2022年3月26日にログミーFinance主催で行われた、第34回 個人投資家向けIRセミナー Zoom ウェビナー 第4部・株式会社うるるの講演の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社うるる 代表取締役社長 星知也 氏
元ファンドマネージャー/元ディーラー 坂本慎太郎(Bコミ) 氏
タレント/ナレーター 飯村美樹 氏

自己紹介

星知也氏(以下、星):まずは自己紹介をさせていただきます。私は1976年10月生まれで、「76世代」とよく言われていた世代です。高校卒業後、オーストラリアに1年間滞在していたときにいろいろなものを見て、その中でエアーズロックに非常に感銘を受けました。

エアーズロックは原住民のアボリジニの言語で「ウルル」と言うのですが、それが社名の由来になっています。高校卒業後はそのように、いろいろなところに行ったり、いろいろなものを見たり、いろいろな人と出会ったりといったことをずっと経験していました。

当時、子育てや家族の介護などで外に働きに出られない方などは、内職くらいしか収入を得る機会がなかったため、帰国後に入社した会社で、インターネットやパソコンを活用してできる仕事、いわゆる在宅ワークをスタンダードな働き方にしようということをビジョンに掲げ、「うるる」を社名として社内創業しました。2006年にMBOにより独立して、2017年3月に東証マザーズ市場に上場した会社です。

目次

:本日は会社と事業の紹介、および中期経営計画についてお話しします。現在は5ヶ年の中期経営計画の期間中ですので、このあたりの足元の実績についてもお話しできればと思っています。

ところで、「うるるってエアコンを作ってる会社でしょう」と言われることがよくあります。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):勘違いされてしまうのですね。

:本日覚えておいてほしいのは、「うるるはエアコンを作っている会社ではない」ということです。それだけはしっかりと覚えていただければと思います。

企業概要

:事業概要です。当社は中央区晴海にオフィスを構えています。もともとは札幌で創業して東京に進出し、そこからMBOを実施して現在に至ります。

札幌で営業していた時からクライアントの大半が東京都中央区におり、その付近にオフィスを構えるのがよいと考えました。また、札幌と東京を行き来するため、羽田まで近いことも利点でした。

当時、東京に住んでいる人からも「どこにあるの?」と言われる勝どきにオフィスを置いていました。今や「タワマンの聖地」のようになっています。

坂本:そうですよね。オリンピックがあったエリアも同様です。

:非常ににぎわっている町にオフィスを構えていますが、今はほぼリモートでの業務になっています。従業員は連結で280名くらいの会社規模です。

社名の由来

:社名の由来に関しては先ほどお伝えしたとおり、原住民のアボリジニの言語でエアーズロックを「ウルル」と呼ぶことから、それをそのまま社名としています。

うるるのビジョン

:当社のビジョンは「人のチカラで世界を便利に」というものです。2003年から事業を始めているのですが、その頃はちょうど、2007年問題が社会課題になると言われていました。

2003年頃から、2007年に団塊の世代の方々が退職し始めるということで、日本の労働力がどんどん減っていくとともに、少子高齢化が進んでいくことが予想されていました。この2007年問題がささやかれていたことを背景に、労働力不足を補えるような事業を立ち上げたいと考えました。

さらに、小さな子どもを持つ主婦の方や、家族に介護が必要な方など、働きに出られない方々がインターネットやパソコンを活用することで、場所や時間にとらわれずに働けるような時代が来つつありました。

一番大きな変革は、インターネット通信が大容量になったことです。昔は電話回線でインターネットをつないでいたのをご存じですか?

飯村美樹氏(以下、飯村):存じています。接続時に「ピーピーピー」と鳴っていたものですね。

:あれはナローバンドと言います。今はブロードバンドですが、昔はつないだ分だけ電話料金がかかるという時代でした。それが常時つないだままにできる、大容量データの通信ができる回線になったことが非常に大きな変革でした。

坂本:そうですね。それまではテレホタイムまで待たなければいけませんでした。

:そのような時代もありましたね。技術革新によって働き方がどんどん新しくなるという変革期でしたし、在宅で働く方々も労働力としてカウントできるようになってきたという時代背景もあり、これまで労働力としてカウントされなかった在宅ワーカーの活用によって労働力不足を解決していこうというビジョンを立てて、事業を展開してきました。

経営陣紹介

:当社のボードメンバーをご紹介します。スライドに写真が出ているのは、取締役や執行役員を務めている10名です。社外の方によく驚かれるのですが、我々は創業メンバーも含めて、誰1人辞めていないのです。

坂本:それはすごいですね。

:あまり意識していなかったのですが、本日のように誰かとお会いすると「誰も辞めていないのはすごいね」などと言われます。

坂本:反対に、ストックオプションをもらっていなくなったり、上場時の上場益を持って辞めたりという話はよく聞きます。

:東証の方に「珍しいね」と言われて自覚したくらいです。組織作りはやはり重要で、「人と楽しく」ということを重視しています。組織の問題の9割くらいは人間関係だと思っており、我々はこの「人間関係を円滑にする」ことに大きなエネルギーを注いでいます。それが誰も辞めていないというところにつながっているのかもしれません。特徴としては、ボードメンバーは誰も辞めていないという会社です。

