2022年3月16日に行われた、株式会社プラネット2022年7月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社プラネット 代表取締役社⻑ 田上正勝 氏

2022年7月期第2四半期決算説明会

田上正勝氏(以下、田上):みなさま、こんにちは。株式会社プラネット代表取締役社長の田上でございます。本日は私から、第2四半期決算のご報告と各種活動についてご説明します。今回はオンライン配信のみですので、マスクを外してお話しします。

会社概要

当社は設立から36年目を迎え、37期目に入っています。事業内容は、日用品・化粧品業界の卸流通の商取引において使用される、データ交換のためのプラットフォームの運営です。

設立経緯

当社は1985年の電気通信事業法の規制緩和をきっかけに、日用品・化粧品業界の流通システムを最適化する業界共通のネットワークインフラ、いわゆる業界VANの構築を目指し、業界の有力メーカー8社と独立のITベンダーのインテックによって設立されました。

ふだんは店頭で競争しているメーカーが共同で利用する仕組みになるため、メーカーの取引データの秘密を守る必要があります。そのため、ネットワークの運用と監視業務はインテックにアウトソーシングしています。

当社は、業界のメーカーや卸売業とともにEDIの標準仕様を作り、安全・中立で標準化されたサービスを継続的に安価に提供しています。この情報インフラサービスを普及・推進する「インフォメーション・オーガナイザー」すなわち「情報のまとめ役」として、今日まで機能しています。

当社の事業について①

スライドは、基幹EDIの概念図になります。当社のサービスを利用すると、メーカーと卸売業の間で人手によって行われている発注や仕入、請求などの取引業務がデータでやり取りできるようになります。まったく人手を介さないため、業務が高速で処理され、ミスやトラブルもほとんど発生しません。

当社の事業について②

スライドの図は、事業全体を俯瞰しています。

当社の事業について③

EDIには、コンピュータ同士をつなぐ「基幹EDI」サービスがあります。

当社の事業について④

また、Webを利用する「Web発注」や「MITEOS」などのサービスがあります。

当社の事業について⑤

この他に、当社の特徴として、EDIの関連業務を支援するデータベースや「バイヤーズネット」などのサービスがあります。

当社の事業について⑥

また、資材サプライヤーとメーカー間では、「資材EDI」サービスを提供しています。

当社の事業について⑦

EDIのユーザー数は、2022年1月末でメーカー799社、卸売業504社、サプライヤー165社となり、合わせて1,468社になりました。ちなみに、当社のほとんどのサービスはWebで利用できるため、昨今のリモートワークでも有効に利用されています。

当社の事業について⑧

当社事業の範囲は、非食品の消費財全般になります。日用品・化粧品業界からスタートした事業は、ペットフード、ペット用品やOTC医薬品など、多くの業界でも採用されています。コロナ禍で業務を自動化できるEDIの利用価値は高まっているため、今後も緩やかに隣接業界へ展開していきます。

当社の事業について⑨

このように、当社はたくさんのユーザーに長く利用されています。当社が選ばれる理由は3つあると考えており、その1つ目は「徹底した標準化」です。2つ目は「利用企業の多さ」、3つ目は「事業の安全性と継続性」です。

当社の事業について 徹底した標準化①

1つ目の「標準化の必要性」についてご説明します。例えば電気は規格が決まっており、家庭用の電圧は100ボルト、関東の周波数は50ヘルツです。またコンセントの形状も日本ではA型というように、標準化されています。市販の家電製品はこの標準に合わせて作られているため、私たちはどの家電製品でもコンセントにプラグを挿すだけで使うことができ、とても便利です。

当社の事業について 徹底した標準化②

当社は、EDIという目に見えないデジタルの世界を標準化しています。EDIに必要な仕様や手続き、具体的には通信手順、フォーマット、コード、そして運用ルールを標準化しています。そのため、ユーザーは標準化された1つのシステムに対応するだけで、多くの取引先とEDIが行えるようになります。

