2021年12月8日に行われた、株式会社日本クラウドキャピタル「FUNDINNO MARKET」に関するサービス説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社日本クラウドキャピタル 代表取締役 CEO 柴原祐喜 氏
株式会社日本クラウドキャピタル 代表取締役 COO 大浦学 氏
森・濱田松本法律事務所 パートナー 増島雅和 氏
ダブル技研株式会社 代表取締役 和田博 氏
株式会社ハーバルアイ 代表取締役 橋口遼 氏
株式会社ロジック・アンド・デザイン 代表取締役社長 佐藤公明 氏
株式会社eumo 共同代表 武井浩三 氏
経済アナリスト 馬渕磨理子 氏

「FUNDINNO MARKET」サービス説明会

馬渕磨理子氏(以下、馬渕):本日はお忙しい中、日本初、ネットでの未上場株式のセカンダリーマーケット「FUNDINNO MARKET」サービス概要説明会にお越しくださいまして、誠にありがとうございます。本日の司会進行を務めます、馬渕磨理子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

本日の説明会のプログラムについてご紹介させていただきます。まずはじめに、本日サービス提供を開始した「FUNDINNO MARKET」について、「未上場株式の民主化へ」と題して、日本クラウドキャピタル代表取締役CEO柴原祐喜よりお話をさせていただきます。

続いて「FUNDINNO MARKET」に登場する企業4社さまのご紹介を、日本クラウドキャピタル代表取締役COO大浦学よりさせていただきます。そして、スペシャルゲストとして、4社の代表のみなさまにもお越しいただきました。後ほどご紹介させていただきます。そして「FUNDINNO MARKET」創設について、森・濱田松本法律事務所パートナーの増島雅和さまにもご登壇いただきます。

では、早速ですが日本クラウドキャピタル代表取締役CEO柴原祐喜よりお話をさせていただきます。

目次

柴原祐喜氏(以下、柴原):株式会社日本クラウドキャピタルCEOの柴原でございます。みなさま、本日はお足元の悪い中、ご足労いただき本当にありがとうございます。本日の説明会では「『FUNDINNO MARKET』について」「『FUNDINNO MARKET』創設の背景」「『FUNDINNO MARKET』の可能性」の3つのテーマについてお話ししたいと思います。

2021年12月8日サービス提供開始

「FUNDINNO MARKET」についてです。本日2021年12月8日より、未上場株式のセカンダリーマーケットサービス「FUNDINNO MARKET」を開始することになりました。みなさま、ありがとうございます。

「FUNDINNO MARKET」とは

「FUNDINNO MARKET」とは、日本証券業協会が提供する株主コミュニティ制度を利用した、ネットで注文できる未上場株式のセカンダリーマーケットになります。

株主コミュニティ制度について

株主コミュニティ制度について聞き慣れない方もいるかもしれませんが、株主コミュニティ制度は2015年5月に施行されており、国内証券会社の6社が運用しています。株主コミュニティ制度を利用して運用するためには、第一種金融商品取引業の登録が必要となっています。当社も、2021年10月22日に第一種金融商品取引業への変更登録が完了し、本日開始することになりました。

インターネット上の未上場株式のセカンダリーマーケットは存在していなかったという特徴があったため、我々は、株主コミュニティ制度を使っていつでもネットで注文できる、未上場株式のセカンダリーマーケット「FUNDINNO MARKET」を創立しました。

「FUNDINNO MARKET」取引の特徴

「FUNDINNO MARKET」の特徴は3つあります。1つ目は、銘柄ごとに株主コミュニティへの参加申込みが必要であることです。2つ目は、売りたい人と買いたい人、1対1でマッチングする相対取引であることです。3つ目は、すべての手続きがオンライン上で完了する仕組みであるということです。

FUNDINNO MARKET 株主コミュニティの組成と参加

当然、株主コミュニティの組成にあたっては、法令上定められている発行会社の審査、投資家の審査があります。発行会社、投資家の両方をそれぞれ審査し、通過した企業は株主コミュニティを組成、通過した投資家は株主コミュニティに参加できる仕組みになっています。