組織の特徴

:ここでは組織の特徴をまとめています。スライド中央上部にある経営スタイルですが、合議かワンマンかで言いますと、大半は合議に寄ります。

右上の写真は経営合宿の様子です。このような場で私が「右だ」「左だ」と言って何かを決めるのではなく、私を含めみんなで議論して、合議制で納得して働くというところにスピリットを掲げている会社です。経営陣、社員などの立場は関係なく、「なぜこうするのか」「なぜこうしないのか」ということを、みんなできちんと議論して決めていく風土があります。

特徴的な制度として左上に箇条書きしています。「飲みゅーん」は、現在はオンラインメインで実施しておりますが、社員をシャッフルして数名のチームを作り、会社が費用を負担して、オンラインランチ会やオンライン飲み会を行うなど他部署の人とコミュニケーションを取れる制度です。

「うる水」は「うるる水曜日」の略です。現在は定例開催はストップしていますが、隔週の水曜日にライトニングトーク(LT)を行っていました。内容は例えば、「前職は栄養士でした。栄養士の業界はこんな世界ですよ」など、何でもよいです。そのようなプレゼンテーションを各自10分くらいで行い、対面形式で実施していた以前は、参加者はピザを食べたりビールを飲んだりしながら聞いて、質問などを通して楽しく交流するイベントです。

「目安箱」は意見収集で、例えば直接私に「あそこの電球が切れてるから替えてほしい」などの要望が来ることもあります。

飯村:直接なのですか。

:その場合はすぐにコンビニへ行って、電球を買ってきて取り替えます。

坂本:社内の不満がなくなるのはよいことですね。

飯村:風通しのよさが本当によく伝わります。

:このような感じで、会社の組織作りにかなり力を入れている会社です。

深刻化する日本の労働力不足

:当社の事業は、冒頭でもお話ししたように、2003年頃から「労働力不足が深刻な社会問題になる」という2007年問題の予想が出てきたことに端を発します。実際に、日本の労働力不足がどのくらい深刻か、インパクトがあるのかを示すのがスライドのグラフです。

今から20年後には、労働人口の約20パーセント、人数としては1,600万人くらい減少することが推計されています。統計では1人当たりの平均年収は432万円となっていますが、これを単純に1,600万人と掛け合わせると69兆円と試算されます。現在より69兆円分の労働力が喪失することになりますが、これが日本という国の未来です。この人口推計はほとんど変わらないもので、おおよそ正しい数値と言えます。

国力にも関わってくるお話ということで、国としてもいろいろな対策を講じて、労働力不足による国力の衰退を防ごうとしています。実施している対策の中で一番インパクトのあるものが、働き方改革です。

平たく言いますと、働き方改革とは「一人ひとりの生産性を上げましょう」という政策です。以前は長時間労働の是正というところにフォーカスされがちでしたが、働き方改革の本来の目的は生産性向上です。実際に国としても取り組み始めているのですが、我々はこの失われる69兆円の労働力を逆手に取り、ここで新たな事業や産業が作れるのではないかと考え、ビジネス展開しようとしています。

日本が掲げる社会問題を解決できるような企業になろうということで、2006年に「人のチカラで世界を便利に」というビジョンを掲げて創業しました。

事業内容

:具体的に何をしているのかについて、時系列でわかりやすくお話しします。まず、この労働力不足を解決するために我々が最初に着目したのが主婦です。子どもがまだ小さかったり、家族に介護が必要だったりという理由で外で働けない方々です。日本は専業主婦の最も多い国なのです。

今は5割以下になってきていますが、少し前までは7割、8割が専業主婦でした。このような国は他にあまりないです。極端な話ですが、中国では98パーセントくらいが共働きです。

世界の標準と比較すると、日本はかなり専業主婦が多いという状況があり、その方々を労働力として活用できないかと思い、最初に在宅ワーカーの方々に「どのような仕事をしたいですか?」というアンケートを取りました。その結果、誰でもできるようなデータ入力の仕事に興味のある方が一番多かったのです。

そこで、我々がデータ入力の仕事を企業から受けて、それを在宅ワーカーの方々に再委託し、労働力として活用しようと考えて最初に始めたのがデータ入力専門店です。今はBPOと言われていますが、当時はそのような言葉もまだなく、データ入力専門店として創業しました。Webサイトを作ったところ、企業からけっこう引き合いがあり、非常によい立ち上がりを遂げました。

2番目に始めたのが、マッチングサイト「シュフティ」です。これは、我々が介在して在宅ワーカーに再委託するのではなく、企業と在宅ワーカーとがWebサイト上で直接マッチングして、受発注のやり取りができるというサービスです。今ではクラウドソーシングと言われることが多くなりました。

