GW明けの株式市場はリスク選好(リスクオン)相場が復活

5月のゴールデンウイーク(GW)後の相場は、日米ともに堅調に推移しています。それまで、4月の日本の株式市場は月中の値幅が1,064円で今年に入って最大となるなど、乱高下の様相でした。

また、以下の記事でも指摘されていたように、GW中は海外で重要経済指標(FOMCや雇用統計発表など)が発表されることから、その内容次第ではGW明けになって相場の景色が大きく変わり、4月に続き5月も波乱相場となることも警戒されていました。

結果的には波乱は起らず、現状はむしろリスクを選好するリスクオン相場が復活しています。

出所:GW期間中に風向きが大きく変わる? 5月相場の注意点(投信1)

では、GW中に発表された経済指標はどのような内容で、なぜ相場に安心感をもたらしたのでしょうか。この点について次の記事から探っていきましょう。

なぜ、風向きが変わったのか

まず、5月5日に発表された4月の米国雇用統計を以下の記事からおさらいしてみましょう。ポイントは以下の通りです。

1)4月の非農業部門雇用者数は前月比21.1万人増と、市場予想(19.0万人増)、前月(7.9万人増で速報値9.8万人増から下方修正)を上回る。ここでの注目点は、幅広い業種で雇用が増加していたことで、たとえば雇用の受け皿としての期待が高い民間サービス部門での雇用者数が大幅に増加していた点である。また、3月はマイナスであった小売は、小幅ながらプラスに転じ、家計需要と連動する傾向が見られる娯楽・宿泊関連や教育・医療サービスが大幅に改善していたことも注目される。

2)家計調査に基づく4月の失業率は4.4%と、市場予想(4.6%)、前月(4.5%)を下回った。ここでも、U6失業率(経済的理由によるパートタイム等を含めた失業率)は8.6%と、前月から0.3%低下するなど、失業率が質の点でも改善していたことが注目される。

以上のように、米国経済を雇用という観点からチェックすると、極めて順調であることが確認されます。

GW前の4月28日に発表された米国の1-3月期GDP(国内総生産)が前期比年率で0.7%と、前期(2016年10-12月期)の同2.1%を大幅に下回ったことから、米国経済の風向きの変化を懸念する声が多く聞かれましたが、そうした懸念を晴らす内容であったということになります。

出所:【米国景気】1-3月期のGDP減速を4月雇用統計から見ると?(投信1)

6月利上げは確実視されるようになったが、その後は?

GW中に発表されたFOMCや雇用統計を受けて、米国の6月利上げの可能性はほぼ確実視されるようになってきました。その結果、円安が進行し日経平均は上昇しています。

一般的に、米国の金利引き上げは米国株や世界の株式にとっては悪材料とされていますが、一方で日本株は例外であるとも言われています。その理由は、米利上げは米景気が好調なときに実施されることが多く、また、米利上げは円安(ドル高)につながりやすいためです。

この経験則が今回も活かされそうですが、一方で以下の記事で指摘されているように、6月以降(9月および12月)の利上げには、なお金融市場は疑心暗鬼であることには注意が必要でしょう。

5月はまだ半分以上が残っています。3回目の利上げが遅れる可能性があるのであれば、セル・イン・メイ(株は5月が天井)の可能性も残っていることには留意したいと思います。

出所:6月利上げでますます深まる“イエレンの謎”とは?(投信1)

今が旬のナスダック100

とはいえ、日米の相場が堅調な理由は米国経済の好調だけではありません。政治リスクの後退(米トランプ大統領による景気対策、朝鮮半島情勢、フランス大統領選挙の行方)や企業業績の改善期待も大きなサポート材料となっています。

また、「株式フレンドリー」な相場環境にあるとはいえ、全ての株が買われるのではなく、セクター(業種)ごとにばらつきがあることには注意したいと思います。ちなみに足元の米国市場で最も好調なのはハイテクセクターであり、とりわけナスダック100指数の好調ぶりには目を見張るものがあります。

以下の記事で詳しく解説されているように、ナスダック100指数は、ハイテク(IT)分野、バイオテクノロジー分野、ニュービジネス分野の代表的企業群から構成されており、アップル(AAPL)やアマゾン・ドット・コム(AMZN)、フェイスブック(FB)などが上位銘柄となっています。

ドルベースでの上昇に加え、今後も為替が円安方向に推移すると考えるのであるのであれば、東証に上場しているナスダック100指数に連動した投資成果を目指すETF(上場投信)は一考に値するのかもしれません。

出所:リスク選好が回復-ナスダックにみる成長期待(楽天証券)

LIMO編集部