日本クラウドキャピタルが取組んできた3つの課題

「FUNDINNO MARKET」創設の背景です。あらためて、我々はどのようなことに取り組んできたのかと言いますと、「フェアに挑戦できる未来を創る」というビジョンを実現するために、家計からリスクマネーまでの供給構造に着目し解決を図ってきました。

課題としては3つ解決しており、1つ目は、日本のリスクマネー供給量が少ないという課題です。2つ目は、情報の非対称性があるため、非上場株式市場が信頼されていないという課題です。3つ目は、非上場株の流動性が乏しいという課題であり、これらの課題を解決してきています。

日本と米国のベンチャー企業への投資

1つ目の背景としては、まず日本とアメリカのリスクマネー供給量に差があるということです。アメリカの約17兆円に対して、日本は約0.5兆円となっており、米国とのベンチャーマーケットに雲泥の差がついてしまっています。

ベンチャー投資市場は拡大するものの、調達社数は伸び悩み

昨今、日本では大型の資金調達が進んできていますが、現状としては、シードステージと言われているところや、アーリーステージというところへお金が集まっていかない状況です。

国内のリスクマネー供給構造

そのような問題点を解決するために、我々が着目したことは、国内リスクマネーの供給構造です。スライドには、経産産業省が出している国内のリスクマネー供給図を記載しており、家計から非上場企業へどのようにお金が流れるのかを表しています。

何を言いたいのかと言いますと、シンプルに「資金調達手段が限定的だった」ということです。

家計から未上場企業への直接投資

そうした問題を解決するために、我々のソリューションとして、家計、個人の投資家から直接未上場企業にお金が届けられる仕組みがないということで、その手段として選択したのが、株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO」です。

解決策:家計のお金を未上場企業に届けることを可能に

2017年4月より運営を開始しており、家計のお金が直接非上場企業に流れる仕組みを整えました。

家計から未上場企業への直接投資

続いての課題は、投資家と企業の情報の非対称性を解決できないかということです。特に、上場株と比べて非上場株は、非常に上場開示情報の基準に問題があり、情報の非対称性が発生しやすい状況です。そのため、信頼されないマーケットになっているのではないかと仮説を立てて、情報の非対称性の問題解決に取り組んできました。

解決策:投資家と企業の情報の非対称性を解消

解決方法は「FUNDOOR」というサービスなのですが、これは至極シンプルです。「FUNDOOR」のコンセプトとして、企業と株主のコミュニケーションの質を高めることによって、情報の非対称性の問題を解決していきました。

クラウド経営管理ツール FUNDOORとは

機能として、例えば、事業計画書の作成ができて、その予実管理をIRデータとして株主に簡単に共有できる仕組みを整えています。

また、コミュニケーションの質の部分で、コロナ禍において追加で出したサービスがオンラインの株主総会機能です。このサービスにより電子招集通知、決裁が実現する仕組みとなっており、企業家、株主とのコミュニケーションを高めていく目的で、問題解決を図りました。

未上場株式投資における循環サイクル

家計から直接非上場企業へのお金の流れの仕組みを「FUNDINNO」、会社の支援と同時に情報の非対称性の問題を解決するところを「FUNDOOR」で解決し、そして最後に、マーケットとして非常に重要な部分である「投資家にとって換金の場が必要なのではないか」すなわち「出口が限定的で流動性に乏しい」という3つ目の課題について向き合いました。

未上場株式投資における循環サイクル完成へ向けて

投資家がお金を換金する場として、IPOやM&Aという手段がありますが、こちらはすでにプロのプレイヤーがたくさんいるため、業務提携を行って我々がご紹介するところに注力しました。

ただ、やはり仕組みが必要だというお声をいただいたため、今回、非上場株の流動化を実現するために「FUNDINNO MARKET」を創設しました。スライドの図のとおり、株式投資型クラウドファンディングを通して家計からお金が流れ、最後に投資家にお金を換金するために、この「FUNDINNO MARKET」という仕組みを用いて、流動化の促進に努めていきたいと考えています。