現在は40万人以上の、主婦をはじめとしたさまざまなワーカーの方々が登録しており、日々データ入力やデータ収集などのお仕事に取り組んでいます。庭の掃除などの案件も流通することがありますが、比較的誰でもできる簡単なお仕事が多いクラウドソーシングサービスを運営しています。

3番目に始めたのはCGSです。これは我々が作った言葉なのですが、在宅ワーカーを活用して生成されたサービス、Crowd Generated Serviceの頭文字を取ってCGSとしています。これはBPOの事業を通じて、大量の在宅ワーカーを活用するノウハウが当社にいつの間にか貯まっていたことが、立ち上げの背景にあります。

「在宅ワーカーはこのような仕事ができる」「どのようなリスクがあるか」「いくらの報酬を払えばどのくらい人が集まるか」など、作ったサービスに対してどのくらいワーカーコストがかかり、どのようなリスクを負う可能性があるのかを、我々は感覚的に理解できます。その知見を活用して、B向けのサービスが多いのですが、労働力を提供するためのWebサービスを作っているのがこのCGSです。

後ほど詳しくご説明しますが、「NJSS」「えんフォト」「fondesk」「OurPhoto」など、いろいろなCGS、Webサービスを展開しています。一見バラバラの事業なのですが、裏側で大量の在宅ワーカーを活用しているところが共通点です。BPOからクラウドソーシング、CGSと、これまでに一貫して在宅ワーカーを活用する事業を展開しており、プロダクトとしては5つ、6つあります。

プロダクトの多さゆえ、「うるるは結局何屋さんなの?」「エアコン作っている会社でしょう?」となってしまいがちです。

飯村:回り回って、大きな誤解を生んでしまいますね。

:そうなのです。一貫しているのは、在宅ワーカーを活用しているということです。なぜなら、労働力不足を解決するところに事業を創出したいからです。

坂本:この後お話しされる「NJSS」も、当然この労働力を活用されているということですね。

:おっしゃるとおりです。

成長戦略

:成長戦略です。これからの展開ですが、我々は、2040年までに喪失する69兆円の労働力は代替・補完されるだろうということを前提として考えています。

そのために創業以来取り組んできたのが、スライド右側にある在宅ワーカーの利活用です。在宅ワーカーを活用するために、BPO、クラウドソーシングサービス、CGSを展開しています。特にCGSの展開に関しては「たどり着いた」という表現が正しいのですが、ここで在宅ワーカーの働き方がスタンダードになれば、3兆円の労働力は補えると試算しています。

しかし、労働力とは在宅ワーカーだけを指すものではありません。これからは高齢者や外国人の活用、女性のさらなる社会進出などを後押しするような事業を作ることで、今まで労働力としてカウントされてこなかった方々が労働力になってくるということが、大きな成長戦略の1つです。

坂本:高齢者についても、パソコンを使える方も多いですからね。

:そのとおりです。

坂本:なぜなら、我々がインターネットを使えるようになって20年くらい経ちます。当時50代だった人はみんなパソコンが使えるわけですから、70代でも使えることになります。

:おっしゃるとおりです。高齢者を労働力とすることは、創業の時から考えていました。ただ当時の高齢者はやはりまだリテラシーが低く、我々から見るとついていけていませんでした。ただ、あれから10年、15年経ち、当時のおじさまたちが今高齢者になって問題なく使えますので、そろそろ高齢者をITで活用できる状態になってきています。

2つ目に掲げているのが「脱・労働力」です。我々は人のチカラを活用するために今までいろいろなことを行ってきましたが、そもそも人のチカラを活用せず技術を活用することで、具体的に言うとITやAIをもっと使うことで、人のチカラを使わずに同じような生産性を提供しよう、あるいは最近の言葉で言うとDXをもっと推進していこうとしています。

今まで100人でしていたものは1人でできるようにしよう、生産性の向上によって労働力を使わなくても回していけるようにしようとしています。この両軸で労働力不足という日本がこれから迎える社会問題を解決すべく事業を提供していきたいと考えています。

一方で、労働力不足が始まっている業種業界もあります。医療、保育、建築、介護といった業界は、実はもう労働力不足が始まっています。これからは、全体的に人が採れなくなり、「採用争奪合戦」が訪れる時代になります。

現在の事業構成

:成長戦略をお話ししたところで、我々が今進めているのは「在宅ワーカーの活用」です。今はまだこの部分しか事業として展開できていませんが、BPO事業とクラウドソーシング事業とCGS事業の3つの事業が上手い具合に補完し合っています。

BPOで企業からいろいろな受託を年間何千案件と受けており、トータルで我々は何千社、何万案件を受託し続けています。それによって「今このような企業のニーズがあるのだ」「このような電子化ニーズがあるのだ」というトレンドが見えてきます。

そしてもう1つ、スライドには記載していませんが、我々がそれをさらに再委託していくためのディレクション能力がどんどん上がっていきます。例えば、同じデータ入力を請ける場合でも、「この部分は英語と数字なのでベトナム人でもできる」「ここの日本語の部分は日本人でなければできない」と切り分けるなどしています。

