老後の「家計収支」を考えるときに注意したいこと

さて、2019年に話題となった「老後2000万円問題」。まだ記憶に新しい方もいらっしゃるでしょう。夫婦の老後生活には年金以外に2000万円が必要、という試算で世間の注目を集めました。

実はこの「2000万円」という不足額は、2017年の家計調査データをもとに試算されたもの。ここでは夫婦世帯のひと月の赤字は約5万5000円と示されていました。よって、家計の収支は3年間で大きく改善されていることになります。

とはいえ、いくつか留意すべき点があります。改善されたのはどのような理由か、今後も注意しなくてはいけないことは何か見ていきましょう。

家計収支が改善されたのは、なぜ?

65歳以上・無職世帯(夫婦世帯)のひと月の収支が大きく改善された理由を解説していきます。理由は大きく分けて2つです。

  1.  「教育娯楽」「交際費」が大きく減った
  2. 「実収入」が大きく増加した

1については、コロナ禍における、外出・レジャー自粛の動きが大きく関連していますね。また、2についてはコロナ対策の特別給付金など、公的支援が背景にあることなどが考えられます。

緊急事態宣言が解除され、多くの方が外出し、娯楽や交際費への出費がもとに戻ることを考えると、今後は支出が増えることが予想されます。

さらに、特別給付金などはあくまでも「臨時収入」です。この先も続くものではないでしょう。

次に、2017年と2020年の家計調査のデータに共通している「3つの注意点」についてみていきます。

  1. 実支出はあくまで平均
  2. 住居費が約1万5000円で計算されている
  3. 介護費がまったく含まれていない

みなさんの「今現在の」毎月の実支出はいくらでしょうか。お住まいは持ち家・賃貸、どちらでしょう。さらに、長寿時代を見据えた、ご自分の「介護費用」がどのくらいかかるかイメージできそうでしょうか。

老後に備えるべき金額は、世帯によってそれぞれです。価値観やライフスタイルによって、必要となる金額は変わってきますね。