老後2000万円以上が必要になるケース

年金との赤字額が2000万円以上になる可能性もあります。具体的なケースを見ていきます。

■住宅にかかる費用

先ほどの試算では、支出のうち住居費が1万円台に設定されています。賃貸の人が一定数いるものの、持家世帯の住宅ローン返済額は住居費に含まれていないのです。

老後も賃貸住宅に住む方やローン返済が残っている方は、その金額を生活費に含めて再計算する必要があります。

■介護にかかる費用

支出の中には健康保健に関する項目がありますが、ここに介護費用は含まれていません。将来のことでイメージしにくいかもしれませんが、誰でも介護を受ける可能性はあるのです。

介護費用の平均は、なんと月々7万8000円。さらに介護の始まりには一時金として69万円かかるというデータも(※)あります。

仮に平均的な介護期間である4年7カ月介護を受け続けるとすると、トータルで約500万円もの費用がかかることになります。夫婦2人で約1000万円。

自宅介護ではなく施設入居などを考えると、さらに費用がかかるでしょう。介護費用は子どもや孫世帯に頼らず、自分で用意しておくのが理想ですよね。老後資金として、しっかり含めておきたいものです。

(※)公益財団法人生命保険文化センター「介護にはどれくらいの年数・費用がかかる?」

■健康維持にかかる費用

リタイヤ後は勤め先での健診を受けなくなるので、自治体の健診など自分で体調管理を心がけなければなりません。

体力の衰えを感じる時期と重なるため、いっそう健康に気を遣うようになるでしょう。

若いころはほんの数回の通院で済んでいたものが、長期の通院になったり薬を飲み続けたりすることも。これらの医療費や健康維持費用は、思った以上にかかるものです。

収入が減るからと食費を落とそうとしても、健康が気になるとなかなかエンゲル係数を落とせないシニア世帯も多いです。

こうした要因を一つひとつあげていくと、「2000万円」という数字はあくまでも目安のひとつにすぎないことがわかります。「自分の場合はどうか?」と考えることが必要になりそうですね。