精度を上げるための仕組みを日々どんどん開発もしていきますので、在宅ワーカーを活用して品質の高い入力をしていくノウハウがどんどん溜まってきています。「シュフティ」には今、在宅ワーカーが40万人以上登録しています。

この2つの知識とリソースを活用して作られているのがCGSです。したがってCGS事業には現在4つのプロダクトがありますが、このCGSをどんどん増やしていくのも短期的な成長戦略となっています。

2022年3月期 第3四半期 売上高構成

:いろいろな我々の事業の大まかな売上高構成です。弊社の売上の約7割にあたる69.7パーセントが、いわゆるSaaSの売上です。それ以外がBPOといった受託や、「シュフティ」といったクラウドソーシングのマッチング手数料ビジネスであり、基本的には売上の7割がB向けSaaSによる売上となっています。

2022年3月期 第3四半期 PL

:各事業の売上についてです。数字ばかりで少しわかりづらいのですが、中央のオレンジの箇所をご覧ください。

第3四半期が終わった時点で、全体の売上の累計が29億6,300万円です。それぞれの事業では、後ほどご説明する「NJSS」が我々の売上の約半分で、14億7,700万円になっています。それ以外のCGSである「fondesk」「えんフォト」「OurPhoto」が6億6,400万円、BPOが7億9,900万円といった売上構成です。

「シュフティ」がここに入っていないのは、弊社の売上の0.8パーセントしか担っていないからです。「うるるさんは『シュフティ』をしている会社だから、クラウドソーシングの会社だよね?」と言われることがけっこうあります。

飯村:確かにそのイメージがありました。

:その事業も行ってはいますが、売上の柱ではありません。

入札情報速報サービス「NJSS(エヌジェス)」

坂本:では、売上の柱である「NJSS」についてご説明をお願いします。

:全国の官公庁や自治体が何か仕事を発注する時には、原則、入札にしなければなりません。わかりやすい例として、この前開催された東京オリンピックで言うと、競技場を作るのは建設・土木系の入札です。ボランティアが着るジャンパーを作るのは、物品・役務系の入札です。開会式を企画するのは、広告代理店が入札します。ボランティアが食べるお弁当も入札です。

全部が入札ではないですが、だいたい100万円を超えてくれば入札になります。全国の官公庁・自治体がだいたい今8,000機関くらいありますが、年間100万案件くらい出るのです。

坂本:100万案件もですか?

:はい、いろいろなものが出ます。建設・土木で行われるのが入札だと誤解されがちですが、それは全体の4割です。6割は、先ほどお話しした、企画したりパソコンを納品したりエレベーターを点検したりといった、物品・役務です。

飯村:もう、何から何まで入札ということですか。

:おっしゃるとおり、電気やガソリンも全部入札です。「入札は大手でしょ?」と思っている方もいますが、ぜんぜんそんなことはなく業種、業界、会社の規模もいろいろです。ありとあらゆるものが入札で、年間22兆円のものすごく巨大なマーケットです。

ここに今はだいたい40万社くらいが参加しています。世の中400万社あると言われていますが、その10分の1しか入札に参加していません。残りの9割の人は誤解しているのか、なぜ参加しないのだろうと、我々は疑問で仕方がありません。みんな参加すればよいのにと思いますが、今10社に1社しか入札していないのです。

そのようなマーケットにおいて、この約8,000件のWebサイトに入札情報がそれぞれ出ていますが、入札している会社は約8,000件のWebサイトを全部見ないと自分たちができる案件があるのかどうか網羅できません。

飯村:各官公庁のホームページか何かを見ないといけませんので、手間がかかります。

:はい。ほとんどの会社は見ることができていませんから、機会損失だらけです。本当はあそこにあったのに見ることができていないのが現状です。その情報を収集して、データベース化して一括検索できるようにしたのが、入札情報速報サービス「NJSS」です。

今の時代、Webサイト上の情報はクローリングすれば集められます。

坂本:なるほど、スクレイピングしたサイトもたくさん見かけます。

:確かにそのようなサイトもたくさんありますが、入札情報はPDF形式で公示されたものが多いのです。

飯村:たしかにそうですね。

坂本:官公庁は、決まってその形式です。

:そうなると、スクレイピングでデータ収集するのが難しく、やはり人でないと集められません。その時に、例えば今我々は数百人のワーカーを使ってこの情報を集めていますが、数百人のアルバイトや派遣で情報を集めるとなると、ものすごくお金がかかるのです。

場所も用意しなければならないし交通費も払わなければならない、労務管理もしなければいけません。しかし我々は在宅ワーカーで全部完結していますので、この固定費がかからないのです。

加えて、我々は在宅ワーカーを扱うノウハウを持っています。在宅ワーカーの中には適当な人もいますが、そのような人がいても高品質な仕組みを作っておきます。そうすることで、アルバイトや派遣を使うよりも圧倒的にコストがかからず、在宅ワーカーを活用しても高品質になります。

そのような付加価値を持ったサービスが、この入札情報サービスです。入札の検索サービスにおいて我々は後発ですが、今は非常に存在感を出せています。

NJSSの特長

:「NJSS」の特長を羅列しました。ピュアSaaSで、9割以上が利益という非常に利益率の高い事業です。

坂本:おっしゃるとおり、すごい粗利率です。

入札市場概観

:2017年までの少し古いデータですが、入札市場が22兆円くらいでずっと推移しています。特に入札は不況に強いです。直近のデータがありませんが、ニューディール政策のような状態になりますので、コロナ禍では本当は上がっているのです。

坂本:予算がつくわけですか?

