不当解雇と認めてもらうまで収入はどう確保したらいいのか

前置きが長くなりましたが、不当解雇と認めてもらうまでの期間は短くても数カ月、長い時は1年以上かかることもあります。通常、会社からはその期間の給料が支払われることはありません。では、その間の収入はどう確保すればいいのでしょうか。

1.仮処分の申し立てをする。

これは正式な裁判をすれば半年や1年以上かかるため、「仮」の処分として生活のために必要な給料の支払を求めて裁判をする方法です。たとえば、給料月額30万円とした場合、最低20万円はないと生活できない場合に20万円を会社に支払ってもらうための裁判手続です(あくまでも仮の裁判手続のため満額を請求することは難しいです)。

なお、残りの10万円を支払ってもらうためには、改めて正式な裁判を行わなければなりません。

2.失業保険の仮給付を受ける

会社を退職した場合に離職票をもってハローワークに失業保険金の申請をされた経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。不当解雇をされた場合でも、同じように失業保険金の給付申請をして、毎月受領することができます。

ただし、あくまでも「仮」の給付申請になります。その後、不当解雇が認められて、会社から未払給料を支払ってもらった場合には、ハローワークにそれまで受け取った失業保険金を返還しなければなりません。

3.別の会社で仕事をする

生活のために別の会社(以下「B社」といいます)で仕事をしながら収入を得るという方法もあります。

ただし、解雇を争っている会社(以下「A社」といいます)との関係では次のような問題があります。B社から受け取っている給料の一部を、A社に請求する未払給料から差し引かなければならなくなる可能性があるのです。

差し引かなければならない金額は最大でA社の給料の40%とされています(最一小判昭和62年4月2日【あけぼのタクシー事件】)。

たとえば、A社の給料が30万円で、B社から20万円の給料を受け取ったとします。その場合、A社の給料の40%である12万円はA社には請求できず、A社から支払ってもらえるのは18万円になります。

なお、B社での仕事がアルバイトのようなものであり、A社に勤務しながらもB社の仕事をできる程度の副業的なものであれば、差し引かなくてもよいとされる場合もあります。

4.最善の方法とは

他には、ご自身の預金や親族の援助を受けながら生活をする方法もあると思います。どの方法がいいかは、その人その人の考えやライフスタイルなどに応じて様々だと思いますので、個別に弁護士に相談されるといいでしょう。