この標準化が不十分な場合、取引先のデータをそのまま受け取って、自社でデータ変換しなければならず、とても手間がかかります。

プラネットは、すべてのユーザーに標準仕様に合わせてもらうことを徹底しているため、自社でデータを変換する必要はなくなり、業界全体で合理的なEDIが行えるようになります。この標準化によって、流通の効率性と多様性を支えていると考えています。

当社の事業について 利用企業の多さ

「利用企業の多さ」については、当社の存在意義を示す図で説明します。左の図をご覧ください。一般的に、企業が個別にEDIを行うと、取引先の数だけ接続が必要になります。ですので、接続先が増えるたびにシステム開発や運用の取り決めを行うことになり、時間とコストがかかり、かなり大変です。

また、1社でみると接続先は多くても数十社から数百社ですが、全体でみると「m:n(m×nの掛け算)」になるため、数百社から数千社との接続が行われることになります。全体でとても多くの時間とコストが費やされていることがわかります。

右の図は、当社のモデルになります。当社が中間結節点になることで、ユーザーは当社とだけ接続すればよくなります。全体でみると「m:1:n(m+nの足し算)」になり、プラネットに接続する企業の数だけで済みます。

当社が間に入る接続モデルができたことで、ユーザーは接続の手間やコストの障壁がなくなり、どんどん接続先を増やせるようになりました。実際にユーザーが新しい取引先とつなぐ場合、その相手がすでにプラネットに参加していた場合は、当社に接続の申し込みを行うだけですぐに接続できるようになります。

さらに、この便利さを感じたユーザーは、取引先にプラネットへの参加を働きかけてくれるため、接続できる企業もじわじわと増え続けています。現在の接続企業数1,468社は、その積み重ねの結果です。

当社の事業について 事業の安全性と継続性①

このように、徹底した標準化によって接続する相手先が増えます。

当社の事業について 事業の安全性と継続性②

すると、オンライン化の比率が上がり、取引の自動化が進みます。

当社の事業について 事業の安全性と継続性③

人手がかからなくなる上に、処理時間も短くなり、ミスも減るため、飛躍的な効率化が図れるようになります。

当社の事業について 事業の安全性と継続性④

これにより、ユーザーは本業に専念できると考えています。

当社の事業について 事業の安全性と継続性⑤

「事業の安全性・継続性」については、当社のサービスの特徴からお伝えします。重視しているのは、ユーザーの立場で考え、情報インフラ基盤を常に改良、改善することです。

まず、ネットワークやシステムは、大規模な自然災害が発生しても止まらないように、処理を行うデータセンターを太平洋側と日本海側の2拠点に分散しています。2拠点のデータセンターは常にフル稼働しており、どちらかが停止しても、もう1拠点がカバーする仕組みで、高い安全性と継続性を維持しています。

当社の事業について 事業の安全性と継続性⑥

日常業務での利用には、使いやすさも求められます。すべてのサービスは24時間利用でき、問い合わせを受けるコールセンターも365日稼働しています。また、大切なデータを守るために、認証局をはじめとしたセキュリティ対策も徹底しています。

ユーザーの支援としては、先ほどお話しした業界共通のルールの理解のために、手厚いサポートを行っています。また、EDI関連の業務で欠かすことのできない、各種マスタのコード整備についても支援しています。

当社の事業について 事業の安全性と継続性⑦

そして、将来にわたって継続して利用されるように、次世代技術の調査・研究と、ユーザーニーズの調整・とりまとめを行っています。これらのすべての特徴が当社サービスの品質となっており、ユーザーからも高い評価を受けています。

当社の事業について⑩

投資家のみなさまからよくご質問を受けるため、当社の売上の91.9パーセントを占めるEDI事業の料金体系について、簡単にご説明します。大きく分けると、一時金、月次固定料金、月次従量料金からなっています。

一時金と月次固定料金は、これまで何度も値下げを行い、当初より90パーセント以上引き下げています。初期導入時の一時金の構成比は、0.5パーセント以下になっています。

