2022年3月4日に行われた、株式会社ダイキアクシス2021年12月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社ダイキアクシス 代表取締役社長 CEO 大亀裕 氏

2021年12月期決算説明会

大亀裕氏:株式会社ダイキアクシス社長の大亀でございます。本日は大変お忙しい中、2021年12月期決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。また、日頃より当社の事業・経営に対するご理解を賜り、厚く御礼申し上げます。では、さっそくご説明に移らせていただきます。

本日は、2021年12月期の決算実績に触れたあと、今期の業績予想および成長戦略についてご説明します。

1. 経営成績の概況 ダイキアクシスグループの概況

まず、ダイキアクシスグループの概況です。2021年12月期の売上数値をもとに、売上の概要を示しています。創業初期からの事業である住宅機器関連事業および環境機器関連事業に加え、2018年よりセグメント化した再生可能エネルギー関連事業の3本柱となっています。

環境機器関連事業の構成比は53.2パーセントで、そのうち国内の浄化槽・排水処理システムが46.9パーセントと大きな割合を占めています。海外については、総売上高に占める割合が3.9パーセントと大きくはないものの、インドを中心に市場が急速に拡大しており、拡大が最も期待できる分野です。

住宅機器関連事業の構成比は42.0パーセントで、建設関連事業者への商材の卸売が最も大きくなっています。その他にDCMホールディングスを対象としたホームセンターリテール商材への卸売を扱っています。

また、外壁工事・空調工事などの施工を手掛けるとともに、今期の売上はわずかですが、今後はリフォームのEコマースを成長事業として発展させていきます。

再生可能エネルギー関連事業の構成比は3.0パーセントとなっています。現在は、太陽光発電事業のFITによる売電が中心です。全体の売上高に占める割合は低いものの、極めて利益率の高い事業となっています。また、家庭用飲料水事業を行うその他の事業の構成比は1.8パーセントとなっています。

1. 経営成績の概況 連結業績推移

2012年から10年間の連結業績推移と今期の予想をグラフ化したものです。安定した事業基盤を背景に、業績は堅調に推移してきました。

2. 2021年12⽉期経営成績(1)決算概要総括①

2021年12月期の決算概要の総括です。環境関連機器事業において、国内では新型コロナウイルスによる設備投資需要の減少はあるものの、産業用排水処理施設の大型案件需要が拡大している状況です。メンテナンスなどのストックビジネスは、成長戦略に基づき契約数が増加しています。

海外に目を向けると、世界的な環境意識の高まりによる排水規制の強化の動きは続いており、全世界で景況が悪化する中でも、インドを主とした南アジアを中心に浄化槽への引き合いが増加しています。

2021年度は大型案件として、JICAによるイラクへの資金援助として最大規模となるプロジェクトにおいて、石油基地建設時の仮設浄化槽および上水道確保のための海水淡水化装置の納入なども実施しました。

住宅機器関連事業については、国内のリフォーム市場は引き続き底堅く推移しており、新設住宅着工戸数とあわせてコロナ禍による落ち込みからは回復傾向にあります。便座の自動開閉・自動洗浄機能など、非接触型の商材の需要も増加しました。

建設関連業者売上については、店舗照明・空調機器などに取り換え需要が発生したほか、新規取り扱いの特殊商材への引き合いが増加しました。

再生可能エネルギー関連事業については、昨年より脱炭素化が加速する中で、新エネルギー源への引き合いが大幅に増加しており、官民挙げての取り組みが進展しています。

その中で当社は、太陽光発電施設の設計・販売・施工・保守が可能なサンエイエコホームを取得しており、再生可能エネルギーによる提案の幅が拡大しました。

2. 2021年12⽉期経営成績(1)決算概要総括②

2021年12月期の各種増減分析です。連結売上高は378億2,400万円と、前期比で9.2パーセントの増収となりました。

セグメント別売上高について、環境機器関連事業では国内で大型案件の産業排水処理施設の工事進行基準の進捗がありました。また、海外ではイラクにおけるJICAの大型案件の引き渡しやインドでの引き合いが旺盛なことから、国内外ともに増収で、前期比15.7パーセント増、金額では27億3,400万円増の201億3,000万円となりました。