以上が我々のビジネスモデル、サービスのラインナップとなります。あらためて、家計から未上場企業に直接お金が流れる仕組みを「FUNDINNO」が実現しており、未上場企業の情報の非対称性を解決する分野を「FUNDOOR」が実現しています。

日本の未上場企業の資金調達環境の課題と取り組み状況

株主コミュニティ制度を用いて家計にお金が換金されることにより、このリスクマネーが循環する効果も得られ、一巡、二巡、三巡と繰り返していくごとに、当初我々の一番の目的である「挑戦している方々に多くのお金が流れる仕組みをつくる」ことにつながると考えています。

【IPO/M&Aへのステップアップマーケット】

「FUNDINNO MARKET」の可能性として、まず「FUNDINNO」で資金調達した企業が、再加速してIPOやM&AといったEXITを実現する仕組みをになると考えています。

【私募での大型調達】※2022年開始予定※

今まで「FUNDINNO」というサービスは、少額募集として1社あたり、1年間で1億円までしか調達できないという限定的なものでした。しかし、シードからアーリー、アーリーからミドル、ミドルからレイターと、各会社がステージを突破し成長していくごとに、必要な資金のニーズが高まっていきます。

そのような多様なニーズにお応えするために、「FUNDINNO」では公募による少額電子募集、セカンダリーマーケットでは私募での大型調達といったかたちで、多様な資金調達ニーズにお応えしていきたいと考えています。

【持続的な成長をする未上場企業の株式マーケット】

次に持続的な成長をする未上場企業の株式マーケットとしての仕組みです。従来のエクイティファイナンスのケースでは、IPOやM&Aといった明確なEXITプランがない場合、エクイティファイナンスの対象外となるため、なかなかエクイティファイナンスが実行できる、受けられる会社の数が増えませんでした。

しかし、株主コミュニティのように、第3のEXITができていくと、例えば中小企業でIPOやM&Aは目指せないが、資金ニーズがあるといった場合に、融資以外の方法で資金調達が可能になってくると考えています。

また、IPO、M&AなどのEXITを目指すことにより、課題解決型の会社が目指すべきことを十分に達成できなかったという事例もあったと考えています。

昨今、ESGやSDGsのように社会的課題解決に取り組む会社を応援しようという風潮が広がっています。しかし、社会的課題を解決していく会社の多くは、一般的に成長性が乏しいという判断により、エクイティファイナンスが実行されにくい状態でした。

しかし、このような第3のEXITの場を作り、社会的課題解決を目指す会社がエクイティファイナンスも実行できるように取り組んでいます。

広がるFUNDINNO MARKET 活用企業イメージ

「FUNDINNO MARKET」を活用する企業イメージです。スライドには、企業イメージとしてCASE1「IPOやM&Aを目指すベンチャー企業」、CASE2「地域経済を支える中小企業」、CASE3「社会的課題解決を目指すソーシャルベンチャー」、CASE4「熱狂的なファンをもつ未上場企業」を示しています。例えば、スポーツチームなどを運営されている会社にとっては非常に使い勝手がよいのではないかと考えています。

未上場株式の民主化へ

我々は未上場株式の民主化に向けて徹底的に取り組み、ビジョンの「フェアに挑戦できる未来を創る」ために全力で活動していくため、みなさまの応援を引き続きよろしくお願いします。

本日は、お足元の悪い中、ご足労いただき誠にありがとうございます。ご清聴ありがとうございました。

馬渕:続いて「FUNDINNO MARKET」に登場する企業4社様のご紹介を、日本クラウドキャピタル代表取締役COO大浦学よりさせていただきます。

大浦学氏(以下、大浦):みなさま、こんにちは。日本クラウドキャピタル代表取締役COOの大浦でございます。本日はお越しいただきありがとうございます。

先ほど柴原からご説明があったように、我々は創業当初からずっとセカンダリーマーケットを作ろうと考えていました。上場するか、会社を売却するかという場面で投資家への換金が行われなかったわけですが、換金の仕組みを作ることによって投資がしやすくなる流れを作っていきたいという思いで始めて、ようやくこれから正式に始まっていくかたちになります。

