平均値から逆算した理想の貯蓄額
老後に必要な貯蓄額を計算しましたが、満額備えておく必要はありません。
厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」に記載された平均年金月額を見てみましょう。
- 男性:厚生年金16万4742円 国民年金5万4338円
- 女性:厚生年金10万3808円 国民年金5万426円
これらの年金額を平均寿命まで受け取る場合の金額は、次のとおりです。
【男性】
- 厚生年金16万4742円 × 12ヶ月 × 16年 = 3163万464円
- 国民年金5万4338円 × 12ヶ月 × 16年 = 1043万2896円
【女性】
- 厚生年金10万3808円 × 12ヶ月 × 22年 = 2740万5312円
- 国民年金5万426円 × 12ヶ月 × 22年 = 1331万2464円
老後にかかる費用との差額を計算すると
【男性】
- 厚生年金の場合:3163万464円 - 2949万3312円 = 213万7152円
- 国民年金の場合:1043万2896円 - 2949万3312円 = ▲1906万416円
【女性】
- 厚生年金の場合:2740万5312円 - 4055万3304円 = ▲1314万7992円
- 国民年金の場合:1331万2464円 - 4055万3304円 = ▲2724万840円
老後までに貯蓄しておきたい金額が分かります。
今回は30歳の女性が貯蓄を始めると仮定した場合、65歳までに月々いくら貯めれば良いかを計算しました。
- 厚生年金の場合:1314万7992円 ÷ 35年 ÷ 12ヶ月 = 約3万1305円
- 国民年金の場合:2724万840円 ÷ 35年 ÷ 12ヶ月 = 約6万4859円
国民年金加入者の場合、毎月約6万5000円貯蓄するのは大変です。利息がつかない預金だけでなく、NISAやiDeCoの活用も視野に入れると良いでしょう。
最近では、金融庁が2023年度の税制改正要望に、個人が活用するNISAの投資上限引上げや、各NISA制度の期限恒久化を求めると発表されました。
実際に制度改正が行われれば、老後資金の運用がより活発化するでしょう。来年度のニュースに注目です。
状況に合わせた柔軟な貯蓄計画を立てよう
今回の計算結果は、あくまで統計の数値から導き出したものです。
ご自身の年齢や収入、ねんきん定期便に記載された年金額などを参考にしながら、将来必要となる資金について考え、その時々に合った貯蓄方法を実践してみてください。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]令和3年調査結果」各種分類別データ
- 国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計) 2018(平成 30)年推計」
- 総務省統計局「家計調査報告」
- 厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」
小見田 昌