2. 吉野家の労働面における経済損失

吉野家は社内で「女性の活躍推進」を目的に、女性が働きやすい職場づくりを進めています。

出所:株式会社吉野家ホールディングス 吉野家での女性活躍推進

出所:株式会社吉野家ホールディングス 吉野家での女性活躍推進

 

「女性ならではの視点や発想をマネジメントに活用すること」「女性の利用者を増やすためのアイデアを社内で生み出すこと」が戦略上の目的にあり、そのために女性採用担当者を配属したり、吉野家女子会を発足させたり、復職支援制度を導入したりと、いろいろな施策を試みています。

しかし、今回の発言を受け、女性従業員の確保・増加にも、支障が生じてしまうのではないでしょうか。

とりわけ、今回の発言が常務取締役というトップ層から出たということで、「経営陣は私たち女性従業員のことも、蔑視しているのは・・・」という憶測が、社内に広まる可能性もありそうです。

人手不足の中、何の工夫もなく採用を進めていては、人件費高騰の影響を大きく受けてしまいます。

しかし、様々な施策を打ち出し、多様な従業員を多く採用することで、吉野家の人件費抑制・労働力確保もある程度効果を生んでいたと推察されます。

今回の発言は、こうした労働面でも、ネガティブな影響をもたらすかもしれません。

3. 吉野家の株価における経済損失「株主優待はもういらない?」

株式市場でも影響があるかもしれません。

吉野家が2022年3月4日に発表した「吉野家ホールディングス株主アンケートの集計結果」によると、吉野家の個人株主のうち、女性が占める割合は23%です。

個人株主の中には、「優待を使って牛丼を食べたいから株式を保有している」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

つまり、今回の発言を受けて「吉野家の牛丼をもう食べたくない」と感じた場合、上記のような株主にとっては株式を持つ理由がなくなります。

この場合、株は売られることになるでしょう。

実際、2022年4月19日の午前11時前時点で、日経平均株価が小幅高で推移する中、吉野家の株価は約4%下落しています。

次回の株主総会では、もしかしたら同発言について、株主から何らかの指摘・質問もあるかもしれません。