命酒」は、最需要期におけるテレビCMを中心としたマーケティング活動と、効率的、効果的な店頭施策を行い、新規飲用者の獲得と継続飲用者の維持を目指します。

酒類・食品については、酒類は「クラフトジン」のほか、高麗人参酒など「3種のお酒」を中心とし、食品は「養命酒製造クロモジのど飴」「グミ×サプリ」「五養粥」を中心に、ドラッグストアやスーパーなどの既存取扱店のほか、生協および調剤薬局の開拓を積極的に進め、通年商品としての定番化を目指します。

プロモーション(養命酒)

下期の「養命酒」のテレビCMは、引き続き草刈正雄さんにご出演いただいています。草刈正雄さん演じる「養命先生」が、母親の体調を心配する女学生に「一歩、一歩、健康になればいい」とアドバイスする内容となっています。

「薬用養命酒」は体が本来持つ治癒力や回復力を高め、少しずつ健康な体に導いていくものであることを表現しています。なお、「養命」は当社の登録商標です。

下期重点施策

くらすわ関連事業の下期重点施策です。店舗は、スタッフの採用や人材育成に注力し、全国旅行支援などによる人流増加に対応した運営に努めます。通販は、ギフトカタログなどでの商品紹介を強化するとともに、組織体制作りに着手していきます。ギフト向け販売は、カタログ販売の既存顧客との取引拡大を進めるとともに、新規取引先の開拓を中心に活動していきます。

通期業績(予想)

業績予想です。売上高は109億1,000万円、前期比3.1パーセント増となる見込みです。利益面については、営業利益は前期比1.4パーセント増の10億1,000万円、経常利益は前期比0.6パーセント増の13億7,000万円、当期純利益は前期比5.3パーセント増の10億円を見込みます。

なお、10月11日に中間業績予想の修正を行いましたが、通期業績予想の修正はありません。

セグメント別売上高(予想)

セグメント別売上高予想です。養命酒関連事業全体では、前期比0.8パーセント増の99億1,000万円を見込んでいます。内訳は、国内養命酒は前期比2.1パーセント増の82億円、酒類・食品は前期比10.7パーセント減の8億8,000万円、海外は前期比3.3パーセント増4億3,000万円、不動産賃貸・太陽光発電は前期比1.4パーセント増の3億8,000万円を見込んでいます。

くらすわ関連事業全体では、前期比34.5パーセント増の10億円を見込んでいます。

くらすわ関連事業 体験型施設の進捗状況

続いて、トピックスです。ブランドシンボルとして駒ヶ根工場敷地内に建設予定の、体験型施設の工事進捗状況についてお知らせします。施設などの開業は現在のところ、2期に分けて行う予定で、第1期のオープンは2023年4月を予定しています。

第1期工事では、体験型施設との世界観の統一、商業性、運営効率を意識し、既存施設をリニューアルします。「くらすわ駒ヶ根店」のショップは、売場面積の拡充を行い、取扱いアイテムの充実を図ります。

「養命酒ハーブの庭」は、「ウェルカムガーデン」としてリニューアルします。また、これまでガイド付きでご案内していた工場見学は、お客さま自身のペースでご覧いただける仕組みへと変更します。

また、「養命酒」をはじめとした当社酒類・食品製品を試飲、購入いただけるショップを併設します。具体的なオープン日や施設の詳細については、決定次第あらためてご報告します。

塩澤氏からのご挨拶

最後になりましたが、私より少しお話しします。みなさまのおかげをもちまして、当社は来年2023年6月20日に会社創立100周年を迎えます。100周年記念として実施する取り組みについては、年明け以降になるかと思いますが、決定次第お知らせします。

また、当社は次の100年に向けて動き出しています。「次の100年に向けた成長投資と持続的成長基盤の確立」を基本戦略とした新たな中期経営計画を策定し、これまでの100年を礎に、次の100年に向けて新たな取り組みを進めていきます。

中でも大きな取り組みとしては、長野県駒ヶ根市にある駒ヶ根工場敷地内への体験型施設の建設です。施設は現在、企画・設計を進めていますので、先ほどご説明したとおり、第1期工事では工場敷地内の既存施設のリニューアルを実施し、みなさまをお迎えする体制を整えていきます。

当社は引き続き、経営理念である「生活者の信頼に応え、豊かな健康生活に貢献する」を実現できるよう事業活動を推進してまいりますので、引き続きのご支援、ご協力をいただけますようお願い申し上げます。

記事提供: