年収400万円の暮らし。これからもできるのか
私がFPとしてお客様からお金の相談を受けていた頃、「銀行に振り込まれる金額は分かるんですけど、税金が引かれる前の年収はみてません」とおっしゃる方が多くいました。
税金・年金保険料・健康保険料などの名目で、給与から約20%程度が天引きされています。
既婚か独身かにもよりますが、年収400万円の手取り額はざっくり320万円程度と思ってよいでしょう。
320万円を単純に12カ月で割ると月26.6万円ほど収入がある計算になります。
この普段気に留めていない約20%の天引きですが、少子高齢化や非正規雇用の増加などで社会保障の財源が確保できなくなれば国民負担が増えるのは避けられません。
税率の引き上げ、各種保険料の引き上げなどで給与からの天引きが約25%になれば手取りは300万円に減少します。
さらに天引きが約30%になれば自由に使えるお金は約280万円(月23.3万円)にまで下がる可能性もあります。
手取りで280万円を逆算して現在の約20%天引きにあてはめると、年収350万円の人と同程度の水準ということになります。
『見た目は同じ「年収400万円」なのに生活が貧しくなる』という未来は、現実的に起こりうるものです。
また、自由に使えるお金から物を買ったり食事を楽しんだりするわけですが、そこにも消費税増税が待ち受けていると考えておく方が無難でしょう。
いまからでも出来るお金の使い道や、資産を守る方法について、一度真剣に考えておいたほうが良いかもしれません。
参考資料
尾崎 絵実
執筆者
短期大学卒業後、富国生命に入社。その後、大手保険代理店を経て、ファイナンシャルアドバイザー業務に従事。これまでに約1000以上の世帯からお金のご相談を受け、ファイナンシャル・プラニングを実施。常に最新の情報を把握するように努め、保険だけではなく、様々な金融商品を活用した総合的な資産運用を目指す。2020年 MDRT 日本会会員。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP3級)、一種外務員資格(証券外務員一種)を保有。
監修者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部 編集長室
LIMO編集部記者/元新聞記者
担当分野
金融と社会保障分野の専門知識を生かし、主に公的年金(厚生年金保険と国民年金)、公的年金制度の仕組み、社会保障、貯蓄、マイナンバー制度など幅広くカバーしている。
信頼性の高い情報源をもとに、政策の変遷や最新の貯蓄トレンドを掘り下げた記事も手掛けているが、難解な情報を分かりやすく伝えることを意識している。
また、退職金、資産運用や貯蓄、NISA、iDeCoなど、多岐にわたるテーマについて企画・編集・執筆している。
経歴
中央大学法学部を卒業後、東証プライム上場の大手IT企業でキャリアを開始。
その後、厚生労働省の記者クラブにて約3年間、医療保険制度や介護・高齢者福祉に特化した社会保障の専門紙で記者として働いた。
ここで社会保障分野に関する深い知識と実務経験を積み、複雑な制度の解説や政策を分析するスキルを磨いた。
現在は、株式会社モニクルリサーチが運営するくらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部にて、金融と社会保障分野に特化した記事を執筆している。
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最終更新日:2024年11月11日