2021年12月8日に公開された、新田ゼラチン株式会社2022年3月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:新田ゼラチン株式会社 代表取締役社長 執行役員 尾形浩一 氏

2022年3月期第2四半期決算説明

尾形浩一氏:みなさま、こんにちは。新田ゼラチンの尾形でございます。​本日は、2022年3月期第2四半期の決算と2022年3月期の予想について私からご説明します。

目次

本日の内容はこちらになります。​

会社概要

会社の概要に大きな変化はありませんが、今年4月に、子会社であったニッタバイオラボを吸収合併しました。

1.2022年3月期 第2四半期 実績

それでは、まず2022年3月期第2四半期の実績についてご報告します。

業績推移①:売上高

売上高は148億6,300万円、前年同期比3億3,200万円の減収となりました。​前年同期は事業譲渡した接着剤事業の売上が12億7,000万円あったため、それを除けば9億3,700万円の増収となります。​期初の予想からも6億6,300万円の超過となっています。​

連結売上高増減要因(前年同期比)

地域ごとの増減を表した図がこちらになります。​すべての地域で前年同期を上回っています。​

業績推移②:営業利益

営業利益の結果です。​売上高は増加しましたが、営業利益は前年同期を下回る5億9,300万円となりました。​これは主に原材料費と輸送コストの値上がりによるものです。​ただし、ある程度盛り込んでいたものもあり、期初の予想とほぼ同じ実績となりました。​

連結営業利益増減要因(前年同期比)

営業利益の地域別の増減を表しています。​接着剤事業がなくなったことで利益面では改善されましたが、アジアを除く地域では営業利益が減少しました。​アジアでは特に付加価値の高いコラーゲンペプチドの売上が伸びたことから増益となっています。​

業績推移③:経常利益

円安によって、輸入では原材料高となりましたが、逆に子会社への貸付や現地通貨実績の円換算ではプラスに作用しました。​この為替差益が6,900万円あったことから、経常利益については6億9,600万円となり、前年同期および期初の予想を上回りました。​

業績推移④:親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益については、3億7,400万円、前年同期比2,200万円の増益となりました。​予想比ではプラス7,400万円となっています。

各地域ごとの市場の変化

ここで、新型コロナウイルス感染症の拡大による社会の変化が当社の業績に及ぼした影響について、地域ごとにまとめました。​日本では緊急事態宣言の発出と度重なる延長で経済の回復が遅れていますが、店舗販売は徐々に戻ってきています。​

北米では健康意識の高まりからコラーゲンペプチドなどのサプリメント需要が伸びていますが、競争も激化しています。​当社から北米へ輸出している牛骨ゼラチンは、海上輸送の大混乱の影響で遅れとコストアップが生じており、結果として売上と利益の減少を招いています。​

インドでは相変わらず原料の価格は上昇していますが、旺盛な需要に支えられて売上は伸びています。​

アジアでは美容用途のコラーゲンペプチドにおいて、韓国、台湾、タイなどの需要が非常に好調で、売上が伸びています。​

販売区分

ここからは各販売区分ごとの実績についてご説明します。​

販売区分別 売上

販売区分別の売上を前年度と比較すると、スペシャリティーズ以外は増加しています。​スペシャリティーズも前年は接着剤の売上が12億7,000万円あったことを考慮すると、実質は3億9,800万円、31.3パーセントの増収となります。​

フードソリューション

フードソリューションの売上高は、前年同期比2億2,800万円増の60億8,000万円となりました。​日本でのグミ用、冷凍デザート用、業務用の売上が増加したことが寄与しています。​

ヘルスサポート

ヘルスサポートでは、売上高は71億1,500万円となり、前年同期比3億1,000万円の増収となりました。​日本をはじめ、北米、アジア、インドでコラーゲンペプチドの需要が伸びており、売上が増加しました。​

カプセル向けのゼラチンは日本及びインドでは堅調でしたが、北米では先ほど述べましたように日本からの輸出の遅延が響き、売上が伸びませんでした。​

スペシャリティーズ

スペシャリティーズは、接着剤事業の譲渡による減収の一方で、写真用の売上高は増加しており、16億6,800万円の売上高となりました。

貸借対照表 (B/S)

貸借対照表です。​昨年度は、新型コロナウイルス感染症の急拡大による不測の事態に備えて手許現金を増やしていました。​今年度は、現金については以前のレベルに戻しつつあります。それに伴い、長期借入金が減少しています。​物流の混乱も影響して棚卸資産はやや増加しています。​ ​

キャッシュ・フロー計算書 (C/F)

キャッシュフロー計算書です。​営業キャッシュ・フローの減少は棚卸資産の増加によるものです。​投資キャッシュ・フローは前年度とあまり変わっていません。​財務キャッシュ・フローは長期借入金を返済したため、大きく減少しています。​

株式分布変化

2021年9月末時点では株主数に大きな変化はありません。​

株主還元

配当に関しては中間配当金7円をお支払いしました。昨年度の6円より1円増配とし、DOEは1.5パーセントとなります。​株主優待については、当面ここにお示しした内容で継続していく予定です。​

2.2022年3月期業績予想

ここからは2022年3月期の業績予想についてご説明します。​

外部環境の認識

2022年3月期の業績予想をする上で考慮しなければならない外部環境についてまとめました。​現在は落ち着いている新型コロナウイルス感染症ですが、まだまだ油断はできず、経済の回復には時間を要すると思われます。

