世界株がほぼ全面高になった1週間

先週(2017年5月22日-26日)の世界の株式市場は、市場全体に安心感が広がりほぼ全面高になりました。主要市場の週間騰落率は、現地通貨ベースで米S&P500が+1.4%、上海総合が+0.6%、TOPIXが+0.6%、独DAXが▲0.3%となりました。欧州株のみ一服だったと言えるでしょう。

米国の予算教書、米国の5月のFOMC議事録、米国の1-3月期実質GDP成長率の上方修正、OPEC減産合意、G7開催など材料は豊富でしたが、市場の流れを大きく変えることはありませんでした。米国の経済指標は引き続き良いもの悪いものが混在していますが個人消費と民間投資を要因とする1-3月の実質GDP成長率の上方修正はポジティブな材料と言えるでしょう。さらに欧州の景気指標は緩やかな改善をしめしており、株式投資の環境としては悪くない状況が続いていると言えます。

なかでも米国の恐怖指数(VIX指数とも呼ばれる)は週間で▲19%と急低下し9.81という低い水準で週を終え、市場のセンチメントがリスクオンになっていることを示しています。物色動向を見ると、テクノロジー主力株が牽引する形でナスダック指数が相場を牽引しており、さらに韓国・ブラジル・インド・香港・台湾などの新興国市場の株式もしっかり上昇しました。欧州株は小幅安にとどまりまったと言えそうです。

アウトルック:米雇用統計待ち。6月米利上げ後も世界株のなかで資金が循環できるか

今週(2017年5月22日-26日)は、主要国で重要なマクロ指標の発表が相次ぎます。従来通り世界的に回復基調を続けているのか、米国の地区連銀経済報告と5月雇用統計、欧州の5月の消費者物価、中国の5月の製造業購買担当者景気指数などで確認をすることになるでしょう。

さきほどのVIX指数の低下で触れたように、市場はやや楽観論が占めているようにも思います。今週は、ロシアゲート問題はもちろんですが、ムーディーズの格下げを受けた中国の人民元の動向に注意を払っておくべきでしょう。

椎名 則夫