我々のサービスを使っていただいているみなさま、日本で初めての試みについて共感してくださりありがとうございます。今から私より各社についてご紹介しますが、各社の紹介と、実際に「FUNDINNO MARKET」を使っていく上での内容についてお話しいただきたいと思います。

まず、ダブル技研株式会社代表取締役の和田博さまから、取り組みへの思いについて伝えていただければと思います。

ダブル技研株式会社

和田博氏:ダブル技研の和田でございます。まず、簡単にダブル技研について紹介します。我々は「FA」あるいは「ロボットSIer」という言い方をしますが、産業用ロボットを使って工場を自動化するなどを推進しています。もう1つ、まったく異質になりますが福祉業界にも属しています。

かつて私たちは本のページをめくる機械を作って福祉業界に参入してきました。福祉業界とFA業界という、まったく異質なところに携わっている、ある意味めずらしい会社だと思っています。

今回の「FUNDINNO MARKET」に対して、私が感じたこと、あるいは期待していることをお話しします。まず、参加する4社のうち当社が選ばれたことに対してすごく光栄に思っています。ありがとうございます。

本日参加して驚きましたが、これだけ多くのメディアの方が来ているため、私が若干期待していることとして、まず、我々の会社にとってメディアに取り上げていただくことですごく宣伝になります。例えばリクルート、あるいは今後の資金調達、お客さまから仕事をいただくことにもすごくメリットがあると思っています。

また、先ほどCEOからお話がありましたが、本日「FUNDINNO MARKET」がスタートし、半年後、1年後において、我々が期待していることは新たな資金調達です。今我々もクラウドファンディングで資金を調達し、いろいろな開発を行っていますが、実際にはもっと事業資金を集めて新しい開発の速度を早めたいと思っているため、そのあたりを一番期待しています。

また、クラウドファンディングを行った当時、我々の会社はこのような会社だと説明しました。その後も、我々は毎月株主宛にIRを実施しています。展示会については、最近あまり実施できていませんが、マスコミに若干出していただき、クラウドファンディングで調達した時から現在の会社の印象がどう変わって映っているのか興味があります。

投資家のみなさまも新しい目で見ていただければと思います。「『FUNDINNO MARKET』で応援したけど、ダメだな」などと思われないか、期待もありますが不安もある状況です。一応、私からは以上になります。ありがとうございました。

株式会社ハーバルアイ

橋口遼氏:初めまして。株式会社ハーバルアイ代表取締役の橋口遼と申します。この度はこのような機会をいただきまして、本当にありがとうございます。弊社のご紹介をしますと、漢方薬、サプリメントなどをオンラインで販売し、体によい素材を使った薬膳の飲食店の運営もしています。

特に今後はオンライン服薬指導の事業に注力しようと思っており、3月には調剤薬局のオープンを控えています。主に痔や痩身などの相談しづらい、しかし改善しなければならないようなお悩みを薬剤師や弊社の登録販売士に相談してもらい改善していく、ロングタイムメディケーションのサービスを行っていきます。

今回の「FUNDINNO MARKET」に期待することは、総顧客数が15万人前後、月間の平均顧客数が1万8,000人くらいおり、過去に2回ほど調達したことがあるのですが、弊社の商品を購入している方で実際に株主になっている方は、年間のライフタイムバリュー、実際の売上高も平均して3倍くらいになっています。

さらにEXITがもう少し行いやすいかたち、流動性が高い状態でお客さまに株主になっていただくというのは非常におもしろいと思っており、この部分にすごく期待しています。