:おっしゃるとおり、国家予算でドンと入札が乗ってきます。入札に参加しないのは本当にもったいないので、参加するべきです。

スライド右側は、先ほどお話しした建設・土木とそれ以外の比率です。実は建設・土木は約40パーセントしかありません。

NJSSのポテンシャル(TAMの考え方)

:TAMの考え方についてです。今「NJSS」の有料契約件数は4,480件で、落札実績があるのが40万社です。しかし、今我々の新規契約の約半分が「まだ入札していません」という人に変わってきています。

坂本:つまり、入札はビジネスチャンスだが見るのも大変なので、御社のサービスをとりあえず使ってみようということですか?

:おっしゃるとおりです。まして、この新型コロナウイルスで売上が下がっているから、東京で盛り上がっていることをし始めようという会社が増えています。

坂本:そのような意味では、不況に強そうだと感じました。

:そうなると、TAMは40万社ではなくて世の中の会社全部になってきますので、400万社が我々の見込み客になります。

坂本:これはどのような業種の人たちが新規参入してくるのでしょうか? 

:業種・業界はさまざまです。なぜならば、いろいろな案件があるからです。ただ、目立っているのは人材派遣会社です。あとは、エレベーターなどのメンテナンスはずっと定期的にありますので、メンテナンス系の会社さまの利用が目立っています。また、大手の広告代理店さまはほとんど使っています。

NJSSの成長戦略

:「NJSS」の成長戦略ですが、一般的なSaaSビジネスのものに近いです。我々はLTVを伸ばすために、チャーンレートを下げたり、顧客単価を上げたりといった努力をしています。

中期経営計画に基づく施策(営業体制)

:我々は3年前に中期経営計画を策定してあと2年残っていますが、もともとこの「NJSS」の成長率を上げるために、いったん赤字を掘ろうと、中期経営計画を掲げています。

坂本:先日ご登壇いただいた時に、その話をうかがいました。

:今までは10パーセントから15パーセントくらいの成長率の会社でしたが、今はもう25パーセントから30パーセントくらいになっており、作戦どおり投資がうまくいっている状況です。

中期経営計画に基づく施策(プロダクトリニューアル)

:中期経営計画に基づく施策をまとめていますが、これも前回お話ししていますので、割愛します。

NJSS 有料契約件数の推移

:「NJSS」の有料契約件数の推移です。我々が中計を開示したのは2019年5月ですが、それまではグラフでは横ばいになっています。加えて、2020年3月期から上がっていっていますが、この時が中計の1年目にあたります。つまり、1年目からいわゆる投資効果が出て、成長角度がグッと上がっているのがグラフでわかるかと思います。

NJSS ARPU ・解約率の推移

:「NJSS」のARPUと解約率の推移です。弊社の場合、客単価も日割りなのですが、ご覧のとおりどんどん上がっていっています。また、スライド右側の解約率もどんどん減っており、毎月1.46パーセントまで下がっています。この掛け合わせですので、非常に効率よく売上が上がっている状況です。

NJSS LTVの推移

:「NJSS」のLTVの推移です。LTVが今だいたい233万7,000円とあります。ユニットエコノミクスは3倍以上と言われるものの、開示していませんが我々はもっと安価で獲得できていますので、まだまだマーケティング施策も取れる状況です。

売上高・ARRの推移

:売上高とARPUの推移です。すべてにおいて、中計の時から角度がグッと上がっているような推移をしています。

坂本:前回お話しいただいた時に、この「NJSS」の投資を「掘る」お話はされていて、確かリニューアルしてセールスとカスタマーサクセス部門を強化するお話があったと思います。やはりこれが奏功して、現状の契約数が増えていって、解約数が落ちている状況になったのでしょうか?