住宅機器関連事業は、2021年度はホームセンター店舗の建築工事がなく、住機部門工事が減収となりました。

しかし、非接触商材の需要増加とともに新規に取り扱いを始めた特殊商材の販売・外壁工事などで建設関連業者売上が増加したことにより、前期比7.7パーセント増、金額では11億3,200万円増の158億7,500万円となりました。

再生可能エネルギー関連事業においては、太陽光発電に係る売電事業が順調に稼働しています。新たに9月に買収したサンエイエコホームの太陽光発電収入が寄与したものの、2020年度の子会社売却による太陽光発電の収入がなくなり、前期比4.6パーセント減、金額では5,500万円減の11億4,100万円となっています。

その他の事業においては、土木関連事業を昨年7月に売却し、家庭用飲料水事業のみとなったため、前年比48.4パーセント減、金額では6億3,500万円減の6億7,700万円となっています。

2. 2021年12⽉期経営成績(1)決算概要総括③

営業利益面は、昨年度に土木工事および太陽光発電に係る売電で一定の利益を上げていた子会社を譲渡したことから、再生可能エネルギー関連事業・その他の事業で減益となりました。

しかし、環境機器関連事業では国内外で大型案件を受注、住宅機器関連事業では新たに取り扱いを始めた商材などにより全般的な利益改善が進み、主要2セグメントで増益を実現し、11億1,900万円となりました。前期比7.1パーセント増、金額では7,400万円の増益を確保しています。

2. 2021年12⽉期経営成績(2)連結損益計算書

このような状況から、連結経常利益は13億円で、前期比7.4パーセントの増益です。親会社株主に帰属する当期純利益は6億1,000万円で、前期比28.0パーセントの増益を確保しました。

なお、親会社株主に帰属する当期純利益については、2020年度において再生可能エネルギー関連事業子会社のダイキアクシス・サステイナブル・パワーの無議決権優先株式を四国アライアンスキャピタルのファンドが保有しており、非支配株主に対しての優先配当9,500万円が発生していました。しかし、2020年年度末に同優先株式をダイキアクシス本体で取得したため、増益となっています。

2. 2021年12⽉期経営成績(3)セグメント別①

セグメント別の状況です。環境機器関連事業については、浄化槽・排水処理システムにおいて国内で大型案件の工事進行基準の進捗があり、売上高が大きく増加しています。メンテナンス売上高についても、成長戦略でもあるストックビジネスの拡大を推進し堅調に推移しました。

海外では中国での大型案件のほか、イラクでのJICA大型案件の一部納入完了、インドでの販売拡大も寄与したことにより、環境機器関連事業として初の売上高200億円を突破し、大幅な増収増益となっています。

2. 2021年12⽉期経営成績(3)セグメント別②

住宅機器関連事業については、住機部門工事において、2021年度は大型案件であるホームセンター店舗建築がなかったため大幅な減収となっていますが、取り扱い商材を拡大している建設関連業者などへの特殊商材販売が好調で、ホームセンターリテール商材もモデルチェンジにより販売数が増加しました。

加えて、新設住宅着工戸数がコロナ禍前の水準に回復したことに伴い、マンションなどへの外壁工事の施工、前期から子会社化した冨士原冷機の空調工事が好調で、増収増益となっています。

2. 2021年12⽉期経営成績(3)セグメント別③

再生可能エネルギー関連事業についてもスライドをご覧のとおりです。太陽光発電に係る売電事業において、計画どおり順調に推移しており、今後は安定的業績への寄与を予定しています。

小形風力発電に係る売電事業は、2021年度に北海道・青森の11サイトにおいて連系が完了し、現在、計12サイトで売電が開始されています。2022年度は新たに10サイトの連系を計画しており、2025年までに70サイトを計画して進めているところです。

再生可能エネルギー関連事業全体では、2021年度において9月に買収したサンエイエコホームの売電収入が一部寄与しています。しかし、2020年度における子会社の譲渡、また、2021年度より環境機器関連事業から再生可能エネルギー関連事業に区分変更を行った水熱処理事業の売上が減少していることにより、売上・利益がそれを上回るマイナスとなっています。

