2月10日に日米首脳会談が開催予定

2017年も、はや2月となりました。当面の最大の注目イベントは、2月10日(現地時間)に開催される日米首脳会談です。安倍首相とトランプ大統領は、昨年の大統領選直後に一度会談をしていますが、当時は“次期”大統領という肩書でしたので、首脳同士としての面と向かっての会談は初めてになります。

今回の首脳会談は、トランプ大統領が貿易不均衡や為替金融政策で日本を名指しで批判し始めたことなどから、極めて関心度が高いと言えます。そして、その会談の内容、あるいは、会談後の発言(特にトランプ大統領)次第では、金融市場に大きな影響を与える可能性があります。

渡米を控えた安倍首相とトヨタの豊田社長が会談

さて、その首脳会談を1週間後に控えた2月3日の夜、安倍首相はトヨタ自動車の豊田社長と会談を持ちました。少し長くなりますが、日本経済新聞の記事を一部引用してみます。

『安倍晋三首相は3日夜、トヨタ自動車の豊田章男社長と都内ホテルで約2時間会談し、今後の日米経済関係の見通しについて意見交換した。(中略)トランプ米大統領が米国での雇用創出や日本のさらなる市場開放を求めてくることなどを想定した対応策も協議したようだ。官民が連携して日米間の経済・通商問題に取り組む姿勢を示す狙いがある』

『豊田氏は会談後、記者団に「日ごろのお礼と足元の情勢をお話しさせていただいた。良い話になったと思う」と述べるにとどめた』

『首相は日米首脳会談で米国への経済協力プランを打ち出し、米国での雇用創出やインフラ投資の拡大で経済成長に貢献する考えを伝える方針』

“アベ・トヨ会談”は建設的な意見交換だったのか?

この記事を読んで、皆さんはどう感じたでしょうか。“安倍首相は日米首脳会談に向けてトヨタの意見を聞くなど、事前準備に余念がないな。”と思った人も少なくないかもしれません。しかし、そうした反応はやや楽観的ではないかとも思われます。

報道によると、この会談には菅官房長官と早川専務役員(トヨタ)が同席したようですが、実質的には、安倍首相と豊田社長が“差し”で話したと見ることができます。会談の内容が漏れてこない極秘会談なのです。単なる情報交換や情報収集でないことは想像に難くありません。

安倍首相が首脳会談に持参する“手土産”とは

新聞記事にもある通り、安倍首相はわざわざワシントンに行く以上、“手ぶら”で行くとは考え難く、何か“手土産”を持参する必要があります。もちろん、その“手土産”とは、昨年11月の初対面時に贈呈した高級ゴルフクラブではなく、大統領の意向に沿った「政策」であろうことは言うまでもありません。

安倍首相は豊田社長に、トヨタが米国市場での雇用拡大に繋がるような新たな施策、たとえば、新工場建設や米国製部品購入の明記等の策を講じるようお願いした可能性があると見ることもできるのではないでしょうか。

参考:トヨタ自動車の過去2年間の株価推移

ツイッター攻撃の標的とされた豊田社長の心中やいかに

もちろん、具体的な要請内容はわかりませんが、会談が何から何までスムーズに進んだのではないのかもしれません。

ただ、豊田社長が抵抗したとするならば、それも納得できます。トヨタは年初に大統領のツイッター攻撃の標的とされて以来、米国での投資増強や雇用拡大を正式表明してきました。しかし、その後のツイッターでは何の反応もなく、いまだ“お褒めの言葉”を頂戴していません。

トヨタとしても、一企業として対応できることには限界があり、焦っている可能性があります。このことを安倍首相に訴えたと想像するのは行き過ぎでしょうか?

豊田社長の苦悩する姿を容易に思い浮かべられる

最後に、会談終了後の豊田社長のコメントを報じる別のニュースを引用します。

『豊田氏は会談後、記者団から会談内容を問われ、硬い表情で「いい話し合いができた」「日ごろのお礼と、足元のいろいろな情勢について話し合った」と繰り返した』(朝日新聞)

「硬い表情」という部分に、豊田社長の苦悩する姿を感じた方も少なくないのではないでしょうか。

 

LIMO編集部