:おっしゃるとおりです。カスタマーサクセス部門でチャーンレートを下げることが売上を上げるための一番の優先順位です。ほかに客単価を上げていくなどもありますが、まずチャーンレートだけでも、営業努力で下げていこうというものと、プロダクトを改善して下げていこうというものの2本を行っています。

即効性があるのは、営業施策です。カスタマーサクセスでもなんでもないのですが、今までは解約になりそうなお客さまに「解約を迎えますが更新しますか? 解約しますか?」と電話していたのが、我々のカスタマーサクセスでした。

坂本:カスタマーサクセスでもなんでもないと言いますが、お仕事はきちんとしていると思います。

:それが「カスタマーサクセスをしよう」と、すべてのお客さまに対して「ちゃんと使えていますか?」「もっとこのような機能を使えば、御社の売上貢献になります」など、サクセスを提供するサポートに切り替えたことが、本当に即効性がありました。

例えば、今まで100社解約していた状況が、50社に減るほどのインパクトがありました。「なんだ、電話すればよかったんだ」と驚いたくらいです。そのような当たり前のカスタマーサクセスを我々はできていなかったのです。カスタマーサクセスに向けてきちんと人数を増やして、方針を立て実践することで、初月からすぐに解約率が下がりました。

もう1つの方針として、プロダクトをリニューアルし、ユーザー体験を変えて解約率を下げていくことも手掛けています。ただ、プロダクトのリニューアルには非常に時間がかかります。

去年の7月にいったんリニューアルが終わったのですが、プロダクトとしては、そこから細かい改善ができるスタートラインに立てた状況でした。プロダクトが2年かけてスタートラインに立ち、今後そのリニューアルによる効果、チャーンレートの改善などが現れてくるだろうという状況です。

また、プロダクトの改善の一番の狙いは、ユニットエコノミクスを上げていくことです。機能をどんどん追加していけるような作りに変えました。今まではレガシーなプロダクトの作りだったため、極端な例では、何か1つ「ボタンの色を赤から黄色に変えよう」と言っても、「ここを変えたら他に影響が出るのではないか?」というような事態が起きていました。

今はプロダクトがようやくきれいに作り直され、「このような機能を作ろう」と思えばすぐに作れる状態になりました。

そして今度は、客単価が上がったからか、チャーンレートが下がったからなのかはわかりませんが、プロダクトの力で業績を引っ張っていけるようになりました。2本柱で取り組んできた結果がこの状態です。

坂本:なるほど、非常によくわかりました。

「fondesk(フォンデスク)」

:「fondesk(フォンデスク)」についてご説明します。「fondesk」は、オフィスにかかってくる電話が転送され、在宅ワーカーさまが受け、「Slack」や「LINE」などで「このような電話がありました」「折り返しが必要です」「折り返しは必要ありませんよ」というような伝言対応を行う、電話受付代行サービスです。

コロナ禍になる1年前にリリースしていたのですが、コロナ禍がきたことでニーズが非常に拡大しました。出社しなくなり、オフィスはもうだれもいなくなってしまったという状況で、「かかってくる電話にだれが出るんだ」という問題が生じました。

「fondesk」がこの問題をちょうど解決できるプロダクトだと認識され、さらに月1万円から導入できるSaaSであるため、東京のスタートアップ企業やIT企業を中心に、「fondesk」の利用が一気に普及しました。

「fondesk」をリリースして3年ほどで、有料契約件数が3,000社を超えるまでに成長しています。

fondesk 有料契約件数の推移

:こちらは「fondesk」の有料契約件数の推移です。

坂本:3,000件はすごい実績ですね。けっこうなストックです。

:実際にオペレーターの数が追いつかなくて、いったんマーケティングをストップすることなどもありました。ユーザー体験についても非常にこだわって作ったプロダクトのサービスなので、実は「fondesk」を作って、「このサービス事業は成功する」と認知されてから、いろいろな会社が参入してきているのですが、我々は一強と言われています。

ユーザーの声ですが、「『fondesk』一強でしょう」などのツイートがけっこう多く、ツイートで自分たちのサービスがどのように言われているのか、エゴサーチしても、「fondesk」についてはポジティブな意見が多く、見ていて気持ちがよいです。非常にクオリティの高いユーザー体験ができる、よいプロダクトのサービスとなっています。

「えんフォト」

:「えんフォト」は、幼稚園・保育園向けの写真販売管理システムによるサービスです。現場では実は今でも、運動会や遠足などの写真が壁にずらりと貼られ、封筒に写真の番号を書いて、お釣りがでないように代金を入れて、というような従来の方法で販売しているところが多いのです。

坂本:今も保育園などそうですよね。

:パソコンやスマホで買えたほうが保護者も絶対に便利ですし、何よりも保育士の業務の軽減につながります。

保育士側は大変です。現状の業務は、写真をプリントアウトして壁に掲げて、注文を受け付けてさらにプリントして、それを仕分けして、お釣りの対応をしつつ保護者に渡して、というものですが、撮った写真を「えんフォト」にアップするだけでこれらの仕事が完了します。

注文受付もサイトが行ってくれますし、プリントも印刷会社が行い、発送も勝手にしてくれるシステムです。保育士は写真を「えんフォト」にアップするだけです。

今、幼稚園・保育園にはこのシステムを無料で提供しています。保護者に写真が売れたら、それは我々の売上になります。そして園によっては幼稚園・保育園にも一部お金を払うというモデルです。

サブスクリプションではないのですが、幼稚園・保育園の解約率が低いため契約がどんどん増えることによって売上拡大に寄与するストック型のビジネスモデルです。もともと年に1回しか使わない幼稚園もあれば、毎月2回、3回使う幼稚園もあるというようなバラつきのある現状でした。ただ、全体的に利用頻度が増してきています。

