お金の工面はどうしているか?
一方、居住形態別の年間収入金額は以下のような結果でした。内訳では家庭からの給付(仕送りや直接親が支払った学費など)が最も多く、奨学金とアルバイトが続いています(図表3参照)。
<自宅通学>
- 国立:115万4000円(うち家庭からの給付58万9000円)
- 私立:182万9200円(うち家庭からの給付102万400円)
<下宿、アパート、その他>
- 国立:185万3000円(うち家庭からの給付116万4800円)
- 私立:249万7000円(うち家庭からの給付163万7100円)
自宅通学の場合、授業料などの学費(国立:63万2900円、私立:131万2800円)を、ほぼ家庭からの給付と奨学金で賄っているようです。
一方、自宅外通学の場合、家庭からの給付と奨学金だけでは学費と生活費の合計額(国立:172万1800円、私立:241万4300円)には足りず、学生本人のアルバイト代もしっかり生活資金に含まれていることが分かります。
同調査によると、学生のうち8割ほどがアルバイトをしており、家庭からの給付に関する質問への回答は以下のようになっています。
<国立>
- 家庭からの給付のみでは修学に不自由:13.4%
- 家庭からの給付のみでは修学継続困難:9.7%
- 家庭からの給付なし:5.6%
<私立>
- 家庭からの給付のみでは修学に不自由:13.2%
- 家庭からの給付のみでは修学継続困難:13.0%
- 家庭からの給付なし:5.8%
おわりに
日本学生支援機構の調査結果には、実際に大学に通う学生の経済状況が反映されていますが、約半数の大学生が奨学金を受給しており、アルバイトをしている学生も多くいます。
自宅外通学をする学生のほとんどは生活に余裕がなく、このコロナ禍で飲食店のバイトで働く学生はさらに厳しい生活を強いられているでしょう。経済の急速な回復が望めない中では、そのような厳しい現実も踏まえて進路選択をすることが大切かもしれません。
参考資料
- 令和2年度学生生活調査(集計表)(独立行政法人 日本学生支援機構)
- 国立大学法人等の施設整備(文部科学省)
- 私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査結果について(文部科学省)
中野 令子