​日本を訪れる海外旅行客の数が戻るには2年から3年以上かかると思われ、インバウンド需要の復活はまだまだ望めません。​

新しい生活様式が定着し、消費行動や働き方は大きく変化しています。​

そうした中で、健康意識が高まり、タンパク質補給や植物素材を利用した新たな製品など、食のニーズも変わってきました。​

外部環境の認識 日本

国内では店舗での販売は回復しつつあり、今後の消費喚起のキャンペーンなどで、需要の回復が見込まれる業種も多々あります。​

コロナ禍で急増したテイクアウトや宅配需要は引き続き堅調に推移すると思われます。​

健康への関心の高まりから機能性表示食品が注目されており、種類も増加して市場が拡大しています。

​一方、昨年爆発的に増えた巣ごもり需要は落ち着いてきており、家庭での調理やお菓子作りの材料の販売は減少すると予測されます。​

外部環境の認識 海外

海外では日本よりも早く景気が回復したところが多くありましたが、ヨーロッパなどで感染者がまた大きく増加していることから、回復のスピードは鈍化するかもしれません。​そのような中でも美容用のコラーゲンペプチドは特にアジアで需要が伸びており、今後も加速するものと期待しています。​

また、グローバル企業を中心にハラルゼラチンの需要も着実に増えています。​

今後の戦略課題

以上のような我々を取り巻く環境から、スライドにお示ししたような事業戦略を設定しました。​

フードソリューションでは、今伸びているテイクアウトや宅配に適した製品の販売に力を入れるとともに、新しい食のニーズに対応した商品開発を行います。​

ヘルスサポートでは、日本で機能性表示の要件を取得しているコラーゲンペプチドの拡販と4月に吸収合併した直販事業の強化に努めます。​需要の拡大しているアジア、北米では美容用コラーゲンペプチドのさらなる拡販を図ります。​

バイオメディカルでは、beMatrix製品の販売拡大とともに受託開発やマイルストーン収入のような新たなビジネスモデルに挑戦します。​

2022年3月期予想

2022年3月期の予想については期初からの変更はなく、売上高295億円、営業利益13億5,000万円、経常利益13億5,000万円、当期純利益9億円としています。​

販売区分別売上予想

フードソリューションは、国内市場の順調な回復を見込んで4.8パーセント増の122億5,000万円、​ヘルスサポートは美容用途のコラーゲンペプチドおよびカプセル用ゼラチンのグローバルでの拡販により4.2パーセント増の146億6,00万円を見込んでいます。​

スペシャリティーズは接着剤の売上がなくなることから、大幅減の25億9,000万円としています。​

3.トピックス

トピックスをいくつかご紹介します。​

みらい館(新研究棟)建設中[2022年竣工予定]

研究開発力強化のため、新しい研究棟として「みらい館」の建設を始めました。来年11月の完成を見込んでいます。​バイオメディカルの生産・開発を統合して拡大するとともに、R&Dの機能を集約し、より機能的、効率的な研究開発を実現します。​お客さまに見学していただいたり、プレゼンやセミナーも開催できるスペースも設けてあります。​

ライフサイエンスバイオマテリアル研究会(Web)開催

昨年は残念ながら中止としたライフサイエンスバイオマテリアル研究会を、2年ぶりに、今年はWebで開催しました。​大学、法人、企業といった、異なるフィールドで研究されている講師の方から貴重なお話を聞くことができ、バイオマテリアルの可能性がまだまだ広がることを実感しました。​参加者も300名と、会場で開催するより多くの方に参加いただきました。​

松山プロジェクト

松山大学女子駅伝部が「全日本大学女子駅伝」で4年連続シード権を取得しました。当社は、選手たちに運動後の疲労回復とケガ予防用のスポーツニュートリション製品「RUNSHOT(ランショット)」を提供しています。​

愛媛大学医学部と松山三越が「地域住民の健康増進と健康寿命延伸」に貢献することを目的として設立した、エイジングケアパークにも常設のブースを設け、出展しました。

ホームページにサステナビリティサイトを新設

当社のホームページでは、サステナビリティのサイトを新たに設けました。​現在の取り組みを紹介するとともに、今後の進捗についても随時ご紹介し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。​

サステナビリティ[地域貢献活動]

地域貢献活動として、大阪府が実施したアグリパートナー連携協定による地域ボランティア活動に参加しました。​大阪ぶどうの産地である柏原のぶどう農家の収穫をボランティアとして手伝い、地元のワイナリーでそのぶどうを利用したワインを醸造していただきました。​ぶどう畑の原風景と大阪ワインの伝統を絶やさぬように協力していきます。​

また、地域のみなさまに親しまれているコラーゲンショップをグランドの一角にリニューアルオープンしました。​ショップにカフェを併設し、お客さまの憩いの場も提供できるようにしています。

高機能コラーゲンペプチドがアメリカで最優秀賞を受賞

当社が北米で販売している高機能コラーゲンペプチドがインナービューティ素材としてアメリカで最優秀賞を受賞しました。​これからもエビデンスのしっかりした、よりよい製品をグローバルにお届けしていきます。​

​私からの説明は以上です。閲覧いただきありがとうございました。​

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