流行語というよりは日本古来の心の現代的表現だった?
「あはれ」は平安時代によく使われた言葉であり、「あはれ」が示そうとしていたものについては本居宣長が江戸時代に「もののあはれ」として定義しています。「あはれ」「もののあはれ」共に、日本における「美学研究」の源流の一つともなっているものです。このようなルーツを持つ言葉である「あはれ」と似た意味を表す、汎用的な言葉である「エモい」が2010年代後半に生まれ、日常語として定着しつつあるというのは、先祖との感性の近さを感じざるを得ません。
したがって、「エモい」という言葉は単なる流行語ではなく、「やまとことば」「日本的なもの」の現代的な表現の一つとして認識した方がより適切でしょう。そうすると、「エモい」という言葉への見方も変わってくる気がします。
参考資料
當瀬 ななみ