OPEC減産合意でトランプラリーが足踏みとなった2016年11月28日-12月2日
2016年11月28日-12月2日の世界の株式市場は高安まちまちでした。経済指標はほぼ良好な数値が並ぶ中、OPECの減産合意で原油価格が急騰し、長期金利が世界的に上昇しました。
株式市場では、イタリア、ロシア、インドネシア、シンガポールが高くなりましたが、日本株は小幅高に終わり、米株はダウ工業株30種平均が堅調だった一方でS&P500とナスダック総合指数が下落し、金融株高、テクノロジー株安の構図が浮き彫りになりました。欧州株も全体としては軟調に終わりました。
このような投資環境で、どのような投信が人気を集めたでしょうか。このところ楽天証券のランク上位には新しい顔ぶれが姿を現す機会が増えています。今回も興味深い動きが見られますので、一緒にランキングを見てみましょう。
楽天証券の2016年11月28日-12月2日の週間売れ筋ランキングを見る
まず、楽天証券の全体売れ筋ランキングのトップ5を見ていきます。
第1位:日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)
第2位:ニッセイ国内債券インデックスファンド
第3位:ニッセイ日経225インデックスファンド
第4位:ニッセイ国内債券アルファ
第5位:楽天日本株4.3倍ブル
楽天証券の2016年11月28日-12月2日の積立週間売れ筋ランキングを見る
次に、楽天証券の積立売れ筋ランキングのトップ5を見ていきます。
第1位:ニッセイ外国株式インデックスファンド
第2位:世界経済インデックスファンド
第3位:ニッセイTOPIXインデックスファンド
第4位:ひふみプラス
第5位:みずほUSハイイールドオープンBコース(為替ヘッジなし)
国内債券に投資する投信がランクイン
いかがでしょうか。
今回の特徴の1つが、国内債券に投資する投信が2本、全体ランキングの上位に入っていることです。
そのうち「ニッセイ国内債券インデックスファンド」は、国内の公社債に投資し国内公社債インデックスに沿う運用を目指すもので、いわゆるインデックス型あるいはパッシブ型のファンドになります。片や「ニッセイ国内債券アルファ」は、主に日本国債等に投資しながら国債先物取引も活用することで「日本の短期金利+アルファ」を目指すアクティブファンドです。
この2投信は運用対象がともに国内債券ですが、運用スタイル、運用目標は大きく異なります。しかし、トランプ相場で金利が上昇したタイミングを好機と捉えて、日銀の睨みがきいていて今後の金利上昇が限定的になる可能性のある国内債券の投信に資金が入ってきたことは注目しておきたい現象です。
注:金利が低下すると債券価格が上昇し、キャピタルゲインが増える関係にあります。
毎月分配型ファンドでは海外リート型ではない新たな銘柄がランクイン
今回も、海外リートを組み入れた毎月分配型投信は2つのランキング上位に姿がありません。先週はこの受け皿になる可能性のある投信として、毎月分配型ではありませんが「SMT米国株配当貴族インデックス・オープン」をご紹介しました。しかし今週のランキングでは早くも姿を消しました。
しかし、今週は別のタイプの毎月分配型投信が上位に入りました。
その1つは「日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)」で、折に触れて上位に入っていた投信の返り咲きです。日本株の個別銘柄に選別投資をしながら、高金利のブラジルレアルを対円で買い建て、かつ日本株とレアル・円相場でオプションを使ったカバードコールと呼ばれる戦略を取ります。
もう1つが「みずほUSハイイールドオープンBコース(為替ヘッジなし)」です。これは海外リートベースの毎月分配投信と類似しており、主に米国の米国ドル建てハイイールド債に投資し、為替のヘッジをせず、毎月分配を行うという仕組みです。なお、ハイイールド債とは、簡単に言えばクレジットリスクがそれなりにある債券のことです。
まとめ
このように見てみると、
- 日本の長期金利が天井にあるのではないか
- ブラジルレアルが対円で堅調を続けるのではないか
- 金利上昇局面でも米国の米国ドル建てハイイールド債は十分な利回りを出すのではないか
など、さまざまな相場観が売れ筋上位のランキングに現れています。
ぜひご参考になさってみてください。
LIMO編集部