いわゆるファン投資家や株主消費者のようなところも会社では取り組んでいきたいと思っています。以上です。引き続きよろしくお願いします。

株式会社ロジック・アンド・デザイン

佐藤公明氏:みなさま、おはようございます。株式会社ロジック・アンド・デザイン代表の佐藤と申します。よろしくお願いいたします。当社は「より見える化の提供」ということで画像鮮明化アルゴリズムや画像高解像化アルゴリズムの技術開発を行っており、それらの技術を搭載したハードウェア、ソフトウェアの開発、販売を行っています。

具体的に言いますと、今日のような悪天候の時にカメラのセンサーはデータとしてとらえているがなかなか再現できない、よく見えないところがありますが、そのようなものを「より見える化」するものです。

また、昔の劣化した画像や、ブレやボケのある画像をなんとかしたいときに高解像化を図って「より見える化」するというものもあり、3つの事業ドメインでビジネスを展開するようにしています。

1つ目が医療です。医療の先生方はより鮮明に見えるようにしたいというニーズが非常に強く、11月から当社の「より見える化」の製品を活用してもらっています。2つ目が従来より展開しているセキュリティです。防犯カメラあるいは警察関係の画像解析でより見たいというニーズがあり、そちらに技術を投入しています。

3つ目がインフラストラクチャーと言いますか、国土交通省の案件と言いますか、たとえば河川監視での防災、ドラレコなどの車載カメラ、ドローンを使った検査などがこれからかなり大幅に広がっていくと思いますが、そのようなときにリアルタイムで画像を「より見える化する」技術を提供しています。

今回「FUNDINNO MARKET」に私が期待することは、まずファン作りです。おかげさまでこれまで「FUNDINNO」に3回ほど参加し、今840人くらい投資家の方がいるのですが、大事なファンであり支援者です。そこからさらなるステージにステップアップするために、このファン作りをぜひ活用したいと感じています。

もう1つが、近い将来実行したいのがIPOに代表されるEXITだと思うのですが、そのためのトレーニングの場として活用し、いわゆる企業の透明性をしっかり身につけ、IRを配信してコミュニケーションを株主のみなさまときちんと構築していくための練習の場として使いたいということで大きく期待しています。

株式会社eumo

武井浩三氏:みなさま、こんにちは。株式会社eumo共同代表の武井浩三と申します。よろしくお願いします。eumoという会社は、日本でも事例の少ない、非営利株式会社という法人形態で、非営利ですので株主になったり出資したりする金銭的メリットは基本的に存在しないような会社です。

なぜ弊社がこのような法人形態をとっているかと言いますと、弊社は地域通貨、コミュニティ通貨といった電子通貨を発行し流通させる事業を行っています。昨今の日本は社会課題先進国と呼ばれますが、人口減少と少子高齢化が同時に起きており、世界的に見てもとても経済活動が不安定な国になっています。

その中で我々が作り出したい経済は、助け合いの経済、循環経済、贈与の経済であり、困っている人を助け合う仕組みを作るために期限のあるお金を発行し、地域ごとに流通させる取り組みを行っています。

この事業はいわゆる公共性がとても高い事業だと考えており、特定の個人の利益のために行っているわけではないため、非営利株式会社の形態をとっています。

そしてまた株主も創業者利益が発生しないよう、時価総額を付けずに出資した分だけ持ち寄ることをこの3年間行ってきています。非営利ですが、我々の取り組みに共感してくださっている株主の方々が289名います。

そして今年は「FUNDINNO」を通じて株式のクラウドファンディングも実施することができました。非営利株式会社による株式クラウドファンディングは日本初、もしかすると世界初かもしれませんが、おかげさまで4,000万円近くの資金を調達することができました。

我々は、このような公共性の高い、利益を求めず利益の出にくい活動ができるようになったのも、「FUNDINNO MARKET」のような仕組みができたためだと本当に感謝しており、これからますますそうした取り組みがソーシャル、そしてローカルの企業にどのような影響を与えていくのか期待していますし、我々もその普及のために頑張っていきたいと思っています。

