漫画家の祭さんは、おみくじちゃんとあみだちゃんというチンチラの母子、元保護チンチラの福くん、デグーの棟梁ちゃんというネズミさんたちと一緒に生活しています。
元保護チンチラの福くんが祭さんの家で暮らすようになって10カ月。保護されたばかりの頃は砂浴びもホイールも知らず(第84話参照)、祭さんに対しても警戒心でいっぱいだった彼ですが(第85話参照)、時間を見つけてはできるだけ相手をしてあげるなど努力の甲斐あって、今ではすっかりこの暮らしに馴染んでいます。
祭さんが特に「福くんが打ち解けてくれた」と感じるのは、お昼寝の時。遊んでいる最中に寝落ちしたのか、かじり石を抱えたままの行き倒れスタイルなど、心から安心できる場所でないと見せないような寝姿を見せるようになってきたからです。
ある日の部屋んぽ時間のこと。その日の祭さんは仕事が立て込んでおり、チンチラさんたちの遊び相手をしている余裕がありませんでした。そのため、部屋んぽはチンチラさんたちをケージから出すだけで、あとはご自由に、という形をとることにしたのです。
福くんの順番になり、「今日は仕事をするから、ひとりで遊んでね。」と、伝える祭さん。すると福くんは「わかった」というように、どこかへ行ってしまいました。デスクに戻り、仕事を再開した祭さんですが、しばらくすると、やけに福くんが静かなことが気になり始めました。「…一体、どこに行ったんだろ?」