EDI事業の売上の80パーセント強を占める月次従量料金は、通信されたデータの量にかかる料金です。1件のデータは取引伝票の1行に相当しており、1データあたり約1円をいただいています。料金はメーカーに課金しています。一部、卸売課金もあります。

接続先、取引先が少ないメーカーは料金が安く、多くの接続先とたくさん取引のあるメーカーは料金が高くなる構造になっています。データ量の多いメーカー各社が、業界のインフラを支えているかたちになります。ちなみにデータ量も多くなると、ボリュームディスカウントが適用されます。

安定した売上成⻑性

このように当社のEDIサービスは、毎日一定量のデータが確実にやり取りされています。そのため、当社は安定した売上成長性を維持しています。ビジネスモデルとしては大変強固で、当社の経営は設立以来安定しています。

また、これまで当社のネットワーク基盤を再構築するタイミングに合わせて、料金を値下げし、ユーザーに還元してきました。値下げによって新規ユーザーは参加しやすくなり、既存のユーザーも取引先との接続やデータの種類を拡大しやすくなるため、値下げした金額を上回る売上を達成できています。

今後も業界インフラとしての社会的責任を果たすため、ネットワーク基盤の安全性を向上させた上で、料金改定を通じて業界全体のコスト削減を実施していきたいと考えています。このことはユーザーの裾野を広げることにつながり、中長期的にはEDIの売上増加につながると考えています。

EDIサービス利用メーカー・卸売業社数の推移

次に、EDIサービスの利用社数の推移になります。こちらも順調に増加しています。2022年1月末の時点でユーザー数は1,303社となりました。こちらは資材EDIのユーザー数を含んでいないかたちになります。

薄い水色の棒グラフが卸売業の数になります。合併や統廃合により卸売業の数は減る傾向にありますが、隣接業界の卸売業が参加したことで、卸売業の利用社数はほぼ横ばいで推移しています。濃い青色の棒グラフはメーカーの数になります。「MITEOS」のサービスを開始してから、小規模メーカーの参加が増えています。

コロナ禍でさらなる業務効率化が求められていることや、本年に改正された電子帳簿保存法にもEDIが有効であることなどから、今後も増加を見込んでいます。

コロナ禍における業界の状況と当社の対応について

それでは、決算概要についてご説明します。まず、コロナ禍における業界の状況と、当社の対応についてお話しします。当社が関わる消費財流通業界では、巣ごもり消費が定着しており、需要は引き続き堅調です。

生活者は、買い物も回数を減らしてまとめ買いする傾向が高まり、家庭内の商品ストックが増えているように思います。一方で、自宅で過ごす長い時間を少しでも豊かにしようと、高機能な商品の購入も増えています。

また、ワクチン接種後の副反応対策として、解熱鎮痛薬の特需がみられました。感染者数が減った昨年末には、一部の化粧品やOTC医薬品の需要が回復しましたが、オミクロン株の拡大により再び需要が抑えられている状況です。

相変わらず先行きが不透明な状況ですが、当業界は安定したメーカーの生産体制と卸売業の物流システムによって支えられ、安定した商品供給が行われています。そして、生活者は長引く単調な生活に限界を迎えていると思いますので、新型コロナウイルスの収束に向けた準備が必要だと思います。

当社としては、業界全体が元気になるように、中小企業を含め幅広い企業の業務の効率化につながるEDIの普及活動を継続します。

2022年7月期第2四半期累計期間 – 業績ハイライト

第2四半期の業績ハイライトをご説明します。売上高は15億5,100万円、前年同期比で2.0パーセント増でした。売上増は、EDI通信処理データ量が増加したことによります。

営業利益・経常利益は、ともに計画どおり減益となりました。研究開発費や業務委託費などの販管費が増加したことによります。純利益も計画どおり減益となりました。基幹EDIの利用社数は、メーカー・卸売業ともに増加しました。