大浦氏:利用者のみなさま、ご紹介いただきましてありがとうございます。我々としてはまだ実績がなく、新しいサービスが始まる中で、我々の仕組みに共感して使ってくださり本当にありがとうございます。

先ほどのお話にもあったとおり、ファン作りやソーシャルベンチャー企業の課題は資金調達と、実際にそのサービスを広げていくためのファンをどう増やしていくかというところです。

我々の「FUNDINNO」もそうですし、今回の「FUNDINNO MARKET」のようなセカンダリーマーケットがあることで、ファンとコミュニケーションを取れるようにしていくことが、我々のビジョンとしている「フェアに挑戦できる未来を創る」という世界観の実現につながります。

投資家が、投資してから上場するまで、または会社を売却するまで株式を売れないという状態ではなく、株式の換金性、流動性が出てくることで投資を盛り上げたいというのが我々の考え方ですので、ぜひ引き続きご支援のほうをよろしくお願いいたします。私からは以上になります。どうもありがとうございました。

森・濱田松本法律事務所 パートナー 増島氏よりご挨拶

馬渕:「FUNDINNO MARKET」創設について、さまざまな分野のFintechスタートアップを支援するとともに、金融機関のデジタルトランスフォーメーションやオープンイノベーションの取り組みを支援する、森・濱田松本法律事務所パートナーの増島雅和さまより、コメントをいただきたく存じます。

増島雅和氏:ご紹介いただきました、森・濱田松本法律事務所パートナーの増島と申します。本日は「FUNDINNO MARKET」のローンチ、誠におめでとうございます。許認可をめぐる長い交渉の末、いよいよ始まるマーケットでみなさまも大きく期待を寄せられていると思っています。

私自身は、日本クラウドファンディング協会の理事をさせていただいておりまして、米国のJOBS ACTが2013年に改正されたことを受けて、株式投資型クラウドファンディングを日本で可能にするための金商法の改正を政府に提案した1人という背景になります。

本日は株主コミュニティ制度の、制度的な背景と、日本クラウドキャピタルさんが開始される「FUNDINNO MARKET」のサービスの日本社会における意義を説明したいと思います。

「FUNDINNO」のようにクラウドファンディングで調達する仕組みと、今回の株主コミュニティ制度についてですが、2015年に金商法が改正されて、制度として解禁されました。

みなさまも、ご記憶があるかもしれませんが、以前未上場株式を扱うグリーンシートというものがありました。グリーンシートは開示の条件も厳しく、不便さもあり、あまり人気が出ませんでした。

これをどうにかする必要があるということで、後継制度として、株式コミュニティ制度ができたわけです。グリーンシートは開示が非常に厳しいということをお伝えしましたが、その反省を活かし、この株主コミュニティ制度では、開示についてあまり厳しくならないように制度を作っています。

その代わりに、会社のことをよく知っている人、既存の株主さんや、そのほか会社のことをよく知っている人たちが、内内で株式のやりとりをする想定で、このような制度を作ったということです。

この制度がはじめに動いたときは「誰が使うんだ」というふうにさんざん言われてきました。今、株主コミュニティ制度を実施しているのは、地場の証券会社さんなどで、地場の会社のニーズに答えて小規模に使われています。もちろんオンラインでもありませんし、Excelでの株主管理といった内情で、株式のビジネスの中ですごく端のほうにある制度として、今まできたわけです。

ところで、日本では2011年から「READYFOR」「CAMPFIRE」「Makuake」といったプレイヤーから、クラウドファンディングが始まったわけですが、開始当初のクラウドファンディングは、それほど大きな存在ではありませんでした。それがどんどん力をつけてユーザーが蓄積され、データの力を使いながらプラットフォームの魅力を高めて、今、大きな市場に育っているわけです。

こうしたクラウドファンディングの力を間近に見ていたため、米国で株式型のクラウドファンディングの制度がスタートして、クラウドファンディングを株式でもできると考えて日本でも制度を導入したところ、この考えにご賛同された日本クラウドキャピタルがサービスを開始し、今に至っているわけです。