飯村:今までは運動会くらいしか、あのような大掛かりなことはできなかったところが、これだけ「えんフォト」で気軽に使えるなら、利用する機会が増えますね。

:保護者の方は「保育園で我が家の子どもはどんな顔をして笑っているんだろう?」という気持ちで、お子さまの日常のスナップ写真を見たいのです。

飯村:そうだと思います。よいサービスですね。

坂本:それに今、保護者はなかなかクラスの中に入って見ることができない環境なのですよね。イベントも参加できなかったり、入れる場合もお父さんとお母さんどちらか1人のみ可能という状況のようです。

:保護者は日常の写真でもよいので、保育士が撮った写真を欲しいのです。それを簡単に提供できるようにしているのが、この「えんフォト」です。これを全部今までのように手作業で、壁に貼ったりなどしていたら、大変です。

そのため、このようにDXを支援することによっても、労働力不足の解消につなげていけるだろうというのが我々の考え方です。このようなDX支援サービスの事業を行っています。

「OurPhoto(アワーフォト)」

:「OurPhoto(アワーフォト)」は2020年の12月に買収したサービスですが、これは「えんフォト」と大変シナジーがある事業です。

「OurPhoto」は、出張撮影サービスです。写真を撮るフォトグラファーの方を、何千人という規模でデータベース化しており、フォトグラファーの方が全国どこにでもいるため、例えば札幌でも沖縄でも、「子どもと公園にいく写真を撮ってください」というニーズがあれば、カメラマンが1万円などできてくれるのです。

そして自分たちでは撮れない、プロが撮るクオリティの写真を、パシャパシャたくさん撮ってもらうことができます。データベースを生かした出張撮影サービスです。

飯村:「旦那さんがぜんぜん子どもとの2ショットを撮ってくれない」というような不満を、よく聞きますよ。

坂本:最近はカメラもよいから逆にボケてしまったりします。

飯村:カメラマンによってもぜんぜん違ってきますね。

坂本:「宣材写真を撮ってください」というオーダーも可能でしょうか?

:可能です。最近我々も使っていますが、会社の役員の方の写真撮影も、一般の業者に頼むと高いですよね。一方この「OurPhoto」は1万円などで対応できます。

坂本:その人ごとにプロフィールはありますか? フォトグラファーの方ごとにプロフィールのようなものがあって、「これが得意です」など書いてあったりして、選べるのでしょうか? 

:そうです。マッチングさせます。人を撮るのが得意な方もいれば、物が得意な方もいますし、あとはエリアも関係してきます。過去の評価も見れるため、このようなかたちで、「OurPhoto」はこれから非常に伸びていくサービスだと思っています。

また、フォトグラファーのデータベースを持っているサービスで、これにより我々の幼稚園・保育園に提供している「えんフォト」というプロダクトと非常にシナジーがあります。

「えんフォト」にフォトグラファーが出張することで、保育士が撮るだけではなくなり、もっと撮影機会自体が増やせるのです。

もともと、運動会や遠足などはプロのカメラマンに頼むという保育園は多いのですが、「OurPhoto」の利用によって、日常の撮影もプロが撮影できる状態になります。そうすると、よい写真なので、保護者への写真の売れ行きもかなり変わってくるのです。

このように非常にシナジーがあるため、「OurPhoto」を2020年の12月に買収しました。非常に成長しているサービスです。

「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」

:BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は受託サービスです。我々の受託事業の最大の特徴は、受けた仕事の中の業務を、自社でスキャンすること以外は社内では行わないところにあります。

普通は「名刺をエクセルに入力してください」「何万件のアンケートをやってください」というような案件を受けていて、最近では、例えばレシートなどの管理アプリの裏側の工程で、「レシート内容の入力をしてください」という請求書の入力案件を、何万、何十万枚分と大量に受注するのですが、受けた仕事の具体的な作業について、外部の協力企業を活用しています。

「これは中国で行う」「これはベトナムで行う」「これのここはフィリピンで行う」「ここは在宅ワーカーで行う」など、業務を右から左へ分け、連携していきます。そういった業務の切り出し、ディレクション、管理というところが、我々は大変得意です。

BPOの会社は、固定費は高めに、利益率は低めになりがちで、あまり企業価値が高まらない業界です。しかし我々はBPOの業界の中では、利益率を高めに設定できています。

何より、数百人規模のワーカーや外部の協力企業を活用することから固定費がほとんどかかりません。そのようなモデルを構築できていることが最大の特徴です。

「クラウドソーシングshufti(シュフティ)」

:「クラウドソーシングshufti(シュフティ)」についてです。こちらは、約40万人というかなり大人数のワーカーを抱えている、クラウドソーシングのサービスですが、我々の売上の0.8パーセントしか担っていません。

