2017年も例年通り3月末はIPOラッシュとなっています。3月19日の週は7社がIPOしました。ベンチャー系の企業から、地方の中堅企業まで顔ぶれは非常に多彩となっています。しかしながら、2017年これまで続いてきた公募割れなしの記録が、遂にマクロミルで途切れることになりました。

IPOラッシュの最初の週、そして2017年初の公募割れ銘柄が出てしまった3月19日の週のIPOを振り返るとともに、今週のIPO銘柄について概観します。

3月19日の週のIPO銘柄

3月19日の週には下記7銘柄がIPOを行いました(注)

  • 3月21日 インターネットインフィニティー(6545)(公募価格1,320円→初値5,040円:騰落率282%)
  • 3月21日 力の源ホールディングス(3561)(公募価格600円→初値2,230円:騰落率272%)
  • 3月22日 マクロミル(3978)(公募価格1,950円→初値1,867円:騰落率▲4%)
  • 3月22日 フルテック(6546)(公募価格600円→初値1,230円:騰落率105%)
  • 3月23日 グリーンズ(6547)(公募価格1,400円→初値1,521円:騰落率9%)
  • 3月24日 ソレイジア・ファーマ(4597)(公募価格185円→初値234円:騰落率26%)
  • 3月24日 オロ(3983)(公募価格2,070円→初値4,750円:騰落率129%)

注:日本取引所グループ「新規上場会社情報

上記で特に注目を浴びたのは、本社を福岡に置く力の源ホールディングスです。同社が運営するラーメンチェーン店「一風堂」は抜群の知名度を有しているため、そのIPOはマスコミ等で広く取り上げられました。

3月21日のIPO当日には、個人投資家を中心に人気化し買いが殺到した結果、上場初日に初値がつかず、上場翌日の3月22日に2,230円という公募価格600円に対し3倍以上の初値が付くこととなりました。

なお、力の源ホールディングスは「一風堂」ブランドの豚骨ラーメン店が中心ですが、約3割の店舗が海外店という構成になっています。今後は海外展開での成長の期待が持たれています。

2017年初の公募割れがマクロミルで発生

これまで初値の公募割れが出ることなく、非常に好調に推移していた2017年のIPO市場ですが、遂に公募割れ銘柄が発生してしまいました。3月22日IPOのマクロミルは公募価格1,950円に対して初値1,867円、騰落率▲4%となり初値が公募価格を割ることとなりました。

同社は以前上場していた会社をファンドの支援により非上場化しており、今回のIPOはファンドのエグジット(出口=資金回収)としての色合いが強く、また多額の有利子負債を抱えている面が嫌気された結果、公募割れとなりました。

ファンドのエグジット的色合いの強い案件は公募割れとなる傾向があり、昨年はコメダホールディングス(3543)のIPOがファンドのエグジット案件の色彩が強い中、知名度が高いにもかかわらず公募割れを起こしています。(公募価格1,960円→初値1,867円:騰落率▲4%)

ただし、他の通常のIPO銘柄ではまだ公募割れは発生していません。通常のIPO銘柄でどこまで公募割れなしの状態が継続するのか、今後も注目したいところです。

3月最終週は7社がIPO

IPOラッシュが続く3月最終週は7社のIPOが予定されています。

知名度の高い銘柄としては、貸し会議室を運営するTKP(3479)、回転寿司チェーン店運営のスシローグローバルホールディング(3563)の2社がIPOを行います。

なお、スシローグローバルホールディングは、今回公募割れを起こしたマクロミル同様、上場会社の非公開化案件、かつファンドのエグジット的な要素が強く、それを投資家がどのように判断するのかが大きな注目ポイントとなります。

まとめ

今週もIPOラッシュが続きます。ただし、先週の傾向から言えば、マクロミルで遂に公募割れが発生したように騰落率にもバラツキがあり、どんな銘柄でも一律で買われるという状況ではなく、銘柄の選別も行われています。

マクロミル同様、スシローグローバルホールディングはファンドのエグジット案件的色合いが強く、その初値が注目を集めるとともに、今後のIPO市場の勢いのバロメーターともなるのではないでしょうか。

IPOラッシュ後の4月のIPO予定は、3月24日時点で5社と少なくなっています。IPOラッシュの週をどのような形で終えることになるのか、今週のIPO状況にも注目したいと思います。

LIMO編集部