2. 2021年12⽉期経営成績(3)セグメント別④

その他の事業についてはスライドをご覧のとおりです。土木事業は2020年度に売却し、比較的利益率の高い家庭用飲料水事業のみとなっています。家庭用飲料水事業では、ボトルウォーターのみの取り扱いから水道直結型の浄水器の取り扱いに拡大することで、顧客のニーズに対応した展開を進めています。

2. 2021年12⽉期経営成績(4)連結貸借対照表①

貸借対照表についてです。資産の部ですが、流動資産については国内大型案件の産業排水処理施設の工事進行基準の進捗による売上債権の大幅な増加がありました。

2. 2021年12⽉期経営成績(4)連結貸借対照表②

負債については短期借入金を返済し、流動負債が大きく減少した一方で、今期に太陽光発電の設備投資見合いでのシンジケートローン10億円の調達、グリーンボンド10億円の発行を行い、固定負債が大きく増加しました。

純資産に関しては、2020年に発行したサステナビリティファイナンスの新株予約権の行使により、株主資本が増加しています。新株予約権の行使によって調達した資金は、現在進めている海外における新工場建設などの設備投資に充当していきます。

2. 2021年12⽉期経営成績(5)連結CF計算書

キャッシュフロー計算書です。国内工事進行基準の進捗による売上債権増加により、営業キャッシュフローが大幅に減少しました。一方で、DCM店舗屋根に設置の太陽光発電設備への投資は一巡したものの、前期にサンエイエコホームの株式を取得したことから、投資キャッシュフローのマイナスが拡大しました。

前年同期との対比では、フリー・キャッシュフローが21億6,000万円と大幅に減少しています。

1. 2022年12⽉期 通期業績予想(1)業績予想のポイント①

2022年12月期、今期の通期業績予想についてご説明します。2022年12月期通期の計画については、スライドのとおりです。連結ベースでの売上高は400億円で前期比5.8パーセント増、営業利益は11億5,000万円で前期比2.7パーセント増を計画しています。

売上面について、環境機器関連事業の国内は、2021年度に好調だった国内排水処理システムが減少する一方で、海外売上高はインド・スリランカにおける生産が本格化することから増加する見込みです。

ストックビジネスである地下水飲料化事業、メンテナンス売上についても、成長戦略に基づいて増加する見込みですが、国内における浄化槽・排水処理システムの減少により、全体として前期比で減収の計画としています。

住宅機器関連事業は、2021年度になかったホームセンター店舗の建築工事の完成などにより増収を見込んでおり、Eコマース事業でも2022年1月より本格稼働が始まっています。

再生可能エネルギー事業は、2018年より進めていたホームセンター店舗屋根における太陽光発電に係る売電について、2021年度にすべての連系が完了しました。今期は、買収したサンエイエコホームの売電収入が本格寄与するため、大幅に売上が拡大する予定です。

小形風力発電もすでに設置した12サイトに加え、今年度は10サイトの設置を予定しており、収益が計上されていく予定です。

1. 2022年12⽉期 通期業績予想(1)業績予想のポイント②

利益面です。環境機器関連事業は、海外において大きく伸長するものの、主に国内での売上減少に伴い利益減少を計画しています。一方、住宅機器関連事業では、取り扱いを広げている特殊商材、DCM店舗の建築などの影響による売上増、利益率の改善による利益の大幅増を見込んでいます。

再生可能エネルギー関連事業は、買収したサンエイエコホームの事業展開が寄与し、増益を予定しています。

1. 2022年12⽉期 通期業績予想(2)連結損益計算書

先ほどお伝えした内容に加えて、2022年度は給与のベースアップを行うことにより、経常利益13億円を見込んでいます。親会社株主に帰属する当期純利益は7億円と増益を見込んでいます。

