年金が減少傾向にある要因

厚生労働省の「公的年金財政状況報告-令和元(2019)年度-」によると、平均年金月額が減少傾向にある理由として以下の6つが挙げられています。

  1. 報酬比例部分の給付乗率の引下げ
  2.  定額部分の定額単価の引下げ
  3.  定額部分の支給開始年齢の引上げ
  4.  加給年金の対象者の減少
  5.  物価スライド
  6.  特例水準の解消(年金額のマイナス改定)

制度面として、そもそも報酬比例部分にかかる給付乗率が引き下げられたことは影響として大きいと考えられます。

厚生年金では報酬に応じた保険料を支払い、支払った保険料や加入期間によって年金の額が決まる仕組みです。

しかしそもそも給付乗率が引き下げられてしまえば、賃金があがっても年金には反映されにくくなってしまいます。

また加給年金の対象者が減少しているのも見逃せない特徴です。

加給年金とは年金の扶養手当のようなもの。年金受給者に条件を満たす配偶者や子どもがいる場合、加給年金が上乗せして支給されるのです。

しかしその対象者自体が減少すれば、特定の年齢であっても全体の平均に影響を与えていると考えられます。

また今回のように、年金額のマイナス改定が大きく響くこともわかりました。

年金の支給額は、毎年物価や賃金の動きに応じて見直されます。これまでは「物価が上昇(もしくは横ばい)」+「賃金が減少」の動きをした場合、年金は据え置きになっていました。

しかし2021年度からは賃金に合わせて年金額を減額することとなったので、賃金の減少に合わせてマイナス改定が続いているのです。

現役世代と同じく、年金受給者でも経済的な負担がのしかかっているのですね。