2022年7月期 第2四半期累計期間の業績概要①

スライドは業績概要の詳細になります。当社は少人数でサービスを運用しているため、各種申し込みや問い合わせ対応などの定型業務のアウトソーシングを進めており、売上原価が増加しています。しかし、これにより問い合わせ窓口の対応時間も延長され、ユーザー満足度の向上につながっています。

また、新サービス構築に向けての研究開発費が増加しています。そして、IE(Internet Explorer)のサポート終了などに伴い、必要な対応が増加したことにより業務委託費も増え、結果として販管費が増えました。第2四半期までの進捗率は順調です。

2022年7月期 第2四半期累計期間の業績概要②

第2四半期の事業別の売上高についてご説明します。EDI事業は14億2,600万円で、前年同期比2.6パーセント増となりました。基幹EDIサービスの普及活動を継続し、「MITEOS」や「販売レポートサービス」の利用拡大に注力しました。

データベース事業は1億2,100万円で、前年同期比3.8パーセント減となりました。減少の理由は、いつもお伝えしているとおり、ユーザーがTSVタイプのEDIフォーマットに切り替えると、取引先データベースの一部の料金が無料になる施策の影響です。

株主への利益還元(配当金推移)

配当については、当初の予定どおり期末配当金を1株あたり21円とし、年間合計42円として、上場以来18期連続増配を予定しています。

東京証券取引所の新市場区分について

新市場区分への対応についてご説明します。東京証券取引所の市場区分が、2022年4月から新市場区分に再編されることを受けて、当社は「スタンダード市場」を選択しました。

基本的な条件は充たしていますが、1点だけ、当社の「流通株式比率」が上場維持基準を充たしていないため、「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」を昨年10月26日に開示しました。

2022年1月末現在、流通株式比率は21.3パーセントまで改善されていますが、計画を確実に進めるため、今月の24日から29日まで立会外分売を実施する予定です。詳細については、当社ホームページから昨日開示した「株式の立会外分売に関するお知らせ」をご覧ください。当社株式の流動性の向上を図るとともに、幅広い投資を呼び込むため、企業価値の向上に努めていきます。

プラネット ビジョン2025・コーポレートスローガン

次に、事業報告に移ります。まず、2015年に掲げた「プラネットビジョン2025」をご紹介します。その後、ビジョンに沿って事業報告をします。

「プラネットは中立的な立場で、1. 企業間取引における業務効率の追求、2. 企業間におけるコミュニケーションの活性化、3. 流通における情報活用の推進、4. 社会に役立つ情報の収集と発信を行うことで業界を元気にし、社会に貢献する会社を目指します」というビジョンを掲げて活動しています。

コーポレートスローガンは「広く遍く 〜消費財流通の情報インフラであり続けます〜」であり、事業の継続性を大変重視しています。

1.企業間取引における業務効率の追求①

1つ目の「企業間取引における業務効率の追求」についてご報告します。先ほどからお伝えしていますが、基幹EDIを広く普及させることが、企業間の業務効率化につながると考えています。

活動の指標にしている数字についてご説明します。基幹EDIでは、プラネットを利用するユーザー数と、実際にデータを交換するメーカーと卸売業の組み合わせを1接続とカウントした基本接続本数が重要になります。ユーザー数の増加は基本接続本数の増加につながりますし、基本接続本数の増加は通信処理データ量の増加につながります。

ユーザー数は、スライド左側の折れ線グラフのとおり、前期末から19社増えています。基本接続本数は、右側の折れ線グラフのとおり、前期末から94本増加しています。通信処理データ量は、右側の棒グラフのとおり、前年同期比で2,200万件増加しています。

1.企業間取引における業務効率の追求②

ここからは、データ種別のユーザー数と接続本数をご報告します。このスライドの発注データのグラフは、基幹EDI、Web発注、MITEOSの発注データの数値を合計したものになります。発注データは前期末から、ユーザー数は14社、接続本数は149本増えました。とても順調です。