また、設備投資に関しては、太陽光・風力・地下水飲料水化システム事業に加え、インド、スリランカにおいて現地生産拠点の建設に伴う設備投資を実施する予定です。

1. 2022年12⽉期 通期業績予想(3)セグメント別①

各セグメント別の通期業績予想です。先ほど説明した内容ですので、ここでは割愛しますが、今考えられる各事業別のリスク要因について触れたいと思います。

環境機器関連事業では、全体計画において大きな影響はないと考えていますが、昨年のミャンマーに見られた政変の影響のように、海外の新興国で、政変・紛争などの地政学リスクが顕在化するリスクがあります。しかし、現状としてはその影響は軽微と考えています。

ただし、コロナ禍の影響により、輸送費・原材料価格が高騰するリスクがあります。現在はインドネシアから各国へと輸出していますが、需要が多く発生している、または発生する見込みのある地域には、現地生産工場を早期に建設することで対応していきたいと考えています。

1. 2022年12⽉期 通期業績予想(3)セグメント別②

住宅機器関連事業は、環境機器関連事業と同様にコロナ禍の影響によって、価格高騰リスク・商品の納入遅延などの可能性が危惧されています。

1. 2022年12⽉期 通期業績予想(3)セグメント別③

再生可能エネルギー関連事業は、台風や地震といった予期せぬ災害による被害があり、稼働停止が長期に至った場合、収入の低減を招く可能性があります。

2. 株主還元

株主還元です。配当政策として、各期の連結業績・配当性向・内部留保を総合的に勘案した上で配当を行います。2022年12月期は、前年と同様の第2四半期末12円、期末12円、年間24円を計画しています。

株主優待については、前年度の内容を継続しています。「ダイキアクシス・プレミアム優待倶楽部」サイトにおいて、食品、電化製品、ギフト、旅行、体験など2,000点以上の商品や、他の「プレミアム優待倶楽部」導入企業の優待ポイントと合算できる共通株主優待コインとの交換が可能となっています。

1. 事業環境認識(対応すべき社会課題)と⽅向性

成長戦略について、まずは現在当社が認識している事業環境、対応すべき社会課題と方向性についてご説明します。環境機器関連事業は人口減少に伴い、国内浄化槽市場が縮小すると考えています。しかしながら、現在でも多くの単独処理浄化槽が存在しており、合併処理浄化槽への転換は進んでいません。今後の政策次第では、合併処理浄化槽転換が進む可能性があります。

そのような中、当社は引き続き価格競争力のある製品の開発に取り組んでいきます。国内工場などから排出される産業排水の処理については底堅い需要があり、環境負荷軽減の流れの中でさらに高度な処理が要求されていくため、研究開発を加速していきたいと思います。

また、海外では新興国を中心とした市場拡大が確実に継続していくと認識しています。アジア、アフリカにおける低い下水道普及率や、SDGsの「安全な水とトイレを世界中に」という課題にも呼応して、公衆衛生の改善に向けた動きが加速しており、インドを中心にすでに進出した各国で動きを実感しています。

住宅機器関連事業は、新設住宅着工戸数で減少が見込まれるものの、住宅リフォーム市場は底堅く、関東地域でのアフターコロナにおけるインフラ関連の保守事業、関西地域での大阪万博、IR関連での公共事業、ホテル・マンションの需要拡大に今後期待できると考えています。また、環境対応や居住性に優れた製品に関しても需要は拡大しているため、引き続き新規商材の開拓を進めていきます。

再生可能エネルギー関連事業は、脱炭素化および化石燃料からの脱却が世界的な潮流となっています。ダイキアクシスグループが持つ知見をもとに、最適なエネルギーミックスを提案できるよう進めていきます。

2. 中期経営計画概要「PROTECT×CHANGE」の推進

中期経営計画概要についてご説明します。当初、2019年から2021年までの3ヶ年の中期経営計画としてスタートさせましたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う国内外の大幅な環境変化により見直しを実施し、2021年から2023年までを期間とした新中期経営計画を作成しました。しかしながら、今般の不安定な経済環境に鑑み、さらに長期的な視点に立った持続的成長戦略を踏まえ、2025年12月期を最終年度とし数値目標を設定しています。

