調査会社の米IC Insightsは、2021年の半導体市場の成長率見通しを当初の19%から24%へ引き上げるとともに、高い成長率が見込まれる製品ランキングトップ10を予想した。24%への上方修正で、21年の半導体市場は5000億ドルを超える。DRAMとNANDフラッシュメモリーのビット価格の強さ、想定を上回るロジックとアナログICの好調が上方修正の要因になった。
アナログは25%増、ロジックは24%増
アナログIC市場は、19年に8%減少したが、20年は3%増に転じた。21年は出荷数量が20%増へ急拡大し、25%成長すると予想している。04年時点の平均売価(ASP)は0.6ドルで、20年には0.32ドルまで下落し、16年間の年平均成長率(CAGR)は-4%だったが、供給に制約があるため21年はASPが4%上昇すると見込まれることが寄与する。
なかでも車載用アナログICが牽引役になると見込んでおり、出荷数量が30%増、出荷額は31%増になる見込みだ。
ロジックIC市場は全体で24%の成長を見込む。産業用が47%増、車載が39%増、民生用が38%増、ディスプレードライバーICが31%増となる見込み。ロジックのASPは5%低下する見込みだが、出荷数量が30%と大幅に増えることが価格下落を相殺するとみている。
メモリーは32%増を想定
20年10~12月期に39セントだったDRAMのビット価格が、21年4~6月期に50セントへ28%上昇したため、IC Insightsでは21年のDRAM市場成長率を41%に引き上げた。供給が逼迫するため、下期もビット価格が引き続き上昇すると予想している。
NANDは21年に22%成長するとみている。ビット価格は20年1~3月期から21年1~3月期に26%下落したが、4~6月期から安定し、21年下期は上昇するとみている。
これに伴い、21年はメモリー市場全体で32%の成長を見込んでいる。
22年には60兆円市場へ
以上のような見立てから、IC Insightsでは21年の世界半導体市場は出荷数量が21%増加し、ASPは2%上昇して、年間で24%増になると見込む。この成長率は過去16年間で2010年の33%、2017年の25%に続いて3番目に大きい成長となる。
ちなみに、世界の半導体メーカー44社が組織している業界団体である世界半導体市場統計(WSTS)は、先ごろ発表した半導体市場予測として、市場成長率が21年は19.7%、22年が8.8%と予測した。足元の非常に強い半導体需要が急速に弱まる要因が見つからず、ワクチン接種の進展で経済活動の正常化が促されることも期待し、21年、22年ともに全製品でプラス成長を予測した。これによると、22年には市場規模が5700億ドル超(約60兆円)に達する見通しだ。
電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