1.企業間取引における業務効率の追求③

次は仕入データになります。このスライドの仕入データのグラフも、基幹EDIとMITEOSの仕入データの合計値になります。ユーザー数は10社、接続本数は69本増加しました。こちらも順調です。

1.企業間取引における業務効率の追求④

次に請求照合データです。発注や仕入データと比べると増えていませんが、特に利用拡大に力を入れているデータ種になります。ユーザー数の増加はありませんでしたが、接続本数は10本増えていますので、引き続き利用を推進していきます。

1.企業間取引における業務効率の追求⑤

MITEOSについてご説明します。MITEOSは、自社でEDIシステムの準備をしなくても、Webによって発注や仕入データが通信できるサービスです。発注データ、仕入データが伸びている要因は、このMITEOSを積極的に展開したことにあります。利用メーカー数は前期末から8社増え、卸売業も1社増えています。接続本数は59本増えました。

MITEOSは、中小メーカーと大手卸売業の間で主に利用されています。卸売業はMITEOSで接続するメーカーを積極的に拡大することで、自社のオンライン化比率をさらに高めることができます。

今回、卸売業が1社増えていますが、これはMITEOSによる業務効率化についてご理解いただいた卸売業が1社増えたことになるため、MITEOSで接続するメーカーがさらに増えていくことが期待できます。

また、メーカーもMITEOSを利用してEDIの便利さを実感することで、自社でシステムを準備して基幹EDIサービスへステップアップするケースも増えてきました。このように、MITEOSはEDIユーザーの裾野を広げる取り組みとして、引き続き力を入れていきます。

1.企業間取引における業務効率の追求⑥

EDIの中で一番データ量の多い、販売データについてご説明します。販売データは、卸売業が小売業に商品を販売した日々の実績をメーカーに通知するデータになります。

販売データを使うと、メーカーは卸売業に納入した商品がいつ・どこへ・何を・いくつ・いくらで販売されたかがわかるようになります。このように販売データは、ドラッグストアやスーパーなどへ納品された商品の実績をタイムリーに捉えることができるため、メーカーのマーケティング戦略を支える上でなくてはならないものと言えます。

1.企業間取引における業務効率の追求⑦

大手メーカーでは活用が進んでいる販売データですが、中小メーカーにもご活用いただけるよう、自社でのシステム開発がなくても利用できるWebベースのデータ集計サービスとして、販売レポートサービスもあわせて展開しています。

元々は販売データの入門編としての位置付けでしたが、ユーザーのご要望に応えて改良を重ねた結果、今では販売データを自社システムで利用されていたユーザーが、販売レポートサービスも利用する事例も出てきました。

今のところ、販売データのユーザー数の増加はありませんが、接続本数は5本増加しました。新型コロナウイルス収束後の市場の活性化を見据えて、販売データと販売レポートサービスの利用拡大に努めていきます。

1.企業間取引における業務効率の追求⑧

続いて、物流業務に関するEDIについてご報告します。メーカー、卸売業、物流事業者にEDIを導入するには、物流業務の改革が必要です。そのためには、システム以外の標準化も必要となります。

今年1月、流通経済研究所とともに『日用品における物流標準化ガイドライン』を取りまとめました。このガイドラインには、段ボールやパレットなどの荷姿に関する標準化情報や、印刷されるバーコードに関する標準化情報が掲載されています。

今後も、トラックドライバーの不足や待機車両問題など、物流危機に関する課題の解決に向けて、すでにリリースしている出荷予定データ、さらに現在関係者と検討を始めている入荷検収データをはじめ、物流関連のデータを順次リリースし、メーカー、卸売業、物流事業者間での具体的な業務を合理化、効率化する取り組みを、業界全体で推進していきたいと考えています。

1.企業間取引における業務効率の追求⑨

電子帳簿保存法への対応については、2021年9月に「電子帳簿保存法改正Webセミナー」を開催しました。この改正では、発注書などの取引にかかわる書面を閲覧可能なデータ形式で保管することが義務づけられました。このテーマに対するユーザーの関心は高く、101社、151名の方々にご参加いただきました。