中期経営計画のタイトルは、コーポレートスローガンの「PROTECT×CHANGE」としており、成長戦略については引き続き前中期経営計画の内容を推進し、グループ全体として積極的に挑戦する、スライド中央にある7つのテーマを掲げています。スライド下には各セグメントの内容を示していますが、達成目標として3つの目標を掲げて推進しています。

3. 中期経営計画 数値⽬標

スライドは、2025年までの中期経営計画の数値目標となります。昨年の12月、東京証券取引所の市場区分見直しに関してプライム市場を選択した際に、新市場区分の上場維持基準を満たしていなかったため、適合に向けて作成した計画書における数値目標となっています。

全事業において増収増益を計画しています。具体的に、環境機器関連事業は、インドを中心とした海外での浄化槽の普及が大きく伸長する計画となっています。住宅機器関連事業も、特殊商材の取り扱い・エリア拡大・リフォームEコマースなどの進展により売上を伸ばすとともに、利益率の向上を推進した上でマージンを拡大し、利益を伸ばしていきます。

再生可能エネルギー関連事業は、太陽光発電・小形風力発電・バイオディーゼルの3本柱により適切なエネルギーミックスを提案していくことで、売上・利益ともに大きく向上させていく計画となっています。

4. ダイキアクシスグループが⽬指すESG経営

前中期経営計画で推進していたESG経営については、新中期経営計画においても引き続き推進していきたいと考えています。当社の経営理念である「環境を守る。未来を変える。」を使命とし、環境創造開発型企業として発展し続けることで、社員の生活向上および社会の発展に貢献すると定めています。

そのためには、ESG企業であることが最も重要だと考えています。引き続き、今後も事業基盤となる企業統治をしっかりと固め、事業活動・企業活動を通じて、水を軸とした環境および社会への貢献を進めていきたいと考えています。

5.成長戦略(1)海外展開

中期経営計画の成長戦略に関する具体的な取り組みについてご説明します。海外展開について、当社グループの上場直後、2013年に買収した現DAIKI AXIS INDONESIAを起点としてシンガポールに海外統括会社を設立し、その後、アジア、アフリカ各国における代理店との契約および現地法人の設立を展開しています。

海外売上高については、2021年12月期で14億円と過去最高となりましたが、今期以降、インドを中心に受注が拡大し生産体制も整っていくため、飛躍的な成長を見込んでいます。

今期以降、海外部門の急速拡大を見込み、今年の1月には組織を大きく再編し、営業部門をインド事業部、アジア・アフリカ事業部とそれぞれ独立させました。技術面では、海外生産子会社を管理する海外生産部を新設し、今後設立する海外生産子会社の円滑な運営を行う体制を整えました。

5.成長戦略(1)海外展開<各地域での成⻑戦略/代理店網の構築>

当社の海外展開における基本戦略です。スライドのとおり、インド・ケニア・スリランカ・ミャンマー・ベトナム・バングラデシュ・ネパール・パキスタンにおける代理店網の構築が進展しており、現在、世界で31社の代理店を配備しています。特にインドでは、代理店数が増減しつつも拡大しており、現在23社となっています。

インドを除く各国の状況についてご説明します。中国は大連に現地法人がありますが、無機系排水処理への対応を進めるなど営業の幅を広げ、順調に契約が取れている状況です。

また、合弁会社について、現地企業と合弁契約を結び、現地で生産体制を整えてきましたが、中国の建設規制が厳格化した影響により、全体的に中国国内での浄化槽の普及が足踏みする状況となりました。その中で、地方政府ごとの条件に適合する浄化槽の普及に努めた結果、今後も穏やかに生産が伸長していくことが期待されています。

ミャンマーは、2021年2月に軍事クーデターが発生し、それ以降、現地法人・新工場構想は全面的にストップしています。クーデターが投資前であったため、現状、グループとしての損失は発生していません。ただし、このような状況下でも引き合いはあるため、日本から対処している状況です。

インドネシアは、コロナ禍の影響が大きく、前年度は伸びていませんが、今後は従来の日系向け大型排水処理施設の販売に加え、現地ローカル向け工場FRP製品の拡販にも注力していく方針です。

