みなさんは老後の収入源と聞くと何を思い浮かべるでしょうか?

退職金や、企業年金、ずっと働くなどいろいろな答えがあると思いますが、公的年金をイメージされる方が多いと思います。

老後の収入源として年金に加入するわけですが、厚生労働省の「平成30年高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書」によると、33.6%の人が老後の生活費について不安と答えています。また、29歳以下では46.6%、39歳以下で49.6%と若い世代を中心に老後の生活費に不安を感じているようです。

若い世代を中心に不安と答えた方が多いのですが、実際どの程度年金が受け取れるか把握している方は少ないのではないでしょうか。

そこで今回は実際にどの程度年金が受け取れるのか、特に年金から引かれるお金も踏まえて考察したいと思います。

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公的年金について

まずは日本の公的年金の制度について確認です。日本では国民年金と厚生年金の「2階建制度」が採用されています。

お給料から天引きされる方や自分で支払っている方など、支払い方が違うように年金の種類も2つに別れています。

それぞれいくらくらい受けとっているのか確認してみましょう。

国民年金の平均額はいくらか

国民年金の平均受給額を厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から確認します。

全体平均 5万6252円

  • 男性 5万9040円
  • 女性 5万4112円

満額支給が6万5075円(令和3年度)ですから平均額は満額より1万円ほど少ない結果でした。また、受給額に男女間での差はあまりないようです。

厚生年金の平均額はいくらか

続いて、厚生年金(2階部分)の平均額を確認します。

全体平均(国民年金含む) 14万4366円

  • 男性(国民年金含む)   16万4742円
  • 女性(国民年金含む)   10万3808円

国民年金だけの受給に比べて全体平均では8万8114円多いことが分かります。また、国民年金と違い男女差も大きいことが確認できます。

年金から天引きされる4つのお金とは

公的年金の平均額を確認しましたが実際に受け取る金額と一致しない点に注意が必要です。

現職中の給与明細にも、「総支給額」と「差引支給額」が一致しないことが確認出来ると思います。公的年金から天引きされる主なお金は以下の4つです。

公益社団法人生命保険文化センター「公的年金の税金はどうやって計算される?」を参考にそれぞれ確認してみましょう。

年金から天引きされるお金1.所得税

まずは所得税です。年金が一定額を超えると所得税がかかります。

65歳未満の場合には108万以上、65歳以上の場合には158万円以上の年金を受給する場合に課税される可能性があります。

年金収入のみであれば確定申告は不要ですが、控除対象となるものがあれば確定申告を行い税金の還付を受けることをおすすめします。

年金から天引きされるお金2.市町村民税(個人住民税)

続いて住民税です。住民税は前年の収入に対して支払い額が決まるため退職の翌年は注意が必要です。

2年目以降は天引き額も少なくなりますが、住民税も年金から天引きされる税金の1つです。

年金から天引きされるお金3.健康保険料(国民健康保険や後期高齢者医療保険など)

年間に18万円以上の年金支給がある場合には健康保険料、後期高齢者医療保険も天引きされます。

天引きされない場合でも普通徴収として納める必要があるため、年金から天引きされるお金として考えた方が良いでしょう。

年金から天引きされるお金4.介護保険料

40歳から納付が始まる介護保険料も天引きの対象となります。65歳までは健康保険料に含めて請求が行われますが、65歳からは単独で請求が行われます。

市町村によって介護保険料は異なりますのでお住まいの地域ではどの程度なのか確認してみるのも良いでしょう。

また、介護保険料は3年に一度見直しが行われます。「人生100年時代」と長生きの時代ですから介護保険料の上昇には注意が必要です。

年金だけで十分なのか

ここまで公的年金の平均受給額と年金から天引きされるお金を確認しました。

男性では厚生年金の平均額が16万円でしたので年間158万円を超えるケースが想定されます。所得税や保険料などが天引きされると手取り額は思ったより少なくなるでしょう。

国民年金や女性の厚生年金の場合には所得税の課税は無いかもしれません。しかし、健康保険料や介護保険料などが天引きされるため手取り額には注意が必要です。

このように天引きされる金額があるため、公的年金が思ったより少ないと感じた場合には対策が必要でしょう。

様々な対策が用意されていますが、まず自分自身が描くライフプランを作成してみるのが良いでしょう。人生100年時代と長い老後生活をどのように過ごすのか、今回の資料が将来を考えるきっかけとなれば幸いです。

参考資料

徳原 龍裕