厚生年金・国民年金から天引きされるお金を4つ解説
私たちが働いて給料をもらうとき、額面と手取りは違いますよね。具体的には、「税金」と「社会保険料」が天引きされます。
実は年金からも、こうした天引きされるお金が4つあります。
厚生年金・国民年金から天引きされるお金1. 所得税
給料に所得税がかかるように、一定額以上の年金にも所得税がかかります。公的年金は雑所得となり、65歳以上の場合は年金額が158万円を超えると課税される可能性が出てきます。
ただし、障害年金や遺族年金を受給する場合は非課税です。
厚生年金・国民年金から天引きされるお金2. 市区町村民税(個人住民税)
前年中の所得に対してかかる住民税。こちらも年金生活になれば、年金から天引きされます。
総務省の「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支」によると、65歳以上の高齢単身無職世帯では、直接税として6430円が記載されています。
平均のため個人差はありますが、税金が年金から天引きされることは理解しておきましょう。
厚生年金・国民年金から天引きされるお金3. 健康保険料
65歳以降に会社の保険に加入しない場合、国民健康保険に加入することになります。こうした保険料は、年金からの天引きで納めます。また75歳以上になれば今度は後期高齢者医療制度に加入しますが、こちらの保険料も年金からの天引きです。
これらの天引きについては一定の条件もあるため、納付書等の普通徴収になるケースもあります。しかし、それでも支払いの義務はあるため、実質年金天引きと負担は変わらないでしょう。
厚生年金・国民年金から天引きされるお金4. 介護保険料
65歳以降は介護保険料を単体で支払う必要があります(それまでは健康保険料に含まれる)が、こちらも年金から天引きされます。
介護状態になれば保険料の支払いが終わると勘違いする方もいますが、介護保険料の支払いは一生涯続きます。
介護を利用する際に自己負担が軽減される大切な制度なので、保険料の支払いは必須です。それでも少ない年金から天引きされることは、痛い出費に感じる方も多いでしょう。
超低金利時代の今日、銀行預金だけでは大きく貯蓄を増やすことは難しいでしょう。公的年金だけに頼らず、自力で老後資金を準備していく発想が重要です。たとえば、iDeCoは将来の年金を準備することができる制度です。
iDeCoは掛金が全額所得控除の対象であるうえに、運用益に所得税がかからないといった特徴があります。
人生100年時代の今日、豊かな老後生活を手に入れるためにも、まずはご自身のマネープランをじっくり考えてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「年金の繰上げ・繰下げ受給」
- 厚生労働省「令和3年度の国民年金の加入・保険料納付状況について~ 令和3年度の最終納付率は 78.0% ~」(令和4年6月23日)
齊藤 慧