バングラデシュは、代理店の販売が好調で、政府や軍関係・被服工場・海岸リゾートを中心に、市場が非常に急成長しています。

スリランカは、今般、既存代理店の機能を取り込み、独自にDAIKI AXIS ENVIRONMENTを設立し、現在組み立て工場を建設中で2022年5月には稼働する予定です。稼働開始後も、代理店を通じた販売・設置・メンテナンスを展開していきます。

ケニアも、現地代理店と排水処理事業の他、販売・設置・メンテナンスを行う合弁会社を設立しています。今後、ケニア国内で輸入を通じた浄化槽の拡販を図っていきたいと思っています。

5.成長戦略(1)海外展開 <インドでの需要拡⼤に応えた⽣産体制整備>

急成長し、最重要と考えているインドでの生産展開・事業展開の現況についてご説明します。2018年にインドのムンバイに子会社を設立し、現在、委託工場において生産設備の増強を実施しており、増強後は月30台の生産能力となっています。

受注が好調なことから、工場ではフル稼働となっており、生産が需要に追いついていない状態となっています。そのため、インドネシア工場からの輸入によって需要に対応しているのですが、コロナ禍の影響による輸送費の高騰で利益を圧迫している状況です。

そのような中で、昨年9月に独自運営工場の設立を決定し、インド北部のハリヤナ州パルワル県にDAIKI AXIS ENVIRONMENTを設立し、現在建設を行っている最中です。同工場において、当初は年350台の生産規模でしたが、最終的には委託生産工場の約2倍の生産能力である年600台を予定しています。

インドにおける顧客の幅広いニーズに応え、カプセルタイプに加え円筒タイプの中型浄化槽も製造可能な工場を計画しています。今後の需要拡大状況に応じながら、各地においてさらなる工場建設も検討していきます。

5.成長戦略(2)国内環境機器事業における取り組み

国内環境機器関連事業についての取り組みです。スライドのとおり、国内環境機器関連事業においては、上水である地下水飲料水化システムから、下水処理としての大型の排水処理システム、小型の家庭用合併処理浄化槽まで、幅広く手がけています。

現在、地下水飲料水化システムは上水道の価格高騰の動きに対応し、各地域でニーズが拡大しています。以前は設備を貸し出すESCO事業が多い状況でしたが、近年では資金力のある請負主体の増加が多く、買取型の営業も強化しています。

また、ダイキアクシスの国内環境機器関連事業の主力とも言える大型の排水処理設備では、さまざまな研究開発を行っており、特に産業排水処理装置で、新たな開発ができつつあります。

蒸発濃縮装置として、生物処理に適さない高濃度の化学系排水などを蒸発濃縮処理する排水処理システムの開発や、腐植土など特殊素材を活用した臭気除去、汚泥減容に優れた排水処理システムの研究など、今後、ダイキアクシス特有の技術として提供し、お客さまの多様なニーズに応えていくことを目指しています。

2017年から2021年にかけて、環境省の補助金事業である省エネ型浄化槽システム導入推進事業の展開により、キャンペーンを行って注力し、年間で3億円程度の売上となりました。2022年以降も継続されるため、このようなビジネスチャンスに関しては積極的にトライしていきたいと思います。

家庭用小型合併浄化槽は、競争が厳しい分野であり利益率が取りにくい市場との位置付けとなっていますが、現在は最新型のXH型が定着しており、今後はコストパフォーマンスに優れた型を開発中です。この分野においても他社比競争力のあるラインアップを整えていきたいと考えています。

また、スライド右側に記載のとおり、メンテナンス営業にも引き続き注力していきます。従来は、チェーン店営業などのメンテナンス一括管理取り込みの推進で、十分なストックが積み上がり、安定的な収益を上げられる体制が整ってきました。

今後はさらに業容を拡大していくとともに、顧客のコスト削減、効率化につながる提案の実施や、ポンプやブロワーなど部品供給の埋もれたニーズの取り組みを図っていきたいと考えています。

マンションなどのディスポーザー用の浄化槽については、首都圏を中心に競争が厳しいのが実態ではありますが、いったん施工するとその後のメンテナンスのストックビジネスとして魅力が高いため、今後も新築マンション建設などへの営業強化を図っていきます。