また、本内容をホームページに掲載したところ、ユーザー以外の方々からも閲覧されたため、社会的な関心の高さも確認できました。引き続き、みなさまに必要とされる情報は積極的に発信していきたいと思います。

1.企業間取引における業務効率の追求⑩

次に、電子帳簿保存法と当社のEDIデータについてご説明します。当社のEDIデータの TSVフォーマットは、タブ区切りのテキストデータであるため、そのままパソコンの表計算ソフトで閲覧できる形式となっています。

当社のTSVフォーマットをご利用いただくと、そのデータを保管するだけで電子帳簿保存法に対応できます。今後も当社は、デジタル化に向けた法改正などに対応するサービスを提供し、業界全体の電子化を支援していきます。

2.企業間コミュニケーションの活性化①

企業間コミュニケーションの活性化についてご報告します。コロナ禍のため、ユーザー会は今回もリモート開催となりました。

コープさっぽろの長谷川氏によるDXへの取り組み事例の紹介と、持続可能な社会のために当業界ができることについて、SDGsとエシカル消費の観点からトークセッションを行い、メーカー、卸売業を中心に331名のユーザーの方々にご参加いただきました。

ちなみに、2019年までリアル開催していたユーザー会には、東京と大阪を合わせて600名以上のみなさまにご参加いただいていたため、やはりユーザーの方々は直接コミュニケーションの取れるリアルなユーザー会を求めていると感じています。次回はその期待に応えられるよう準備を進めていきます。

2.企業間コミュニケーションの活性化②

「インバウンドWebセミナー」も開催しました。日本政府観光局の蔵持氏より、インバウンド観光回復へのロードマップ、また、中国在住で『中国女子図鑑』の編集長をされている柳瀬氏より、中国製ブランド支持率向上の背景についてお話しいただきました。

現時点でインバウンド需要は期待できませんが、Afterコロナのインバウンド復活に向けたサービスや、商品開発のヒントになればと思っています。

3.流通における情報活用の推進①

次に、流通における情報活用の推進についてご報告します。新製品カタログを予定どおり発行しました。今回の春夏号で通算27冊目となります。新製品カタログは、小売業のバイヤーのリクエストを受けて1万2,000部発行しているため、すでにバイヤーの必須アイテムになっています。

3.流通における情報活用の推進②

新しいサービス「THE PRODUCT TIMES」についてご説明します。春と秋の新商品発売に合わせ、メーカーは小売業のバイヤーと対面で商談を行いますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、その機会が失われつつあります。これは今だけの問題ではなく、商談はリモートを活用する方向にシフトしていくと考えられます。

「THE PRODUCT TIMES」は、先ほどお伝えした小売業向けに発行している新製品カタログの利用者をターゲットにしたサービスです。Webとスマートフォンを利用して、バイヤーは、新商品のプロモーション情報の確認、商談のリクエスト、商品についての質疑応答、商談後の情報交換ができるようになります。

このサービスを利用するにあたり、メーカーはデジタルコンテンツの作成や問い合わせの体制を準備する必要がありますが、企業間のデジタルトランスフォーメーションの取り組みの一環として推進していきます。

4.社会に役立つ情報の収集と発信①

最後に、社会に役立つ情報の収集と発信についてご報告します。2021年11月に『中国の日常生活と日本製品購買に関する調査レポート』を発表しました。中国人の日常生活や、日本製品の購買意欲の調査に加え、Z世代と呼ばれる中国の若者の中国ブランドに対する意識調査を行いました。

こちらもAfterコロナを見据え、データを基にしっかりと事実を捉えることの重要性を業界のみなさまと共有し、変化に対応したサービスや、商品を開発していただくためのヒントになればとの思いから調査を行っています。

4.社会に役立つ情報の収集と発信②

生活者の意識調査「From プラネット」は、月に2回発信しています。全都道府県の生活者4,000人が調査対象です。コロナ禍での生活により、生活者の意識にも変化が見られると考え、過去に調査したメガネやマスクなどは追加調査を行っています。

