60代というと、仕事もいったんリタイアして新たな人生をスタートされるという方が多い年代ですね。
雇用制度を見直す企業が増え、60歳以降も働く環境が整いつつあります。70歳まで仕事をし続けることが、スタンダードになる時代も、もしかするとすぐそこまで来ているのかもしれません。
……とは言うものの、老後のお金の心配さえ払拭できれば1日でも早く仕事から解放され、自由きままなセカンドライフを過ごしたいと考えているのは、おそらく私だけではないと思います。
私は以前、生命保険会社に勤務し、数多くのお客さまからお金の相談を受けてきました。その経験もふまえ、今回は「60代の貯蓄事情」と老後へのお金の備え方についてお話していきましょう。
60代世帯「貯蓄100万円未満」の割合は?
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」をもとに、貯蓄額ごとの世帯割合を見ていきましょう。
60歳代・二人以上世帯「金融資産保有額」(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 平均:1745万円
- 中央値:875万円
金融資産非保有:18.3%・100万円未満:3.5%
100~200万円未満:4.0%・200~300万円未満:4.0%・300~400万円未満:3.3%
400~500万円未満:4.0%・500~700万円未満:5.3%・700~1000万円未満:7.5%
1000~1500万円未満:7.5%・1500~2000万円未満:6.3%
2000~3000万円未満:13.3%・3000万円以上:19.6%
無回答:3.3%
平均値は、上位の大きな数値に影響されて引き上げられる傾向があるため、中央値のほうがより実感に近いといえるでしょう。
金融庁のレポートをきっかけに話題となった「老後2000万円問題」をふまえると、平均値は2000万円に届かない状況ですが、32.9%の約3世帯に1世帯が2000万円以上の貯蓄があるという結果です。
しかし、この結果を反対に読み取ると約7割が2000万円に届かず、全体の18.3%が金融資産非保有、すなわち貯蓄ゼロということになります。
中央値が875万円という事実をふまえても、まさに「老老格差」が見て取れる結果と言えそうです。