高安まちまちだった1週間

先週(1月9日‐1月13日)の世界の株式市場はまちまちでした。欧米はほぼ横ばい、日本と上海は下落しました。その一方で新興国の株価に上昇したものが目立ちます。主要市場の週間騰落率は現地通貨ベースでTOPIXが▲0.5%、米S&P500が▲0.1%、独DAXが+0.3%、上海総合が▲1.3%でした。新興国では南アフリカ、ブラジル、インド、韓国などの株式指数が上昇しています。

先週最大の注目はトランプ氏の記者会見でしたが、経済政策の全体像を示唆するものにはならず、金融市場は一定の警戒感を持ちながら様子見を余儀なくされています。米国の長期金利は小幅に低下を続けました。為替市場では貿易不均衡の是正に言及したことでドルは対円を中心に下落し、日本株の下落を招きました。米株も決算期入りで総じて小動きだったと言えるでしょう。

しかし、欧州の11月の鉱工業生産指数が対年同月比で増加するなど、世界景気の回復基調は続いており、さらに米金利が落ち着いていることを背景にブラジルが利下げを実施しました。新興国株に上昇の目立つものが多いことは冒頭で述べましたが、先進国株が足踏みしても新興国株にうまくバトンが回って上昇しており、世界株は好循環にあると言えます。

先週の主要市場の動き

注:現地通貨ベース、為替は円安がプラス、円高がマイナス

年初来の主要市場の動き

注:現地通貨ベース、為替は円安がプラス、円高がマイナス

アウトルック:経営者はトランプ政権下での運営方針について何を語るのか?新興国株と欧州の脱デフレにも注目

今週(1月16日‐1月20日)は、米企業の決算本格化とトランプ大統領就任を控え動きにくい時期で、現在バトンを受けている新興国株の上昇力が試されるでしょう。

いよいよトランプ大統領の就任式が来ますので、その発言に対して引き続き市場は神経質になるでしょう。さらに今週はモルガンスタンレー、ゴールドマンサックス、シティグループと言った金融株、IBM、GE、さらにネットフリックスやASMLの決算が待っています。決算動向に神経質になりそうですが、トランプ政権下での経営方針についてどんな示唆が経営者から出るのか興味深いです。

米株が動きにくいとすれば、先週堅調だった新興国株がラリーを続けるのか、脱デフレの兆候が強まる欧州市場で債券から株式への動きが強まるのか注目したいです。旧正月が近づきますが、人民元や中国株の値動きに注意が必要なことは従来通りです。

経済指標では中国のマクロ統計、米国のCPI、イエレンFRB議長の発言およびECB理事会が重要でしょう。

椎名 則夫