5.成長戦略(4)安定から成⻑への転化① Eコマースサイト「deki×tano」リリース

住宅機器関連事業の分野です。従来、この事業は安定的な収益を稼ぐ分野としていましたが、前中期経営計画より市場環境の変化に対応して成長路線に舵を切ることとし、現中期経営計画でもその路線を継続し発展させていきたいと考えています。

まずはECリフォームビジネスでは、1月にEコマースサイト「deki×tano(デキタノ)」を開設しました。全国各地の施工事業者と連携することで、全国でリフォームサービスの提供を展開していきます。「プロでもDIYでも」をコンセプトに展開して、「DIYブームでチャレンジしたけれど無理だった」といったお困りごとを解決できるサイトとして浸透を図っていきます。

具体的には「YouTube」やSNSで認知度を高め、拡販戦略について大手企業グループなどに協力をお願いし、社員向け特設サイトを軸にプロモーションを図っていく計画です。この分野でのEコマース市場はまだまだ発展途上ですので、今後の拡大を期待しています。

5.成長戦略(4)安定から成⻑への転化②特殊商材〜⼟⽊・電気資材へ進出

住宅機器事業関連において、前期でも目に見える成果を上げつつあるのが、特殊商材の取り扱いです。スライド左側の4つの商材は、すでに売れ筋の建築資材となっています。左上にあるのが地元木材を利用したKES工法を取り入れた施工案件で、中・四国中心に本格的に販売が進んでいます。

その右側にあるのが木製水槽です。従来はFRP、ステンレス、コンクリートでできていた水槽を、地元木材や杉材を使用して木製で作ることができました。

左下が木製杭を利用した地盤補強工法です。一般的には表層改良、柱状改良、鋼管杭で行っていた地盤改良を、間伐材の防腐処理などを行った木杭を使用して行う地盤改良工法です。

右下の防湿型放射冷暖房システムは、放射、自然対流によって熱を伝え、機械的な風ではなく体に優しい冷暖房です。新型コロナウイルス対策の1つとして売上を伸ばしている商材です。

また、従来扱っていた建設資材に加え、土木や電気の特殊商材の取り扱いも検討しています。1つは水で固まるセメントの土木資材で、主に道路の補修工事などを想定し災害時の早期復旧などに大きく役立ちます。

右上は電気資材ですが、体育館などの公共施設照明のLEDへの入れ替えなどを提案しています。以前から照明工事は取り扱っていましたが、今後は入れ替え需要の発生が見込まれる公共施設についても展開していきたいと考えています。

また近年、地元の愛媛の企業を中心にM&Aを行っています。2019年10月には冨士原冷機を子会社化し、空調、冷凍、冷蔵分野で我々の住宅関連事業の全国ネットワークを活かし、シナジー展開を推進しています。

もう1つは、2021年10月に住宅サッシ・エクステリア建材の施工販売を行うアルミ工房萩尾の株式を取得し、子会社化しました。サッシ・エクステリアについてはダイキアクシスグループとして初めての取り組みであり、現時点では愛媛県内全域でアクシスグループのネットワークを活かした営業を展開しているところです。

5.成長戦略(5)再⽣可能エネルギー関連事業の再編拡⼤

再生可能エネルギー関連事業です。当社は、2012年より子会社のシルフィードにより小形風力発電機の開発製造販売を開始しました。その後、2019年に風力発電、太陽光発電設備の開発・管理をシルフィードに集約することで、業務の効率化を図るとともに安定した収益を生み出す体制にしました。

また、ダイキアクシス本体においては、2002年よりバイオディーゼル事業を開始し、廃食用油を原料でクリーンなディーゼル代替燃料であるDOiLの製造、DOiL製造プラントの販売・維持・管理を行ってきました。

昨年7月に、シルフィードとダイキアクシスのディーゼル事業を統合し、新たな会社名をダイキアクシス・サステイナブル・パワーとして、再生可能エネルギー関連事業を構成する各事業を集約したところです。