日本クラウドキャピタルが始めた株主コミュニティ制度は、Fintechを見ている我々からすると、今年の日本のFintech業界における3大ニュースの1つだといえます。それほど大きなインパクトのある取り組みです。

このマーケットには、うまくいく理由が多くあります。例えば「メルカリ」というサービスがあります。中古品を売っているわけですが、彼らのマーケットは、人々の購買行動を変えました。つまり彼らは中古品を売るためのサービスを作ったわけですが、人々はメルカリという売れる場所があるからモノを買う、という行動をとるようになったのです。同じことが株式にもいえます。これまで非上場株式は、売れる場所がなかった。しかしFUNNDINO MARKETという売れる場所ができた。そうすると、売れるから買うという人が出てきます。ベンチャー企業や中小企業の株式への投資が進むということです。

もう1つ、これも「メルカリ」を見ればわかるとおり、価格がつくことによって、価格が上がっていく。これは、米国の事例などを見ても非上場株式のマーケットで取り扱いが生まれることによって会社の時価総額が上がっています。

このように、マーケットがあることによって、いろいろなプラスがでてきます。従業員が持っているストックオプションも現金化できる、そういった世界も見えるようになります。従業員が会社の業績向上による企業価値の上昇の恩恵にあずかる仕組みとして、持株会というものがありますが、非上場会社の持株会は退職時の株式持分の処分方法に困っていました。持株会と株主コミュニティを結びつけることで、こうした課題を解決することもできるでしょう。

企業価値向上分の従業員に対する分配は、単に給料を増やすことによってのみ実現するものではありません。株式を報酬として従業員の活躍に報いる、株式の価値をうまく使って会社を経営するということが、このマーケットが1つできることによって可能性が広がる、そのように思っています。

こうした大きな意味がありますので、たしかにはじめはそれほどうまく回っていかないように見えるかもしれません。しかし利用企業とユーザーが蓄積して、ネットワークが機能するようになると回っていく、これは確信を持って言えます。みなさまも長い視点でマーケットを見守りながら応援してもらえると幸いです。少し長くなりましたが、以上です。どうもありがとうございました。

「FUNDINNO MARKET」の取引の流れ

馬渕:「FUNDINNO MARKET」の具体的な取引の流れについて、簡単に動画でまとめさせていただきました。ご覧ください。

では、ここから質疑応答のお時間とさせていただきます。ご質問のある方は、挙手をお願いいたします。

質疑応答:事業計画および投資家数の伸びについて

質問者1:事業計画についておうかがいします。今回は4社でスタートですが、1年後あるいは3年後はどのように見込んでいますでしょうか? また、投資家数についてどの程度の参加を期待しているのか。それから取引のボリュームはどうでしょうか。

柴原:我々の事業計画としては、「FUNDINNO」でお取り扱いしている会社は、当初は4社でスタートしたいと思います。そこを毎月2社から3社程度増やしていくことが、1年間の計画となっています。

その後は、CASEでお伝えしたとおり、「FUNDINNO」以外の案件にも活動の幅を広げたいと考えています。具体的には中小企業、有名な未上場企業でユーザーの支持を受けていて社歴が長い会社、スポーツクラブを運営していて資金を必要とする会社など、さまざまな未上場企業の会社さまを開拓していきたいと考えています。

また、投資家について、今「FUNDINNO」の投資家ユーザー数がおよそ8万5,000人います。どこまで伸びていくのかについては、まだつかめていませんが、多くの投資家にしっかりと利用いただけるように、投資家のニーズに向き合って数を増やしていければと考えています。

質疑応答:「FUNDINNO MARKET」に登録する企業の選定について

質問者2:「FUNDINNO MARKET」に登録する企業の選定基準に関して、どのようにお考えなのか、また今回の4社に関してどのような観点で選定されたのかについてお聞きしたいです。選定した会社に関して、先ほど4つの類型を挙げていたと思いますが、この4社は類型のどれにあたると考えているのかについてもご解説ください。

