2. 国民年金・厚生年金の積立金の運用者
年金の積立金は、誰が運用しているのでしょうか。
答えは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)です。
2.1 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)
GPIFは厚生労働省所管の独立行政法人で、厚生労働大臣から寄託を受け、厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行っています。
年金積立金の運用は、厚生労働大臣が定めた「中期目標」において、「長期的に、積立金の実質的な運用利回り※として1.7%を最低限のリスクで確保すること」が要請されています。
※積立金の運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたもの
ちなみに資産運用の世界では、運用目標に賃金上昇率が使われることは一般的ではないです。
ではなぜ、年金積立金の運用目標は賃金上昇率をもとにしているのでしょうか。
それは、公的年金の保険料収入と年金給付が、賃金水準の変化に応じて変動するからです。
そして、このような収支構造の中で、年金積立金の運用が年金財政の安定に貢献するためには、長期的にみて賃金上昇率を上回る運用収益を確保する必要があるからです。
3. 国民年金・厚生年金の積立金の運用者の年収
では、GPIFの人の年収はどのくらいなのでしょうか。
厚生労働省が発表した「独立行政法人の役員の報酬等及び職員の給与水準の公表について(令和2年度)」によると、GPIFの役職別の年収は以下のようになります。
3.1 GPIFの令和2年度の役職別年収
- 理事長:2837万円
- 理事:1616万~2749万円
- 経営委員:607万~1869万円
- 常勤職員:880万円
トップの年収は3000万円近くあるほか、常勤職員の年収も約900万円と高めです。
なお、報酬についてGPIFは「高度で専門的な人材確保ができるよう、民間の資産運用業界(日系中央値~外資中央値)の実態を踏まえた市場水準をもとに設定した」と説明しています。
国民の大切な年金を運用する以上、有能な人材を雇うために高い報酬を支払うのは、当然かもしれません。