その差9万円「基礎年金vs厚生年金」の平均額
国民年金(基礎年金)と厚生年金の平均月額をみると、その差は約9万円。
また、厚生年金については、前述した「男女差」だけでなく、大きな個人差があることもわかります。
厚生年金の月額月額が10万円未満の人の割合は、男性で10.6%、女性で49.9%。さらに「月5万円未満」の層も、男性で1.4%、女性で5.9%存在していることが分かります。その一方で、20万円以上の人の割合は、男性で24.0%、女性で1.3%と、幅広い受給額帯に分布しています。
最近では、ひとつの会社で定年まで勤め上げることだけにこだわらず、様々なキャリアを選ぶ人も増えています。報酬額の変動はもちろん、働く環境や、社会人になってから留学に行くなどがあれば、厚生年金加入期間にも影響することを踏まえておく必要がありそうです。
老後のお金は「育てる」時代に
ここまで、老後の年金受給額を確認してきました。平均的な額を受け取れそうというケースでも、今現在の生活費を考えると、公的年金「だけ」を頼りとする老後は、かなり心許ないと感じた人も多いかもしれません。
また、厚生年金に加入していた期間はあっても専業主婦・主夫の期間が長いような場合は、予想以上に受給額が低くなる可能性もあります。
まずは、「ねんきん定期便」などを活用し、将来の年金額を確認されることをオススメします。今から「どれだけ準備すればよいか」が見える化できます。
効率よくお金を増やすにはお金を「育てる」しくみ、つまり資産運用を活用することも検討されるとよさそうです。公的年金だけには頼らず、自助努力で資産を増やしていくことは、老後の暮らしのゆとりに繋がるでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報 令和元年度」
- 日本年金機構「国民年金保険料」
- 日本年金機構「令和3年4月分からの年金額等について」
- 熊谷良子(LIMO)「厚生年金の年金月額『男女差・個人差』まるわかり!」
吉田 奈都子