最大控除額が受けられない3つのケース

住宅ローン控除は、原則的に年間最大40万円(長期優良住宅等は50万円)が控除される制度。10年間の控除額は、最大400万円(長期優良住宅等は500万円)と高額です。

2021年度税制改正により、一定の要件を満たした場合は控除期間が「10年」から「13年」に延長されていますので、最大控除額は480万円(長期優良住宅等は600万円)にまで上がっています。

しかし、必ずしも最大控除額が控除されるとは限りません。住宅ローン控除の適用要件を満たしている場合であっても最大控除額が受けられないのは、次の3つのケースです。

1.物件価格が安い

住宅ローン控除の最大控除額は、年間40万円。しかし、この金額とともに「年末住宅ローン残高の1%」という上限も定められています。

つまり、年末の住宅ローン残高が4000万円未満であれば、40万円は控除されません。また、住宅ローン残高は返済していくにつれて減っていきますので、残高が4000万円以下になれば控除額もまた徐々に減っていくことになります。

2.住民税・所得税額が低い

住宅ローン控除によって控除されるのは、所得税と住民税です。

住宅ローン残高が4000万円以上あって、最大控除額である40万円が控除される要件を満たしているとしても、控除する所得税・住民税が40万円以下であればそれ以上は控除されません。

厳密にいえば、住宅ローン控除で優先的に控除されるのは所得税。所得税だけでは控除しきれない分が住民税から控除されますが、住民税の最大控除額は13万6500円と定められています。

よって、住宅ローン控除を受ける人の収入次第では最大控除額が控除できるだけの所得税・住民税を納めておらず、実際に控除されるのは最大控除額とならない可能性があります。

3.消費税非課税の物件

住宅ローン控除は、住宅取得者の金利負担軽減を図るための制度です。これまで最大控除額の変更や控除期間の延長など、さまざまな改正がされてきました。

控除額の増額や期間延長の背景には、段階的に消費税が引き上げられたことがあります。つまり、控除額の増額や控除期間の延長は、住宅取得者の消費税負担を軽減する目的があるということです。

購入時に消費税が課税されない住宅については、年間最大控除額が20万円となり、さらに控除期間延長の対象とはなりません。

新築住宅および不動産会社による再販物件などを除く中古住宅は、消費税が課税されません。消費税が非課税の住宅における住宅ローン控除の最大控除額は、10年間で200万円となります。