クラウドソーシングは、グローバルに展開しないと稼げないものです。例えばアメリカのクラウドソーシングは、手数料モデルだけで、非常に大きな収益の柱にできているスタイルです。

日本語圏内だけ考えると、マーケットは限定的になります。海外であれば、アメリカの仕事をフィリピンで行うなどグローバルにサービスが発生し、会員登録数が伸びて仕事の流通が生まれるため、このプラットフォームだけでも収益の柱になってくるのですが、日本だけでは事業の拡大、収益化は厳しいです。

このようなことを、我々は「シュフティ」を作って1年ほどで感じました。もちろん「シュフティ」に投資して、収益化するまで規模を拡大させていく選択肢もありましたが、それはリスクがあるし時間がかかると思いました。

そのため我々は、CGSを土台にして活用し、新たな事業を作ろうと、CGS事業を収益の柱にする方針に切り替えました。

中期経営計画(FY20/3~FY24/3)

:最後に、中期経営計画について足元の状況をご説明します。今は、3年目の第3四半期が終わった時点です。

スライド上の表が当初の中計で、下の表が変更後の中計です。当初は2022年3月期の売上高を33億円と掲げていたのですが、それを上方修正し40億円に、つまりトップラインを33億円から40億円に変えました。その代わり、EBITDAを4億円出すとしていたところを、マイナス2億円に修正しています。

要するに、投資することでトップラインを伸ばしたほうが、最終的に我々がコミットしている2024年3月期に、EBITDAを15億円まで出す計画を達成できると判断したのです。

2024年3月期についても、当初は売上高は48億円とし、EBITDAを15億円出すと計画していたところを、トップラインを58億円にしてEBITDAを15億円にする計画に修正しました。

EBITDAの目標値は変わりませんが、より確実に15億円が出せるように、トップラインの売上高を伸ばす判断で、そのためにもう少し投資していくところが変更点になっています。

足元の実績(連結売上高 四半期推移)

:足元の実績で、今は順調に進んでいます。スライドにはどのように順調かを示しています。非常に好調で、第3四半期の連結売上高が、前年同期比でプラス23.7パーセントまで成長しています。SaaSだけに絞れば、前年同期比でプラス24.9パーセントに成長しています。

当期予想(2022年3月期 通期)

:当期の予想です。こちらも先日リリースしましたが、当期の着地は、売上高は40億円で、期初予想では39億円でしたが、1億円ほどトップラインを上方修正しました。EBITDAについては期初予想では、マイナス2億5,000万円まで赤字を掘る予定でしたが、今回はマイナス2億円に留めています。営業利益もそれに伴い変わっています。

親会社株主に帰属する当期純利益については、繰延税金資産の法人税等調整額計上によるもので、ご覧のような変更になっています。

【PR】IR公式 Twitterアカウントのご案内

:最後に、こちらは宣伝ですが、IRの公式Twitterアカウントがあります。我々の重要なIR情報はTwitterで配信していますので、ぜひ登録していただければと思っています。以上、ご視聴いただきありがとうございます。

質疑応答:「えんフォト」のカメラマンについて

飯村:いろいろなサービスがありましたが、一貫してすべてが、在宅ワーカーの活用を軸にした事業だとよくわかりました。また「えんフォト」のカメラマンについて、これもクラウドワーカーの活用にあたる事業でしょうか?

:はい。「えんフォト」のサービス価値には2つの軸があります。広義のクラウドワーカーにあたるフォトグラファーの方に「えんフォト」を通じて仕事を創出し、新たな労働力を生むという面と、DXの流れから、ITを活用し保育業務自体を最適化している部分です。両軸によって仕事の創出と保育現場の生産性を上げることで、労働力不足の解消を図っています。

質疑応答:2024年3月期のEBITDA15億円に向けた戦略について

坂本:中計についての質問です。2024年3月期のEBITDA15億円が目標となっていますが、仮に2023年3月期に売上などの成長を見込める状況があった場合、もう一段階、赤字を掘る計画なども想定しているのでしょうか?

2024年3月期の目標をスライドさせて、さらに投資する案などももしあれば、教えていただきたいです。

:我々は確かに今、2024年3月期のEBITDA15億円という計画を最重要目標とし、いわばゴールにしています。ただし一方で、それ以降も企業活動は継続します。

そのため、2024年3月期に事業が終わるのであれば、その時点で赤字を掘るなど、投資に出せるだけ出し切っていくのですが、実際はその時の状況を見ながら、長期スパンでも捉えて、総合的に判断していく方針です。

例えば2023年3月期に売上などが予定よりも多ければ、これは2024年3月期以降、つまり2025年以降の投資に回すというように、バランスよく状況に応じて、都度ジャッジして決めるというのが現時点での考え方です。

坂本:成長の角度が見えれば、その時点で長期的ビジョンでも判断するということですね。それでは、現状の、赤字を掘った施策については、すでに従業員数が増えているため、そのあたりの投資も入っていると見て、平準化して捉えてもよいのでしょうか?

:そうですね。従業員数増加に伴って採用費などが膨らんでいます。

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