柴原:まず審査については、法令上、未上場の株式を取り扱う場合に審査項目というものが定められています。特に我々が着目して審査を行っているポイントとしては、キャッシュフローの推移です。資金調達の状況や、会社がどの程度存続可能であるのかに着目して審査を行っています。

今回、初めて「FUNDINNO MARKET」に参加してくださった企業の状況としては、まず最低限、法令上定められている審査項目を通過しています。そこから、今度は我々のサービスに共感してくださった会社にご支持いただいている状況です。

質問者2:「ベンチャー企業」「地域経済活性目的の事業」「ソーシャルベンチャー」「熱狂的なファンをもつ未上場企業」の4つを挙げていましたが、今回の4社はそれぞれどれにあたるのでしょうか?

柴原:ダブル技研は、今後EXITとしてはIPOやM&Aを目指すと思いますが、スライドのCASE1で挙げたように、今後成長をより加速すると思っています。同じく、ハーバルアイも、このようなことを経て加速する会社だと思っています。ロジック・アンド・デザインも、同じく加速すると思っており、eumoは社会的課題解決を進めている会社であるとうかがっているため、社会課題解決型の仕組みとして使っていただいていると考えています。

質疑応答:日本のベンチャー企業に与える影響について

質問者3:この新しいマーケットが創設されることで、日本のベンチャー市場やベンチャー企業にどのような影響が生まれると考えているか、あらためて簡潔に教えてください。

柴原:非上場企業やベンチャー企業へ、リスクマネーの供給量が増えると考えています。理由としては、今までベンチャー投資は流動性が乏しいため、やはり資金量が集まらないという問題がありました。しかし、この新たなEXITの場が増えることにより、リスクマネーの供給量が増えると期待しています。

質疑応答:「FUNDINNO MARKET」の方向性について

質問者4:「FUNDINNO MARKET」の方向性についてです。このような株主コミュニティを利用したオンラインマーケットが、他社も含めて今後複数出てくるような世界観を想定しているのか、それともこの「FUNDINNO MARKET」はある意味で唯一無二の存在になっていくようなことを想定しているのでしょうか?

例えばIPOを目指しているようなところが、前段階として「FUNDINNO MARKET」のような取引をしていくということなのか、それとも未上場のままこのコミュニティが大きくなっていくようなことなのか、このあたりをどう描いているのか教えてください。

柴原:今後「FUNDINNO MARKET」のようなセカンダリーマーケットのエリアにどのような会社が入ってくるかは、我々もまだ想像できていません。しかし、我々もこのセカンダリーマーケットを運用していく立場としては、責任ある行動、また市場の健全な発展を目指して活動の範囲を拡大していきたいと考えています。

そして次の質問ですが、我々はこの「FUNDINNO MARKET」の活用として大きく2軸があると考えています。昨今の日本の株式市場は逆ピラミッド構造だと捉えています。

東証も、逆ピラミッド構造の中身を変えようということで、第一部からプライム市場に変更するといった動きをしており、日本の株式市場にアメリカのようなピラミッド構造を展開しようとしています。いわば、ステップアップ市場です。1つの使い方として、この「FUNDINNO MARKET」が次世代の成長する企業にとってのステップアップ市場の礎になればと考えています。

もう1つの使用事例としては、企業や株主、投資家の多様なニーズに応えるためには、IPOやM&Aを目指さないEXIT手法も国内に必要であると考えています。IPOやM&Aを目指していない会社、中小企業が日本にはたくさんあります。そういった会社でも、エクイティファイナンスを実行したいかしたくないかといったら「したい」と考えている会社が多いと思いますので、使い方、使用感としてはその一部で「FUNDINNO MARKET」の活動を広めていければと考えています。

以上で、日本初、ネットでの未上場株式のセカンダリーマーケット「FUNDINNO MARKET」に関するサービス概要説明会を終了させていただきます。本日はありがとうございました。

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