国内旅行や1人での外食、リモートワークなど、世相を反映した生活者の意識も調査しました。業界紙には頻繁に取り上げていただき、ユーザーやメディアから記事引用の依頼も増えています。潜在ユーザーへの知名度向上にもつながるため、今後も情報発信を続けていきます。

以上、2022年第2四半期決算概要と事業報告についてご説明しました。下期も引き続き変化に柔軟に対応できるリモートワーク体制で活動を進め、どのように環境が変化しても、業界貢献、社会貢献に努め、安心・安全な事業を継続していきたいと思います。

質疑応答:「THE PRODUCT TIMES」の利用進捗状況について

質問1:昨年リリースされた「THE PRODUCT TIMES」の利用進捗状況をお聞かせください。

田上:現在キャンペーンなどを行い、サービスの利用をご検討いただいているところが増えています。まだ具体的に何社何名というところまでは至っていませんが、百数社のみなさまに検討いただいています。こちらは追ってご報告したいと思います。

質疑応答:海外での展示会事業の準備状況について

質問2:海外での展示会事業の準備状況を教えてください。

田上:以前、一部メディアでも取り上げられましたが、上海の展示会場についてプラネットも協力しているという話がありました。こちらについては、やはり新型コロナウイルス拡大の影響で、中国もこのような越境に関する商品の展示会事業などを縮小しているため、2年間進捗が止まっている状況です。

この展示会事業に関しては、あらためて仕切り直し、今後もどのようなかたちで越境ECなどに協力できるのか考えていきたいと思っています。

質疑応答:中国の日本製品に関する調査実施について

質問3:中国の日本製品に関する調査を実施していますが、その趣旨を簡単に教えてください。

田上:基本的には、インバウンド復活に向けて、日本製品がインバウンド前のように中国の方にたくさん買っていただけるのか、定点観測を続けることが趣旨となっています。

やはり日本製品の輸出が減ってしまったことで、中国製品を購入される方が増えているため、インバウンド復活に向けた準備を進めていかなければと思っています。今後ともそのような中国の方の意識調査については継続していきたいと思っています。

質疑応答:原材料や製品価格の値上がりについて

質問4:原材料などの値上がりにより、製品価格が全般的に上がっている中、どのような影響が想定されますか?

田上:こちらはプラネットが直接関わる話ではないのですが、原材料も物流コストも上がっているため、日用品・化粧品の原価が上がっているのは間違いないと思います。

価格については企業努力になりますが、各社の努力も限界に来ているため、業界で少しでもコストを抑えていくような取り組みが、今後も次々となされていくと思います。先ほどお伝えした物流EDIも含め、そのような活動をより積極的に進めていくことになると思います。

ただ、一部の小売業では、やはり価格のアップは許せないとの意見もあるため、メーカーの製品開発の考え方にもよりますが、低価格商品を求める小売業のニーズも聞きながら、高機能な製品も作っていくという2つの考え方で、製品展開されていくのではないかと考えています。

質疑応答:今後の企業領域の拡大構想について

質問5:御社のEDIサービスの領域は日用品や医薬品が中心ですが、中長期的に企業領域を広げる構想はありますか? また、広げるべき領域はどこにあるとお考えですか?

田上:当社のEDIは、実際に新しい業界に展開していく際には大変時間がかかります。過去からさまざまなかたちで展開しているのは介護業界などです。今、介護業界でも、従来の業務用品から市販の日用品、化粧品、介護用品を利用いただけるようになっています。

将来については、先ほどもお伝えしたように、当社は非食品の消費財全般をターゲットにしているため、どのような業界が当社のサービスを有効に使っていただけるのか、常にアンテナを高くしながら展開を模索していきたいと考えています。

あまり明確にお答えできない部分もありますが、本日はこれにて終了とさせていただきます。ご質問をいただいたみなさま、本当にありがとうございました。

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