2022年もひと月が経とうとしています。年齢を重ねるごとに、1年の時が流れるのが早くなっているように感じているのは、おそらく私だけではないのではないでしょうか。

将来の年金生活を考えると、やはり気になるのは貯蓄状況という方もいらっしゃるでしょう。
厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」によると、世帯の所得の中央値は437万円とのこと。

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【図表】みんなの所得はどれくらいか

【出典】厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」(2020年7月17日)

平均値は一部の極端に大きい値に影響されて、数値が大きくなりやすい傾向があります。その為、中央値がより実態に近いと考えると、年収400万円台は日本の標準世帯と言えるのではないでしょうか。

私は以前、生命保険会社に勤務し、数多くのお客さまから老後のお金の相談を受けてきました。その経験もふまえ、今回は日本の標準世帯「年収400万円世帯」の貯蓄額・お財布事情を紐解きながら、老後のお金の備え方についてお話ししていきたいと思います。

年収400万円台世帯の貯蓄平均は?

まずは総務省の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)」を参考にして、年収400万円台「勤労世帯」の平均貯蓄額を確認していきましょう。

400万円~450万円世帯と450万~500万円世帯に分けて見ていきます。

年収400万~450万円世帯

  • 平均年収:423万円
  • 平均貯蓄額:911万円

貯蓄の内訳

  • 金融機関:893万円
  • 通貨性預貯金:290万円
  • 定期性預貯金:286万円
  • 生命保険など:228万円
  • 有価証券:88万円
  • 金融機関外:18万円

平均貯蓄額は911万円、そのうち6割以上は預貯金という結果となっています。
次は年収450万~500万円世帯を見てみましょう。

年収450万~500万円世帯

  • 平均年収:474万円
  • 平均貯蓄額:813万円

貯蓄の内訳

  • 金融機関:805万円
  • 通貨性預貯金:264万円
  • 定期性預貯金:252万円
  • 生命保険など:212万円
  • 有価証券:77万円
  • 金融機関外:8万円

貯蓄額の平均はさきほどより少し下がり813万円。やはり6割以上が預貯金で備えていることがわかりました。

年収が多いと貯蓄額が多くなるわけではないことがわかりました。お子様がいらっしゃる家庭では教育費、また住宅を購入された方は頭金に活用するなど、思うように貯蓄が進まないという世帯も多いかもしれませんね。

年収400万円台世帯の負債額と純貯蓄額

実際には住宅ローンなどの負債を抱えている家庭も多いでしょう。同じ資料から負債額を確認していきましょう。
負債額を差し引くことで、本当の貯蓄額(純貯蓄額)が見えてきます。

年収400万~450万円世帯の平均負債額

  • 平均負債額:555万円

  うち「住宅・土地のための負債」508万円

  • 純貯蓄額:356万円(貯蓄911万円-負債555万円)

年収450万~500万円世帯の平均負債額

  • 平均負債額:601万円

  うち「住宅・土地のための負債」:560万円

  • 純貯蓄額:212万円(貯蓄813万円-負債601万円)

負債のほとんどが「住宅・土地のための負債」、つまり住宅ローンなど家関連の負債だとわかります。年収があがると購入物件価格もあがる傾向にあるため、負債額は年収450~500万円世帯の方が若干多い結果になりました。

また、純貯蓄額も貯蓄額と同じで年収400万円台前半の方が高く、年収と貯蓄が比例しないことがよくわかります。

貯蓄を増やしたいと考えたときに、「年収をあげる」だけでは難しいという結果と言えるかもしれませんね。

年収400万円台世帯の家庭状況は?

年収400万円台世帯の貯蓄額をみてきましたが、平均値は家族構成など家庭の状況によって左右されるでしょう。今回参考にした調査は、以下のような家庭状況でした。

年収400万~450万円世帯の家庭状況

  • 世帯主の平均年齢:50.6歳
  • 世帯人数の平均:3.23人(うち18歳未満の世帯人員:0.87人)
  • 世帯主の配偶者のうち女性の有業率:39.4%

年収450万~500万円世帯の家庭状況

  • 世帯主の平均年齢:50.1歳
  • 世帯人数の平均:3.05人(うち18歳未満の世帯人員:0.81人)
  • 世帯主の配偶者のうち女性の有業率:49.5%

同じような年収ラインでも、家庭状況によってかかる費用が変わります。配偶者が働いているかどうかもポイントとなりそうです。

年収400万円台という標準的な家庭の貯蓄状況を参考にする場合は、これらの家庭状況も加味する必要があるでしょう。

お金にも「働いてもらう」

いろいろな角度から年収400万円台世帯の貯蓄事情を紐解いてきました。老後まで、まだまだ時間のある働き盛りの世代に多いであろう「年収400万円」台世帯。

住宅ローンや教育費など、避けては通れない支出を工面しながら貯蓄をしている世帯もある、ということが見えたのではないでしょうか。

貯蓄の6割以上が預貯金であることもわかりましたが、残念ながら現在では預貯金でお金を効率的に増やすことが難しい時代です。

そこで、お金の一部を「現在(いま)から」「老後」へシフトしてみることを検討してみてはいかがでしょうか。つまり、資産運用を活用しながら効率よくお金を増やしていくことです。

資産運用のポイントのひとつとして、「運用期間をできるだけ長くとること」が挙げられます。時間を味方にすることで、リスクが軽減され、リターンが安定してきます。

老後のお金対策を早めに意識していくことで、定年退職後の過ごし方の選択肢がひろがるかもしれません。悠々自適なセカンドライフを楽しむための、大切な準備の一つといえるでしょう。

お金のプロへの相談も必要に応じて活用しながら、資産運用のはじめの一歩を踏み出してみませんか。

参考資料

吉田 奈都子