それに加え、昨年9月には太陽光発電設備の設計・施工・販売・維持管理を行うサンエイエコホームをダイキアクシスの子会社化しています。

ダイキアクシス・サステイナブル・パワーに加え、優れた設計・施工・販売力を持つサンエイエコホームが加わることにより、発電事業者ないし電力需要者であるお客さまに対し、太陽光、風力、カーボンニュートラル、ディーゼルオイルの再生可能エネルギーの最適なミックスをご提案できる体制が実現しました。

再生可能エネルギー事業の今後の課題は、地域特有の自然環境条件および有するエネルギーを的確に把握し、それぞれのエネルギーを複合的かつ効果的に無駄なく利用することにより安定性の向上を図ることです。

導入から運用までの一連の業務を最適なプランニングにより、総合的かつワンストップで実施することを可能とし、市場に対する包括的かつスピード感のある提案を実現していきたいと考えています。

5.成長戦略(5)再⽣可能エネルギー<持続可能な社会実現に向けたサービスラインアップ>

ダイキアクシスループの再生可能エネルギーのサービスラインナップです。スライド上段が既存展開事業で、左上はDCMグループがホームセンター屋根を利用したFITによる太陽光発電売電事業です。中央はFITによる小形風力発電売電事業、右上はバイオディーゼルで、廃食用油の回収、BDF精製と販売とともに、精製プラント販売施工を行ってきました。

下段が新たに取り組んでいる事業となります。左2つはサンエイエコホームを取り込むことによって可能となった事業です。1つが自家消費型太陽光発電で、FIT制度が終わりつつある中、環境への取り組みとして自社の敷地で発電した電気を自社の施設で消費する企業体のニーズが高まっており、それに対応した取り組みのサポートとなっています。

中央は農福連携・営農型太陽光発電です。全国に点在する使われてない農地を活用し、ソーラーシェアリングと呼ばれる営農型太陽光発電を行います。これは農地に支柱を立てパネルを設置するとともに、下の土地で野菜などの農耕を行い、その農業生産に障碍者が取り組みます。

まさに農業、福祉、エネルギーの連携による新しい取り組みで、それを推進する事業者としてサポートしていきたいと考えています。

再生可能エネルギーに関する取り組みとして、環境省のCO2排出削減対策強化誘導型技術開発実証事業の1つとして、低圧風力発電機に関する技術開発、実証事業に参画しています。

地域の防災対策、自営線、既存配電網を活用した独立系のグリッド作りや、事業所内で再エネを自家消費する動きが顕在する中、ゼファー、リコージャパン、ダイキアクシス・サステイナブル・パワーの3社協働により、社会受容性の高い定格出力50kWの完全国内開発の小形風力発電機を新たに開発し、太陽光発電と並ぶ電源の普及へ協同で取り組んでいます。

3社合同で環境省から3年間で10億円近い額が拠出される予定です。我々のメリットは、ダイキアクシス・サステイナブル・パワーの長年の小形風力発電研究開発・売電事業で培った豊富な研究データを活かし、ダイキアクシスの環境機器関連事業において、円筒槽の成形で長年培ってきた長尺物のFRP成形のノウハウを活用できることにあります。

5.成長戦略(6)M&Aの推進

最後になりますが、成長戦略のM&Aです。この推進に関して、スライドに記載のとおりM&Aの実績があります。今後も当社の理念に共通し、シナジー効果が見込める事業を中心に、さらなるM&Aによって成長を促進させていきたいと考えています。

1. ダイキアクシスグループ概要

Appendixとして、グループ概要、沿革、事業別の各製品、システムなどを写真、図でそれぞれ紹介しています。

最後に、我々ダイキアクシスグループ役職員一同、「PROTECT×CHANGE」のコーポレートスローガンのもと、「環境を守る。未来を変える。」を使命とし、今後も新しい取り組みに挑戦し、社会に貢献できる企業であり続けたいと考えています。

今後ともみなさまのご支援をお願いするとともに、期待に応えられる企業であり続けることをお約束しまして、今回の報告を終わらせていただきたいと思います。長時間お付き合いいただきまして誠にありがとうございました。

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